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この本の著者である「ひろさちや」氏は宗教家で、私が今までその著作を何冊か好んで読んできた人です。彼は言いにくかった超高齢化社会の原因を明らかにしています、乳児死亡率が低くなったからと、子供が生まれなくなったから(P63)で、老人が長生きしたからではないということです。
また、高齢者は本来どうあるべきかについてもこの本で述べています。いつまでも現役で頑張るのではなく、時期を見極めて後輩や次世代の人間に上手に橋渡しするのが、大事な役目なのかもしれませんね。
この本を読んで、今後の人生をどう設計していくか考えさせられました。
以下は気になったポイントです。
・企業内にいるときは肩書きで権力を発揮していたが、退職して肩書きがなくなると、お客様・消費者といった権力を発揮するより他なくなる(P32)
・ハチやアリは、若いうちは巣にいて幼虫・子供の世話をする、年を取ると、巣の維持にかかわる仕事をし、最後は巣の外へ餌を取りに行く仕事をする。年寄は余命が少ないので死んでも損失が少ないという考え方(P37)
・老人の存在意義とは、若者たちに対して、若者が持っていない知恵を与えること。自分の娘にさまざまな生活の知恵を授け、孫の世話をするのが役目(P40、47)
・おばあさん、がいる哺乳類の動物は珍しい、家畜化された動物や動物園で飼われている動物は異なる、ヒト以外の野生の哺乳類は閉経期を迎えたらすぐに死んでしまう(P45)
・あんまり頑張って働いてはダメ、体を壊したらおしまいだから、と言えるのは老人だけ。老人からそう教わった父母は、ゆったりとした気持ちでわが子に接することができる(P54)
・敗戦直後の1947年の時点で男の平均寿命は50年、それが65年に80年になったので驚くべき延びである(P59)
・幼児死亡率が低くなった理由として、医学の貢献以外に、育児環境の改善がある、生まれた子供に十分な栄養を与えて衛生環境をよくすると死亡率が下がる(P61)
・赤ん坊が少なくなったから、日本の社会が高齢化した(P63)
・熱というものは、ウィルスを弱らすために、ウィルスに対抗するために人間の体が発するもの、解熱剤で熱を下げるとウィルスを勢いづけてしまう(P71)
・医者の仕事は、本来は、この人は助かるか、助からないかを判断することである(P74)
・本来は、延命治療はすべきでない、人間はいただいた寿命だけを生きればよい、寿命が尽きたら安らかに死なせてあげなさい、というべき(P84)
・前立腺肥大症は病気より老化現象、老年性認知症、変形性関節炎、白内障は以前は老人病と呼ばれていた。老、病、死はワンセットである(P103)
・第二次世界大戦において、交戦相手の米英では、部隊の兵員の4分の1が戦死すれば、投降していなければならない。それでも投降しない場合、指揮官は軍法会議にかけられる(P105)
・癌は自分の体内にある細胞が癌化するのであって、外部から癌が侵入するわけではない(P108���
・勝とうと思って打ってはいけない、負けないようにしようと思って手を打つべきである。どの手が早くに負けると思案して、その最悪の手を使わずに遅く負けるほうの手を選ぶべき(P110)
・苦、というサンスクリット語の原語の意味は、思うがままにならない、である(P111)
・病気と仲良く付き合う、というのが本来の医学の根本思想である(P117)
・本当に美しい老人は、枯れ木のごとくに生きている人である。そういう生き方をするには、老人らしい知恵が必要である(P129)
・認知症の諸悪の根源は、戦後の自由民主党が、長子相続制を廃止して分割相続制にしたこと。その結果、大家族制が壊れて核家族化になったことにある(P130)
・現在の老人がずるいのは、自分も認知症になるかもしれないのだから、元気なあいだに老人の世話をしておこうといった精神のないこと(P133)
・人間は60兆個の細胞で構成されており、その2%が毎日、一方で死に一方で再生している。すなわち1.2兆個の細胞が毎日再生している。その再生細胞において欠陥細胞が生まれる、すぐに死ぬがどうしても生き残ってしまうのが癌細胞である(P150)
・人間の生き方として、イソップでは、人間→馬→牛→犬、グリムによると、人間→ろば→犬→サル、である。人間が人間らしい生き方ができるのはせいぜい40年程度(P160)
・労働の意味を表す英語として、WORKとは精神的な喜びも得られるもの、LABORはそれが殆ど無いもの、芸術家の労働はPLAYである(P165)
・のんびり、ゆったり、ほどほど、に生きることができるのが最大の幸福、その反対に、あくせく、いらいら、がつがつ、が不幸な生き方(P166)
・数千万円くらいの財産が、かえって遺族の間でもめ事を生じる、生きている間に子供と一緒に美味しいものでも食べたほうが幸せ(P173)
・老人に対するアドバイスは、「あきらめなさい」である、断念ではなく、明らかにする、である(P180)
・老人は老人になれたことだけを感謝すればよい、あとは少々の不便を我慢すべき、そういう生き方が老人を真に幸福にする(P184)
・学校の成績なんてどうだっていいことが老人なれば分かってくる、そして自分が学んだ「神の国の言葉」「お浄土の言葉」(なんだっていい、どちらでもいい等)を、子供や孫たちに語って聞かせるのが老人の大事な仕事である(P195)
・お浄土へ持っていくお土産は、お浄土にない「苦しみ・悩み」の思い出である、私たちがこの世で苦しんだ思い出こそが、お浄土においては美しい思い出になる(P200)
2014年12月23日作成