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我々は海外の書を読むだけでなく、海外で暮らすところから生まれる文学を得た。それがなぜかくも豊饒な作品に結実したのか。
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エッセイと小説の違いを厳密にはよくわかっていなかった。前者は真実であり、後者は創作なのだそうだ。本書に収められているのはすべてエッセイであり、筆者は生涯小説を書かなかったという。それにしても、すべてが真実であるならば、何と楽しい人生であったことか。勿論、両親から猛反対された結婚や、その夫に先立たれたことは、さりげなく表現されているものの、大変つらい出来事であったと想像する。それでも本作の多くには、たくさんの友人たちと過ごした人生の楽しさにあふれている。筆者の愛するサバの詩がもっともそのことを象徴しているだろう。「人生とは、生きることの苦しみを癒してくれるものである」
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戦後間もないころに女性一人でイタリアで過ごした
著者のエッセー、小説。
ミラノや、トリエステなど
なんとなく行ってみたい海外の場所が増えたような気がします。
石畳の街並みや、古い教会、海、波止。なかなかみれない
景色を文体で表現されていて、そのような景色やイメージ
を感じることは面白いと思います。
『コルシカ書店の仲間たち』『ウンベルト・サバ』が
気に入りました。
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231115*読了
須賀敦子さんが好きだと感じた。
日本文学全集の中でも、一番感じ入ったように思う。
「コルシア書店の仲間たち」は2018年に単体で読んだことがあったけれど、改めて読むと、当時よりもすごくよかった。
5年前は気持ち的にも慌ただしく、須賀敦子さんの文章を味わう余裕がなかったのだろうか。
その時のブクログの感想も、そこ?みたいなことばっかり書いていて、自分自身の変化も感じる。
その時も、須賀敦子さんについてはいろんな作家さんが語っているのを目にして、そんなにすごい人?と、「コルシア書店の仲間たち」を読んでもその気持ちが拭えなかったのだけれど、今回で分かった。すごい人です、間違いない。
そのほかのエッセイもとてもよかった。
物語を書く人ではなく、エッセイや翻訳で輝く人だったのも、なんだかいい。
夫のペッピーノさんとの短い結婚生活、早くに夫を亡くした悲しみは計り知れないけれど、異国でこんなにも濃密な経験をし、そこで吸収したことをいきいきとした文章で読者に伝えてくれる須賀さん。
とてもすばらしい女性だと思う。