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長い年月のなかで絵画や彫刻、写本など、姿を消した作品、形を変えた作品、破壊された作品、隠された作品、所有者を転々と変えオリジナルが失われた作品は多々ある。それらは複製などによってそれが存在した事実のみが残された。そういったオリジナルを目にするのが“不可能”になった作品たちを視覚的に蘇らせたのが本書美術本。
まずはそのユニークな視点に脱帽。当然のように知らなかった作品からオリジナルがこの世にないとは知りえなかった作品まで古今東西多彩な作品揃えとなっている。掲載された数は決して多くはないが、絵や写真がただ羅列されるだけでなく個々の解説があるのが嬉しい。その上で主旨の通り何故オリジナルが失われたかの説明が掲載されている。
名立たる芸術家たちの作品が盗みに盗まれ手に負えなくなった犯人の母親が運河に投げ捨てるなどとんでもないエピソードだが、事実なのだから仕方がない。作品を楽しみつつ、同時に美術界を取り巻く闇のようなものも読み取れるのがやるせなくも興味深い。
不可能美術館に並べられた作品たちに想いを馳せつつ、現存している美術作品たちを想う。年月を経て、人の手を渡り海を渡り大切に保管され、時に技術をもって修復され今尚私たちの目を楽しませている。作品の一つ一つに重みを感じ、作者と作品を守ってきた人々に敬意を感じた。
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破壊されたり、改ざんされたり、あるいは私蔵や死蔵されたりと芸術作品は様々な事情により一般大衆の目の前から消えていく。変わってことも、消えていくこともまた芸術作品の宿命なのかもしれない。
芸術作品は所有者個人の財なのか、それとも公共のものなのかという問いを再度考えざるを得ない。そして、たぶん、芸術作品の所有者はヴェニスの商人のシャイロックのようなものなのだろうなと思うのである。
模写や写真などの当該作品の図版だけでなく、盗難にあった美術館の外観や、盗品の捜索の様子、また彫刻が置かれ壁画が描かれた建造物の写真もあり、とても面白く読めた。
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図書館で拝借。
美術展などは年に数回行くか行かないか程度の
超ライトなファンだけど、こちらは深い知識がない
自分でも楽しめた。
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今となっては接する事が不可能な美術品や、クリストなどのその時限りのARTを紹介している。
収穫はラファエロの「若い男の肖像」とフェルメールの「合奏」が観られたこと。
ラファエロの作品は第二次世界大戦のどさくさで行方不明になったらしく、余り上等ではない図版が載っている。
サインがなく、真作ではないと言う説もあるそうだが、図版みただけでも、これはラファエロの作品に違いないと思える。そこらへんの画家に描ける絵ではない。
行方知れずになっている多くの巨匠作品がもっと発見されるといいなと思う。
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琴線に触れるテーマ。破壊され、盗まれ、隠され、様々な形で失われた芸術作品を紹介する企画は素晴らしい。解説文は不親切。経緯を全てわかってる人のオシャレな書きぶりなので、事件や社会的背景を知らない人にとっては理解しづらい。図版も、サイズを小さくして良いのでもっと数を増やしてほしい。
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盗難、破壊等、様々な要因で失われた至宝を集めた空想美術館。
・姿を消した作品・・・8 古代ギリシアの彫刻、現代アートの運命等。
・形を変えた作品・・・6 バラ売りされた写本、テロの影響等。
・破壊された作品・・・9 バーミヤンの摩崖仏、火事での焼失等。
・隠された作品・・・8 ラスコー洞窟の壁画、個人所蔵等。
・盗まれた作品・・・9 戦争犯罪や泥棒による盗難等。
アーティストの索引有り。
以上40の至宝について紹介し、数奇な運命を綴っています。
至宝は、洞窟の壁画から絵画、彫刻、宝石と範囲は幅広い。
戦争での強奪、テロ、自然災害、故意(火事など)、盗難等の他、
作者自身の表現活動としての消失もありました。
また、発見された作品もありますが、
ポンペイやアクロティリ遺跡のように都市が火山灰で「隠された」
おかげで守られ、発見されたという、皮肉!
しかし、オリジナルが失われた作品は実は膨大なもので、
ほんの一部でも、模写や写真等で残されているのは、奇跡かも。
現在“可視”な作品が“不可視”となって、
不可能美術館に登録されることがないように、願います。
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様々な美術品をエピソードとともに紹介。
現代アートにすごい金額の値がついてるのは驚き。
モノによっては市場価格を吊り上げるためにわざと盗難に合わせるケースもあるとか。
セザンヌはちょうど2019年に日本に来ていたので観賞できた