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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この人の本を読むと、教養は楽しむためにあるような気がしてくる。わかる方が、わからないより絶対楽しい。ということで、ユーチューブでパガニーニを聞いてみた。
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ブクログお知らせより:2015/7/27
購入:2015/7/29
読了:2015/8/2
一章につき2つの絵画を紹介しているからか、いつもより説明の密度が薄い気がした。印象に残った絵も少なかった。
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シリーズ第四弾。
20の名画同士の対決。さて、比べてみると何が見えてくるのか?
2、ルノワールとピカソのムーラン・ド・ラ・ギャレット
昼と夜の姿は全く違う。
同じ場所なのに空気が全く異なるのだ。
健全な、陽の光が印象的なルノワールに対し、ピカソの絵は香水と酒の香りでむせ返りそうだ。
どちらも真実なのだろうが、これほどまでに姿を変えると到底同じ場所とは思えない。
集う人々も、二面性を持っている......?
9、男の美貌
リゴーの描くルイ15世、レーニの聖セバスティアヌス。
どちらも麗しの君だ。
肖像画など、盛りに盛って3割4割当たり前の中、ルイ15世は本当に美しかったという。
権力も美しさも何もかも持っている男......。
しかし彼は幸せだったのか?
美しさとは一時の権力だというけれど、最後はただのセクハラ親父に成り下がったのならば、美しすぎるのも問題か?
一方、聖セバスティアヌス、こちらもドキドキするような美貌だ。
リアリズムのなさがかえって美しさを際立たせる。
いためつけられながらも恍惚とした表情を浮かべているのがエロティック。
15、ルーベンスとレンブラント
夫が妻を、妻が夫を愛すること。
当たり前なのに次第に難しくなっていくもの。
我が家は大丈夫、と思いたいが果たして本当にそうかな?
もしかしたら相手の心は違うかも......。
ルーベンス夫妻は上品で仲睦まじく、まさに理想の夫婦。
こんな夫婦になれるなら何度でも添い遂げたい。
レンブラントは庶民の姿といった感じ。
自分をノーテンキだと笑いながらも妻を大事に思っていたに違いない。
これもなかなか気楽でいいかも(いや、でもルーベンスの方がいいなあ)。
16、モリゾとレンピッカ
こちらは夫への愛を描いたもの。
心が通じている時、離れてしまった時、それぞれの思いが伝わる。
穏やかな気持ちになれるのはモリゾ、だが、レンピッカの冷たい夫のまなざしと未完の左手が訴えてくる心の方が、より心を刺激する。
できることなら、凡庸な日常でありたいが。
さて、それぞれの対決、より心に響いたのはどちらだっただろうか?
響いた方が今の自分の心そのもの。
また見方が変わるかもしれない。
そのとき、人は変わり続ける、ということを実感するだろう。
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印象に残った絵の解説
グスタフ・クリムト
『接吻』
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
『聖マタイの殉教』
ピエール=オーギュスト・ルノワール
『ムーラン・ドラ・ギャレット』
パブロ・ピカソ
『ムーラン・ドラ・ギャレット』
ティツィアーノ
『ウルビーノのヴィーナス』
マネ
『オランピア』
ウジェーヌ・ドラクロワ
『ヴァイオリンを奏でるパガニーニ』
ピーテル・ブリューゲル
『農民の踊り』
フランツ・ヴィンターハルター
『オーストリア皇妃エリザベート』
フランツ・ヴィンターハルター
『フランス皇妃ウージェニー』
ピーテル・パウル・ルーベンス
『ルーベンスとイザベラ』
レンブラント・ファン・レイン
『酒場のレンブラントとサスキア』
ベルト・モリゾ
『ブージヴァルの庭のウジェーヌ・マネと娘』
タマラ・ド・レンピッカ
『ある男の肖像』
ティツィアーノ
『エウロペの略奪』
ブーシェ
『ゼウスとカリスト』
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自らの直感や趣味嗜好だけで絵画鑑賞すれば良い、と思っていたけれど、絵の背景やモチーフに込められた意味をしることで、鑑賞の楽しみが何倍にも膨らむことを教えてもらった。文章も軽妙で読みやすく、中野京子さんに弟子入りしたいくらい。
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読書記録です。
兵庫県立美術館で「怖い絵」が始まる前に、イッキ読みしました。この手の本のレビューにはいつも書くんですが、美術品を鑑定する美女が出る某漫画を読んでから、美術館で絵を観るようになって、著者の本でさらに観るおもしろさを知りました。
対決する「タイトル」と「サブタイトル」がおもしろい!
そういう観点で並べて観るっていうのは、研究者の視線であってパンピーには思いつかないもんね。
01の「死んでもいい」がいきなり刺激的すぎる!
08の「映画を彩る絵」は、そういうふうにモチーフを入れることで作品の内容をほんのりリードするって、知ってたら観る楽しみも増えるんだろうなぁ。観たいなぁと興味がわきました。
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なんとなく書棚を眺めて見つけた一冊。
北海道生まれ、作家、ドイツ文学者。
西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに
絵画エッセイや歴史解説書を多数発表。。。
同じ題名のシリーズ4段目、一番新しいものを。
同じテーマや、同じようなシチュエーションの題材を
二つあげて、その絵の中の秘密を暴く。
画家の背景や、人となり、当時の状況などを
詳しく解説。なかなか面白い本でした。
シリーズ化してるのもうなづけます。
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今回は二つの作品を比べるという趣旨。こういうのも面白かった。
王妃対決は美しかったし、男の美貌も素敵だったし、映画を彩る絵は映画を観たくなる。(シャッターアイランドは見たことあるけど、絵の事は記憶に無い…)
そしてこのシリーズは絵がカラーで大きく掲載されていて中野京子さんの解説がとてもわかりやすいから好きです。
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対決と言っても、決闘に絡んだ絵画などではなく、二作品を比べることで見えてくる意外な発見を楽しもうという趣向。
別々の画家が描くパリのダンス場や、同じ画家による二人の王妃など、なかなか見応えのある「対決」で面白く読めた。照らし合わせることでクローズアップされるモチーフの違い、それが意味する聖書や神話に関する逸話など、雑学の興味深さも前作同様に楽しめる。
「天使」と「キューピッド」って全くの別物だったのね。由来からして違うし、しかも階級まであるとは! 驚きでした。
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名画を対決させるというのも、おもしろい視点だと思いました。比較させた名画の解説を読んでいるうちに、名画の見方や注目ポイントがわかってきて、楽しく学べた。
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一見固い文章だけど、熱くて作品にも作者にも愛が溢れてる。今回はいつもよりちょっと砕けてる感じがさらに面白かった。同じ主題の作品を比べつつ、モデルの人生や神話、映画についての多様な知識。オフィーリアの周りに浮かんでいる花にまで意味があるなんてっ!死、叶わぬ恋、悲しみ、貞潔、無邪気…三島由紀夫が衝撃を受けた聖セバスティアヌスの殉教。三島が同じポーズで写真に残したことをチクリと皮肉っている。
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怖い絵とは違った名画を対比して語る一作。
大変面白かったです。
別の著作にも紹介されていた作品もありましたが(オフィーリアは3回目!)それでも面白かったです。
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レーピンは中野京子の本で知った画家だ。今回も、目を引くなと思った絵画はレーピン作だった。眼光鋭いモデスト・ムソルグスキーの肖像。レーピンは人間の中の不条理を好んで描いたように思う。
美男対決も見応えあり。
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「怖い絵展」とかをやっている
有名な人ですよね。
絵画をそのような斬新な切り口で
紹介してもらい、
実際に平易な文章なので、
読みやすかったです。
でも、
「対決」となると、
もっと対決感を期待してしまった。
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二つの作品を対比して、比べることで見えてくる意外な発見を楽しむ趣向の著作。
まず、表紙からして目を引く。左側はオーストリア=ハンガリー帝国皇后エリザベート。右はフランス皇妃ウージェニー。同じ画家が描いた肖像画だけに、絵の質に差がないと仮定すれば、妃個人の資質が描き出されるのか。しかし儚げに見えるウージェニーはエピソードから見れば、理知に長けていて、時に冷酷だ。エリザベートの義弟マクシミリアンの銃殺にフランスが関わっていることから、対面した二人であるが、対面の機会が機会であるだけに、親密にはなれなかっただろう。
中野京子さん著作でよく取り上げられる、「メデュース号の筏」。この怖いもの見たさから惹きつけられる作品がハリウッドのパニック&サスペンス映画につながる、とは「なるほど」と思った。ジェリコーが「メデュース号の筏」を描くために、死体を何枚もスケッチした、という話は知っていたが、ハリウッドにつながるとは、それまでは怖いもの見たさの作品がなかったのだろうか。これに対比されているのが「ワトソンと鮫」コプリー作。この絵も別の中野京子さん著作で見たことがある。やはり私もジェリコーの方が画力があるなあ、と感じる。どちらの作品も絵が描かれたエピソード込みで知られるようになったのは共通している。
19「飲んだくれ」の章。どちらも初見の絵画だった。私も酒を飲むが嗜む程度である。この章で取り上げられているのが、ドガ「カフェにて」とレーピン「作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像」。ドガは印象派でレーピンはロシア・リアリズムの巨匠。作風が全く違うけれど、どちらにも哀しみが漂っている。「カフェにて」に描かれる男女、特に女性の諦めのような表情。目の前にはアブサンという酒。このような境遇の女性がこの頃には星の数ほどいたことだろう。飲まなきゃやってられない。そんな気持ちだろうか。この当時のアブサンは幻覚作用があったらしく、20世紀には欧米のほとんどで製造販売が禁止される。再び解禁されたが、それは以前のアブサンとは違う。ゴッホが耳を切り落としたときにアブサンを飲んでいたというのは知らなかった。このような境遇の女性の先行きを考えると暗澹たる気持ちになる。例えそれが、過去の出来事であっても。「ムソルグスキーの肖像」はムソルグスキーの音楽が理解されなかった、時代を考えると悲しい。農奴解放令で突然に経済状況が悪化、母の死、アルコールへの逃避。「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」をたくさんの人が評価するのはもっと後のことだけれど、天才レーピンはムソルグスキーの才能を当時から高く評価していたという。自らの埋葬費用がないムソルグスキーのために肖像画を描き、売ってそれに当てるのが目的だったという。ムソルグスキーの才能が分かっていれば分かっているほど、レーピンは辛く悲しい絵画だっただろう。
知っている絵もあれば、まだまだ知らない絵もある。とても面白かった。