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下巻もストーリーが面白くて、途中に伏線も張られていたりで2日で読めた。杉浦先生を送る生徒達が「仰げば尊し」を歌うところで全身に鳥肌が立った。
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いくら教師が、全員まじめに生徒を導こうとしたところで、家庭が動揺していてはどうにもしようがない。積み木細工のように、がらがらと、すぐに崩れてしまうのだ。小さな崩れなら、ある程度教育で防ぐこともできるだろう。しかし、人間の心の奥底から、なだれるように崩れ落ちてくるものを、果たして教育だけでくいとめることができるだろうか。(p296)
これは、いくら家庭が、我が子を導こうとしたところで、学校が動揺していてはどうにもならない。
というようにも受け止めることができる。
いま初めて、真に自分を支えるものが、自分自身の中には何ひとつないことに気づいた。こんな揺らぎやすい自分に、生徒を導き育てる教師の資格があるのだろうか。自分にも教師がほしい。この弱い自分を導いてくれる確固とした真の教師が欲しい。(p316)
この作品に登場する杉浦という教師の回想。
私の同い年である。
私もよく思うことだ。
だが、後ろ向きになったままではいけない。
日々失敗もする。
それでも、教師になるために勉強を続けるのだ。
よい作品と出会った。
2008年05月10日読了。
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「氷点」の三浦綾子の作。
姉だと思っていた人が、親父の愛人だった!
という衝撃の事実を知って、ウツウツと過ごす中3の一郎君。
父・豪一の鬼畜っぷりが見事。
一郎と同じ立場にある姉みどりの態度が小気味よい。一郎はヘタレ。
全体的に、男性がヘタレあるいはクズに、女性が強く美しく描かれている。
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たとえ罪を犯していても、
だれもがひとしく罪悪感を感じるとは限らない、
悪人は誰の目にも悪人に見えるとは限らない
辛い事実も、受け止め方次第であり自分の人生は自分で決めるもの
思いやりと思って行う行為が、必ずしも相手に響くとは限らない
いろいろな現実の残酷さが盛り込まれていて…
対極に、素直でやさしい人の「善」の象徴のような
和夫少年の存在が物語を和ませる
哀しい登場人物が救われることを求めて
どんどん読み進んだが、最後まで救われない、、、
「暗い」物語だった
重々しい現実社会を考えれば
「物語はハッピーエンドがよい」なんて言えないのかもしれない。
どうにもならない現実をファンタジーでつくりかえるのは違うのかもしれない。
が。
少しの救いでいいから欲しくなった。
山崎豊子の本を読んだ後に似ている・・・
重厚と言えばよい言葉。
娯楽にはちと重いです。
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下巻は一晩で2時間ほどで読み終わった。登場人物が多いのに、覚えておくのに苦労させない三浦綾子さんの書き方というのは本当に不思議。そして、大体いつもエロさも取り入れられているけれど、描写としては少なくて読んだ人に任せるといったようなかんじ。でもそこがまた書き方がうまくて想像が容易にできるという。
家族関係が複雑で、こんな家庭は存在しうるのだろうかとも思うが・・・それもまた物語なのだから。
個人的には「氷点」のほうがお勧めしたい。
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一気に読んだ。一郎の陰惨に傷付けられた心をほぐした和夫の素直な心。誰が悪いと指摘出来るのにしない悠二や久代。静かに待つ。
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かつて、教育実習の指導教官に「すべての生徒に慕われるのは不可能だ。多くの生徒に慕われるよう努力せよ。」と言われた。本編も教師と生徒のすれ違いが、随所で発生する。思春期の体験が大きいがゆえに教師の態様が影響力大であり重要。2016.5.20