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人生の全てが詰まっている物語。
ー Le plus important est invisible.
ー Anything essential is invisible to the eyes.
ー 一番大切なことは目に見えない。
星間に住む者たちも、地球の人間たちも、蛇もキツネも庭園の花たちも、パイロットの「私」も、一輪の薔薇も、そして王子さまも。
全ての登場人物に共通しているのは、「孤独」。
みながそれぞれ、ぎゅっと寂しくなる台詞を言う。
ひとりひとりが存在している以上、「孤独」が始まりなのであって、またそれが終わりである。
それを出来る限り乗り越えてくれるものが、毎日4時の待ち合わせであり、井戸から汲み上げた一杯の水であり、金色の髪と同じ色をした麦畑であり、星に帰る王子さまをひとりで蛇の元へ行かせなかった私であり、私が蛇に噛まれないか最後まで心配していた王子さまであり、4本の棘だけで世界から自分の身を守っている薔薇であって、薔薇に残った王子さまの後悔である。
羊が薔薇を食べたか、食べなかったか。
人生を知る者は、そういうことこそが大事なことを知っていて、そのほとんどが子どもなのである。