紙の本
社会派な題材
2016/12/05 20:57
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投稿者:KOUME - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本においてもハンセン病に対する差別の歴史があった訳だし。選民思想は世界中であったし、今もあるでしょう。その辺を踏まえた警察小説。シリーズを読み進めていくと結末の傾向が読めるのだが、今回はすべて○○する。さすがに4作目になると違う展開を望む。
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『特捜部Q』シリーズ第4作の下巻。
上巻で徐々に明らかになった事件の内容が、一気に解決する。ハードボイルド的なお約束もあって面白かった。
最後のどんでん返しは割とあっさりしている。
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特捜部Qシリーズ第4弾、このシリーズどの作品もテーマは重く、登場人物たちは軽くのバランスが良くて、勿論小説としても面白いので好きなんですが、今回もその期待を裏切らず。
物語の舞台設定、事件のテーマがなかなか凄いなぁと思ったら、なんと現実の話だったとは!北欧ゲルマン民族の極右派って自分たちの種としての優位性に絶対の自信を持ってるんやねぇ、ナチスに準ずる人類の品種改良みたいな考え方って怖いよなぁと思う。勿論この小説は、絶対反対の立場から書かれているわけなんだけど。
「あの子は両親のエエとこだけ引き継いでるね」だとか「美人のおばあちゃんに似て良かったね」だとか「とんびが鷹を産む」等々、日常会話に普通に使われているこれらの言葉って突き詰めていくとかなり恐ろしい思想になっていく可能性があるねんなぁ。包丁と一緒で普通に使っている分には問題ないのだけど、使いどころを間違うと指も切るし、意図的に間違った使い方をすると凶器になったりもするねんなぁと、そんなことを考えさせられた小説でした。
ミステリーとしても良い。最後の仕掛けは良くあるパターンとはいえ、組み立てが上手い投球で打ち取られた気持ちよさを感じた。きっちりまとまっていて、シリーズとしての構成もこなれてきた感じ
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本作で取上げられる過去の「恐ろしい事実」…“実話”に基づくのだという。人間の尊厳を余りにも蔑ろにする冷酷な振る舞いだが、遺憾ながら、そんなことが容認されてしまっていた時代が在った…そういう振る舞いに及んだ側…それに巻き込まれて行って、途轍もない不幸を負わされてしまった側…途轍もない不幸を負わされた地点から、真摯に救いの手を差し伸べる人の支援で前進し、幸運を掴み取ってさえも、負わされてしまった不幸から脱け出せない…そして“事件”…このシリーズの各作品で、最も「重い」感じだ…
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シリーズが進むに連れて、どんどんおもしろくなります。
この作品でショックだったのは、収容所。人を大切にする印象がある北欧のデンマークで、そんな収容所があったなんてねぇ。隣のドイツの影響もあるのか?
物語は、どんでん返しです。いやぁ、そう言う結末にしますか。そう来るのね。あっぱれです
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カール・マークのチーム、とアサドもローセも思ってないかもしれないが、この3人組はそれぞれ身勝手に動いているように見えて非常に優秀なチームである。捜査の筋道はカールが立てて、アサドやローセにああしろ、こうしろと命令は出すのだが、この警察官ではない、アシスタントでしかない二人は命令以上に緻密に調べ物をこなす。調べたものに対して、カールは優秀な刑事として起動する。口に出して相手を信頼しているとか尊敬しているなんてやり取りは全くなく、カールはいつも二人の我儘っぷりに腹の底で苛立ちを感じているような間柄なのだが、このチームはとてもいいチームなのである。
この特捜部Qシリーズでは、絶対的人数が欠如している(なんせ警部補のカール・マーク、警察官権限の全くない民間人アシスタントのアサドとローセと言うこじんまりした3人所帯)。にもかかわらず、勘がいいと言うか、大物を嗅ぎ分けてしまうので(ここで言うところの大物とは、解決不可能と思われている未解決事件の捜査の糸口を見つけちゃう嗅覚と言う意味)少数で核心部分に踏み込むしかない状態になり、毎回命の危機に晒される。マークは気付く、自分の命の危機を感じた時に失いたくない人間が複数いる事を。
カールが失いたくない、と咄嗟に浮かべてしまった人たちの中に(無論カールが夢中の恋人のモーナも含まれるが)半身不随の元相棒のハーディが含まれている事。カールにとっては解決されてない釘打ち機事件のトラウマを想起させる存在そのものである筈なのに…寝たきりで回復の見込めない男なのに…ハーディの体は治らないと解ってて、ハーディが痛みを感じる気がすると言っても否定の言葉を吐かず自分ちの居間に住まわせる…刑事として頭脳戦は出来るので、事件の概要を話してハーディの意見を聞くカール。その度にそっとハーディの頬を撫でるカール。ハーディが大切なんだよな、カールにとって。絶対に男同士云々の性的な意味合いの含まれない撫で方なんだろうけど、半身不随のハーディも以前のハーディも、カールにとっては変わらないんだな、って。治らないと解ってて奇跡は起きないか、と祈ったりもしない。その祈りは自分が救われる為のものでしかない、と思ってるんじゃないかな、カールは。本当に全くカールにはその気はない、彼は根っからのノンケでだ。仕事上では皮肉も言うしごり押しもするが、誰かを殊更憐れんだり、贔屓したりもしない。ハーディを引き取ったのも、贖罪や献身などではなく、寝たきりで妻にも離婚され可哀想だからでもなく、ハーディが頼んだから、ただそれだけだろう。と言う風に読み取れる書き方をしてあるんだよね。カールの振る舞いはひょっとしたらその気がある後輩の面倒をみている内に誤解を生む可能性はあるが、彼は根っからのノンケである。そう言うところを慮らないであろうノンケである、慮る必要、可能性を考える必要性さえ頭にないノンケである(笑)
ゲイが好むガタいの良さとか、顔形とか、声とか、仕草とか、そう言う種類分けじゃなくて、絶対こいつ野郎にモテる!!と言う存在感で書かれている人物が出てる小説は他にないのかっ!!作中に男にモテている描写がされてても萌えんからなぁ、���れは探すの難しそう。レビューなどに(彼は男にモテるタイプのノンケ)と言う脚注は入らんだろうから(笑)作者がプロット組む時「男のモテるノンケ」と言う要素を含ませていないのに読者がそう読み取ってしまう人物像に仕上がっている、と言うのが好み。カール・マークに関しては正にそんな感じ。1巻目読んだ時にそう思って、具体的にやっぱ好かれるタイプなんじゃん、って一瞬の描写があって確信、と言う…いいなー、カール・マーク。今一番こう言う男読みたい、ってのを体現してくれてる。
早く『知りずぎたマルコ』の文庫化の希望する!!
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既刊シリーズ中、一番重くてやるせないテーマ。特捜部メンバーのコミカルなやり取りがなければ到底読み進められない内容です。
この話で一番ショックなのは、スプロー島実在の点。それもあのナチス以後もこのような思想を国が是認していたこと。差別主義というのは、いつの時代も規模や形を変えてどこの国にも存在するのだろうし、他者と比較し、優劣を付けたがる人間の性とも言えるのかもしれませんが(ただ、優生学のような思想は白人至上主義者に多い?)、たとえそうだとしても、こんなことが公然と行われていたという事実には慄然とさせられます。しかも同性が何の躊躇いもなく加担していたとなればなおさら。
今回の諸悪の根源クアトが、妻だけは本気で愛していたという事実は、冷酷なだけでなく人間らしい一面もあったのだというより、むしろ傲慢さを際立たせているような気がします。『優秀な人間』と『下等な人間』という自分基準の勝手な線引きをはっきりと見せつけられているようで…。
こういうタイプの人間に対する最大の罰は、生涯をかけて創り上げてきた思想と組織の完全崩壊を目の当たりにさせることだったと思うので、ある意味クアトには優しい結末じゃないかと思います。まあ、十分追い詰められてはいたけれど。
このシリーズの女性は被害者も加害者も、もちろんレギュラー陣もとにかくタフですが、本書のニーデを中心とする女性達のタフさは半端ない。自らに降りかかる悲劇を運命だと諦めたり黙って受け入れたりすることは美徳じゃないのでしょう。
いくら教養があってもクアトみたいな極端思想を持ったら恐ろしいですが、大切なのは遺伝子じゃなくて教育なのだと考えさせられます。
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最後まで読んで、この小説に出てくるスプロー島の女子収容所が実際にあり、1967年まで稼働していたという事に衝撃を受ける。
民族衛生法?優生法?
誰が何を決めるっていうんだろう。どれだけおこがましい事を。
ただ、これは、デンマークだけの問題ではなく、多くの国でうたわれていた法律であるのも間違いはない。
人間とは、どれだけあさはかなのだろうか。
というかですね。
なぜ、女子にだけ、そういう事をやって、
もっと問題になってもいい男子の方をパイプカットするとかにしないんだ!!!
やるんなら(いや、やっちゃいかん!いかんのだけれども)平等にしろや!
本当に、この差別主義っていうのは、自分に自信がない人々がやっている、あさましい事なのだとつくづく思う。
いつの世も、多かれ少なかれ、差別はいまだはびこっているわけで、女子だというだけで、馬鹿にされ、職業で差別され、学歴で差別され。
その職業がなぜ「偉い」とその人が思い込んでいるかは、世間がそうさせているのもわかるわけで。
だいたい、大人の男っていうだけで、女性や子どもに対して暴言吐く人も多く、脳味噌どうなってんだこの人は?と思わされる場面にもよく出会う。
正論で返すと余計に怒鳴るんだよね、こういう人・・・。
脱線しましたが。
いやー
最終的に、あの組織?政党?は、壊滅状態に追いやる事ができたので、それはいいんですけれども、
アサドの体は大丈夫なのか心配なので、はやく続きを読まなくてはいけないな・・・。
カールもよく無事で・・・。
ものすごい終盤で明かされるニーデがニーデじゃない件。
あれだけ丁寧に、ニーデが企んだ復習が書かれていて、最後の一人についてがなかなかこないなーと思ってたら、そういうことか!
いや、本当に、やられまくりです。
特捜部Qの、嗅覚恐るべし。
次の物語で、きっと、
アサドの件(体の事もだけど、謎に包まれてる部分)
アマー島での釘打ち事件
いとこのロニーの件
進展あるんですよね。
気になる気になる。
あ、バズ・・・もどってきたけど・・・それも・・・どう転ぶ?
あ、あと、トイレの使い方について、ローセに賛成!!!(147頁から149頁のやりとりwww)
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1月-8。3.5点。
20年以上前の、哀しい女性ニーデの復讐劇。
過激思想の政治家との対決。上巻はサイドストーリーが幅をきかせていたが、下巻はメインが一気に進む。
安定した面白さ。ラストのどんでん返しも鮮やかだった。
次作も期待。
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(上巻より)
変人アシスタントその1のアサドが、
自分からのりこんでいったとはいえ、
また死にそうになっていてかわいそうじゃないか、
と思っていたらカール刑事も死体と一緒に二晩も過ごすというひどい目にあっていた。
カール刑事は離婚できて一応良かったし、
ハーディは回復の見込みが出てきて良かった。
でも、アサドの謎も、カールが同僚を失った事件の謎も深まるばかりで、
なかなか進まないのが不満。
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クライマックスが下巻全部です。
もう次はどうなるのか?彼は?彼女は?とページをめくるのが止まらない!
ニーデの過去も壮絶ながら、ラストはあんな形で良かったのか疑問に思いました。神のささやかな救いだったのか。できればニーデには幸せになって欲しかった。
クアトにはもっと壮絶な最期を迎えて欲しい気もあったけど、この終わり方がきっと北欧ミステリーであり、特捜部Qらしさなのかもしれないです。政治犯は彼等の捜査対象外ですから。
女性収容所が実際にあって、不妊手術が行われていたというあとがきが下巻での一番の衝撃でした。
人種差別、人権侵害を平気で行う、クアトのような人間が過去にいたのなら、今もいるのかもしれないと思うのは心配のしすぎでしょうか。
次回作がなかなか書店では見つからないのでまたAmazon発注かな。
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2019.07.10.読了
長編好きの私ですが、特捜部Qはなんだか途中で飽きちゃうんですよね。読了後疲れてる。
意気揚々と読み始めて下巻に入るとだいたいだる〜くなる。この作品は兎に角登場人物と事件がごったになっちゃって、最後に挨拶に来た人がなんてなんの事件だったか?忘れちゃってました。
あの妹って、なんだっけ?マジで薄っすら記憶にある程度。
でも、だからって最初に戻ってなんの事件だったかなんて調べる気力はわかないんです。大した事じゃないやって感じで。
本作は詰め込みすぎだと思います。
日本人にはカタカナの長〜い名前は覚えづらいししょっちゅう登場人物欄をチェックしながらじゃなくちゃ読めない。その上、事件がいくつも重なるから、ここはどこ?あなたはだれ?状態に陥ります。
サラーッと読みましょう
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シリーズ第4作。何故か順番に読んでないけど。何度読んでも思うが長い。けれど、それもストーリーの複線であるけれど、翻訳の問題かなぁ。
テーマは、いわれのない差別、根っこはナチズムであったり、魔女狩りと同じ。この国だけの問題ではなく、世界の凡ゆる国で、過去も今もそして将来も起こり得る話。自分も含め少しでも多くの人がこのような価値観を持たないコトを思いたい。
哀しいのはこういった価値観が人の心の闇にあること。
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このシリーズのメインテーマなのかもしれないが、今回も「復讐」がストーリーの中心となっている。
そこに優生思想が織り込まれ、過去と現在を行きつ戻りつ、展開していく。
復讐に社会問題とテーマは重いがキャラの立っている登場人物たちがストーリーをテンポよく引っ張る。これだけの個性的なメンバーをうまく束ねて最後まで持っていく著者の筆力は素晴らしい。
シリーズも4作目になるとキャラに依存した中だるみが心配されるが、杞憂のようである。
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中世史やまつわる話を読んで行くと、この事件の内容は想定できたと。デンマーク、オランダ、そしてドイツやロシアが持つ過去の深みは得体知れないと常々思っている。神聖ローマまで遡るんだものねー
それにしても権力を持つ男の本性は似ているなというのも改めて感じる。表の顔と裏の顔、弱いものの顔は一様だが権力者の装いは種々多様。
と同時に女も強い・・メルケルさんが脳裏に浮かんだ。
隠ぺいに手を汚す公権力はいつもながら更に薄汚い。
カールの動きはイライラ、ハラハラ、そしてアサドの命の行方に頁を捲る手が止まらなかった。読み続けるのが怖い特捜部Q・・でも今年はこれで行こう