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謎解きをひっくり返し直して台無しにするかい?
2019/05/16 20:08
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
核防護シェルターという非常に堅牢かつ、この世にこれ以上はないと思わせる密室が舞台。
作中の閃光は!?轟音の正体は!?線量計が指し示す数値は!?
そして、緊迫した状況の中で次々に起こる怪死、変死。それは自殺か、あるいは他殺か。
メタフィクションとして構成されているので、作者自身も登場する。
好き勝手に古今東西のホラー・ミステリ・サスペンス作、映画評や作評まで。
冗長にならずうまくまとめられているとは思うが、私も聞いただけの作や内容がうろ覚えの作も多く、うんちくに正直に付き合う必要はないだろう。
ただ、まぁどんでん返しだから、さらにどんでん返しでテンドンまでしなければいけないものか・・・。
ちょっとこの結末のやり切れなさは、森博嗣の『そして二人だけになった』とも共通するように思う。
中盤までは緊迫感も緊張感も凄まじく、壁一枚を隔てて遺体と過ごす不穏さ、疑心暗鬼にかられ落ち着く暇もない疲労感が実に見事に、スピーディな展開で描かれている。
それなのに、このオチはどうなんだろうか?
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ミステリ・フロンティア刊行の単行本を文庫化したもの。
『密閉された核シェルターの中で発生した殺人事件』を描いた密室ものかと思いきや、オチで思いっきりひっくり返される。
随所に出てくるホラー映画の蘊蓄も面白かった。
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核シェルターで発生する極限状況下での連続密室殺人事件ーーということで、クローズドサークルものです。
文庫化にあたってあちこちいじられてるようです。(元を読んでないのでどう変更が加わったのかは判りませんが…)
三津田さんお得意の理詰めで展開する「終末」、あの展開はけっこうズスイな(笑)と思われる方いるかもしれませんが、後から反芻するとジワジワ来る感じで私は好きな部類ですね。あちこち読みながら「あれっ?」と思ってたことが、なんとおぉ、こんな展開にぃぃ!って感じw
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「外部が放射能で汚染されている」という、クローズドにも程があるやろ〜!とミステリファンなら胸熱になること請け合いの舞台設定。
そんな究極の状況下で発生する連続殺人。彼等をここに導いた人物の事件への介在を示唆しながらも、絶望的な事実がそれを否定する…(胸熱)。
そして、遂には物語の語り手までもが死亡した!と思わせておいて実は…なトリックは、使い古された物ではあるのですが、そこは三津田先生です。見せ方がとてもスマート。説明がましくないのよね…めっちゃ説明してるけど…←
そして、最後に明らかになる衝撃の真相。
想像するだに恐ろしい犯行状況に、ページをめくる指の先が冷たくなりました。
何より恐ろしかったのは、「被害者が本当に死んでいるかどうかを確認する為に取った生存者のある行動」だけどね…。この部分は、あまりにも有名なクリスティの某作品を彷彿とさせます。この行為をさせることによって、クリスティのトリックは今作では成立しないことを表現してるんですよね〜(・ω・)だから、「そっちじゃないんだ!」ってすごく嬉しくなっちゃったのよね〜
…かなり前に読み終わってて、感想もメモ書き程度しか残してなかったから、なんか箇条書きな文章になってしまった…(・ω・)うむ…いつも通り…←
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究極の嵐の山荘形式のミステリです。
究極の密室でもあります。
相変わらずのミステリとホラーの見事な融合です。
楽しめました。
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目覚めた場所は硬くて冷たい床の上だったーー。“私”は自称ミステリ作家の富豪、火照陽之助(ひでりようのすけ)の屋敷を取材する。目当ては庭の迷路に隠されたシェルターだったのだが……。そこで発生する極限状況下の連続密室殺人事件。地の底で待つ謎と恐怖と驚愕の結末とは何か? “作家三部作”に連なるホラー&ミステリ長編。
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そうそう、扉に逃げ込んだ時の描写がずっと引っかかっていた。ヒントは既にいくつか出てたのに、この結末は狐につままれたよう。よく思いつくなぁ。シェルターで生き残ってもこれは地獄。
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核シェルター内で起こる連続殺人。ホラー映画やミステリー映画に関する薀蓄が多く楽しい。賛否両論となりそうな結末ですが、自分は結構好きです。
とはいえシェルター外のことについては、もう少し説明が欲しかった気もします。本当に外は放射能で汚染されているのか、閃光やオーロラの正体は。想像はいくらでもできるのですが、作品内で明確に示されなかったため少しもやもや。それも作者の術中なのかもしれませんが。
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核シェルターに閉じ込められた人間が一人、また一人と死んでいく典型的なクローズド・サークルもの。密室もてんこ盛りでプロセスは非常に面白かったものの、結末はこれまでの議論は何だったのと思える終わり方だったので満足出来ませんでした。
また、密室トリックも図説が必要な機械トリックばかりでややこしく微妙でした。
途中で繰り広げられるミステリー映画談義はとても面白かったです。
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核シェルターという閉鎖空間での連続殺人事件。
クローズドサークルどころか、「そして誰もいなくなった」に通じる展開。しかし、そこは三津田氏なので、アクロバティックな展開がある。
・・・のだけど、刀城シリーズを期待すると外れるかも。
主人公の一人称で描かれ、色々伏線もあるのだけど、退屈な展開が多い。ダラダラとして内面描写は必濃くて退屈。
意外性は十分あるのだけど、核シェルターという仕掛けの大きさ、それまでの経緯など、話が広がっている割には、謎に向けて話がどんどん収縮してしまって面白みがない。
筆者のホラー映画の蘊蓄が展開されるのも、同じ映画ファンの私から見れば楽しいが、マニアックなファンでなければチンプンカンプンだろうし、密室トリックもこじつけのそしりを免れないのでは?
(もちろん、そこも含めてオチはあるのだけど)
並の作家の作品であればともかく、三津田氏の作品としては物足りなく感じる。期待が大きすぎた、というのに尽きるのかな?
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密室がアホみたいに出てきてワクワクしまくりだけど、真相がこれじゃあね…
別に機械的トリックを否定するわけじゃないけど、メインのネタがアレなんだから、ここはもう少し力入れてよ…と。
メインのアレだって否定するわけじゃないけどさ…ここまで冗長に書くだけのネタでもないでしょうに…
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「シェルター 終末の殺人」
作家三部作に連なるホラーアンドミステリ長編。
三津田信三作品を初読了。果たして一作目はこれで良かったのだろうか。
主人公は、三津田信三。元編集者で現在ミステリ小説を書いている。彼が構想していた小説「シェルター終末の殺人」執筆の為、火照陽之助の屋敷を訪れていた。その時、稲妻かオーロラか異常事態が発生する。三津田はその他の見物人と共に核シェルターに逃げ込み危機を脱したかに見えたが、そこで連続密室殺人事件が起きてしまうというストーリーです。
クローズドミステリーに注目する前に目につくのが情報(ウンチク)の量。火照陽之助の屋敷の生垣の描写では、S・キング「シャイニング」に始まり、映画版シャイニング、キング自ら脚本を書いたTVミニシリーズまでに派生し、シェルター外で起きたと思われる核爆弾に関する描写では放射能に関する知識が膨大に盛り込まれています。シェルター内では、火照の膨大なビデオコレクションに加え、小説と映画では犯人の隠し方は違うやん?みたいな話を星影と三津田で始めてしまう始末。後者に至っては、2人の熱い会話は、数ぺージに渡り、もはや本書のハイライト。
その情報(ウンチク)は、連続密室事件の真相を追求する三津田と星影の推理にも活かされながら進んでいくのですが、肝心の謎は好みが分かれそう。解説の篠田氏の私的三津田ベストランキングでは1位を争う何度も読みたくなる小説らしいですが、私はその面白さをかみ砕けなかった。
果たして、三津田作品の1発目は本当にこれで良かったのだろうかw
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ちょっとコメントしづらい作品
読者に考えさせるという点では成功しているのかもしれないけれど、解説が欲しい…
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――扉を閉ざした。
という一文から始まる、クローズド・サークルで次々と首つり死体が見つかる連続殺人事件。
この作品はクローズド・サークルの場所が一番の特徴で、なんと核シェルターの中である。
シェルターを見学に来た作家三津田信三が、核爆発か何かが起きたためにシェルターに入るところから物語が始まる。
なお、シェルターに入る原因となった謎の閃光や、警戒音を出す線量計の原因は最後まで明かされない。そのため、実際に核戦争が起きたのかは作品中ではわからない。
しかし、外気の高濃度の放射線を計量しているのは事実なので、主人公と閉じ込められたメンバーは誰一人積極的に外に出ようとはしないため、クローズド・サークルが形成されている。
舞台は「スラッシャー 廃園の殺人」の舞台となった火照陽之助の邸宅であり、前作に出てきた廃園の迷路の見取り図があるため、見比べてみても面白いかもしれないと思った。
しかし、前作では廃園となっているのに今作では持ち主の火照は序盤に庭園もろとも被爆しているようであり、この二作は時系列違いの作品ではなく舞台は同じのパラレルワールドのような扱いなのかもしれない。
前作と同様に、豊富なホラーやミステリー映画の知識が作品のあちこちに現れている。
ミステリーの作品中において、殺人を犯す理由は様々だが、自分が殺人犯であると世間に広まることや、探偵に知られることは隠したい、知られたくないことであるという前提はほとんどの犯人が持っていると思う。
だから犯人は様々なトリックを用いて自分が犯人である事を隠す。それが犯人と探偵の知恵比べとなり、ミステリーの中核を担う。
犯行が誰にもバレずに、完全犯罪を成し遂げた場合には犯人は、自分の犯行がバレるかもしれないという不安や悩みから開放されるはずだ。
しかし、この話は違う。
犯人が、自分は捕まらないと確信してもなお不安からは解消されない。非常時で警察が機能していないので、誰も犯人を捕まえない。しかしそれでも、自分からは逃れられない。
最後の犯人の行動は、自分に苛まれながら生きていく恐怖から逃れるために一歩を踏み出したとも取れるし、単に自己保身に長けた犯人が線量の薄れた世界に出ていくために理由をつけたとも考えられる。
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設定は面白くて、蘊蓄も自分の方向性とは違いますが.まぁ楽しめました。
ただ結末があまりにあまりじゃないですか。この手の小説に慣れてない人を放り投げて、?マークが飛びかうだけ。
作者も編集者(本物の)ももう少し考えてくれても良かったのでは。分かる人だけ分かってじゃす不親切でしょ。
この人の作品は好きなものが多いですが、これな少々いただけません。