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あるOB税理士の話しでは、相続税の当初申告書の約8割は過大申告であるそうだ。過大申告となっている理由の多くは、土地の評価誤りに起因する。そこで脚光を浴びるのが本書の税理士のような相続税還付専門の税理士。更正の請求期間である5年間を利用して当初申告を終えた納税者に営業をかけて、相続税申告書の無料診断をうたって、過大な申告となっている相続財産を指摘し、税務署に対して更正の請求、さらには異議申立て、審査請求などの税務争訟を提起し、上手くいけば還付金から手数料を何十%かとって納税者に還してあげる。納税者からすれば、追加の報酬なしで還付金を手にすることができるし、税理士も成功報酬型の高額な報酬を手にすることができるかもしれない点でまさにWin-Winの商売だ。ただ、当初申告を行った顧問税理士からみると、ハイエナのような筋の悪い税理士にしか思えないが。
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私の事務所では、これまで270件近くの相続税の見直しの相談を受けてきましたが、約8割にあたる220件で初めての申告の見直しが認められました。そして、1件当たり平均約1400万円の相続税が還付されています。
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税理士は、すべての税法や税務処理に通じているわけではありません。医者がすべての病気に精通しているわけではなく、それぞれに専門分野を持っているのと同じことです。
相続税は、所得税や法人税に比べて申告件数自体がはるかに少ない税です。平成24年度では、相続税申告が5万2394件であるのに対し、税理士登録者数は7万4349人であり、これを割ると税理士1人あたりの相続税申告件数は1件にも満たないというデータもあります。
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現実的には多くの税理士が土地の相続税評価を苦手としています。こうした事情があるからか、一度申告した相続税の見直しをしていると、単純な計算ミスや、違う土地を評価していたというような初歩的な間違いも見受けられます。公的な文書や資料を確認するために役所に行くのは当然かけるべき手間なのですが、それもしていないケースがあります。
実際に土地を見に行くことによって、初めて減額できる要因が見つかるものですが、慣れていないとどこに注意したらいいのかわからないのかもしれません。実地調査をしない税理士も多く、こうした背景が過大申告につながっているのです。
さらに、多くの税理士は、遺産総額の数%を相続税申告の報酬額にしています。
この方式では土地を高く評価するほど報酬が多くなる仕組みになっています。