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ポスドクの憐れな境遇はわかっていたが、そもそも、そういう生き方しかできない人たちだという解釈は新鮮ではあるが、少々、ステレオタイプ的な感があるが、多少はわかる世界なので、共感できる部分は多い。
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高殿さんはなんというか、一筋縄ではいかない話運びが好きなのかなぁ。読み終えた後のスッキリ感は有川さんと同じなんだけど、中に込められた隠し味の違いか、はたまたエンディングのしめかたの違いか。両方なのか。
話としては文系大学院ってそうだよね、甘くないって知ってる。という実感と誉君への愛しか言うことはない。
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大学の非常勤講師の職業生活と私生活の両面を描いたフィクション。職業生活については大学の非常勤講師ならではの苦労と悩み、人間関係、将来への不安が詳細に描かれており、助教や助手、講師、教授の立場関係や学閥、企業や官公庁の要求と学術的専門分野の調整など、職業としての大学生活が細かく描写され、非常にイメージしやすくなっている。この本を自分が大学生の時代に読んでいたら、もっと教授や講師に関心が出たかな…と思う。と同時に、現在大学に残ってその道を歩んでいる同窓の身を案ぜずにはいられない。
私生活の方の描写にも様々な展開があり、時に現れる示唆に富んだ会話が、ストーリーを複層的に魅力的なものにしていると感じた。
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トッカンの高殿さんの新刊。京大博士で立ち回りに失敗し学閥からはぐれて非常勤で這いずり回るお話。お仕事小説から一歩ずれて、アカデミズム界隈らしい悲惨さと自虐を多分にまぶした感じ。ただの大人向けラノベ的なお仕事小説よりも癖があって好きだけど、これが果たして人気が出るのだろうか。
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“象牙の塔”の生き馬の目を抜くような出世争い。せっかくK大学院卒の学歴がありながらも出世コースを外れ、非常勤講師としてわずかばかりの収入に頼らざるを得ない主人公・瓶子。非常勤講師の不安定さの描写は少々クドい印象でしたが、一方、同居する羽目になった小学生の甥・誉との私生活のほうは、誉がデキ過ぎの良い子のせいもあって楽しかったです。なかなか芽の出ない瓶子先生には、このまま負け戦ばかりなのか?と不安でじれったくも有りましたが、最後は一皮向けたようでホッとしました。結構、薬膳先生好きだなww
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大学の世界を仕事としている人達のstory.
大学の世界は閉鎖的で、身分制度が確立していて息苦しい様な感じさえする。
抜け出したくても民間では生きていけず、その底なし沼の様な世界で競い合いながら下僕として生きていく。
そんな非常勤講師に同情しながら「這い上がれ!甥っ子のためにも!」と応援する気持ちになる。
将来は明るいのかどうなのか先が気になる。
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小5の甥っ子と同居中の私大非常勤講師29歳が正規雇用を目指しながら子育てに孤軍奮闘する物語。象牙の塔の内部はまったくわからないのでリアリティの程は判断できないのですが、その設定が「テンペスタ -天然がぶり寄り娘と正義の七日間-」とかぶりすぎてなんだかなぁ・・・
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カバーを掛けて読んでいて「下僕」を「げぼく」だと思っていたら「しもべ」だった~30歳の瓶子貴宣は関西名門大を出て宗教風俗関係の史学部門の研究で博士号も持っているが,直属のボスが放逐されて,今は女子大で非常勤講師の職を得ているが月収は10万強,おまけに姉が放り出した子・誉がいるワーキングプアだ。中華料理店の二階のボロアパートに住んでいるが小5の誉が家事万端を熟し,優等生でもあるのが救いとなっている。年度替わりで持ち駒を減らされそうな勢いの所,大ボスの一人・大和教授の子飼いの講師がマル号の下僕に嫌気がさし相談してきたため,奈良の大学に移る手を教授したため,コマ数は一つ減っただけに留まった。彼が持っていたCGの講座をアメリカ帰りの川手千尋というこの学校のエコ科1期卒業に取られたのだ。大和教授の研究を手伝っていた50代の巡間教授がくも膜下で急死し,大和教授は常勤講師の道を仄めかしながらその研究を引き継ぐように貴宣に迫った。貴宣は,大家から遼寧省の成金が大阪圏にマンションを造って一族で移住する計画の手伝いを求められたが,それは後回しだ。その研究成果を浚う手伝いは,ライバルの川手が指名されたが,思っていたほどのワルではない。むしろ好感を持てる。研究は老人ホームの壁紙の色。忙しい中,誉の母・貴宣の姉・しずるが現れて,誉を引き取るという。沖縄出張中に,誉はアパートを出て,母の許に行ったのは,小学校での苛めも絡んでいるらしい。貴宣は体調を崩しながら,論文を完成させ,発表原稿も完成させたが,その原稿はバックアップも取らず,別のファイルをその名で上書きしてしまった。必死に復元するが,さらに体調は悪化し,インフルエンザから肺炎となり,学会での発表も川手に代役をしてもらって凌いだ。薬膳という次の准教授を狙うライバルが,問題の研究室に出入りする専任講師・堀内の動画を見せられ,復讐を誓う。さらに,誉を取り戻し,日本における中国富裕層向け住宅のパッケージングを大和教授に売り込む~大学の先生の社会は大変だぁ…小中も大変で,幼保も大変で,高校は楽だよなぁ…と云えるのは残り数年!…なんてことになったら大変だけど(意味不明?)。前半は停滞していたと思う
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学歴最高、収入最低、おまけに小5養育中の、29歳私大非常勤講師(ワーキングプア)。俺には、大学で生き残るしか道はない! マル合――それは、論文指導ができる教員。関西最難関のK大で出世ルートを歩むはずだった俺は、学内派閥を読み間違え私大に就職。少ない月収を死守しながら、姉が育児放棄した甥っ子も養っている。そんなある日、大切な授業を奪いかねない強力なライバル出現との情報が……。象牙の塔に住まう非正規雇用男子の痛快お仕事小説。
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関西で最難関のK大で博士号を取り、順調に社会人生活を滑り出した瓶子貴宣(へいしたかのぶ)だったが、派閥争いを読み違えたのをきっかけに、月収12万のワーキングプアに成り果てる。それでもやりたい研究、書きたい論文は山のようにあり、意に染まなくてもマル合(論文指導ができる教授)の軍門に下り、正規職員の座を手に入れるべきかどうか煩悶する。そんな折、素行不良の姉の息子・誉がぼろアパートのドアの前に置き去りにされ、否応なく二人暮らしが始まる。学歴や研究に自信はあるものの、上手く歯車がかみ合わず自らを卑下する貴宣だが、できのいい甥の誉れを初めとして、結構周りには恵まれているように思える。そしてなにより、やられたら頭脳を駆使してやり返す逞しさが好ましい。これから先もおそらく順風満帆とはいかない気がするが、めげずにその道を進んで行ってほしいと、応援したくなる一冊である。
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坂木司氏のホリデーシリーズに似てるなあと思うのは私だけでしょうか??
主人公の性格がホリデーシリーズに比べてしつこい気はするけど(笑)
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『上流階級』がとても面白かったので読んでみました。
関西の最難関K大を卒業するも、
出世ルートを踏み外し月収10万そこそこの非常勤講師に甘んじている貴宣。
成績優秀、家事も完璧にこなすスーパー小学生な甥っ子誉。
坂木司さんのホリデーシリーズが大好きな私にとってはたまらない展開です。
この誉くん、母親のネグレクトで苦労しているのに
ちっともひねくれたとこがなくて本当にいい子でね、
どうしようもない母親しずると貴宣の間でぎりぎりの選択をする場面で
「お母さんを褒めたい」なんて言えちゃうけなげな子。
”互いが互いを選んだわけではない結びつきのなんと濃く断ちがたいことか”
という文章にぐっときました。
この貴宣も自分でいうほど執念深いとか性格悪いとか思えず。
(仕返しはネチネチしてましたけどね)
自分の好きな道で食べていける人なんてほんの少数。
最後はなんとかなりそうで、ほんとに良かったです。
誉くんのためにもがんばれ!貴宣。
何かにつけからんでくる薬膳。
いい味出してて結構好きです♪
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一生懸命姑息に小狡く立ち回るが、根っこのところのお人好しが邪魔をして、間抜けた結果に終わるどこか憎めない非常勤講師。母親から置き去りにされ転がり込んできた甥っ子、タフでしっかりした誉くんの存在が出来過ぎで、ついつい瓶子先生を応援してしまう。
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大学の先生のお仕事小説。非常勤講師の貴宣は甥っ子の誉と二人暮らし。なのに月収は10万8千円。専任講師になるために必要なのは学歴ではなく金とコネ。どちらもない貴宣は、「積極的に長いものに巻かれに」いく。大学の先生たちが思いの外ドロドロしていることにびっくり。貴宣は仕返しにも頭を使う。「一瞬のスッキリより一生の得」なるほどー!ととても納得した。最後、牛肉に感動する誉のセリフには笑ってしまった。
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おもしろかったー!!
他人を陥れて自分が得したいって思うのって、すごく嫌で気にしていたけど、ここにもいた!!
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研究者はマル合の下僕じゃない。
ただ、いつだって悲しいほど、学問の下僕だ。
という、一文が沁みる。
高学歴で自信も実力もあるのに大学内の派閥的なあれやこれやで出世出来ずワーキングプアな非常勤講師の主人公
転がり込んできた小学生の甥っ子も抱えることになり、何とか収入を増やそうと画策するも結果的に厄介ごとばかり背負い込んでしまう。
決してお人好しでも性格が良いわけでもない主人公ですが、その正直さに魅力がありました。甥っ子は勉強も運動も出来て、家事も完璧、気遣いもあるというスーパー小学生。でもところどころに見せる弱い部分が切ない。
最初主人公が敵対視していた助手の川手。彼女の側の事情もなかなか上手く描けていたと思う。
説教臭くなりそうな一歩手前で心に残ったセリフが多々あった。
主人公のことを気に入り、色々手助けを申し出るもいつも邪険にされる薬膳がちょっと中途半端な存在だったかなぁ
続編、なさそうだけど 出るなら読みたいなぁ!