投稿元:
レビューを見る
〝読書とは他人にものを考えてもらう行為である〟と言ったのは、シャーペンハウアーだけれども、多読は悉く、人を空っぽにしていく。
乱読のセレンディピティはある意味、読書だけでなく、食事、出会い、音楽、人、仕事、全てに通じる。
偏ってはいけないと本書に学べる。
〝読む〟〝書く〟ことに自分が偏重していることを痛感させられる一冊。
赤ちゃんがことばを覚えるのだって、何度も書いたからでも、何度も読んだからでもない。何度も聞いたから。
なのに本をありがたがり、視覚による思考を最高のものと見做している。
線的思考と点滴思考の解説も分かりやすい。
俳句による表現は、受け手が、解釈する点滴表現で、繋がりがなくとも共通する感覚によって成立する。
修辞を論理より大切にするのも、あいまい性の文化の日本らしいところ、省略の美学があって、主張的表現をすて、暗示的な表現法に、論理ではなく、連想と解釈のはたらきで。
△型と▽型の文章体型も、日本語の特徴だったりする。初めに結論を述べるのと、はじめは世間話から始まるのとでは大きく異なる。
外山滋比古さん。勉強になります。他の本も読んでみよう。