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頭木弘樹"絶望名人カフカの人生論"
カフカの翻訳を手がける著者は、学生時代にカフカ全集を少しずつ買い集めるのを楽しみとしていたが、その文学作品とは異なる日記や手紙の類はスルー。
のちカネッティのカフカ書簡分析『もう一つの審判』を読み、カフカの手紙の面白さに気づくも時すでに遅し。当のカフカ全集はいまは古本でしか手に入らないという。
そこで著者は、本書をとりまとめ、いまや古本でしか手に入らないカフカの手紙や日記のエッセンスの紹介をこころみる。
○カフカほど絶望できる人は、まずいないのではないかと思います。カフカは絶望の名人なのです。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしません。しかし、だからこそ、私たちな彼の言葉に素直に耳を傾けることができます。成功者が上からものを言っているのではないのです。
○君は君の不幸の中で幸福なのだ。
(親友マックス・ブロートからの手紙)
○生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。
(断片)
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飛鳥新社から出た本の文庫版。中身のことに関しては大きいので触れたのであえて感想はなし。
大きい版と違いはあるのかな……表紙が前は黒かった。文庫版あとがきがある。山田太一さんの解説がある。それだけしかわからんです。
文庫版あとがきは小説がどんな感じで広まったとか、お世話になった人たち(?)のその後とかそんなのが書いてありましたね。有害図書て……どの辺が有害なんだろ……ユダヤ人だからっていう理由だけかな。
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人生論,というより断章的なカフカの文とその解説。絶望に効く,という触れ込みで,読んだところまさにそのとおりだった。(今回について言えば読み進めて晴れてきて,最後は押しつぶされたが(苦笑))。偉大な文学者のこの絶望の深さを示すばらばらの日記・手紙その他を集めて,ほぼ2頁見開きの形に編集してくれ,さらに文庫になっているありがたさ。意外にも私にとっては,これまでにも読んだことのある「父への手紙」が響いた。それまで父への手紙は他人事のように思えていたが,どうも思い当たる節が自分にも多々あるように思えてならない。
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わたしも大概ネガティブシンキングだと思ってたけど、もうカフカには全然敵わない。ネガティブも突き抜けて笑えて元気が出てくるレベルってすごい偉大。あとがきで紹介される14歳の少女のコメント、「一緒にどん底まで落ちてくれる友達」っていい表現だと思う。
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ネガティブやな。とてもいい。それでもこの解説者の言葉は何か刺さる。解説とはきっとそういうものなのだろう。
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なかなか、楽しめますが、どちらかというと参考になる言葉というより、カフカ自身の魅力あふれることばということを感じます。ですから人生訓になるわけではなく、カフカ好きになる可能性がある本ということになります。
人生論に絶望した!
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カフカの日記や手紙や雑記の中からこれでもかとネガティブな名言を連ねる作品。名言の後に編者の補足が小気味よくていい。
読み易くて他のカフカの作品を読みたくなるのじゃないだろうか。僕はそう思った。
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絶望というよりも、ネガティヴ人なりの処世術のように感じた。文章がうまいと、自分の絶望に酔いしれているように読まれてしまうのかな。
それとも人種的、年代的な重さ暗さを日本人向けに編集したのだろうか。
苦悩や辛さはそれを言葉にしてしまうと、どうしても重さが減ってしまう。
それともわたしの受け取り能力の問題なのかとおもったが、そもそもこういう本は、他人の悩みや絶望感ほど、笑ってしまうもの。だからあなたの悩みも大したことありませんよ、類の本なのだ。
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身体が弱く、仕事も嫌いで、両親との関係もうまくいかず、異性ともうまく交流できず、友人と交流しているよりは、一人で部屋にこもって文学に没頭していたい。だけど、生きていくためには、会社にいって仕事をし、部下ももって、いやいやながらも他人と交流していかなければならない。そんな絶望に近い悩みを抱えていたという文豪カフカ。本書はそんなカフカの生々しい姿を、日記や手紙をもとに紹介します。
世の中、前向き、ポジティブが賞賛され、成功者による人生論が高らかに語られます。それはそれでいいのでしょうけれど、なんだか違和感を感じている普通の私たち、も同時に存在するのでは。悲しいときには悲しみ、苦しいときにはグチをいい、絶望する時には一度、しっかり絶望することが、実はそこから立ち直る大きな力になったりする、かもしれない。そんなことを教えてくれる一冊です。
そういえば、映画「インサイドヘッド」でも、前向きポジティブだけじゃ、人生前に進めない。悲しむときにはしっかり悲しもう、というメッセージを投げかけていたことを思い出しました。
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いや、とても楽しく面白い本でした。
ネガティヴ、後ろ向き、ダークサイドに満ちたカフカのお言葉の数々。
「絶望名人」の二つ名の名付け親である編訳者の頭木弘樹さんには、大きな拍手を送り、握手を求めたいです。
拙いレビューをくどくど書くよりも、まずは、章立てと、特に心に残った言葉を引用させていただきます。
第一章 将来に絶望した!
第二章 世の中に絶望した!
第三章 自分の身体に絶望した!
第四章 自分の心の弱さに絶望した!
第五章 親に絶望した!
第六章 学校に絶望した!
第七章 仕事に絶望した!
第八章 夢に絶望した!
第九章 結婚に絶望した!
第十章 子供を作ることに絶望した!
第十一章 人づきあいに絶望した!
第十二章 真実に絶望した!
第十三章 食べることに絶望した!
第十四章 不眠に絶望した!
第十五章 病気に絶望・・・・・・していない!
将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
ーフェリーツェへの手紙
(本文34ページ)
ぼくは今、結核に助けを借りています。
たとえば子供が母親のスカートをつかむように、大きな支えを。
ーフェリーツェへの手紙
(本文232ページ)
ある意味、ネガティヴの極端まで振り切れてしまっている言葉たちは、ほとんどの人にとっての自分自身の感情よりもネガティヴなはずであり、なんか逆に「いやいや、そんなことないで…」とカフカを慰めようとしているうちに、自分は元気づけられてしまうような効果があると思われます。
ちょうど自分が怒ってる時に、もっと怒ってる人があらわれたら宥めてしまうように、あるいは泣きたい時に、すでに泣いてる人がいたら寄り添って声をかけてしまうように。
もし仮に、カフカと同等(極端なので超えはしませんが)のネガティヴな人がいたら、一緒に絶望に同意しながら、わかりあえる友と出会えたことの感動に打ち震えることができそうです。
ですので、これこそ万人受けする究極の本なのかも、と思わず考えてしまった、実にユニークな本なのでした。
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【51/10000】←修正しました!
頭木弘樹さん編訳の、「絶望名人カフカの人生論」を読了しました\(^o^)/
いや、とても楽しく面白い本でした。
ネガティヴ、後ろ向き、ダークサイドに満ちたカフカのお言葉の数々。
「絶望名人」の二つ名の名付け親である編訳者の頭木弘樹さんには、大きな拍手を送り、握手を求めたいです。
拙いレビューをくどくど書くよりも、まずは、章立てと、特に心に残った言葉を引用させていただきます。
第一章 将来に絶望した!
第二章 世の中に絶望した!
第三章 自分の身体に絶望した!
第四章 自分の心の弱さに絶望した!
第五章 親に絶望した!
第六章 学校に絶望した!
第七章 仕事に絶望した!
第八章 夢に絶望した!
第九章 結婚に絶望した!
第十章 子供を作ることに絶望した!
第十一章 人づきあいに絶望した!
第十二章 真実に絶望した!
第十三章 食べることに絶望した!
第十四章 不眠に絶望した!
第十五章 病気に絶望・・・・・・していない!
将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
ーフェリーツェへの手紙
(本文34ページ)
ぼくは今、結核に助けを借りています。
たとえば子供が母親のスカートをつかむように、大きな支えを。
ーフェリーツェへの手紙
(本文232ページ)
ある意味、ネガティヴの極端まで振り切れてしまっている言葉たちは、ほとんどの人にとっての自分自身の感情よりもネガティヴなはずであり、なんか逆に「いやいや、そんなことないで…」とカフカを慰めようとしているうちに、自分は元気づけられてしまうような効果があると思われます。
ちょうど自分が怒ってる時に、もっと怒ってる人があらわれたら宥めてしまうように、あるいは泣きたい時に、すでに泣いてる人がいたら寄り添って声をかけてしまうように。
もし仮に、カフカと同等(極端なので超えはしませんが)のネガティヴな人がいたら、一緒に絶望に同意しながら、わかりあえる友と出会えたことの感動に打ち震えることができそうです。
ですので、これこそ万人受けする究極の本なのかも、と思わず考えてしまった、実にユニークな本なのでした。
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ネットラジオOTTAVAのある番組でこの本を紹介していたのですが、「スキップしてしまうぐらいのネガティヴさ」ってどんなにネガティヴなんだろうと気になって、ちょっとずつ読みすすめました。
カフカの、もう見事なぐらいの後ろ向き。でも、私もどちらかというとネガティヴ思考なので、分かると共感もしつつ。
読み終えてスキップはしなかったけれど(笑)、ちょっとだけ頑張ろうとか、カフカの書いたものが気になるとか、後からじわじわきそうな一冊でした。
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(+3)例えば3つ分のポジティブも、(-3)例えば3つ分のネガティブも、距離にしたら同じ「3つ分」なので、同じだけのエネルギーを持っているのかもしれない。
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最初はネガティブ過ぎて引いていたが次第にその気持ちもわからないでもないと共感した。他人に対して苦悩する姿をさらけ出し続けるというのは正直に生きる、噓偽りのできない人だったのかなと思う。自分のネガポジのそのどちらかに振り切っている時それぞれで楽しみ方が変わるそんな本でした。
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カフカは絶望名人である。そのことが、この本からはっきり分かった。彼は自分を徹底的に嫌い、自分の将来や仕事や親や自分自身に対して絶望的な世界観を押し付ける。前向きになることを拒み、そのネガティブさを全て著作に注ぎこんだ。
彼が感じたであろう全ての絶望は自分ごときが味わえるものではない。しかし、所々ならば十分に味わえる。それでいて、自分がどれだけ絶望したところで彼には敵わない。彼は自分が真に絶望した時のメンターになることは確実だ。そのことが分かって安心した。