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シカゴの女私立探偵V.I.ウォーショースキーのシリーズ、長編16作目。
アラフィフとなっても相変わらず、気風のいいヴィクが活躍します。
助けを求める電話をのこして、行方が分からなくなった女性ジュディ。
友人ロティの頼みで、ジュディを探していたヴィクが事件に巻き込まれます。
高名な医師ロティは年上の親友で、ヴィクが母とも慕う女性。
そのロティとは親の代からの縁がある一家とはいえ、ジュディは麻薬中毒で身を持ち崩しているらしい。
行方を追ううちに、ジュディの息子マーティンまでが行方不明とわかります。
企業の秘密を盗んで逃亡したという疑いがかけられていた‥
ロティが育ったヨーロッパでの出来事、第二次大戦中の核開発研究までが絡んできます。
現代のシカゴの巨大企業と、壮大な過去が交錯する‥
家族の歴史の暗部が次第に明らかに?
ヴィク自身は、演奏旅行で留守がちだけど理解ある恋人と上手くいっていて、元気がいいのにほっとします。
途中で出くわした麻薬密売人をやっつけたり、監禁から逃れたりと大車輪。
ユーモアと皮肉も健在で、かなりややこしい話を面白く読ませます。
2012年発表の「ナイト・ストーム」から少し間が開いてますね。
今後も、活躍ぶりを読みたいものです☆
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第二次世界大戦中の核開発、ドイツのユダヤ人迫害、コンピュータ、特許、そして死体、
第二次世界大戦中のオーストリアと現代のアメリカ・シカゴが交互に描かれ、徐々に真相が明かされ、物理にとりつかれた女性科学者とその子孫の物語が語られる。
親子の絆と反発、仕事と家族、嫉妬と裏切り、時代を超えて引き継がれるもの、さまざまな要素が詰め込まれ、物語を織りなしている。
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ロティの幼馴染、キティの家族。マルティナ、ジュディ、マーティン。物理学と家族の愛憎、嫉妬や嘘。時代背景が複雑に絡み合い‥相変わらず大きな力に翻弄されるヴィク。
IT大企業メターゴンと国家安全保障省による執拗な追跡。
絶望的な状況の中、小さな事実を積み上げて、仮説を立て真実に辿りつく手法、新旧の友人の手助け、信頼は変わらない安心感。
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2015.5.6久しぶりのヴィク。
相変わらずかっこいい。テーマは重く、読むのが辛いところも。
家族の歴史、絆。
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「一寸した人探し」的な案件が、半世紀を超える「歴史の裏側」に絡む事案を含んだ、思わぬ大事件に発展してしまう。大変興味深く読了した…
虚実入り交じった、半世紀以上に及ぶ“秘史”と、それを解き明かすヴィクの冒険…是非とも本書を紐解いてみて頂きたい!!
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よく考えてみると、ウォーショースキーシリーズの場合、事件が解決しても、犯人(と言うか黒幕というか)は、必ずしも逮捕されて終わりじゃないんですよね。この物語でもそう。一応、それなりの代償を負う形にはなって終わりますが、通り一遍の「巨悪が倒れで、目立たしめでたし」ではありません。そこが、このシリーズのもう一つの魅力なのかもしれませんね。
それはそれとして、V.I.も、そこそこの歳になってきているはずですが、いつまで活躍できるのか?そのあたりが気になっています。
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やっと読了。かなりのボリュームでした。
高名な物理学者の血を引くクスリ中毒の
女性を助けたロティに、ヴィクが助力する
ところからお話が始まります。
その女性、ジュディの息子、マーティンは
母や祖母と違って、物理学の天才。
IT企業でアルバイトをしていますが、
失踪してしまいます。
ジュディの母、キティに頼まれ、マーティンを探すヴィクですが、なかなか彼は見つかりません…。
第二次大戦中のロティに深く関わるお話。
マーティンの一家は、かつてナチから迫害を受けていたり、マンハッタン計画に関わった学者が出てきたり、現代のシカゴと大戦中のヨーロッパを舞台に、そう来るか!という歴史の謎解きも楽しむことが出来ます。
前々から思っていたことですが、パレツキーのライフワークの中には、『第二次大戦を風化させない』と言う内的テーマがあるのでしょうか。
いま、NHKのドキュメンタリーでも見ない限り、私達も、遠い記憶のように思っている戦争。それが本当に、もう起こる心配がないから遠い記憶になっていくならいいのですが…。
むしろ北朝鮮の情勢などは緊迫し、私達は戦争の影に怯えています。こういう警鐘の鳴らし方もあるのですね。
個人的には、ヴィク、
五十歳を過ぎても、お洒落好きで
パワフルで、危険な現場に飛び込んでいく
ヴィクは、一時期より若々しく、音楽家の
恋人、ジェイクとも上手く行っているようです。
一度
「あら私、もう歳かしら…。」
なんてところを通って、
「年齢なんか関係ないわ。私は私。今の私を愛して、思うとおりに生きるのよ。」
というふうに変化する…そしてもう一つ魅力的になる…というのは、この年齢の女性の、共通する心理的変化なのかもしれませんね。
おばあちゃんなんかじゃありません。
ヴィク、今が一番いい女なんじゃないかしら。
すぐカッとなる感じじゃなくて、優しさも見せてる。怒らなきゃいけないものには、敢然と立ち向かう。そのバランスがいい感じ。
彼女の、大きな権力にも屈しない強さ。本当のことが分かるまで、手を緩めないで事件を追う姿勢が、歴史の闇を解き明かしたり、事件に関わった人々を良い方向に向けていく姿は見ていて痛快です。
それだけじゃなくて…。上に書いたように
大きなテーマが隠れていて。
時間が解決して、生活が変化するとか、自分の人生史に新たな一ページが加わるとかは、一人ひとりには大きな変化だけど、歴史の中で起きる出来事としては、とても小さなこと。
でも、それを通して…
あの戦争を忘れたらダメよ。私達がそれを覚えてて、危機感を持ってることそのものが、大事なことなのよ…というメッセージも、伝わっていると思うのです。
やっぱりこのシリーズ、大好きですね。
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V.I.シリーズ第16作目。
1930年代に宇宙線物理学の分野でパイオニア的な研究を行い、ウィーンの放射能研究所の研究員だったオーストリアの物理学者マリエッタ・ブラウの存在からインスパイアされて書かれた作品。
今回はドラッグ絡みの事件かな?と思いきや、まさかこんな展開が待ってるなんて!なのはやはりさすがのサラ・パレツキーなのだ。
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マルティナから続く家族や、ロティの祖父母の悲しみが心に重くのしかかり辛かったけれど、後半ダロウまでが登場してテンポ良く続くハッピーエンディングに泣いてしまった。
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探偵ウォーショースキーの17作目。
振り回されていた従妹のペトラは平和部隊に参加して、
シカゴを離れてしまった隣人コントレーラスは、
意気消沈しているらしい。
ロティの古い友人の娘が電話で助けを求めてきたことから、
トウモロコシ畑にでかけて、
男の死体を発見してしまうヴィク。
さらにその娘の息子も行方不明になっていることがわかり、
その捜索も引き受けることに。
ロティの過去、コンピューターの誕生の秘密と田舎警察の汚職が
からみあい、
最後にはウィーンまで行くことに。
相変わらず地下に閉じこめられたり、
それでも孫息子を救いに出かけて、危ない目に遭うヴィクも
カフェインが睡眠を邪魔するようになったらしい。
リッチな家庭の娘と逃げまわるところは、
従妹のペトラとの事件を彷彿とさせた。
トウモロコシ畑で助けた犬を飼うことになるのではないかと、
いらぬ心配していたが、
飼い主が引き取れるようになって良かった。
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なんか中途半端な 3F 小説を読んでしまったので、やっぱりこういうときは V.I. だよなーと思って未読のうちから一冊を取る。このシリーズは大学時代にずいぶん読んだもので、今でも文庫・ハードカバー合わせて 10冊くらいは本棚に並んでいる。最後に読んだのが booklog にも登録されている「ナイト・ストーム」で 2012年、その前で本棚に入っている一番新しい作品は 2004年の「ハードタイム」だから 10年に一冊くらいしか読まなくなってしまった。
最初の方はチンタラ読んでいたのだが、後半300ページくらいは夜を徹っして一気読み。そうそう、こういうのが読みたかったんだよ。一時期はおばあちゃんっ気を出して腰が痛いの疲れが取れないの言っていたヴィクだが(そのせいでちょっと距離を置いてしまったというのもある)、その路線は止めにしたらしく、いつものパワフルな女探偵が戻ってきていて嬉しい。あとは江口寿史のカバーイラストが戻ってきてさえくれれば、全冊揃えるのに。