紙の本
辛口の文明批判
2016/06/27 15:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソ連からアメリカへ亡命した著者の言葉はしたたかだ。ジャズを聞きながらビーフストロガノフを作るように、自由こそが何よりも大切だと教えてくれる。
投稿元:
レビューを見る
「いい料理とは、不定形の自然力に対する体系の闘いである。おたま(必ず木製のでなければならない!)を持って鍋の前に立つとき、自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人だという考えに熱くなれ。料理はある意味では最前線なのだ」はい先生!と思わず掛け声をあげたくなるが自分の食生活がバレたらグーパンで殴られそう。アメリカのファストな食生活に毒を吐き、母国の偉大な文明生活を皮肉というスパイスを塗しながら語られる本書は、バターを切るように知性が世界を切り開いており、料理本としてだけでなくエッセイ本としてもべらぼうに面白いのだ。
投稿元:
レビューを見る
旧ソ連からロシアに亡命した批評家が、亡命の地で現地の料理に対する皮肉をぶっ放しながらロシアの味を再現するレシピを、料理への情熱といろんな方位への攻撃をたっぷり混ぜながら紹介していく快著。
読むと料理したくなるけれど、基本的にどれも時間と手間をかける料理が多い。
別に料理をしなくても読んでいて楽しい+ロシア料理をちゃんと食べてみたくなる。
・・・それにしても、しょっぱなから料理に必要なものとしてツボをあげるってのが! 「なんか深めの器のことだろう」と思ってたら入手方法にエスニックな土産物店とか言い出してて本気でツボじゃないか、あるかいそんなもの!!
投稿元:
レビューを見る
斜めな視線も毒舌も大変面白いんだけど、いかんせん胃弱者故、文字だけで胸が焼けてくるよロシア料理w 圧倒される。
投稿元:
レビューを見る
亡命×ロシア×料理。面白い組み合わせ!
ぶくろぐで見かけた奇妙なギャップのある題名に惹かれて読んでみる。
米国へ亡命したロシアの文学料理人が、ロシア料理にあるときは故郷への想いをのせて、あるときはジャンクフードへの怒りをこめてつづるエッセイ。
ロシアって僕にとっては思想的にも文化的にも近そうで実は最も遠い国ではないか?
ものすごい手間をかけて作る想像もつかないレシピ。魚は川魚が主流だということも改めて納得ですが、実にエキゾチックというかカルチャー・ショックな料理の数々。並みのSFなんかよりもよほど異世界感を感じます。
本物のボルシチ食べたい。北海道にいるうちにサハリンに行ってみよう。
投稿元:
レビューを見る
ボルシチの作り方を知りたくてロシア料理の本を探していたら、アマゾンがこの本を推薦してくれた。30秒ほど表紙を見つめた後、「カートに入れる」をクリックした。そんなわけで、この世紀の奇書が今、私の手元にある。
まずタイトルが凄い。亡命ロシア料理ーーこの破壊的なセンス。いったい誰が、誰に向けて、何を訴えたくて書いた本なのか、まるで見当がつかない。新書のタイトルだったら一発でボツだろう。
この本は、旧ソ連から米国に亡命した2人のロシア人によって書かれたものだ。ロシア料理についてのレシピ付きエッセイ集だが、料理にとどまらず、広義の文化論ともいうべき内容になっている。
本書がそこらの軟弱な本と異なるのは、自分たちに対する生ぬるい親近感を断固として拒絶しているところにある。試しに冒頭の一文を引いてみよう。「日本語版への序文」の書き出しはこうである。
“ロシア料理には、日本料理との共通点はまったくない。”
シベリアの永久凍土のようなクールさだ。普通、そこは社交辞令として、強引にでも何らかの接点を見いだす所じゃないだろうか。にべもないとはこのことだ。相互理解など不可能かもしれないという予感は、第2章の一文を読んだ時、確信に変わった。
“お茶はウォッカじゃない、たくさんは飲めない”
むろん当人たちはいたって真面目なのである。終始こんな調子で暴走トークが続く。
“民主主義と同様、仔牛の肉は少々軟弱だ”
“国際主義の理想がわれらの祖国で実現したのは、料理の分野だけだった”
各方面をdisりつつも、英国人や現代日本人とは違い、不毛な冷笑主義には陥らないのがロシア人だ。食にかける彼らの思いは、おそらく地上のどの民族よりも熱い。平凡なキッチンも彼らにかかれば、たちどころに魂のブートキャンプと化す。
“いい料理とは、不定形の自然力に対する体系の闘いである。おたま(必ず木製でなければならない!)を持って鍋の前に立つとき、自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人だという考えに熱くなれ。料理とはある意味では最前線なのだ…”
「冷凍作りおきでラクしてほめられご飯☆」とか言ってる場合じゃない。生半可なレシピ本では満足できない硬派な貴方へ、自信を持って本書をお薦めします。
投稿元:
レビューを見る
ロシア料理はピロシキとボルシチくらいしかイメージがなかったが、他にもいろいろあって美味しそうで食べたくなる。
投稿元:
レビューを見る
「愛を打ち明けるとき、日本人は手のひらを胸にではなく、胃のあたりに当てるという。日本人は魂が腹に宿っていると信じているのだ。だからこそ、ハラキリをして魂を外に解き放ってやるのだろう。自分の形而上的な本質を確かめるための、なんと苦しくも痛ましい方法だろうか?」
……切腹ってそんな感じでしたっけ?
それはまあさて置いて、白人は高尚なことを話すとき、胸ポケットのあたりをぽんぽんと叩くそうだ。しかし、魂があるのはそこではない。
魂があるのは、そこからボタン三つ分ほど下らしい。
1977年にアメリカに亡命したふたりのロシア人文芸評論家、ピョートル・ワイリとアレクサンドル・ゲニスが、食道楽の見地から見た世界とは。
それは誰も知らない、美味しいロシア。
東西冷戦時の西側、とくにアメリカのジャンクフードやダイエット志向、ビタミン至上主義を揶揄しつつ、罵倒しつつ、故郷の多彩な料理を懐かしみ、本場のロシア料理の(大雑把な)レシピを紹介し、食と人生の哲学をフットワーク軽く滔々と語る。
曰く、「しかし、人生とはそもそも有害なものなのだ――なにしろ、人生はいつでも死に通じているのだから。でも、シャルロートカを食べたら、この避けがたい前途ももうそんなに恐い気はしない。」
曰く、「本物のフランス風サラダは、笑うなかれ、まさにレタスだけでできている。新鮮な青々とした菜っぱ何枚かにソースをかけたものが、それ。この食べ物の軽薄さはまさに噴飯ものであり、ロシア語ではそんなものをサラダと呼ぶような考え方はないのだ。」
寒い国から来た男たちの、熱いロシア魂とロシア(料理)愛を感じる一冊。
胃、それこそが人間の不滅の魂。ちゃんと生きるためには、ちゃんと食べなければならない――。
投稿元:
レビューを見る
ソ連からアメリカに亡命したロシア人批評家二人によるロシア料理指南書。レシピの分量は大雑把であるが、調理の心構えは大真面目である。なぜなら、それこそが彼らの望郷であり、文明批判だからである。進歩的な食事の制限や、栄養の管理を嘆き、伝統的な食欲の回復と美徳の復権を説く。ここで紹介される料理の数々は、もはや手に入らない食材に想いを馳せつつ、あるもので間に合わされた「亡命ロシア料理」である。そのナイーブで、センチメンタルな口当たりは、ロシア料理を近づける外連味であると同時に、求める本物のロシア料理をかえって遠ざけてしまうような、自虐味と、滑稽味でもある。なお、随所にみられるロシア人のキノコへの思い入れが非常に印象的であった。亡命ロシア人の文明批評の妙味、たんとご賞味あれ。
「ヤマドリタケはずんぐりして善良な魂をもっているし、アンズタケはコケティッシュでせっかちな魂を、アミガサタケはしわくちゃの魂を、カラハツタケはスラブ派の魂を持っている(たぶん、古きよきロシアを愛する農村派作家のウラジミール・ソロウーヒンは、前世ではカラハツタケだったのだろう)。魂なしで生えているのはマッシュルームだけである。」
「いい料理とは、不定形の自然力に対する体系の闘いである。おたま(必ず木製のでなければならない!)を持って鍋の前に立つとき、自分が世界の無秩序と闘う兵士の一人だという考えに熱くなれ。料理はある意味では最前線なのだ・・・。」
投稿元:
レビューを見る
嗚呼懐かしきは故郷の味。
表紙の料理の写真は、光の当て方がもうちょっと何とかなったのでは……という第一印象から始まった。ロシア(1970年代ならソ連か)からの亡命者である二人の著者が、ロシア料理というものについて語る。読みながら、おや、と感じたのは、ユダヤ系ということ。知らない歴史があることを感じながら、皮肉で味付けされた文章を読んでいると、すっかり心はロシアである。とにかくスープ、とにかくブイヨン。凍りつく大地というイメージを捨てられないまま、読み切り、スープが食べたくなるのだった。
投稿元:
レビューを見る
料理人というか料理の批評家は割と理論的な考え方をするイメージがある。料理自体が理論で成り立っているから当然といえば当然なんだけど。それでいてシビアなジョークを飛ばすユーモアのセンスもある。俗説的な言い方だけど左脳と右脳のバランスが良い。巻末で翻訳家が料理と詩について書かれていたけど、どちらも理論と情緒が並ばないと良いものは生まれない。表紙の料理やレシピの写真はお世辞にも美味しそうとは言えないけど、文章はキレがあって軽快に読める。章のひとつひとつが短いので、空いた時間に読める手軽さも良い。
投稿元:
レビューを見る
ソ連から亡命した人が、祖国ロシアを思いながら書いた食に関するエッセイ集。
筆者と同じく亡命した人を読者として想定していて、亡命先のアメリカで手に入る食材で作るロシア料理を紹介している。
大げさな表現と独特な文章がおもしろい(訳者の問題?)。
文化の違いなのか、なに言ってるのかわからない項目もあるけど、
「100%人生ジュース」はなるほどと思った。
ジュースづくりは確かに楽しい。
でも、コカコーラにコカインが入ってるなんて書いてて、おい・・・亡命者に非ずな私にとって、この本の面白味はこうゆうとこ。
祖国愛がすごい。
大げさというか、ロシア人って本当にこういう表現使うんだ・・・と思う表現がしばしばあっておもしろい。
たとえば、「「ウクライナのボルシチは凍らせて食べよう」と雑誌に書いてあった。これほど恐ろしいことがほかにあるだろうか?」とか。・・・もっと恐ろしいことはロシア国内でおきてるだろ、と心の中でつっこみ。
文章が濃くてお腹いっぱい笑。
時間のある時にまたじっくり読みたいな~。
投稿元:
レビューを見る
ロシア人、スープが好きなのね。「スープを作らない家庭は不幸である」なんてことを言い出すマニアックな本です。
皮肉っぽくなったり、哲学っぽくなったり、美味しそうと思うことは意外と少ない本です。
面白いです。
投稿元:
レビューを見る
料理のレシピも書かれていて作れば作れるのだろうが,材料といいその量や適当な感じが手を出しにくくしている.またカロリーも高そうだ.だけどロシアを亡命しての感想,思うところをユーモアと皮肉を込めてヨーロッパをチクリアメリカをチクリと的確な批評がとても面白い.一級の文化論である.
投稿元:
レビューを見る
Twitterでものすごい話題に!止まらないときめき
「お茶はウォッカじゃない、たくさんは飲めない」など数々の名言が
登場するレシピ!