紙の本
夜の読書向け
2015/05/31 00:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒロユキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の方はわかりませんが、私の中で連城三紀彦=短編という公式が出来上がっておりまして、それはおそらく、かの名作『戻り川心中』を読んで以来の認識だと思います。
で、本作も流石と唸らされる作品が数多く収録されており、特にオススメするとすれば表題作か『代役』になると思います。
しかし、全体的にトーンの暗い作品が多く、通勤前やお昼時などに読むと話によってはテンションの低~い1日を過ごすはめになるかもしれません。
紙の本
良作揃いですが、
2015/09/18 02:28
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
連城三紀彦さんが1980年代に発表した作品の中からミステリ作品を9編集めた短編集です。言い回しがやや古いところが少し気になりましたが、古き良きサスペンスミステリらしく、人情を強く感じさせる作品が多かったです。
情を感じさせるだけでなくトリックも巧妙であるという点では表題作の他に、「奇妙な依頼」「ベイ・シティに死す」なども引けを取りません。
ただ一つどうしても解せないのはなぜ最後の作品が「ひらかれた闇」なのでしょうか。良作揃いの本作の中で若干浮いているように感じました。
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エグみの残る短編集
2015/04/30 08:41
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投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんでん返しの短編集。
しかし、すっきり爽やかなどんでん返しではなく、のど元に少しエグみの残るような短編集です。
目新しさはないものの、まずまず面白かったです。
ただ残念なのが、最終話「ひらかれた闇」。
最終話は本の「締め」です、なぜこのイマイチ作品を最終話に持ってきた?
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どの話も最後にどんでん返しが控えていて面白い。ただ、後半から徐々に飽きてきてしまった。
表題作の「夜よ鼠たちのために」が1番好みだった。
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初・連城三紀彦。
語り口のウェットさと意外な結末のキレ、この二つを兼ね備えた人は世界でも珍しいと思う。
なかなかの水準。
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絶賛されていたので買ってしまったが、どうも気持ちが入り込めなかった。話の作りはすごく丁寧でしっかりしているとは思うのだが。
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『このミステリーがすごい!2014年版』
「復刊希望!幻の名作ベストテン」第1位
意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの決定版
「絶対に読み逃してはならない傑作短編集」――綾辻行人
長らく入手不可能だった本作品集だが、このミスの復刊リクエスト企画で1位獲得もあり宝島社文庫での刊行となった模様。
ずっと表題作が気になっていた。その読み応えも十分で、他傑作ぞろいではあると思う。
ただ後半2篇は自分の好みに合わなかったように感じた。
■二つの顔
■過去からの声
■化石の鍵
■奇妙な依頼
■夜よ鼠たちのために
■二重生活
■代役
■ベイ・シティに死す
■ひらかれた闇
を収録。どの作品にも一筋縄ではいかない展開を見せ、予想通りにいくものは非常に少ないのではないか。
表題作などは仕掛けのようなものは浮かぶが、どう料理するかが腕どころだ。著者は超一流の料理人でもある。
ミステリ :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆
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個人的に短編集はあまり好きではないんだけど、表題作については☆5。構成、描写などの巧妙さ、結末の鮮やかさは何から何まで完璧だった。読み終わった後、心地よい爽快感を覚える叙述トリックモノ。
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復刊希望リストのトップにランクされたテクニック重視の短編集。
1本の糸に見えて実は2本だった。2本の糸が最後に1本に。2本の糸が縺れて区別できなくなる。そんな感じ。
こういうのが好きな人にはたまらないのでしょうが、私には当分必要なさそうです。
9編の中では登場人物に感情移入できる「ベイ・シティに死す」が一番お気に入り。
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久しぶりに連城三紀彦さんを読みました。このトリッキーなのに情緒や情念の濃いところが連城さんらしい。短編なのに本当に濃厚です。
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名作選だなぁ、どれも切れ味バツグンだ。
最初の「二つの顔」は似ている死体とは少し無理がありそうでイマイチであるが、なかなかにスリリング。既読の気がするけど。
既読の「過去からの声」は再読してもすばらしい。一人称で語られる衝撃の真実に感心。
「化石の鍵」は鍵がキーのお話。ただし父親の感情が希薄で少し薄っぺらい感じが残るな。
どんでん返しシリーズが続く「奇妙な依頼」も楽しい。
表題作「夜よ鼠たちのために」も多少アクロバティックだが、医者の隠蔽工作が度肝を抜く感じかな。叙述トリックといえばそうなんだが、なかなかに練られた傑作。
「二重生活」のどんでん返しも素晴らしい。多少ドロドロ感が先行して読む気になれないんだが、オチはなるほど素晴らしい。
「代役」はもてすぎる男が気に食わないが、そうくるか!という爽快感とどうしようもないエンディングが映画のようだ。
ハードボイルドっぽい「ベイ・シティに死す」のどんでん返しは意表を突く。なかなかに複雑な心境が描かれており、ミステリープラスαだなぁ。
最終「ひらかれた闇」はトリックとか設定よりも、Why が驚愕。でも子どもの発想ってそうなんだよなぁ。わかるなぁ。これ印象的だ。
どんでん返しが楽しみなら、間違いなく傑作集だ。楽しかった。読書が少し遠ざかってきたけら、復活にはちょうどよい短編集だ。
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全九作からなる短編集。各々の主人公(と便宜上表す)達の心情、また彼らと深く関わりのある人物の背景が織り成す物語は一見の価値アリ。
個人的オススメは『過去からの声』『夜よ鼠たちのために』『代役』
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ミステリ短編集。復刊のようですが。これはまさしく復刊するべきでした! それしかない! というくらい粒ぞろいです。どの作品を読んでも翻弄されっぱなしでした。
お気に入りは表題作「夜よ鼠たちのために」。完全に騙されました。描かれる犯人の心情もなんとも感慨深くて、印象的。
「二重生活」にもやられたなあ。トリックもさながら、入り組んで絡まりあった人間関係のどろどろもとにかく深くて凄い……!
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いやぁ~、ホンマ生きているうちに読めて良かったぁぁ~(笑)
聞きしに勝る傑作とはこのこと!
( kwosaさんご紹介ありがとうー!)
信じ込まされていた物語の構図を一気に反転する、
切れ味鋭いドンデン返しの数々に
何度ページをめくる手が震えたことか…。
(しかも反転に次ぐ反転の嵐やし!)
本書は長らく復刊が待たれていた、
先の読めない展開と意外な真相が胸を打つ
9編からなるサスペンス・ミステリーの短編集です。
恥ずかしながら著者の連城さんに関しては
直木賞を受賞した『恋文』のイメージから
純文学を書く作家だと勝手に思い込んでいたけど、
ミステリーの大御所でもあられたんですね(汗)
収録されている短編はすべて
切れ味鮮やかな傑作揃いだけど、
中でも僕が惹かれたのは、
わずか二年で退職し郷里に帰った
元刑事が語る
一年前の誘拐事件の驚愕の真相とは…
『過去からの声』、
夫婦双方から別々に浮気調査の依頼を受けた探偵が巻き込まれた
殺人事件。
何度となく反転するストーリーに悶絶しまくった(笑)
『奇妙な依頼』、
唯一の心の友であった鼠を無惨に殺された孤独な男の復讐劇を
壮絶技巧で描いた哀切極まる傑作
『夜よ鼠たちのために』、
妻の殺害を企む人気俳優。自分とそっくりの男でアリバイを偽装した完全犯罪の行方は…。
漫画「ドラえもん」で影がのび太を乗っ取るエピソードを彷彿とさせる驚きの展開に指は震え、
しばし放心状態にさせられた(汗)
『代役』、
可愛がっていた弟分と愛する女の共謀により
刑務所に入れられた男の悲しき復讐劇を
ハードボイルドの香り高く描いた
傑作!
『ベイ・シティに死す』、
かな~。
冒頭でも述べたように
とにかく次から次へと飛び出す超絶技巧のオンパレードに
もうひれ伏すしかないんやけど(笑)、
丹念に丹念に積み重ねていく登場人物たちの心理描写と
人間の業の深さや哀しみを描いた
流麗にしてメランコリックな文章は
ミステリーとしての驚きを越えるほどに、
読み終わった後に深い余韻をもたらせてくれる。
( また限界まで贅肉を削ぎ落とした文体もスゴいし、だからこそ読者を選ばない「読みやすさ」が生まれるのです)。
しかもすべての短編が
それぞれ違ったテイストでいて長編並みの密度を持ち、
尚且つこの完成度を保っているのは
もうコレは奇跡に等しいでしょ~(笑)
なお、本書は『このミステリーがすごい!2014年度版』の
「復刊希望!幻の名作ベストテン」の第1位に選出されています。
ミステリー好きなら
絶対に狂喜乱舞する作品だし、
読みやすくテンポのいい文体なので
ミステリー初心者や
意外なドンデン返しのある物語をお探しのアナタにも
強く強くオススメします。
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短編集。
良質な物語に読者を引き込んで惑わせてくれる良作ばかり。
どれも自分の認識をひっくり返される驚きと、人々の心の奥底を覗いたような衝撃があります。
もっと堅いお話かと思っていましたが、意外とアイディアに富んだドラマティックな作品が多かったです。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【二つの顔】画家の男が妻に向ける想いがなんとも歪んでいておもしろい。男が描いた妻の絵が、その歪みを体現したかのように事件の不気味なキーアイテムとなっています。
妻を殺害し庭に埋めたはずのなに、直後に妻の死体が自宅から遠く離れた新宿のホテルの一室で発見されるという不可解な謎。
謎を解き明かすミステリーというよりは、男の精神崩壊を目の当たりにするようなホラー。
と思っていたら、別方向から意外な真相が明かされます。
芸術家で非凡な画家の謎めいた世界に、実に世俗的な事情が絡まるギャップがおもしろいと思いました。
【過去からの声】これは新しい誘拐事件。リアルタイムではなく、回想であるが故に当事者たちのリアクションが見えないというのが想像を掻き立てられます。後から考えると意味深なシーンというのはミステリではよくあるものですが、登場人物たちの切羽詰まった必死の姿も読み終わってから込み上げるものがありました。
【化石の鍵】家政婦は見た、ならぬ大家は見た。鍵の取替えというひとつの出来事にあらゆる思惑が絡んで、非常に嫌な真実が炙りだされました。最後は一応丸く収まったようで良かった……のか?
この大家のおばさんと一人息子のシビアなやり取りもおもしろい。
【奇妙な依頼】次々と変化する展開に、読者も探偵と一緒に振り回されます。探偵のプライベートまでが、依頼人夫婦に関係して奇妙な依頼の冒頭につながるラストが上手い。
ちょっと粗雑でクールな探偵と、ドライな人間関係の事件が良い雰囲気です。
【夜よ鼠たちのために】鼠だけを友とした孤独な少年時代のエピソードがなんとも切ない。そんな孤独や想いをひきずったまま大人になった男の深淵を覗いたような、心に響く作品。
「医師への復讐」という事から、勝手に医療ミスによる死亡などと想像するのですが、まだ生きている人物の為の復讐という思わぬ事実に驚くとともに、医師たちの非道ぶりに衝撃が走ります。
身代わりを用意したことにも、単に罪を逃れるためだけではなく、愛する人を失う事とかつての鼠をだぶらせて二重で復讐するという構成が凄い。
とても印象深い作品でした。
【二重生活】「愛人」という世間一般のイメージを逆手にとった1編です。
加害者としての殺害方法を提案しておきながら、それがそのまま偽装自殺の仕掛けになっているのが上手。
【代役】有名俳優とそっくりな粗野な男。この二人の類似とギャップがひっくり返るラストが素晴らしい。
「自分に似ている」ではなく「自分が似ていた」という意識の違いで炙りだされた真相にゾワッとします。
とにかく彼にとっては酷い話です。俳優としては成功したけど。
【ベイ・シティに死す】映画を観ているような情緒あふれる一編。そっと口紅を取り出すところなんか良いですね。
やくざの男たちが義理と人情と裏切りのドラマを演じている横で、女が一人過去を引きずり真意を隠しているのが不気味です。
二発の銃弾による錯誤の事件は、最初の争いで死んだ可能性が有耶無耶にされててそこはちょっと気になりました。どちらの弾が致命傷だったかは調べれば分かるはずでしょうし。
【開かれた闇】生徒からすれば先生の年齢なんて関係なくみんな「大人」なんだよなぁ。
若い女教師ならではの着眼点という気がします。
彼女のやけっぱちなセリフなんかは面白かったです。
時代を感じさせる作品は他にもありましたが、これはちょっと馴染めませんでした。
暗闇で歌って踊るシーンなんか、切ないんだか奇妙なんだか戸惑ってしまう。