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しんがり 山一證券最後の12人 みんなのレビュー
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紙の本
胸にじんわりときます
2015/09/29 22:10
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマのようなワクワク・ドキドキを求める人にはお勧めできません。
事の真相を求める人には物足りなさが残るでしょう。
しかし、証券会社の自主廃業という前代未聞の出来事に際し、会社の最後を看取った人々の、見栄も飾りもない、淡々と事実だけを追求した日々が、読む者の胸にじんわりと浸みてくる、そんな読み物です。
今、組織の危機管理の根幹に求められる、「真実を知らしめる」という点から見れば不完全な、物足りない結末かも知れませんが、それなら報告書そのものを読めばいい。
この物語は、ただ愚直に真実を追い求めた会社人の、泥臭い、人間くさい歩みです。感動は少ないかも知れないけれど、組織とは何か、その組織の中で生きるということはどういうことか、その組織が自分に何をしてくれるのか、今一度考え直させてくれる一冊です。
特に組織の上級幹部に読んで欲しいと思います。
紙の本
WOWOWドラマの原作
2016/05/16 04:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろいさくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノンフィクション文学としてそれなりの水準である。
事実の裏付けなどはインタビューと内部報告書に頼っているのは今の時点では仕方ない面があると思う。若干主観が入り込みすぎの面はある。
WOWOWのドラマは製作上の都合で多くの人物が省略されたり,集約されたり,年齢設定を変えられたりしているが,実際こういう組織だったのか,と分かる。また,山一破綻までの背景も当時を知る人にはそれなりに理解できるものとなっている。逆に言えば,金融行政などが変化した今日の読者のためにはその辺の時代背景の解説が別途必要だろう。
紙の本
山一がなぜつぶれたかよくわかった
2016/05/09 03:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よしくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は山一證券がつぶれた際に、調査委員会が「なぜ山一證券がつぶれたか」を報告書を出した際の一連の流れが書かれている。
つぶれた会社に「調査委員会」が置かれるのも珍しいが、上場廃止後に説明する必要があるため、窓際の社員が書いた。
窓際の社員とは言ってもかなり優秀な人ばかりで、また会社に寝泊まりしながらまでして報告書を書いたのはすごいと思った。
結論から言うと、バブル期にすでに山一は巨額の損失を出しており、1990年ごろには破たんしていたようである。
興味のあるかたは本書を読んで山一破たんの一連の流れをつかんでほしい。
内容はわかりやすく読みやすい。
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手仕舞いの大切さ
2016/01/06 00:38
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投稿者:樫井行人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山一の破綻については野澤社長(当時)がクローズアップされるケースが多かったと思うのだが、この作品はその裏方で実際の清算処理と「なんでこんなことが起こったのか」を調べ、書き残したチームの物語であった。
報われない敗残処理チームを支えていたのはリーダーの強い意志はもちろんだが、それ以上に「誰かがやらなければならなかったから」として泰然と受け入れた人々の真摯さであった。
ドラッガーを引けば真摯さは何物にも代え難く、またスキルの向上としては手に入れることのできないものである。こうした真摯さを破綻した企業であっても具備した人材が多くいたことがその後の救いとなったのであろう。
山一の破綻については多分にスケープゴートの要素も色濃く、企業の盛衰には市場原理だけでははかれない要素があることも事実であるが、我と我の属する組織が、破綻の現場において真摯な振る舞いをできるかどうか、そんなことを自問するきっかけとなる一冊であった。
紙の本
ずいぶん昔のニュースの真相から思うのは「仕事」の本質みたいなこと。
2021/03/01 14:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
「山一證券」は、日本に存在していた大手証券会社。かつては、野村證券、大和證券、日興證券と並ぶ、日本の「四大証券会社」だったのが、1997年11月24日に突然自主廃業を発表する。当時社長であった野澤 正平氏の号泣しながら「社員は悪くありませんから!」のニュース映像ばかりがクローズアップされたが、あれってなんだったんだろうという不可解な疑問とともに風化した感がある。
本書は、自主廃業を決めたあと、その原因を究明しようとした社員がいたという事実を軸に、あの事件がなんだったのかをさぐった中身を示す一冊。ちょっと馴染まない金融&証券用語も登場するが、それを知らなくとも、ドキュメンタリードラマとして十分楽しめる内容。読み進むうち、制度疲労を起こしているようにも見える「日本の会社」の姿がそこに浮き彫りにされてゆく。読了後に思ったのは、事件の真相を知るスッキリ感よりも、「働くってどうゆうコトか?」「仕事って何か?」というコトに、自分なりの答えを持たずに社会に出たとき、ヒトは決して幸せにはなれないかもな...というとてもシンプルなことだった。
紙の本
バブル崩壊の凄惨さを肌身で感じたような。
2018/11/11 01:16
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投稿者:まひる - この投稿者のレビュー一覧を見る
バブル期やバブル崩壊後の時代、山一證券倒産の事実をあまり知りませんでしたが、どんな時代だったか知りたいと思い、本書を手に取ってみました。
残された社員たちの物語を読み進めるなか、山一證券倒産後の壮絶な日々が言葉の端々から伝わってきて、バブル期の異常性、バブル崩壊後の凄惨さを少しでも感じられた気がします。
紙の本
証券会社であっても相場には勝てないのは常識
2017/01/15 15:29
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投稿者:wankyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
山一が潰れたのは、飛ばしによる簿外債務のためであるが、利回り保証をするという行為は「自分たちは証券のプロだから相場で何とか利益を出せる」という思い込みから来ている。本来ならこんな素人以下の奴は証券業に居てはならない人間であるが、この驕りの感覚を持つ奴が会社の中枢に居たとしたら、潰れるのは必然であろう。ニギリで営業成績を高めた奴が出世するなんて、どこまでイカレているんだ。
法人部門は証券会社の中枢であり、最も重要な部門であるのは明らかであるが、そこにこんな「ニギリでしか客をとれない」低レベルの人たちしかおらず、それが見過ごされる組織であったなら、もうどうしようもない。潰れるのは必然であったのではないかと思う。
紙の本
仕事とは何か?
2015/12/27 15:09
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投稿者:ヤス - この投稿者のレビュー一覧を見る
しんがりを務めた人々の生きざまを感じ、仕事とは何か?を考えさせてくれる1冊でした