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ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス

ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス みんなのレビュー

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評価内訳

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2015/11/03 22:12

投稿元:ブクログ

多様な主体間の連携や協働によって、地域の諸課題を解決し、公共サービスを提供しようとする「ローカル・ガバナンス」という概念について、長期的な視点から捉え直し、北陸地方、特に福井県の事例から分析している。東大社会科学研究所のプロジェクトが基になっている。
多様な論稿が並んでいるが、正直、あまり体系的であるようには思われず、また、福井県をフィールドとしている意義もさほど感じられなかった。意欲的な試みだとは思うが、雑多な研究の寄せ集めという印象を免れなかった。
そのなかでも、北陸の豊かさの源泉として社会民主主義と保守主義の結びつきを指摘する、井出英策氏の「第7章 北陸の豊かさはどこから来るのか─越中富山に見る「北陸性」」や、要介護認定の政策実施業を題材とした、荒見玲子氏の「第11章 公と私の新たな境界線─要介護認定の政策実施業務を素材に」が興味深かった。

2016/09/30 15:44

投稿元:ブクログ

宇野重規「ローカル・ガバナンスを問い直す」
 日本の「地方自治」の原型を江戸の地点までさかのぼり分析していく。日本の「地方」には名望家を中心としたある種の「ガバナンス」や「自治」が存在していたことを指摘。また、その裏返しとして明治時代には近代的中央官僚制と前近代的地方のバックルとして地方名望家が位置し、地方の政治的エネルギーが中央に入り込まないような制度であったことにも注意を向ける。
 戦後、行政的中央主権化に伴い「自治」の機能は低下し、中央に対する政治性を喪失した。しかし、近年において、「地方分権改革」、「三位一体の改革」、「平成の大合併」、「都構想」などにより「中央」と「地方」、「地方」と「地方」に関係が変化しつつある。
 これからの「ローカル・ガバナンス」論においては、行政の負担を住民に負わせることではなく、住民自らは実現できない課題を行政とともに実現するということが論じられる必要がある。住民が市町村、都道府県、国家、それを超える政府など複数の主体をコントロールしていくことが求められている。

金井利之「地方治態の3要素」
 「ガバナンス」を様々な治態を表す概念とし、「ローカル」の構成要素を「狭い」かつ「周辺」とする観点から「ローカル・ガバナンス」の3要素として「住民」、「区域」、「自治体」を挙げる。これ以降においては、それぞれの要素が欠けている状態を想定することにより「ローカル・ガバナンス」の様態を定めようとする。
 最終的に8つの種類の「ローカル・ガバナンス」が提起され、それぞれについての検討がなされる。本来の「ローカル・ガバナンス」論においては現実において多様な形をとる3つの構成要素をそれぞれ詳細に分析することが求められるが、本稿においてはそうした方向性とは逆を行き、「ローカル・ガバナンス」を外延や限界状況を分析したことが述べられ、想定外の地方自治が出現する前にそうした作業がなされる必要があることが指摘されている。

伊藤正次「多機関連携としてのローカル・ガバナンス」
 筆者は本稿においてローカル・ガバナンス論の問題点として①がバンス論は多様な供給主体という新規性を持っているがアメリカ行政学においてはそれは当然とされていたこと、②公私協働に対して政府文門内部の多様な組織編成に対して関心を払ってこなかったこと、③具体的な共同の作用の仕方を示してこなかったことを指摘し、これらの課題に応えようとしている。
 筆者は先行研究として、アメリカ都市圏における政府部門の組織編成の特徴である多核性と冗長性を説明し、その結果として組織間の相互調整と自己規制が生じ、組織間競争を通じた行政の効率化や民主主義の制度的保障につながることを述べている。
 伊藤は、地方分権改革において課題となった就労支援行政をめぐる多元的な組織体制の在り方を事例として、ローカル・ガバナンスの多機関連携の関係を探ることを試みている。その課題として、①関係機関間のコミュニケーション、②拠点機能を果たす「場」のマネジメント、③多機関連携を支える人材の育成を挙げ、本稿を終えている。

砂原庸介「大都��をめぐる2つのガバナンス」
 本稿では大都市をめぐるガバナンスとして、①大都市それ自体のガバナンスと②中央地方関係における大都市をどのように中央が統制するかというガバナンスという二つのガバナンスの関係を考察している。大都市の置かれている構造を主に選挙制度から分析し、大都市に自律性を付与する改革の困難さを示している。
 日本の選挙制度は中央地方問わず長らく単記非移譲式投票(SNTV)であり、これにより中央地方関係においては大都市は中央に搾取され、大都市で生み出された利益は地方に流出するという構造であった。また、政令市においても同じくSNTVであり政党間協力は難しいものであった。また、衆院選挙制度が改革されたが参院選が依然として地方有利となる選挙制度のままであり、効果的な変化は今のところ起きていない。
 その結果、中央地方関係においては三位一体の改革を例外として、大都市の自律性を高める制度変更は起きておらず、大都市制度改革が提案されても政治勢力が分裂的な大都市では一体となって改革に取り組むことが困難である。
 筆者はこうした分析から大都市制度を改革するためには、大都市における選挙制度改革や参院の改革などから始められる方が望ましいとしている。

上神貴佳「地方議会と地域住民自治組織」
 本稿においては、地域自治組織(自治会、町内会)と地方議会との関係を分析している。上神は地方議会における地域推薦の慣行を先行研究とし、地方議会と地域自治組織を結び付ける制度として大選挙区制と候補者間の集合行為問題(候補者の定数、獲得投票数の調整)を挙げている。
 上神は仮説として、
①:無所属議員と党派を届けた議員の候補者間調整能力は同等である
②a:無所属議員の主要な支持団体は地域自治組織である
②b:党派を届けた議員の主要な支持団体は地域住民組織ではない
を挙げ、選挙結果からの統計分析を行っている。
 検証の結果によると、仮説①、②aは支持できるが仮説②bは支持できないというものとなった。上神は党派を届け出た議員も地域団体の重要性を否定できないとしている。

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