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たくさんの変わった医学論文が紹介されている。でも読みやすい。スラスラ読める。でも頭に残らない。。。
簡単ゆえに心に響かないのかもしれない。
自分はできていないが、心惹かれた論文の原文を読んでみると変わったことを真面目に論じる面白さが味わえるんだと思う。
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http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17257410
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医学論文、て何でしょうか?
医学に限らず、科学の研究をしている人たちには、「論文」が実績となります。
例えば、「これまでにこれこれということがわかっているけれど、ここはどうなのかわかっていなかった。自分はこんな仮説を立て、こんなことを調べて、こういうことがわかりましたよ」、というのを論理立ててまとめたものが「論文」になります。
書かれた「論文」はどうするかと言えば、「ジャーナル(Academic Journal)」と呼ばれる専門雑誌(山のようにあります)のどれかに投稿し、その雑誌に論文として掲載するのに適切である(書かれていることが新しい知識であり、他の人々に知らせる価値がある)と判断されれば掲載されます。掲載されると、それがその人の「実績」となり、どの雑誌にいくつの論文が載ったということが、大学や公的な研究所に採用される場合の参考になるわけです。研究を1人で行ったのでない場合は、何人かの名前で発表します。このとき、論文に書かれる名前の順序も大切で、通常は最初に名前がある人が一番その研究に貢献した=頑張った人ということになります。
医学に関わるものであれば、医学論文となります。この本はそんな医学論文を紹介する1冊です。
え、小難しそう・・・? いえいえ、この本にはあまり専門的すぎることや重箱の隅を突くようなことは出てきません。ある意味、気楽に読める読み物です。へぇ、そんなことを調べている人もいるんだ、医学論文ていうけど、いろんなのがあるんだな、と読める本です。
但し、現役の呼吸器科のお医者さんが書いているものなので、論理の飛躍やセンセーショナルな謳い文句はなく、「おもしろおかしく」はないかもしれません。それと、版元が「中外医学社」ということからも伺えるように、基本は医療関係者を想定読者としているようです。ほんの時たま、「心タンポナーデ」とか「イレウス」といった病態の説明が「ご存じのように」といった感じで、一般向けでないと思われる箇所がありますが、その点を除けば、一般読者も十分に読める本ではないかと思います。
紹介されている論文は全部で79編。それぞれ1,2ページです。
驚きの症例、都市伝説の検証、ふとした疑問、日常生活、薬、スポーツ等に章分けされているので、興味を惹くものを拾い読みすることもできます。
例えば:
・ハリー・ポッターの頭痛を「真面目に」診断すると病名は何でしょうか(脚注1)。答えは貨幣状頭痛(nummular headache)だそうです。何じゃそりゃ、と思いますが、呼吸器が専門の著者さんもあまりおなじみではない頭痛のようです。ハリーの頭痛は専門家の間では結構議論されているみたいです。
・よく落とした食べ物を「3秒ルール!!」と言って、短時間なら拾って食べたりしますね(え? しない・・・?)。これ、万国共通のようで、欧米ではこの時間を「5秒」とする方が一般的なようです。この3秒ルールの「妥当性」について調べた論文があります(2)。ネズミチフス菌という菌が、タイルやカーペットからソーセージに「移る」までの時間を検証したものです。結果はなんと! ごくごく短時間のうちに移るため、「5秒ルール」には根拠がない、というこ���になりました。んー、まぁ床に落ちたソーセージに菌がごくわずか着くことが、実際の健康に影響を及ぼすかどうかはわかりませんけどね(^^;)。
・言われてみればありえそうだけど、ほんとに調べるか!?的な論文もあります。「鼻毛の密度が高いと気管支喘息になりにくいかどうか」を調べたものです(3)。人によって鼻毛の密度がまちまちであることに注目し、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症でしょうかね?)の患者さんにおいて気管支喘息の発症に鼻毛が関係するかどうか調べています。被験者は233人。実際に、鼻毛密度が濃いほど、気管支喘息発症が低い傾向があったそうです。アレルゲンが鼻毛にキャッチされるんでしょうかね・・・?
・驚いたのはしゃっくりを止める意外な方法(4、5)。ある部分をマッサージすると止まるというのですが・・・。いやぁ、ちょっと試そうとは思えないのですが、著者らはこの成果でイグノーベル賞を受賞しているのだそうです。
オドロキの論文の合間には、論文検索の仕方、論文を紹介し合う抄読会運営のヒントなどのコラムが差し挟まれます。この部分も個人的にはとてもおもしろかったです。
数学の場合には、緻密に一つずつ証明を積み上げていくところが醍醐味なのでしょうが、医学を含めて生物は、系が複雑であるだけに、「こうなるはずだ」で解決しない部分があります。そんなブラックボックスである「ナマモノ」の意外な反応が、生物学ならではの楽しさでもあるのでしょうね。
<参考文献>
1: Mohen SA, et al. "Harry Potter and nummular headache." Headache. 2012; 52: 323-4 *このタイトル、絶対狙ってますね。番外編「ハリー・ポッターと貨幣状頭痛」。
2: Dawson P, et al. "Residence time and food contact time effects on transfer of Salmonella Typhimurium from tile, wood and carpet: testing the five-second rule." J Appl Microbiol. 2007; 102: 945-53
3: Ozturk AB, et al. "Does nasal hair (vibrissae) density affect the risk of developing asthema in patients wigh seasonal rhinitis?" Int Arch Allergy Immunol. 2011; 156: 75-80
4: Fesmire FM. "Termination of intractable hiccups with digital rectal massage." Ann Emerg Med. 1988; 17: 872
5: Odeh M, et al. "Termination of intractable hiccups with digital rectal massage." J Intern Med. 1990; 227: 145-6
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17257410
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独断と偏見で選んだ医学論文の概要紹介。驚きの症例、都市伝説の検証、ふとした疑問、日常生活、クスリ、運動とスポーツ、お国柄、明日からの臨床に役立つ。
ネット検索結果にwikiが出てくるようになって長いけれど、これからは論文が上位に出てくるのかも。
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医学者向けの専門者なのだろうか、一般的な縦書きではなく、横書き。しかも左閉じの書籍だ。
しかし本書を開くと興味深い医学論文が多数紹介されているので、一般人にも読みやすい。
「まさか!の肛門異物」、「横行結腸でゴキブリを発見!?」などの症例があるかと思えば、「大腸ガス爆発の都市伝説を検証する」(ってそんな都市伝説聞いたことないが)ということで、腸管前処置をしないとレーザーが大腸内ガスに引火→爆発→死亡した患者が一人いたらしいから、おそろしい。
このように世にはいろいろな症例があるものだと感心すること受けあい。
『本当にあった医学論文2』も出ているので、こちらも楽しみ。
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面白かった♪
普通に役立つ内容も多く、関連文献の紹介もある。文体や個人的エピソードの挿入もあってパラパラ読めます。
読んでるうちに、俺も論文読もう!っておもえてます
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医学論文をさらりと紹介する、ただそれだけ。インスタントラーメンによる熱傷などくだらないものからへーっというものまで色々。少ないサンプルだけで相関を見るも因果関係不明なんて論文が山ほどあるのだなぁ。論文やその数を義務付ければ質が落ちるのは自明。理系大学生、大学院生の論文について昨年話題になったが論文が書かれる動機について知っていればもう少し議論の風向きは変わってたのかも。
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☆googleで検索、”key word(s)”+”et al”で科学論文。ホットな論文は1週間以内に✔。
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図書館で他の本を探している時に目についたので読んでみたのだけれど、とても面白かった。呼吸器内科の専門医である著者が面白いと思った医学論文を紹介しているのだが、タイトルになっているだけで79報。本文には、関連する論文も紹介されているのでもっと数は多い。珍しい症例報告(魚が耳に刺さったり、髪が緑色になったり)もあれば、都市伝説を検証しているものもある。どうしてこんな研究をしようとしたのだろうと著者が不思議に思っているものもある。読者として医師や医学生を想定しているらしく、医学用語の全部が解説されているわけではないし、各章の最後に挿入されているコラムの内容も、例えば医学論文の著者の順番についての考察など、医学論文に親しみを持つのを意図した内容になっている。今、この感想を書こうとして調べたら、このシリーズで3まで出ているらしい。医学論文の世界は奥深い。