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DNAというとトリプレットでアミノ酸がコードされて、タンパク質が合成されて、、、というデジタルで確定的な過程と思われがちだが、実はジャンク部分がかなりアナログ的な調節作用を担っていることがよく分かる本。
極端な単純化はしていないので、読むのにはそれなりの労力を要するが、その価値はある(変な比喩が多様されているのは個人的にはよいと思わなかったが)
生物種による遺伝子の数の差はあまり大きくない。ジャンクDNAの差こそが人間などの複雑性の源である
’ジャンク’と言っても、タンパク質を直接コーディングしていない、というだけの意味にすぎないので、セントロメアのように非常に重要な部分やプロモーター、エンハンサーもジャンクDNAとして扱われている。
・X不活化を担っている遺伝子Xistが見つけられたが、これは停止コドンがたくさんあり、実際にタンパク質をコードしているとしたらRNAの5%ほどしか使っていないことになる。さらに研究が進み、Xist RNAが実際には核から出て行くこともないということが明らかになり、最初のnoncoding RNA例として知られるようになった。
・長鎖noncoding RNAの配列は種によって異なるが、三次元構造は似ている場合も多く、おそらくはコード自体よりも三次元構造の方が重要なのだろう。ただし、三次元構造の類似性を予測することは非常に難しいため、種の間で機能的に保存されているNoncoding RNAを見つける作業は非常に難しい
・FragileXでは、イントロン部分のCGCの反復配列が増幅する。これはDNAメチル化の標的となりやすいため、遺伝子発現を抑制する酵素などのターゲットとなりやすくなる。
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ジャンクDNAと呼ばれる部分が実は大切なものであったことがだんだん分かってきていることを知った。
難しいが面白い本だ。
日経の書評で知って図書館で結構待って借りた。
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ヒトゲノム解読以降の大きな疑問「ジャンクDNAって何なんだ?」に対する現状の解。豊富なたとえ話が秀逸。
素人の直感では、DNAというのは開発言語のクラスのようなもので、たんぱく質のコード部分は定義部(データメンバ)、ジャンクDNAはメソッド(コンストラクタ、メンバ関数)のような働きをしているのだろうか。
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タイトルはタンパク質をコードしないDNA。ヒトゲノムの場合、98%が相当するって。ソコが何やってんのか、ってのを追うのが本書。
個人的には、DNAメチル化のエピジェネティックしか知らなかったので、ヒストン修飾、それもオンオフだけじゃなくて微調整までできちゃうとは、ビックリ(第9章)。でもヒストンの8量体って「オクタマー」って言うの、本当?そりゃオクト=8だろうけど、私の頭の中では「奥多摩ー」って変換されるんですけど〜
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人間のゲノムがすべて解読された時、そのうち直接タンパク
質をコードしているのは全体の2%に過ぎないことがわかり
残りは機能不明の謎の配列であり、イントロンと呼ばれた。
この本で「ジャンクDNA」と言われている部分である。
この無駄な部分だと思われていた98%が、実は様々な機能
を果たしていることが少しずつわかってきており、この本は
その新研究の現時点でのまとめのような内容だ。専門用語は
多いのだが、様々なわかりやすい例えもあいまって、さほど
難しくなく、興味深く読むことが出来た。
ただ、まだまだ解明されていないことが多く、どうしても
中途半端な印象がぬぐえないのは残念だし、話題が遺伝的な
疾病を中心に進むので、そういう話題にメンタルがやられて
しまう人は注意が必要だ。
かつて人間の遺伝子のイントロンにはクトゥルフの眷属が
コード化されて封印されている、という小説があったのだが
どうもそれはなさそうな雰囲気である(笑)。