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夫の浮気をきっかけに、巨大化していく妻。妻はストレスが背中に出やすく、夫の浮気を知ってからは胴体が長くなり、骨が隆起し、どんどんどんどん巨大化する。もちろん家事も満足にできなくなるし、ほぼ寝たきり。夫は妻の食事を用意し(それも次第に人間の食べ物から離れていく。生肉とか冷凍したままの肉とか)、排泄も一人では満足にできず、紫色の何かに包まれた大量の痰のようなものを吐き出すようになり、家には異臭が立ち込め、周囲の人間に白眼視されるようになる。「死の棘」を彷彿させる筋の運び。
きっかけは夫の浮気だったものの、巨大化の根本的な解決法や原因は見つからない。もし、人が心に受けた傷や、根を深く下ろした不信感、嫉妬などの心を汚す様々な要因をすべて外見に表出するような機能が備わっていれば誰でもこのような醜さ、歪さ、厄介さを纏うのではないのだろうか。とすれば、人間はそれぞれに目の大きさ、鼻の低さ、脚の短さ、肌の汚さなど負のパーツを抱えつつも、一様に「美しく」整えられているのかもしれないと感じた。心のありように比べたら玉のようにつるつるだ。
糞まみれになっても笑っていられる、とか、妻の自分自身を見つめる姿勢に感嘆したりする夫の姿は単純に心を打つものがある。そして最後の数ページは少し涙が出た。で、すごく盛り上がったうえでのラスト一文のすかされた感は自分で限界まで膨らませた風船に、ふと、針を刺してしまった後のような清々しさ。
あと、読んでいる最中カフカの『変身』を思い出したんだけど、『臣女』読んだ今となってはただただザムザがかわいそうに思えたり。でもザムザをかわいそうに思うのって、本当私のエゴだよな。
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夫の浮気を原因に巨大化していく妻、その妻を介護する夫の物語。
……と、あらすじだけを言うと、他人は笑い出すかもしれません。それくらい、非現実的な設定。
しかしながら、吉村先生の筆力は、それに恐ろしいまでのリアリティを持たせてしまうのです。
そして物語は、笑ってしまうどころか、幾度となく涙してしまいそうになる……。
作中、ボードレールの詩が出てきます。それが『巨女(巨きい女)』という、この小説の素地となっているであろうものです。
……巨女を嗜好する男は、マゾヒストなのですか?(笑)
私も、身長の高い女性は結構タイプです。私が低身長だからでしょうか。ないものねだり、というやつです。
しかし、『巨大な女性』は、ちょっと違うかも……(^^;;
話が飛びました。
『ボラード病』に続き、大傑作です!
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夫の浮気が原因なのか、日に日に巨大化する妻。その膨張する様があまりにリアルで、もしかしたら本当に新しい病気なのかと思ってしまう。最大の問題は排泄。そうだよね。吉村氏ならではの究極の愛のカタチ。
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続きが気になって仕方なかった。
どんどん巨大化して行く妻と、巨大化して行くのは自分のせいだと妻の生活をなにからなにまで支える夫。
描写が気持ち悪いのに愛を感じる。
2人だけの世界なのに、周りの煩わしさ。人の事はどうでもいいから自分の事を考えろ!と。
妻がどんな状態でも2人には2人の幸せがあるし、どんなに周りに言われても妻を守りながらも、このまま海に。。とか考えてしまう気持ちとか。
最後か切ない。
新しい感じの今まで読んだ感じしない小説でファンになりました。
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図書館で借りた本。
主人公は高校の非常勤講師。子どもはまだなく、妻の奈緒美と二人で暮らしていた。ある、クリスマスの夜、朝帰りをした夫に怒りを感じた奈緒美は、どんどん巨大化していく。最終的に、このあと、どうなるんだろう?のまま終わったので、この先が気になります。某テレビ番組の中で、羽田圭介氏が紹介していて、興味をもと、図書館で借りてみた。のめり込めないかと思っていたが、かなり夢中になって読み終えました。
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ボラード病を読んだときも思ったけど、最初の頃の作品と比べてきもちわるさは変わらんのに読みやすい。時代に即した、読まれるものを描いていると思った。
奥さん病気なんだったら布団で寝てるんでしょう?(だから時間あるでしょう?)
お子さん病気なんだったら寝てるんでしょう?()(また仕事休むの?)
おじいちゃん寝たきりなんだったら()
こわーい。でも介護ってそういうものなんだろうね。相手がでかくなる症状じゃなくても主人公と同じような思いを持っている人はたくさんいるんだろうなあ。
まあ、この主人公は純文の主人公らしく駄目男やけどな。不倫はいかん不倫は。
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敦子との逢瀬が原因で、突如妻が巨大化し始める。食事から排泄物の処理までこなしながら高校の非常勤講師と作家を続ける文行はじきに疲弊していく。
救いのなく描写していく様は実際に経験した文行が綴っているようなリアリティがあった。
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主人公の男がどこまでも打算的なのが面白い。
しんどい現状の中で、早く努力の報われない結果を出して悲嘆にくれたい、という思いも分かるわ。
学校の先生あるある的な話が散りばめられていたのも面白かったよ
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気持ち悪かった、想像していたのとかなり内用が異なりグロテスクの連続、もっと夫婦愛が描かれていると予想していた
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恋愛対象が同じくらいの大きさであることの奇跡を噛み締められる1冊。南くんの恋人とかキングコングとかの類書。ダメダメな主人公が振り切れて頑張り始めるあたりからがまた面白い!!
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2017年2月18日、読了。久しぶりに心を底から揺さぶられる名作を読んだな、と読了直後に感じています。
夫の浮気を知った妻・奈緒美は狂気の末に、体が巨大化。骨の成長が止まず、家の中での移動も難しく排泄物の処理も困難を極め、夫は妻の世話に明け暮れる。しかしやがて、家の中に奈緒美を隠し続ける生活にも限界が来る…。というお話です。
主人公はどれだけ悲惨な状況に面しても客観視する自分がいて、いつか奈緒美の奇異現象を小説にできるだろう等と考えている。奈緒美の世話に明け暮れてはいるが、それはかつての自分の浮気を反省し妻を守り行くと覚悟を決めたから、というようなわかりやすい更生物語ではない。むしろ主人公はどこまでも利己的だし、自分のおかれた状況を呪いながら、日々眼前に迫る問題に対処してる様子を淡々と描いている。糞尿問題や巨体の汚さを繰り返し具体的に描写しているからこそ、読み進めるうちに段々と奈緒美を愛しく感じてくる主人公の気持ちは伝わってきた。だからこそラストは涙で文字が見えなかった。中盤、奈緒美との交合は鳥肌が立つほど美しい。再読したいです。
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おすすめされて読みました。タイトルからどんな話なのか想像しながら読んだけれど、まったく違っていた。
なにが明確な原因なのか分からないまま、日々、体が肥大化していく妻と、そんな妻の異変を周囲から隠そうとする夫。彼らはひとことでまとめてしまえば共依存の関係だと思う。
だって大きくなっていく体にお互いに恐怖を感じているのなら、いくらでも周囲の力を借りて対処のしようがあると思うのに、二人とも言わない。
出掛けている間に妻が生きているだろうかと、妻のことばかり考える夫も、夫の帰りを体の異変や痛みを抱えながら待つ妻も、要するにお互いに深く愛し合っているために、ただ大きくなっていく体を見守っていくことしか出来ないのである。
最後、家から車に乗って逃亡し、浜辺で少しの時間を解放されてすごく二人の姿に、なんだかじーんときた。余命を宣告されている人間が、最後の楽しい時を味わうような。とても切なくて、遣る瀬無い気持ちになった。
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なんか、思った以上に入り込んでしまった。
敦子と奈緒美の名前が逆だったら
二、三日落ち込んだかも。
凄く泣いてしまった。
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夫の浮気をきっかけに巨大化する妻。 どう☆をつけて良いかわからないなぁ。かなり気持ち悪い。でも続きを読むのはやめられず。もう一度読めばわかるかも知れないけど、すごくパワーが要りそう。
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一人の時は、ご飯を食べながら本を読んだりしますが、これはご飯を食べながらは、さすがにムリ。
さすがにムリな内容にもかかわらず、最後、ぼろぼろと涙が出た。泣いたーーーー!
「愛」だと思った。
目脂で醒めてしまう不倫とは違って、目脂とは比べ物にならない、糞尿垂れながらし、意味不明な巨大化、自分も壊れていく様、それでも離れずどこかへ向かっていくふたり。
どこで間違ったのか、いつか分岐点があったのか。
なにもかもわからないけど、突き進むしかなくなった様子に読む手が止まらなくなった。
そして泣いた。
単純な好き嫌いにとどまらない、死を願ったり、心底嫌になったり、様々な感情をひっくるめたのが「愛」なんだと思った。