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三たびの海峡 改版 みんなのレビュー

文庫 第14回吉川英治文学新人賞 受賞作品

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みんなのレビュー54件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (17件)
  • 星 4 (24件)
  • 星 3 (9件)
  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)
50 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

生者が死者の遺志に思いを馳せている限り、歴史は歪まない。

2010/03/01 22:11

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る

河時根は第2次大戦中、朝鮮から強制連行され、九州の炭鉱に送られ、過酷な労働を強いられます。それは、想像に絶する非人間的なものだった。暴力と辱めを受けながら、食料もまともに与えられず、賃金もピンはねされる。そして、逃げれば監視の目とすさまじい暴力。働けば炭鉱事故の恐怖。こんな状態で彼らは、祖国に帰ることだけを希望として働いています。

連行された者は、改善を求めて、ストライキを決行します。そこで主人公が唄う、ただひとつの歌が‥。ここで泣いてしまうんです。
次から次に苦難が襲います。しかし、これは事実、日本が行ってきたことなんです。いや、もっとひどいことをしてきたのだと思います。
だから、この事実を決して忘れないため、作者はこの作品を残したとも。決して消し去らない歴史の事実。

「私たちは未来から学ぶことはできない。学ぶ材料は過去の歴史のなかにしかない。…自分に都合の良いように、粉飾した改変を加えた歴史からは、束の間のつじつま合わせしか生まれて来ない」
まさにそのとおりだと思います。

形はミステリーなので、これ以上は語ることができませんが、主人公を動かしているのは日本という国に対しての恨(ハン)。海峡を三たび渡る主人公。隣国との歴史的な考察からの関係や、戦争の本質、現在の日本を考える格好の作品です。
涙なくしては読めない傑作ですが、泣いてばかりはいられない事実がこの作品にはあります。

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紙の本

もつれた糸をほどいて真っ直ぐにしてくれるのが帚木蓬生だ

2001/10/13 09:00

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 帚木蓬生の作品を初めて読んだ。人気があるのは知っていたが何となく敬遠していた。なぜか?それは私らしい単純な理由からだった。まず「帚木蓬生」と書いてどう読むのかがわからなかった。「ははきぎほうせい」と読むらしい。
 名前が難しいので内容も難しいだろうというムチャクチャな判断で押し通してきた。反対に名前にひらがなやカタカナが入っている作家は作品の中にも難しい言葉は出てこないだろうと思っている節がある。帚木蓬生が仮に山田太郎であったなら、あるいはもっと早くに手に取ってみていたかもしれない。

 前置きが長くなったが、とにかく帚木蓬生を読んだ。
 読み始めるとほどなく私は帚木蓬生という難しい名前の作家が紡ぎ出す世界に魅了された。

 話は河時根(ハーシグン)という朝鮮人が釜山からフェリーに乗り、3度目の海峡越えで日本にやってくるところから始まる。彼の頭に1度目の海峡越えの事がありありと浮かんできて、ここで一気に時代は第二次世界大戦の頃へと半世紀ほど逆戻りする。
 河の1度目の海峡超えは日本人による強制連行であった。ある日突然、罪人でも連行するように着の身着のままで船に乗せられ、着いた先は九州にある炭鉱現場。そこで彼は地獄の日々を送ることになるのだ。
 主従の関係は、日本人と日本人に取り入った少数の朝鮮人からなる労務、対、強制連行されてきた朝鮮人の関係で、それはまるで専制君主と奴隷の関係に他ならない。
 食べ物もろくに与えられず穴倉での死と紙一重の重労働の中、多くの同胞達が死んでいく。拷問で殺されたり、気がふれたり、辱めに耐え切れずに自殺する者もいた。
 過酷な状況下、寸での危機を何度も乗り越えて生き抜く河の姿が描かれる。千鶴という日本人女性との恋もある。
 終戦と同時に故国に向けて2度目の海峡超えをする河。しかし、そこに待っていたのは幸せとはほど遠い現実。強制連行が彼の人生を歪めてしまったのだ。
 日本に背を向けて必死で生き抜いてきた河が、その老いた体を三度海峡に向かわせた理由は?

 現代と過去が行き来する手法で書かれた本書は、「これから何が起こるのか?」と「何があったのか?」の疑問が忙しく頭をよぎり息もつかずに一気に読まされた。過去と現代の点と点が一つになった時、私の目の前には黒々としたボタ山が現れ、背後からは朗々としたアリランが聞こえてくるような気がした。涙があふれてきて、まだ見ぬ景色が霞んでいった。

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紙の本

韓国ブームの今、必読の一冊

2001/08/25 19:16

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:フォックス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本と韓国の悲しい歴史を生きた主人公の冷静な現実把握が詠む者の心を捉えます。日本での強制労働のために海峡を渡った主人公の人生は、歴史のうねりの中で翻弄されます。
 強制労働のため収容されている鉱山での様子は、民族が他の民族を支配下に置く時の悲しい現実が浮き彫りにされます。そしてその締め付け方法や与える罰にも東洋的な暗さがにじみ出るものなのです。
 同じような顔をした東洋人が同じような顔をした東洋人を支配しようとした悲しい歴史の物語がここにはある。思わず涙せずにはいられないだろう。

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紙の本

水には流せない

2023/07/09 21:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る

すごい小説を読んでしまった、というのが率直な感想だ。
医師で作家の帚木蓬生さんが「日本人が書いておく義務がある」と、挑んだ一作だという。
「徴用」という名の強制連行で、朝鮮半島から筑豊の炭坑で過酷な労働を強いられた過去を持つ実業家・河時根を主人公に、日韓の歴史に切り込む長編小説。
時根のもとにある日届いた同胞からの手紙には、時根たちが苦難を刻んだ炭鉱のボタ山が市長の方針で撤去されると書かれていた。
一度目は「徴用」で日本へ、二度目は愛した日本女性と祖国へと海峡を渡った時根は、三たび海峡を渡って、封印していた「日本」の土を踏む―。というストーリー。

強制労働で牛馬のように扱われ、日本女性を連れて帰ると古里でも差別され、居場所はなかった。引き裂かれた妻は息子と共に日本へ。再婚した妻は従軍慰安婦だったという設定だ。
時根にとって日本は恨みこそあれ、戻りたくもない場所だった。
すべてを忘れるかのように必死で働き、釜山で財を成したのだ。

ボタ山を崩して企業誘致を進める市長に、時根は負の歴史を忘却し発展していく日本の姿を重ね、「歴史に対する厚顔」と断じる。「〈水に流す〉という表現は朝鮮語にもあるが、少なくともこれは害を被った側が発する言葉で、加害者は口にすべきではない」とも。
そんな言葉は、今の日韓関係、歴史認識にも通じる。1992年の作だが、さまざまに考えさせる一冊である。映画化もされているというから、いつか見てみたい。

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2005/02/03 15:03

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2005/02/05 00:01

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2007/02/26 23:55

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2008/02/24 22:15

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2008/10/26 19:05

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2010/05/23 23:36

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2010/06/10 13:14

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