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明智光秀の出自から山崎の合戦での敗北までの歴史を振り返りその実像に迫る。史書をベースとした説の展開で説得力がある。本能寺の変については信長非道阻止説を展開。
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大好きな日本史の中で、いまだに真実が謎に包まれていると思う事件がいくつかあります。桶狭間の戦い、関ヶ原の戦い、大坂夏の陣等とあるなかで、この本の主題となっている、本能寺の変もそのうちの一つです。
特に、首謀者とされる明智光秀は、当時、織田政権を支えていた重要な武将であり、謀反を起こした理由がいまだに明確でないと思います。
この本ではその謎について解説がなされています。織田信長の身近にいた明智光秀が何を思っていたのか、この本でも解説されていて興味深く読めました。
以下は気になったポイントです。
・光秀が犯行に及んだのは、信長非道阻止説である。正親町天皇に対する譲位の強要、暦に対する口出し等、すぐ側で見ていた光秀が、それ以上の信長の暴走を阻止するためにおこしたクーデターであると結論づけた(p7)
・信長は三好三人衆の来襲を知って、岐阜から京都に戻り、再び敵に襲撃されても大丈夫な将軍義昭のために築いた城が二条城である(p66)
・最初に光秀が得た500貫の場合、家臣は70人位いただろう、そして一国一城の主となった志賀郡5万石では、1250人であろう(p101)
・信長が義昭を追い詰めることができなかったのは、その時期には、武田信玄が三方が原で徳川家康を破って西上途中であった(p103)
・幕府が滅亡したことで、公方衆とよがれた旧幕府衆のかなりが光秀家に組み込まれることになった(p104)
・秀吉は最下層の小者から、小者頭、足軽、足軽組頭、足軽大将、そして侍大将へと短期間において出世した(p106)
・信長家臣の場合、信長から名物茶器をもらって初めて開けることになる(p113)
・本能寺の変の頃は、摂津の池田恒興、中川清秀、高山重友が与力となっていて、大和の筒井順慶、丹後の細川藤孝、一色義有、を始めとして、畿内周辺諸国の武将たちのかなりが与力となっていた(p143)
・穴山梅雪は、金2000枚を献上した、金1枚とは10両、現在価格で250万円なので、合計50億円となる。これは支配下に、甲斐下部の湯之奥金山、駿河の麓金山をもっていたからだろう(p170)
・光秀軍において最高の3000を擁していた斎藤利光隊が崩れたことで、早くも戦いの帰趨は決まってしまった(p249)
2015年1月1日作成
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本能寺の変といえば、戦国時代最大の謎であろう。
「部下が反逆者に変わる」などというと馬鹿なビジネスマンが悦びそうな煽り文句だが、本書は敗者の正しい評伝を冷静に記そうとしていて好感が持てる。
悪逆のかぎりを尽くす平氏(信長)に対する源氏(光秀)による成敗だとする、「信長非道阻止説」の他、「光秀=天海僧正説」の否定など興味深く読めた。
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今大河ドラマで話題の明智光秀について綴った一冊。
当然、一番気になるのは本能寺の変の真相で、そこについて明言はしていないものの、様々な説について触れられており、勉強になった。
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NHK大河ドラマ「麒麟が来る」の大筋と一致している。諸説ある中でも、同意できる。光秀と秀吉のライバル意識は現代の会社でもよくある話だ。信長という上司との関係も。
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本書での一番のポイントは本能寺の変の動機であるが、著者は信長非道阻止説を挙げている。すなわち、信長が朝廷を蔑ろにし、本来は源氏がなるはずの将軍になろうとし、高僧を焼き殺した信長の非道を止めるために謀反を起こしたということである。
この主張を、史料を挙げながら著者独自の解釈を加えることで行っている。
本能寺の変の動機は、光秀が変後、早々に討たれたこともあって史料がほとんど残っていないため、日本史における大きな謎の1つとなっており、いくつかの説がある。
本書もその中の1つではあるが、だからこそ楽しんで読める。