紙の本
快い読後感
2017/01/21 19:15
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
良い読後感のある作品でした。
戦が無くなった江戸時代に生きる武士に託して、「人はどう生きるか」を見事な読み物に仕上げられています。
現代も閉塞感に覆われているとは度々言われていますが、戦が無くなった太平の世の武士の多くも似たような、あるいはそれ以上の閉塞感を感じていたのでしょうね。戦をする者という一番の存在意義が失われた時代なのですから。
第154回直木賞を本作で受けられていますが、それに値する作品だと思います。
紙の本
6編それぞれに
2016/03/20 11:52
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投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞受賞作ということで、6編の短編を一気に読みました。どの作品にも、それぞれの味わいやユーモアが感じられて、おもしろかったです。審査員のどの方もおっしゃっていたようですが、藤沢周平さんの小説と似たような雰囲気がただよっていて、山田洋次さんに映画化していただきたいです。一人ひとりの人間がどこにでもいるような、悩みをかかえながら人生を送っていく、そんなイメージで読んでください。
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江戸の武家の妻に関わる短編集。
読んだ感想は「女って怖い」。そして怖いながらもたくましく魅力的だなぁと。男の都合の良いような妻なんて存在は居ないのかもしれない。
そして本のタイトルにもなっている「つまをめとらば」を読むと、笑いがこみ上げてくる。そうだよなぁと。
好きな作品は「ひともうらやむ」、「乳付」である。
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直木賞候補作。
前回の『鬼はもとより』もそうだが、時代小説の中の多少ニッチなテーマを描いている。
自分には少し物足りない。
青山文平の王道の時代小説を読みたい。
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時代小説6編から成る短編集。すべての作品がそうであるとは感じなかったけど、物語の影の主役は女っていう触れ込みになっている。それにしても登場する女たちがみな強いこと強いこと。っていうか本当にこんな強かったのかいなこの時代の女って。そのあたりに若干の違和感を覚えたけど、男から見た女のイヤ~なところ、何を考えているのか分からない不気味なところ、そしてそんな女に翻弄される男の姿なんかは現代でも通じるものがあると思った。
個人的には全6編の中で「ひと夏」がハラハラドキドキ感があって一番楽しく読めた。と同時に、読了後に物足りなさを感じたのも事実。啓吾の成長物語として、短編ではなく長編で読みたかったのは私だけではないと思う。
ところで最終話の表題作では主人公と友人がそれそれ戯作と算学を会得しているけど、これって別の作品の登場人物とタブらせてるってことなのかなあ。
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第154回直木賞受賞作
普段時代小説は全く読まないし、苦手な分野なのですが、全然堅っ苦しくなく難しくもなくとても読みやすい。
表題作のつまをめとらばよりも、最初のひともうらやむのが面白かったです。
短編集なのですが、女は強いな、と。あらゆる意味で、ね。
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#読了。第154回直木賞受賞作品。初読み作家。短編集。
江戸時代の武家の男たちと、彼らを取り巻く女たちの心情を描く。どの編でも、女たちの強さと対比した、男の弱さ、もろさが滲み出ている。現代にも通じる話しかと。
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妻と夫の関係とは、と色々な形があるものと思わせる本格派な時代物でした。戦国とは違い、江戸時代ともなるとあまり派手な印象はありませんが、大人向けの読み物としては非常に味があるのではないでしょうか。
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受賞作は長編かと思っていたが、短編だったのか。
この時代の人は女性のことを本当にこんな風に見ていたのだろうか?と思わせる箇所がいくつかあった。
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第154回(2015L)直木賞
短編集
・ひともうらやむ ★★★★
持つべきものは良き妻。おんなは強い。
・つゆかせぎ ★★★★
母は強い。
「あなたはお父様が御国を逃げたわけじゃないことを分かってる。一茶と同じように、新しい場処へ踏み出したことを分かってる。そして、自分だけがどこにも行こうとしていないこともわかってるの」
・乳付 ★★★
男の仕事は妻に支えられてこそ。
・ひと夏 ★★★
お勤めとは大変である(無欲)
・逢対 ★★★
お勤めとは大変である2(無欲)
・つまをめとらば ★★
女は怖い。男は妻次第。
3+
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初の青山作品であった。
少々下級の武士が主人公だが、彼を取り巻く女たちはなかなかのツワモノ。
いろいろな状況の中で(やっぱ おんなは強いわ)という作者の声が聞こえてくるようだ。
人それぞれ 好き好きはあるだろうが、「乳付」と「ひと夏」は心の揺れが感じられ、楽しめた。
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非常に読みやすかった。描かれている女性が皆潔くてたくましい。子を持つ母はこんなにも強いのか。男性はそんな女性の手のひらで転がされてる様子がちょっと情けなくて、愛おしくて笑ってしまう。
「乳付」がお気に入り。悋気すると素直に言える人でありたい。
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話の組み立ては良いのだけれど、なぜかもう一つ何かが足りない感じ。迫り来るものがありませんでした。とりあえず、直木賞受賞ということで、おめでとうございます。
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悪くはないけど、スッキリもしない読後。不幸にはならないけど、とびきり幸せにもならない。日々をこういうものと受け入れ生きていく夫婦、男、女。勿論それぞれに波乱や事件、思う所はあるのだけど、だからと言って抗うわけではない。思い返すことも後悔も、全て全て「そういうもの」と受け入れる短編集のように思えました。妻をめとる選択も、めとらない選択もあるわけで、登場する6人はそういう人生を選んだ、ただそれだけの事。女は逞しく、弱く、したたかで優しい。女によって少し変わる人生。人生の転機にその女がいた、というお話でした。
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どこかの書評で興味を惹かれ、第154回直木賞受賞作品ということもあり、初の青山文平作品を手に取る。
現代に通じる江戸時代中期ごろの、男と女の関係を綴った6短編。
印象に残ったのは、最初の「ひともうらやむ」かな。