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「ファスト風土化する日本」でおなじみ、三浦さんの本を読む。現代の人の風景に関する感覚を指し示すために、「アトム的」:最新技術への信頼に基づく未来的な社会像・風景観、「ジブリ的」:自然への畏敬に基づく近代以前の社会像・風景観、「パンク的」:映画ブレード・ランナーにあるような、サイバーパンク、すなわち近代合理主義と文明のクズとが共存するカオスな状態の共存、この三つを示唆している。パンク的はちょっと難しいのだけど、文中の言葉を少し乱暴的に使うと、六本木ヒルズと、渋谷や新宿の飲み屋の横町か。品川にも同じような状況がある。
主張を読み解くと、高度成長期時代にはアトム的を思考し、環境が重要になってきて、ジブリ的な世界に望郷の念を抱き、今はパンク的な世界にも、理解を示すようになっていると。まちがどういう影響を与えるか考えるべきであるデベロッパーは、視野を広げる感覚で読んだ方が良い。
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2016年6月6日読了。新東京国立競技場をめぐり沸騰する議論を背景に書かれた本。日本人の景観に対する意識には「アトム的/ジブリ的」な価値観のせめぎ合いがあるとして、「アトム的=未来的=ザハデザイン」を否定してより「日本人の感性に合う」建築を目指すべき、と指摘する本。先に読んだ「東京は郊外から消えていく」ではデータ分析から見える傾向・結論を語っていたが、こちらは随分と感情的・感傷的に著者の思い出や思いが熱く語られる。アトム/ジブリという切り口など面白いとは思うが、「君の話はどこまで事実に即しているの?その説で本当に人を納得させられるの?」という疑問もわく。思いの強さとデータ、主張をするには両方が必要だな。
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三浦展さんは、キャッチーなキーワードで俗な社会学を展開する人というイメージで、いろいろな人や階層にレッテル貼りするイメージがあったが、本書は真面目な建築、都市論である。
ザハ ハディド氏の宇宙ステーションみたいな国立競技場案に、大、大、反対する。 いつ書かれた本なのかと思ったら、2014年。その後撤回、日本人による落ち着きのあるデザインで竣工したので、良かったね。
三浦氏の言う、自然や土地柄に屹立するような建築(安藤忠雄含む)、幾何学的で、無機的な建築は、埋め立て地のような、まっさらな所に似合うと言う意見に賛成。
神宮のような古い東京の入り組んだ場所で、神道や皇室とゆかりの深い場所に、異教的な建築は似つかわしくないという意見にも賛成。
ザハ案は、神の摂理で廃されたんだねきっと。
ザハ案を推した安藤氏や森氏のセンスのなさが際立ってたね。