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文庫本化で再読。やはりネタが割れていると、面白さは半減。作者の作品は伏線がどう収れんしていくのかということで読み返してもよいのだが、本作はあまり複雑ではないせいかもしれない。
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久し振りの出張で、往復の新幹線や3日往復したりんかい線の中で読み進む。
のんびりとした猫の独白からいきなり始まる戦争に負けた村でのショッキングな出来事、続いて始まる絡め取られた私と猫との会話、その中で語られる村の人々が口にする“クーパー”についての不思議な伝承、過去に遡って語られる“クーパー”退治に選ばれた若者のお話。
派手な出来事は無いけど、じわじわと語られるお話の展開に引き込まれ、物語が語り終えられた時、全てがスッキリと腑に落ちる。
お伽話法螺話の加減、ユーモア、秘められた寓意…、どれを取ってもこの作者らしさが一杯詰まった作品。
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猫のトムが可愛いし、構成も面白いしなるほどっと思うのだけどなんとなく読み進めるのがしんどかった。決して面白くないわけじゃないのだけど、イマイチ乗りきれなかった。
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目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める――
これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
著者あとがき=伊坂幸太郎/解説=松浦正人
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クーパーはいなかったのには驚いた。前半の世界観の説明でクーパーはいると思っていた。
いつもの伊坂節が炸裂という感じだった。叙述トリックがうまい。いつも通り騙された。
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名前だけで新刊を買う。
伊坂幸太郎。さすがだなあ。
ここ最近出てる彼の文庫はなかなか癖が強い。
入り込むのに時間がかかる。
入り込めない場合も多々ある。
この夜の国クーパーは、最初50ページがなかなか進まない。
伊坂幸太郎が書いてなかったらこの時点で読むのを止めてたかもしれない。
ただ、トムが壁の外に出た辺りから、いや、そのちょっと前らへんから、読み始めたら止まらない!!そこまで来るのが長かったけど、ここまで来たら一瞬です!!!
最後まで読み終えたとき、読んで良かったと思うことまちがいなし!!!!
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妻に浮気され、居心地が悪くなった家を飛び出し、趣味の釣りに出た「私」は、乗っていた舟が転覆し、気がつくと見知らぬ場所の草叢で、蔓に縛られて身動きが取れない自分を発見します。
そして突然、見知らぬ猫「トム君」に話しかけられ、彼の故郷である小さな町に起こった出来事を聴かされます。
その町がある国は、隣国との戦争に敗れ、軍隊が入り込んできて国王を処刑され、人々は恐怖に怯えながら暮らしているというのです。
トム君は私に、町を救う手助けを頼むのですが…
人語を話さないはずのものが話したり、一見、長閑で平和な社会に不穏な影が差し掛かったりという設定は、伊坂さんのデビュー作「オーデュボンの祈り」を彷彿とさせます。
また、人間だけでなく、猫やネズミの社会や暮らしぶりもユーモアたっぷりに語られます。
小説に出てくる人物や事柄を、実在するそれらをモチーフにしてるとか、あるいは何かの隠喩だと考えることは、僕の場合、あまりありませんが、このお話は、何となく現代の日本や世界情勢をなぞらえている寓話のような気がしました。
でも説教くさいお話では決してありません。
町の行く末をハラハラしながら見つめているうちに、物語は最初に見えていたのとは、全く違う様相を呈してきて、最後には予想もしなかったドンデン返しの結末にたどりつきます。
そして、プロローグのようなエピローグを読み終えた時に、切なくも温かい感動に包まれます。
ファンタジックな傑作ミステリー。
やっぱり伊坂幸太郎さんにハズレなしです。
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大人のおとぎばなしかな。
伊坂作品らしさが随所に溢れ出ていて、
読んでる最中は至福の時間でした。
ラストが痛快なのもまたいいねぇ。
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さすが、伊坂作品。これは必読の一冊かも。
ある程度読み進むと『私』がどういう人なのかは、想像出来てしまうけど、それでも面白い。
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どこかうちひしがれた主人公、異世界のようでありながら現実と地続きの舞台、猫を語り手に用いることで生み出される異化作用、哲学的でありながらユーモラスな言葉の数々などなど。
伊坂作品の醍醐味みたいなのを、一通り楽しむことができる作品なのかなと。
しかしその中でも、既往の作品には見られなかった世界平和(言葉にするとチープだな)のようなテーマも扱われていて、全く虚構の世界ではあるのだけれど、現代社会に対する警鐘とも受け取れる部分も多々見られた。
特に猫と鼠のやり取りから、自分たちにとっての平和が、他者にとっての平和とは限らないことを痛感。
色々と思うところもあるけれど、読後の爽快感はさすがの伊坂作品。
単純に楽しめる一冊だと思う。
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昔はそれほど響かなかった伊坂幸太郎に、今さらながらハマり、最新文庫ということで読んだ。
セリフが魅力的で、今の時代に恥ずかしげもなく「勇気」をテーマとしている作品が多いところがいいのだと思う。
この作品に関しては、そういったメッセージ性があまり強くなく、よくありそうなストーリーだったので、星は3つ。
真実を見極めようとするという姿勢。
相手を知ろうとすることで、平行線がいつかは交差する。
当たり前だけど、気に入った部分。
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大満足!!!
なかなかシュールな推理小説だと思うけれど、内容は王道で正道だと思った。
妻の浮気の憂さ晴らしに釣りに出かけた、しがない地方公務員の僕が、急激な天候変化で舟が転覆して遭難。そして、目が覚めた時には蔓のような縄で縛られて、猫に話しかけられた。
「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と(笑)
そこから始まる寓話的な世界は独特なものなんだけど、もしかしたら私たちもこの世界の人々とおんなじ場所に立っていないかと考えると、背中がふっ、と寒くなった。
人はもしかしたら、自分の都合の悪いものは……。と重大なネタバレは避けて、猫好きの人にはたまらない傑作であることは確か。
そうして大江健三郎ファンの私には作者の後書きがたまらなくうれしかったりするのだ!
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人と動物の違い,それは知性だろうか.だとするなら知性の中に悪魔が潜んでいるのかも.遠い異国の物語でありながら,現在を暗示させる何かがある.とても興味深い一冊でした.
以下あらすじ(裏表紙より)
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すものだから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」猫は摩訶不思議な物語を語り始める―これは猫と戦争、そして世界の秘密についてのおはなし。
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戦争と支配、そして帰るべき場所をテーマにしたミステリー。しかも、ファンタジックでユーモラスにあふれたミステリーだ。
非現実的な設定なので牧歌的な雰囲気が漂うが、語られる内容は意外と重い。
伊坂作品定番とも言える、伏線がうまく回収されていく様を気持ちよく読ませてもらった。
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伊坂幸太郎の文庫新刊が出るとついつい手にとってしまう。そしてあらすじも読まずにレジへ、という定番の流れ。今回もそうでした。読みはじめると意外や意外、ファンタジー?戸惑いながらも読み進めると、ミステリー要素もある冒険活劇でした。(出版元もミステリ文庫)初めは戸惑ったものの、中盤からラストにかけては夢中でページを繰っていました。伊坂幸太郎らしいトリックに、うんうんと納得。あー、面白かった。20150325読了