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紙の本
柴田の苦渋 織田信孝の苦悩
2014/12/01 18:26
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投稿者:愚犬転助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「センゴク」のおもしろさは、敗者を深く理解しようとするところにある。あの朝倉義景でさえも、最後は清き敗者として描かれたのだから、柴田勝家の最期は壮絶と予測する。あっちゃこっちゃと動く羽柴相手に、柴田の苦悩は深まるばかりである。ひたすら拡大を追求する羽柴、主家を支えようとする柴田。柴田は、お市との狂乱の性交の果てに武人として覚醒するしかない。このあたり、対織田戦の浅井長政と似ている。将来、お市の子・淀も、狂乱の性交により何かを得るのくだろうか。そんな妄想も膨らんでくる。
惨めな敗者となる織田信孝の苦悩もまた、伝わってくる。自由に戦った父と違い、自らは己の本能からの戦いさえ選べない。プライドの高い男が己を暗愚と認めがらも、武人でありたいと苦悩するさまに哀れさえ感じる。偉大な父をもったゆえ、自らの価値が失われていく男の不幸を正面から描いているところに、敬服する。
ただ、賤ヶ岳の合戦にあって、最大の裏切りをしでかす前田利家については、あっさり描いている。著者にとっての賤ヶ岳は、裏切り戦ではなく、山岳戦のようだ。次巻が楽しみだ。
紙の本
賤ヶ岳の合戦前夜
2023/10/01 10:36
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
淡路島で苦慮している権兵衛はともかくとして、ストーリーの主題は賤ヶ岳の合戦前夜 秀吉と勝家の心理戦にある。きっぱりと天下取りを目指すことにした秀吉と、織田家筆頭家老との立場や意識から全く抜け出せない勝家との対比が際立っている。特にこの巻の最終ページの勝家のカットとセリフが印象的である。
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