紙の本
発想がすごい
2015/10/22 22:24
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「東京島」にしろ「残虐記」にしろ、発想が素晴らしい作家だと思う。本書の場合も生の根源に迫るテーマを7編、短いながらもじっくり読ませてくれた。人間は、まさに様々な意味で奴隷だと知らされた。
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【想像力と感応力が炸裂する超異色短編集】時代や場所に関わらず、社会に時折現出する抑圧と奴隷状態。それは今ここで起きても不思議ではない。七作を収録した超異色短編集。
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女同士の醜いところを書かせたら右に出る者がいない桐野夏生が、人は弱いが故に何者かに隷属してしまうというテーマで、人間の醜さ、恐ろしさを凝縮して描いている。
展開が気になりあっという間に読了。
桐野夏生の最近の長編の傾向にありがちな風呂敷広げたが途中で連載最終回が来てしまったような尻切れとんぼ感がない。ある意味「柔らかな頬」のように結末を読み手に委ねる構成。短編の方が読み手の想像の翼が広がって興味深い。私は最初の2編「雀」「泥」が怖かった(涙)
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様々な形で囚われの身になる人々を描いた7つの短編。短編ながら著者らしい不気味で気持ち悪い毒のあるお話は充分に楽しめた。アイドルを目指す夢の奴隷である少女がリアルで哀しい。次は長編を期待したい。
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桐野夏生さん、初めての一冊となる本書は異作だったのかな〜と。正直、読んでる側からおどろおどろしさや不快感を感じながらも結末を知りたいという興味に終始包まれた。
7つの短編、時代も人も関連性はない、あるのは 無倫理の世界観。
タイトル名がそのまま当てはまる、
『奴隷』とは理不尽で不平等極まる身分、その環境を指し、必ず支配者たる対極の存在があるということ。
ある編では異次元の狂気の昔話の世界で女性が男の所有物として甚振られる「性の奴隷」だ。意にそぐわなければ舌を斬られ眼を潰される。。また、ある編では現代の1アイドルを夢見る10代姉妹とオタク、プロダクションの従属性を母目線で危うく語るような…最後の編も、かなり強烈、収容所の中にも序列があり、監視側の天国の世界を垣間見ることを自身の生きられる道より優先させた父と息子。。
あくまでもブラックファンタジーとして楽しむか、太古の昔からいたる場所であった隷属制度、この現実をオーバーラップした世界の話しとして捉えるかは 人それぞれなのだろう。
自分なりに気付かされ、救われる気持ちになれたのは 真の服従はないんだなって。。心の中までは支配できない。人の信仰心、好奇心も不死身なのだということ。
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7編の短編集。
う~。読解力不足で、作者の言いたいことが分かりません。
誰かに強制力をもって捉えられ、服従させられている人を描いているのは分かります。
アイドルは夢の奴隷なんですね。
言い方はかなりきついが、 ある意味では理解出来ます。
いろいろな職業や立場の人が奴隷と言えそうです。
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短編7編。
奴隷小説、確かに。
行動を制限され自由を失うって何より嫌だな。
『泥』が印象的だった。
あたしも、泥の中を歩くことを選ぶ。
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短編集でどの話も残酷でおぞましく、嫌な読後感。
「雀」は日本昔話をアレンジしていて、残酷な場面もあるがその世界は面白くて、
昔こんなこともあったのかも、と思わせるものがある。
終わり方が尻切れっぽくて、この続きが読みたくなる。
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「雀」「泥」「神様男」「REAL」
「ただセックスがしたいだけ」
「告白」「山羊の目は空を青く映すか」
7編の短編集。
どの世界も短編だけに瞬発力があり
すぐにその物語に入り込めた。
うつうつ、ドロドロとした読後感、
嫌いじゃないです。
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短編集。
桐野夏生ワールド、まさに全開だ。
題名がすごいのだが、その題をすら、軽く感じさせられる、すごい7編だった。
恐怖は人間を骨抜きにし、人はその恐怖心によって拘束される。
じわじわと追い詰めるような物語は、どれも、不気味だ。
私が特に怖かったのは「雀」と「泥」。
理不尽な世界には、逃れる方法がない。
辛いのだが、どこか救われる気分であったのは、
「山羊の目は空を青く映すかDo Goats See the Blue?」
自らを見出せた主人公がまぶしかった。
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好きな桐野ワールドなんですが、これは気持ちが入っていかなかったかな。読解力の無さなのかもしれませんが。
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奴隷をテーマにした幻想小説でした。暗くて好きなストーリーではなかったですが、リゾート地などでじっくり読んで異国情緒を味わうのに最適な短編集だと思いました。
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奴隷、あるいは奴隷状態がを主題とする短編集。
「雀」、「泥」、「神様男」、「REAL」、「ただセックスがしたいだけ」、「告白」、「山羊の目は空を青く映すか―― Do Goats See the Sky as Blue?」の7編からなる。
村の長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう。それがこの村の掟。そしてあらたな結婚の相手として、ある少女が選ばれた ――「雀」
突然原理主義者らしき兵士に襲われ、泥に囲まれた島に囚われてしまった女子高生たち ――「泥」
アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは ――「神様男」
3年前に一人娘に突然視察された中年女が一人、ブラジルのサンパウロに降り立った。彼女が出合った一人のストリートチルドレンからプレゼントされたキャンドルを灯したとき・・・ ――「REAL」
極北の地にある炭鉱労働村に働きに来たコウサがみた炭鉱村の苦悩と悦びとは ――「ただセックスがしたいだけ」
陸地が近付いてきた。薩摩の煙草商人の息子、ヤジローはやっと日本ガラ逃げ延びゴアに着いた。そこでであった日本人の老人から聴かされた告白とは ――「告白」
管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事せざるを得ない。そして時には動物を殺すより躊躇なく殺される。死と隣り合わせの鐘突き番にさせられた少年の運命は ――「山羊の目は空を青く映すか―― Do Goats See the Sky as Blue?」
時代や場所を問わずに人間社会に現出する抑圧と奴隷状態。それは、ややもすると自分自身の心の中に巣食ってしまうこともある。
まさにそれは「かつて」や「遠い場所」ではなく、「いま」、「ここに」、「自分に」起きいることでもあるかもしれない。桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した奴隷状態の描写たち。
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表紙を開くとまず「私たちは、泥に囲まれた島に囚われている」という一文が飛び込んできて、その瞬間から自分もその島に飛ばされてしまう。そして読み進めていくうち、だんだんと泥の海に足を取られ沈んでいくような気持ちになってくる。恐ろしく理不尽な扱いを受ける人々の話。でもこれらの話は昔話でも架空の物語でもなく、現在進行形で世界中に存在しているのだろう。
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生まれもっての身分の違いや誘拐、アイドル志願など、それぞれの閉塞的な世界のなかで、様々な形で「奴隷」として囚われの身となった人々を、淡々と描いている。強烈なタイトル通り、悪夢を見るような短編集。
いずれも最低限の設定しか明かされないものの、そのほとんどが理不尽な状況下にあって、死によってしか解放されないという救いのない話ばかり。
ただし、そんなやりきれない現実に直面しても、多くの主人公たちは強さを見せる。抗いようのない巨大な力に対して、追い詰められた最後の最後に、胸を張って自らの意思を貫き通す姿は、悲劇ではあっても敗北ではないと感じる。
作者ならではの、力強さが凝縮した怖い作品集だった。