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2/19 読了。
平成の『白い巨塔』を書きなさい、と出版社の方に言われて書いた、というようなことが、巻末の謝辞から読み取れるが、当然のことながら『白い巨塔』とはだいぶ雰囲気も作風も違う。なぜ、医療を題材にしたかったのか、わかりづらい。
あくまで個人的な感想だが、医療に寄ったせいなのか著者らしさみたいなものを感じづらかったのも確か。
たとえば渡辺淳一氏なら、このテーマにまったく違和感はないが、んー…。
読ませる文章と展開はさすがで、ほぼ一気読みに近かったが、読後感がどこか中途半端だったのが残念。
日本や世界の医療問題、主人公の恋愛遍歴、そのふたつがメインの流れだったのは良いが、最後に東日本大震災をもってくるのもあまり好感が持てず、もう少し違った終わり方ならもっと良かったように思った。
ちなみに、島清恋愛文学賞受賞作品ということだが、同賞受賞作である江國香織の『がらくた』とはあまりにイメージが違うので、気になって歴代の受賞作を調べてみた。ほとんど読んだことのある作家ばかりだったが、林真理子氏のこの作品と同年に受賞している千早茜著『あとかた』は、もしかしたらまだ読んでいないかもしれない。
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これぞ私の読書の目的『知らない世界を知る』小説でした。
読み終わってもなお覚えられない書名…読者にゆだねられたと解説された福島での主人公の活躍…
少し消化不良的な、私だけの基準でいくと手に余る本だった。
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前半は主人公が公私ともに充実してる感じがよかったけど。
後半はちょっとグダグダ、終わり方も尻切れトンボみたい。
まぁ、林真理子の小説は久しぶりに本を読むときの助走にはなるんだけどね。
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WHOに勤める女医の志帆子。世界中を飛び回るやり手の女医ながら、その美貌で沢山の男たちを翻弄している。彼女をとりまく男たちと家族の話。表紙の絵とタイトル、序章からは、アフリカの僻地で感染症と闘う医療小説を期待したが、恋愛がメイン。途中医療過誤訴訟なども出てくるが、医療小説というにはほど遠い。最後は地震まで出てきて、収集がつかなくなって終わった感じ。民放の連ドラみたい(主演の志帆子役は鈴木京香のイメージ)。
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WHOで活躍する主人公の世間とは隔絶した生活。周囲には神がかったとでも言える妖艶さにも映り、憧れ崇められる。やりたいことをやる人はタフで頑張れるとも感じた。2018.5.10
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佐伯志帆子の生き方に妹の死が深く影響している描写が特に印象的であった。血を分けた姉妹で、苦楽を共にしたはずの妹を、死の間際にその死を願ってしまったことへの罪悪感、また、そうまでしたのに結局母親からの愛情を得られなかった虚無感が今の志帆子の在り方に影響をしているように思える。死んだ人間は答えてくれないからこそ、その人が生前に紡いだ言葉は、たとえその人がどれだけの重みをつけて発したのかに拘らず遺された人の心に残るものだ。
だが、結論として志帆子の本質は変わらないようにも取れる。上手く立ち回って、周囲の注目と賛辞を集め、性に奔放。愛してくれる神がアスクレピオスに落ち着いただけで、妹の言葉や死がなくとも、志帆子はまた別の神に愛され、今の志帆子と似たものになっていたと思う。森を大事にして身近の木を大事にできないことは、(作中ではそれか大きいものの前の瑣末事として弁護されているものの)志帆子がアスクレピオスの愛人にはなれても、アスクレピオスにはなれなかったことの現れでもあると思う。
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途中までただの女の生き方についての本と思いつつ、最後の一章で女医、というか医療人の話にまとまったよう。ただ最後一章での場面転換が激しいためにちょっと薄れてしまうなという印象。
なんだか、私の書きたかったものをいっぱい書きましたというようなまとまりのなさはありますね
裁判の場面、読みながら白い巨塔を想起したのは事実だが、それだけ。平成の白い巨塔は名乗れないなという程度だという感想を得た。