紙の本
影山という男が核になっている連作集。
2015/11/09 14:10
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれの話の主人公は、立場はちがうがどこか問題を抱えていたり行きづまったりしている女で、その女が影山と何らかの形で関わる。影山に救われた者もいれば、弄ばれた者もいる。けっこう頻繁にセックスの場面が書かれることからもわかるように、影山はその手のことが非常にうまいということになっている。そうやってのし上がってきたこともにおわされている。でも、決してそのことばかりをしつこく書くのではなく、流れで感じ取らせる匙加減がうまい。
全体的に暗い話が多い。でも、時々ぐっとくるのもある。表題作がそうだった。影山の幼馴染が影山に邂逅し、金銭面で助けてもらうのだが、悲惨な境遇で生まれ育ったふたりだからこそ通じ合い、そしてそれ以上深く関わらない空気がよく出ている。
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荒涼とした町に細い影。淡々の爪弾かれる人生。
何がよくて何がダメなのかわからなくなる。
女はしぶとい。
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【彼の余分な指は自分のためにある、と女たちは信じた】貧民窟で母親の閨の相手をした多指症の男娼が指を切り落とし、釧路の夜の支配者へのしあがる――著者新境地の傑作ノワール、誕生。
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桜木さんの書く本には強い女が出てくることが多かったけど、今回は強い女にプラスして強くてカッコイイ男が現れた。すごく面白かった!まさに新境地だと思った!
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影山という男の生き様を、色んな女の視点から見る。
また道東の訳ありの生い立ちの話か…、と特に期待はしてなかったけど、私は今までの桜木紫乃の本の中では面白かった。一気読み。
2015年1月7日
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うーん、どうだろう。
面白ことは面白いんだけど内容が薄っぺらいかな。
レビューでも桜木紫乃の新境地と書かれていたりするけれど、主人公が男性になっただけでこれと言って目新しいこともない。
桜木さんお得意の連作短編集で安易に話をつなげたポルノ小説まがいのような・・・。
まあ、帯にも写真入りの壇蜜が載っていると言う時点で予想はつくので仕方ないか。
両手両足に六本指を持つ謎の男、影山博人。
8編の短編それぞれでは彼を取り巻く女たちの姿が時系列で描かれる。
彼女たちの目線を通じて博人がどんな生い立ちだったのか、どのようにして釧路の街を牛耳るフィクサーに成り上がって行ったのかつまびらかにされていく。
桜木さんの連作小説はいつも巧いなと感心するけれど、今回はなんとも中途半端。
博人の内面が描かれていないせいかなぜ女性達がここまでこの男に惹かれてしまうのか理解できず。
要するに見た目が良くてセックスが上手いってことなんだろうけど。
そう考えるとこの小説は大人の女性の願望がつまったファンタジーなのかもしれない。
それが前提で読めば良かったんだ。
「ラブレス」のように人の生きざまを壮大に描く作品を期待するからがっかりしてしまうのだろう。
次作に期待。
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内容紹介
外道を生きる孤独な男か、それとも女たちの「夢の男」か――釧路ノワールの傑作、誕生。
没落した社長夫人が新聞の社告の欄に見た訃報、それはかつて焦がれた六本指の少年のものだった。深い霧たちこめる北の街の「崖の下」で生まれた男が、自らの過剰を切り落とし、釧路の夜の支配者へのしあがる。男の名は影山博人。苛烈な少年時代を経て成熟していった、謎めく「彼」をめぐる八人の女たちの物語。
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#読了。恵まれない少年時代を過ごした、六本の指を持つ影山博人。自ら指を落とし、釧路の街を牛耳る男へとのし上がっていく様を、女性を通して描く。
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1人の男性をめぐる女性たちの短編集でした。
面白かったですが、その男性を女性たちが惹かれてしまう理由をもう少し知れたらよかったなぁ、と。
いくらなんでも外見がいいから惹かれた、ではつまらないですからね。
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前からこの作家に興味を持っていながら、直木賞受賞作すら読んでいない状況で、先にこれはと思う本が出てしまった。連作短編という形を取りながら全体が長篇小説としても読めるこの本、なんとキャッチコピーが<釧路ノワール>。
釧路を舞台にした小説と言えば、高城高。彼の時代を超越した短編小説群は秀逸で、ぼくはとても好みである。何よりも、感情移入を見せない距離を置いた淡々とした文体に、日本ハードボイルドの始祖の一人と言われる意味を感じ取ることができる。
さて本書の桜木紫乃も、その意味ではただものではなかった。8作の短編で、8人の女性を通して、一人の男を語らせる一冊となっているのだが、この男の生涯が凄まじい。一作一作の短編に凄みがある。異なる種類の凶器が並べられた危険な陳列台のようだ。それらを通して表現された男が、どのような修羅の人生を送ってきたのであるか、はっきりと表現することはせず、その断面断面だけを、切り口のように見せてゆく。
男の生い立ちも(おそらくその親の生い立ちも)、小説の中で徐々に露わにされてゆく修羅の道だったのだが、釧路の底の底のような生活から脱け出し、いくつもの怪しげな職業を経て、裏社会の一大人物にのし上がってゆくという、おとぎ話のような成功物語も、陰影の濃いこれら短編作品群の連なりを通して見てゆくと、男の内側の闇の深さばかりが反映されているようにしか見えない。
こういう不思議なモノトーンのノワールを書き切れる作者の筆力と、敢えて言えば、妄想力とに脱帽させられる。この方向性でさらなる凄みを追及してほしいと思うのは、きっとぼくだけではないだろう。
ちなみに釧路や札幌の地理を知っていると、楽しみが倍々になると思う。それほど、釧路を知る作家の良さは、この遠き街の独特の匂い、音、港から湧き出す霧、寒さといったものすべてを小説に自然に写し込んでいるので、実は釧路という街がハードボイルドやノワールによく似合う、という新たな発見をかしこに見つけることができるのである。
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またしても道東釧路あたりの暗くすさんだ印象のエロ小説。
指が6本ずつあった男と関わる女たちのオムニバス。
とにかくやりまくったねーしか感想がない。
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ある、身体的特徴を持った、
重い過去を抱えたオトコの物語。
結局、最後までオトコ、影山をどういう男か
分からないまま読み終えた。
ただ、強い存在感だけが残る。
目の離せない男、何だか気になる人、
そういう人が現実世界にいるように、
影山さんもこの小説の中で
存在感を膨らませていった印象。
もちろん影山さんのキャラクターがそうさせているのは
大前提です。
桜木さんの紡ぐ文章は
相変わらず説得力を持った絵として
画面に浮かぶ、そういう一冊です。
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ドラマティックの一言。最初のうち、うわー(いつもながら)濃い、いやそれにしても濃すぎるかも...と思っていたものの、どんどん博人に惹き付けられていく。読む側の悲しみも、情も深くなる。その愉悦。強い昭和の匂いと、登場人物たちの想像を上回る生い立ちとが混在して生み出される、いつもの桜木さんの世界。8編の中で特に、幼馴染の女性・圭との邂逅を描いた"ブルース"、博人の妻となるまち子と、その娘である莉菜が軸となる"カメレオン"、"いきどまりのMoon"が良かった。本作は桜木さんの他の作品に比べてエンターテイメント寄りかな。
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極貧に生まれ育った男には指が6本あった。
自らその過剰を切り落としのしあがっていった男、影山博人。
彼と関わった女たちを通じて、博人の底知れない魅力と哀愁が浮き彫りになる。
霧に覆われた釧路の町が頭の中に広がっていき、なんとも言えない余韻を残す。
今まで読んだ桜木作品の中で、一番良かった。
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指が6本ある男、影山博人と関わりをもった
女たちそれぞれの目線で描かれる
男の一生。
すさまじい過去を持ち
波乱万丈な人生を歩むのだけれど
いたって冷静沈着、クールで
悪なんだけど
困った女性にはめちゃ親切。
なんて魅力的なヤツなんだ。