紙の本
小自然から。 >
2019/02/21 16:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かこさとしさんの科学絵本は大好きで、大人になっても見ています。
ファンだという福岡さんとの対談などを入れた本書。授業のあり方や教育方針の話などは少し難しいですが、お二人の考え方がわかります。小さい一冊ですが読みごたえはありました。
子どもが興味を持つところは一人ひとり違う。大人がそれを「そこじゃない」と否定しないで進めてあげること。そういう提言にはついつい「親の好み・考え」を押し付けがちなことを反省させられました。自分のあたりまえを押し付けないことは相手が子どもでなくても基本ですね。
理科離れについての文章にも、これにつながることが書かれています。「大自然に触れる」といきなり関心を引っ張ろうとするよりも手元・足元の「小自然から」見ていきたい。身近で興味を持ったところから少しずつつなげ、広げて行く。福岡さんの言葉を使えば小自然はスモールサイエンスにもつながるということでしょう。
いきなり大きく広げてもついて行けなかったりする。一般的な「わかる」にも通じることだと思います。それぞれの「踏み出せる距離」で進んでいくこと。逆に「簡単すぎるものを与えてもだめ」というのもあると思います。この「それぞれ」が難しいけれど大事。
書き下ろしではない部分もかなりあるので、本全体としては「なぜこういうまとめ方のものが入っているのか」と感じる部分もありました。そういうところは巻末の「初出」を見て納得した次第。
まだ読んでいないまどさんの作品もまた手に取ってみたくなりました。
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親子で大好きな絵本をたくさん描いているかこさとしさんと、生物学の先生による新刊!
・子どもが理科離れしている最大の理由は「大人が理科離れしている」から
・"小自然"に気づこう
・「センス・オブ・ワンダー」を育もう
・「寄り道」を楽しもう
・大人は何を望むのか
等々、ドキッ!としつつも、そっか、現代の大都会でもできることはたくさんあるんだ!ホッとしました。
そして、環境や自分の言動を見直してみたいと気付かせて貰えました。
かこさとしさんの絵本も、改めて深く味わいながら読みたいと思います♪
子育ての大切な"答え"が載っている一冊!
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やはり文理わけ自体ナンセンスなんだな。かこさんのお話はとても素敵。マップラバーとマップへイターについても、なるほどと感心した。私はマップラバーだが、自分で再現するのは苦手なマップへイター。
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本来子供は何も言わなくとも好奇心の塊なのだから,それを阻害しないことが最低限の親の仕事で,子供のやりたいを加速させられたらそれで十分ではないか.ものに頼る飽物の時代だからこそ,ものに頼らず頭で工夫する仕掛けを考えられたら目的は達せられる.ようは,親の問題に帰着するだろう.
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かこさとしさん、福岡伸一さん、どちらの著作やインタビューもなるべく読んでいるので、エッセイや対談の内容としてはあまり新味はなかったけれど(内容のほとんどがいままでにあちこちで発表されたものの寄せ集めでもあり)、ハンディにまとまっているので、お二人に入門する人にはいい本だと思う。
子どもの理科離れをただ案じていないで、大人が身近な自然を楽しんでみせればいい、というのが最大のテーマで、一問一答では、文系vs理系で思考停止してしまう教育制度や人の意識への危機感がふたりに共通していた。まったくそうだな、文系と理系で反目したり責任押し付けあったりしてて、けっきょく反知性主義に負けてしまっては元も子もないな、と思った。
ブックガイドはいつもの福岡先生セレクション+かこさんの作品だけだったので、もっとひろく科学系の絵本の紹介があったらよかった気もする。ともあれ、子ども時代にかこさんの絵本(お話系にせよ、科学系にせよ)にであうかどうかで、かなり人生は左右されるというのは確かだと思った。
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図書館の新着棚にあって借りてみた。
一部書き下ろしだが、ほとんどは既発表の文章の再構成。
福岡ハカセの本も、かこさとしの本もいくつか読んでいて(あー読んだことあるなあ)という話もあったけど、「読書&教育論」という切り口がおもしろかった。
時間の話と、世界はマップヘイターというところが、とくに。
▼かこ 時間というのがひとつのエネルギーみたいなものだから、生物がこれからどうなるかということを解明するために、この先の問題は「時間を解明できる能力」を人間が十分にもたないと、思考がそこで止まってしまうのではないかと思っています。
福岡 時間の問題というのは、これまで生物学がきちんと扱えなかった問題です。生物というのは絶え間なく動いていて、同じような繰り返しに見えるかもしれないけれども、実は一回として同じことが起こらず、常に流れているものですよね。それをとらえようとすると、必ず時間を止めて、その断面を見ないと見えないんですよね。そうして私たちは顕微鏡とか分子生物学とかを使って対象を見てきたわけで、いろんなことがわかったつもりになっています。
しかし、そのとき時間は止まっているし、細胞はいわば「死んでいる」状態です。そこで記述された因果関係はそのまま生物を説くものではなくて、微分的な一断面にすぎないのです。本当は絶え間なく流れているものを、流れているままに記述する方法はなかなかありません。それがどこへいくのか見極める方法もなかなかない。
いまかこさんがおっしゃったことは、今後の生物学に課せられた大きな問題提起なんですよ。(pp.62-63)
6章 マップラバーの読書とマップヘイターの読書
(扉)
福岡ハカセによれば、世の中には、2種類の人間がいます。
地図を作るように世界を認識していく「マップラバー」。
地図などなくても世界のことは知り得ると考える「マップヘイター」。
目的地にたどり着くために、必ず地図を広げる人はマップラバー。
一方のマップヘイターは、知らない土地に立ったとしても日ざしから方位を認識したりして、周囲との関係性をもとに自分の進むべき方向を判断できる人です。
その傾向は、本の好みにも表れるそうです。 (p.160)
▼世界はマップヘイター
生命とは何か。生物学者として私はそれを考えてきました。ある生命の全体を見ると、いかにも設計的にできているように見えます。しかし、細胞のひとつひとつに着眼してみると、細胞は体の全体像なんてまったく知りません。地図を持ち、自分は体のこの辺にいる、と役割を自覚している細胞などないのです。細胞は、前後左右上下の様子だけを知りながら、それでいて全体のひとつとしてそこにいる。たとえるなら、ジグソーパズルのピースのようなものです。ひとつひとつのピースは全体のことなど気にしません。単純に、隣り合わせになっているピースとの相互作用だけが成り立てば、全体が成り立ちます。
細胞ひとつひとつは、究極のマップヘイターです。全体を気にしないマップヘイターとして細胞は行���しながら、全体としてはうまく調和がとれる。なるほど、生命とはこのようにできているのか、と気づいた私は、生物学者であるかたわら「動的平衡」をキーワードに本を書くようになりました。
私は、人生の大半をマップラバーとして過ごし、昆虫を追いかけ、地図を愛し、小説を読み、遺伝子を調べてきました。そしてその挙げ句に、世界はマップヘイターとしてあるのだということにようやく気がついた、というわけなのです。マップラバーは、ちょうど昆虫図鑑のように、世界をグリッドの上に並べて整理し、把握しようとします。しかしこの方法はずいぶん恣意的ですし、人工的です。世界をどこまで細かく切り取って分類しても、全体を知ることはできません。本当の世界は絶えず揺れ動き、一瞬たりとも同じ姿でいることはないからです。ですから、人間の手で作った地図では、ありのままの世界を表現することはできないのです。(pp.172-173)
そして福岡ハカセは、マップヘイターになって、読む本の好みも変わってきたという。
たとえば、須賀敦子の『地図のない道』(新潮文庫)をあげる。
▼このように私はマップヘイターのようになりたいと思っていますが、確認しておかなければならないのは人間の世界認識の仕方の基本はマップラバーだということです。そうでなければ学ぶことができないし、知識も統合できません。(p.174)
(2016/7/16了)
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タイトルからは想像できないほど、大人向けの硬派な話でした。
子ども達の好奇心に対して、大人が真摯に向き合ってあげる事が大事なのだという事を再認識できました。(教えるのではなく、子どもの目線に立つのが大事)
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かこさとしさんは、伝えたいことが山ほどあるように思える。
堰を切ったような語り口で、情熱があふれている。福岡先生は、わかりやすく伝えたいという気持ちが伝わってくる。
どちらも子供の好奇心をうまく導いてあげたい、方向性を示してやることこそ大人の仕事だと述べている。押し付けるのではなく、広い世界の入り口を見せてあげること。
元昆虫少年の僕も、もう一度昆虫の世界に触れたくなった。子供が小さいころに大量に飼育したカブトムシや、サイクリングの度に目にするアゲハ蝶の世界に、もう一度入り込めるかな・・・。
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戦争を体験した世代の「自分より優れている人が戦争に行ってみんな死んでしまった。自分は死に残りだ」という見方にははっとさせられた。その「忸怩たる思い」は実際に経験していないとなかなか知ることは難しい。「読書」ってすごいね。
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借りて読もうと思っている間に訃報を聞いた。
しっかりとした志を持った立派な人だったのだなあ、ということが今更ながらよくわかる。
もうずいぶん高齢ではあったけれど、それでも、やはり惜しい人を亡くしたものだ。
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雑誌、テレビ等からの再録/採録。
身の回りの小さな科学、それに触れる機会があることが重要なのでは、とのことで、いまの自分の子どもとの関わり方(一緒に散歩する、空を見てあーだこーだ言い合う)も、そこそこOKなのかな、と少し背中を押されたような心地になった。
それから、食にまつわる授業計画、朝日新聞(だったかな?)で取り上げられていた私立学校での授業の話を思い出した。「寄り道」する余裕がない、というのも、いまの教育であったり社会であったりの問題なのかな、とは思わなくもない。
あと、自分の子ども時代も含めて、かこさんの本も福岡さんの本もほぼ読んだことがないので、これを機に手に取ってみようと思った。
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妻が仕事のために読んでいた本を拝借。
なかなかよろしい。
かこさとしさんの本は、読んだことがあったか分からないが、こんな人がいたことを覚えておこう。
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かこさんの「子どもはまわりの自然、小自然があればいいのです。」という言葉にハッとさせられた。息子は都会にいても小さな虫を見つけて嬉しそうに観察している。もう少し自然のあるところで子育てしたいと思っていたけど、わたしの言い訳だったと気付かされた。
これからは子どもの昆虫観察にももっと気長に付き合えそう。そうゆう時間が子どもの感性を大事にすることになるのかな。
図書館で何となく借りたけど、かこさんの子どもたちへの愛情が伝わってくる素敵な本だった。
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子ども達の目線で考える世界。
人はもともと知的な存在。知識を獲得し理論を形成しようとする。そのエンジンの1つに好奇心。子どもの好奇心を刺激する遊び,絵本,環境とは。
総合的な学習の時間についてのかこ氏の考えが収められている。食を基軸に分化させずに知を総合する方法。
寄り道が大事。まさにそう思う。無駄のない最短距離の知識構築は応用が利かない知だと思う。遊びをつくることで創造性も高まる。大人の生き方を子どもは見ている。子どもが自分は自分で育てるものだと思えるような大人がいる環境,これが大切だなぁ。