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支配者 上 みんなのレビュー
- C.J.サンソム (著), 越前 敏弥 (訳)
- 税込価格:1,034円(9pt)
- 出版社:集英社
- 発売日:2014/11/20
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紙の本
ついにヘンリー8世登場
2023/01/15 16:34
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズ、時を置いて読んでもすぐにその物語世界に入り込めるところが、著者の並々ならぬ力量を感じさせる。
地方の修道院、ロンドンの雑踏、権力者のオフィス、庶民の住む界隈・・・とどのシーンも生き生きと眼前に繰り広げられる圧倒的な描写力が、読者をぐいぐいと引っ張り、16世紀の混沌のなかに誘ってくれる。
今回は宗教改革で大きな打撃を受けた北部地域(主にヨーク)に王が巡行した実際の出来事にシャードレイクが随行し、さらに謀反未遂事件の主要容疑者を無事にロンドンまで連行するという、またまた政治的な任務も与えられるというおまけ付きだ。
この巡行のための事前準備の様子がとても事細かに描かれ、大工や召使い警備兵たちなど、王に振り回される人々がいかにこの壮大で手間のかかるプロジェクトを下で支えているかが詳しく分かる。歴史的イベントの影にいかに多くの人々の存在があったかを、今作で特に詳細に描いたのは、やりたい放題な王の在位資格そのものに疑義が生じる事態となり、結局のところ民衆や仕えるものたちの支持がなければ、その権力基盤ももろいものだと伝えたかったのだと思う。
そういえば、このシリーズ全てにシャードレイクを抑圧し、都合よく使おうとする敵役が登場するが、誰もかれもが王の寵愛をいいことに自分の財を増やそうとあくせくし、公の利益を守ることを自分に課しているシャードレクを陥れようと躍起になる。浅ましい限りだが、前作のクロムウェル同様その立場は不安定極まりない。ただ一人の権力者の周りに群がる亡者たちも、その権力者たる王が、実は王の資格のないものだとわかったときどういう態度をとるのかという問題に直面するはずだ。自らの頭で考え、自らの足で立たないものはすぐ倒れてしまう。
ヘンリー8世の王たる資格は、過去の系図、15世紀の薔薇戦争当時の秘密にまで至る暗闇のなかに隠されている。ジョセフィン・テイの『時の娘』でも扱われたテーマにシャードレイクはどう立ち向かうのか?下巻へとページをめくる手が止まらない。
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