紙の本
5分の奇跡
2017/03/30 08:05
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たまたまというのは意外に「あたり!」が多い。
この本のもとになる、NHKEテレの番組を見つけたのは、たまたまチャンネルがその放映時間にかかっただけ。
うん! とチャンネルの手をとめ、番組を見て、わずか5分のそれに、それでいてこの深い感じってなんだと、ネットで番組のことを調べて、それが『100万回生きたねこ』の佐野洋子さんのエッセイを絵本仕立てに再現したものであることを知ったという次第。
番組のことをもう少し書くと、佐野さんのエッセイはそれなりの長さがあるが、それを絵本風に、言葉と絵でまとめていかないといけない。
絵は北村裕花さんという若い絵本作家が担当している。そして、上村典子さんの語りがはいる。これが、いい。
テレビ版絵本の読み聞かせ、ということだろう。
残念ながら、本では上村典子さんの声までは再現できない。読みながら、頭の中で自分で上村典子さんになるしかない。
この「それが何ぼのことだ」はシリーズ2作めになる。
「せめてこれ以上、誰も何も考えないで」ほか、8篇が収められている。
中でも、私は「何も知らなかった」という子供の時から仲よしだった、父の友人の子供の孔ちゃんの死を描いた作品が好きだ。
最後にこうある。
「私達が老いて、誰にも死が近づいている。」
「これから生き続けるということは、自分の周りの人達がこんな風にはがれ続けることなのだ。」
「老いとはそういうさびしさなのだ。」
この作品だけではない。
この絵本風番組は、老いとか死とかがたくさん描かれている。
そんなことが気になる世代には、ちょうどいい5分という時間だ。
紙の本
フツーに死ぬ
2016/05/31 20:26
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、佐野洋子氏の随筆を基に、その人生観を絵本仕立てに読み聞かせたNHKの教育テレビの絵本化第2弾です。第1弾と同様、9話分が収録されています。
内容は、便利になることで失うものの話(第1話)、多様性と豊かさ(第2話)、年をとることの考察(第3話)、貧乏人のプライド(第4話)、ゴミ掃除を通して考えたこと(第5話)、真実への懐疑(表と裏)(第6話)等の話のほか、幼馴染み(第7話)・兄(第8話)・愛ネコ(第9話)のそれぞれの死を通して、老いることや生死についての深い洞察があり、強く感銘を受けました。
各話とも味わい深く甲乙つけがたいのですが、敢えて挙げると第8話と第9話がお勧めです。
第8話では、兄の死・出産・離婚といった佐野氏の人生の一大事が「100万回生きたねこ」の背景になっていることが語られ、興味深かったです。
第9話では、死の間際までジタバタせずに静かに逝った愛ネコの死を通して、フツーに死ぬことの難しさを考察しています。個人的には、「人は死ぬ間際まで生きたいと思うものだよ」と言いながらも、最後まで全くジタバタせずに静かに癌死した父の姿を思い出し、自分の始末もかくありたいと思ったのでした。
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イラストと文で絵本のよう。あっという間に読めるのですが、書いてある言葉は含蓄があり、考えさせられます。税金の話は笑ってしまいました。猫のフネの話は身につまされるというか、我が家の飼い猫に置き換えて読んでしまい、涙です・・・。動物って本当にそのまま生きているのですよね。つらいとか死にたいとかいうことは無いのです。それを思うと、小さいことに悩む必要なんてない、と元気になれる気がします。
「それが何ぼのことだ」そう思って堂々と生きていきたいなぁと思いました。
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洋子さんのビターですこしだけやさしくて、涙がキラリと光る言葉の数々。絵も味があって最高。宝物です。泣いた。
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文は佐野洋子(1938~2010 享年72)さん、絵は北村裕花(1983~)さんの「ヨーコさんの言葉 それが何ぼのことだ」、2016.4発行です。ヨーコさんの歯に衣着せぬエッセイ、2014年から、Eテレ、日曜、8:55AM~9AM、放映中ですね!
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北村裕花氏の絵の横に、作者佐野洋子氏の文字が並ぶ。
ほんの少しの文字で、絵との組み合わせで、話したいことが、一目瞭然の本である。
世の中、凄く便利になった。
洋子さんの幼い時代には、途轍もない夢のようなことが、当たりまえのような生活である。
PCの発達で、人との関わり合いも無くなったし、達成感の喜びも少なくなったような気がする。
老化現象についても、4歳の時の自分と比べて、何が違うのだろうか?
画学生だった時、お金が無くても楽しかったし、それをバネにして、がんばってきたと、、
哲学的に思いにふけるのだが、、、絵と共に見ていると、じんわりと、わかる気がする。
掃除機で、ごみを一瞬んで吸い込んで掃除を終えるのでなく、たまには、箒と塵取りで、掃除してみると、今までしていたことと違った視野が、見える。
清潔さをモットーにしてても、枠にはまった清潔感。
砂場の泥んこ遊び、そして、ペットの足跡、それが、長い人生のうちでどうしたということでもないと感じる。
60年もの付き合いのあった人の永眠や、若くして亡くなった兄の思いを、たどりながら、老いていく寂しさを痛感する。
愛猫のフネが喚きもせずに、クエってと、鳴いて、飼い主の作者に別れを告げて目を閉じる。
そのように生き物の宿命の死を受け入れることが出来るだろうか?
フツーに死にたいと、、、ヨーコさんの考え方、、、である。
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佐野洋子は、ほとんど読んだので、この本を見た時も、「上手い商売やってるな」くらいにしか思わなかった。
が、手に取って読んでみると(もちろん読んだことのある文章ばかりなのだが)改めてグッときた。
構成が上手いんだな。
佐野洋子のエッセイにはすごい言葉がたくさん詰まっているのだが、あまりにたくさんあるので、記憶している言葉が、どの本のどのエッセイに入っていたか思い出せず、探しているうちに夢中になって読みふけり、「ああやっぱり佐野洋子、すごい」とは思うものの、結局探していた文章にはたどり着けなかったという経験がある私としては、画期的な本だった。佐野洋子の文章ををこういう風に整理して、絵をつけて見せることによって、またあらたな読者が生まれるし、佐野洋子の唯一無二の表現を再び味わうことができる。
絵も原文の雰囲気を壊さない。
NHKの番組を書籍化したとあるが、この絵を見せつつ、ナレーションで文章を読むのだろうか?だとしたら本の方が、佐野洋子の肉声を想像できていいなあ、と思った。
佐野洋子を知らない人にプレゼントするのにも向いている。(もうちょっと安ければ良かったかな、とは思う。)
勿論巻末に出典があり、それぞれの言葉がどの本に載っているかもわかるので、読み返すのにも便利。
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前の本に続いて読んでしまいました。
歳をとっても自分の中に4歳の自分や9歳の自分がいるという話が好き。
小さい頃思っていた大人と今の自分のギャップって誰もが感じることだと思う。
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今回も、これもまたとてもよかった。初めて、自分がどんなおばさんになりたいかを具体的に考えて、おばさんになるのも悪くないなぁと思いました。佐野さんありがとう。
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帰省中実家本棚。モタさんの言葉を数年前に読んだ。母の本棚でヨーコさんバージョン3冊を見つけて思わず手に取る。世界を斜めから見ているようで正面からぶつかっているような気もする文章。価値観は人それぞれで、幸せの形は人それぞれだよねと感じるようになった最近。本やネットや様々な表現、媒体を通して様々な価値観や考え方に触れることが楽しい。自分の頭で考えるための引っ掛かりをもらえる。そして、その文章や表現はきっと作者の中の一部で、ここで表現されていること以外のものも多いのであろうことを想像する。それで何になるのかはわからないけれど、考えることは楽しい。2020/1/4
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佐野洋子さん2冊目
「100万回生きたねこ」の誕生話が読めた♪
今回は「ブス度申告書」で涙出るほどワロた!
ブスが居るから美人もおって世界は多様化して潤ってるってことになるほど!
私も少しは世界の役に立ってるんかもな( ´∀`)
ふとした拍子になんか読みたくなる本やなぁ〜♪
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2023年6月19日
佐野洋子 文
北村裕花 絵
絵と文のマッチ度高い。
佐野さんが描いた絵じゃなかったのねー。
絵に惚れた
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175ページ
1300円
5月2日〜5月2日
インディオのおんなたちが教えてくれること、品のある貧乏な学生、孔ちゃんの死、兄のこと、フツーに死ぬということ。100万回生きた猫に込められた願いとは。
愛猫のフネの死は、どこか崇高で生き物として素晴らしさを感じた。美人じゃないと思っている同志の集まりで、美人じゃない人は税金を安くしてもらいたいという話は、なんだか笑えた。ブス度申告書を自己申告にすると、結局税金を払うことにな
るという結論だった。