紙の本
発達障害の本でもあり,家族のありかたについての本でもありそう.
2015/12/31 17:30
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投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
医師と患者が,発達障害をそれぞれの立場で語っているのだけれど,患者の側については,子育てや家族について考えさせられるものだった.「血=家族」ではない,という話は,本当によくわかる.親は,存在するだけで暴力的なものだっていう自覚を持たないとなあ.
紙の本
この症例に特に関心がない人であっても興味深く読める
2015/10/01 15:33
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ADHDまたは「注意欠陥・多動性障害」と言われる発達障害は、最近かなりいろいろなところで取り上げられて、世間の認知度も高まってきているらしい。本書の作者。星野仁彦氏は精神科の医師なのだが、実はご本人もそれと気づかぬうちに幼少期からこの障害で苦しんでいた人で、現在は第一人者として多くの著作を出している。
彼の過去の著作は、ADHDの症状や症例をわかりやすく解説することに主眼を置いていた。そこをさらに推し進め、本書では漫画家で作家のさかもと未明さんという「一患者」の協力を得て、そのライフストーリーから実際の治療のプロセスまでをドキュメンタリー風に追いかけることで、この障害に興味関心のある人がよりリアルにADHDの実態を感じられるような形になっている。
さかもと未明さんのライフストーリーは切ない。
本人がそれと自覚せぬままに苦しんできた違和感や、父母の抱える問題と彼女に対する虐待に近いような言動、学校でのいじめ、大人になってからの飲酒問題、異性とのかかわり方など、普通であればなかなか赤裸々に公開するのが辛い話ばかりだ。
しかし、辛いながらも大きな波乱に満ちたストーリーでもあり、この症例に特に関心がない人であっても興味深く読めるものなので、多くの人が手に取りやすい良書になったと思う。
本書の面白いところは、そうした一連の辛い話をADHDという症例で裏付けていった、という試みにあると思う。こういう話の場合、必ず当事者を何らかの形で責めたり反省させたりすることになるのだが、そこはスッパリ置いといて何故こうなったかを症例を背景に解説してくれる。だから何がどうなってこうなっていく、というプロセスが良く見えてくる。
これはあくまでも一例であって、他にも様々な形があるはずなのではあるが、表現者として成功している一人の大人の女性が医師が向き合って一冊を出した、という功績は大きいと思う。こうした話で世の人がこの症状に注目し、単なる人格的な不全として自信を失っていた人々が「生き直す」きっかけになるとしたら素晴らしい。
でもないものねだりながら一点だけ。
本書やその他の著作を通してADHDという発達障害を知った結果、本人や家族などが治療したいと考えた時に、どこに行って何をすべきかの指針が欠けているのは残念なところだ。実はこの症例をきちんと治療できるところは少なく、一般の精神科ではやはり満足な対応がしがたいのが現実らしい。だから情報の補足をしたくてもしようがない、という事情はよくわかるのだが。
まずは症状が世間に認知されるのは大事なことであって、そういう意味では貴重な一冊なのは間違いない。だからこそさらに一歩踏み込んで、社会を啓蒙し現状を変えるアプローチが欲しい、と痛切に感じた。
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薬で治療するのは、依存症と表裏一体なので、納得できないところもあったが、私の抱える生き難さが、発達障害によるものではないかと思った。
さかもとさんの体験談がことごとくあてはまり、辛かった。
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よくぞここまで赤裸々に語ってくれたものだ。壮絶の一言に尽きるドキュメントである。
発達障害という病気の全体像を知れるような本ではないが、その実状がどのようなものかをまざまざと見せつける、非常に意義深い一冊だった。表現が悪いが、テストケースとして見ることが出来るだろう。
その凄惨な人生にはただただ胸を痛めた。関わったすべての人を良く言う作者の心境には、本当に胸が痛む。そこにある自罰が透けて見えるのだ。
自身、見に覚えがあるというか、身につまされるところが少なくなくて、勉強になるところが少なくなかった。
そうした個人的な感想を除いても、良い一冊だった。新書らしい薄さはなく、濃密である。こうした論評はそぐわないだろうが、文句なしに星五つである。
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漫画家、ライターとして著名なさかもと氏が、雑誌の企画で精神科医と対談受けたこをきっかけに診断を受け、自身が発達障害、アスペルガーに該当することを知る。星野医師とのやりとりを通じ、それまでの生きづらさの原因を知った著者は大きな救いを得る。
対談相手の星野医師は「発達障害は脳の機能障害である」との観点から薬物療法を有効とする立場をとっておられます。本書での語りによると、65年生まれのさかもと氏の場合は母親に精神科への抵抗があり、満足なカウンセリングも受けさせてもらえなかったそうですが、現代においては早期の治療でかなり改善が見込まれるのだとか。
さかもと氏の回想と星野医師の見立てが交互に語られるスタイル。機能不全家庭育ったさかもと氏、変わった子として周囲に敬遠された子ども時代の内面の動きが実に興味深いところです。星野医師が「脳の報酬系が弱かった」と見るところ。
◯そもそも、どうして「ゲーム」のような遊びをしなくてはならないのかがわからない。何か報酬があるわけでもないのに、なぜみんなが夢中になれるのか。みんなにとっては「遊び」自体が「楽しい」ことなのだと、私には理解できなかったのだ。私には「遊び」は時間の無為な浪費に思えた。母親の言葉で理解できたのは「体をつくるため」「みんなと仲良くするルールを学ぶため」というものだけ。
でも、私はスポーツ選手になりたいわけではないし、体がとくに丈夫である必要性を感じなかった。母親が言う「丈夫ならできるいろんなこと」、つまり旅行だとか、運動だとか、そういったことに興味がなかったし、友達をたくさんつくることが必要だとも思わなかった。
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レディコミ作家で、派手な格好をして、テレビでコメンテーターをしていたキツめの感じの女性、さかもと未明さんを覚えている。正直、以前はあまり好きではなかった。本書は、そんな彼女が実は発達障害を抱え、アルコール依存症の父親、そしておそらくはアスペルガーで欝気味の母親という両親、いわゆる「機能不全家族」で育ち、大変に生き難い人生を歩んできたその回想と、現在の主治医である星野仁彦氏による所見という構成になっている。
歯に衣着せぬキツイ言葉はテレビでは面白がられても、本人の実生活では自他共に傷つける刃にしかならなかっただろう。それら生きていくのに不利な特性が彼女の障害によるものだと、理解していた人は本人も含めてほとんどいない(しかも最も無理解だったのが実の両親だ)。適切な治療と環境、社会に適応するための訓練、それをすれば彼女はもっと早く自分の人生を生きる事ができたのに、と、胸が痛くなる。本当に、本当に、大変だったと思う。
さかもと未明さんの生育環境は自分とも重なるところがあり、テレビで見るよりは身近な人に感じた。彼女は自分と同じような生き難さを抱えている人の為に、自分の家族のような負のスパイラルを少しでも減らしたいとの思いでこの本を書いたという。その気持ちを私もつないでいけたらと思う。
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この人の家族はダメすぎて、仕事はまじめだけど酒乱の父、発達障害の母、弟も妹も、どこかおもしろくて笑ってしまう。
両親との関係がうまくいかずケンカばかりしてるんだけど、やっぱり本人も父親みたいに酒乱になったり、母親みたいに発達障害になっていて、遺伝というか、みんな同類なカンジがする。
それでも、未明という人は、一生懸命がんばって、漫画家になったり、論客になったり、歌手になったり、いろんなことにチャレンジして、おもしろい。
でも、やっぱりムリがきて、酒乱になったり、ウツになったり、膠原病になったりして、しんどそう。
父も母も、まじめだし、子供のために精神科医にもつれていってるのに、発達障害であることが発見されなかったというのは驚く。
星野は治療薬コンサータ(成分名メチルフェニデート)を大プッシュしてる。
コンサータは中枢神経系を活性化する。
副作用としては、不眠、食欲不振。チック症状、神経過敏、頭痛、ごくれまに痙攣。
双極性障害を誘発する可能性がある、とのこと。これは恐い。
精神科医は「アメリカでは」とか「欧米の臨床医の間では」とかが多いね。
「DSM-Ⅴによれば」とか。
この本読むまで、さかもと未明って知らなかったけど、こういう人がいて、病気なんだけどがんばってる姿をみると、励まされるよ。
気分が上向いてきた。
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この方がどういう方なのか存じはしないが、文章を読む限りは頭の回転がいいようだ。普通の人がアスペルガーの人を知るのにはよさそう。
でももし貴女がフラッシュバックとトラウマを持ってるのであればこの本は棚に戻すのをオススメする。
トラウマを思い出させるので辛い。忘れる事が出来ないからね。
読んでてずっとcrybabyみたいな人だな、と思ってた。
私はこの人ほど劇的な人生も辛さもおくってはいないが、この方が人に愛されたいと熱望するのが不思議だった。
そういうのはどこか本の中の約束事で、現実に思ってる人が本当にいるとは思ってなかった。
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思春期の家族の理解の無さに胸が塞ぐ。親に認められたいとの執着。壮絶な家庭環境だったのに。そして劇的な人生と虚無。
だけど、発達障害がわかり、今の作者の心持ち…本当に良かった。変われるんだ。冷静に過去を振り返るまでに。今を感謝出来るまでに。これからに夢を繋ぐまでに。
病気を理解した所から始まったのかな。
程度は色々なのだろうけど、発達障害が、ユニークな子として皆に認知されれば、遺伝を認める親も増えそう。
でも、これは作者の視点からだけのヒストリーなので、親や兄弟から見た作者はどうなのか、聞いてみたい。
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一気読み。
誰も悪くないのに、
想像を苦しさ、寂しさから
逃れられなかった彼女。
壊れて当然だよね。
これからうんと
幸せになれるといいね。
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「困った人」と呼ばれつづけて ―
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80948-9
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さかもとさんの実体験とリンクして書かれてあり、とても具体的でした。面白かったです。
発達障害は治る‥‥と、星野先生は書かれていましたが、それは風邪などの病気が治るのとは違う、自身の向き合い方や周囲の関わり合い方を調整する?と言ったような意味合いかもしれません。
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回想が辛かったなあ…。でも筆者が今救われているみたいなので良かった。病気に合った医師に出会えるというのは幸せである。
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悲しき深い自伝と星野Drによる毒親にも通じる解説。困った時何が何でも血縁探そうとしてしまうが、それはそれで家族内に軋轢を押し込む時がある実感が少し説明できそうな気がする。その方を「困った人」としてしか見れていない方には読んでほしい一冊。
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さかもと未明さんのエピソードとそれに関して星野仁彦先生の医学的な見解が交互に出てきて興味深く読みました。
発達障害の本7冊目で、この時期にちょうど良かったです。
最後の『取り戻せない時間、後戻りできない記憶』が未明さんが1番伝えたかった部分なんだとよく分かりました。