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ハーモニーや不協和音、さらにはオクターブ12音の相互関係等々、それらの背後にある数学的関係が分りやすく書かれている。音楽学入門編とでもいうべきか。
とくにピタゴラスの音律とその計算方法、純正律、平均律のもつ個々の特徴を簡潔に手際よく記した最終章はなかなかのものと思う。
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音楽は理系分野として扱われていて、芸術として認められたのは最近だという話を聞いたことがありましたが、改めて本書を読むといかに数学的に音楽が解釈されていったかがわかります。
内容としては楽典です。そのため、音楽産業的にはどう扱われているか、ポップソングにはどのような事例が...など文化論的なものだと思うと期待外れかもしれません。ですが、音楽と数学といった学問への興味が深まるのではと思います。
以前ある楽典を読んだことがあったのですが、感覚としてはこちらの方が理解しやすいと思いました。学問的な面で予備知識として知っておいた方がより理解しやすそうな面はありましたが、知らなくても読み進められるものになってます。
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音楽を数で表そうという試み。音楽と数字は切っても切り離せない。
音楽は時間の流れと共にあるので、時間用の数字が使われる。
個人的には横道それた的な話題の、音程が取れない人の話がとてもヒントになった。
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作品数と音楽:美しさの源への旅
いまなら叔父の言葉が理解できます。この本が証明してくれて、あらためて数と音楽祭が美しいと思う。
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①音楽は人間が無意識に数を計算することで得られる魂の快楽である。
②本当は量である音の性質を音符や拍子などの数字で落とし込んだことにより、音楽の再現性は飛躍的に高くなった。
③世界には色々な音階があるが、一番多いのは5音階(ドーレーミーソーラ)
音律や音階は様々な数字が組み合わさったものである。
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数学と音楽の関係について、書かれている。
私は和音や音階について、なぜ人間が心地よく感じるのか、そこにどのような数学的背景があるのか、知りたくて購読した。
周波数と、音階と、和音の関係は、まあまあ大枠は書いてあった。
しかし、ではなぜA=440ヘルツとしたか、や、人間が心地よく感じる理由、厳密な周波数比から導く音階と人間が心地よいと感じる音階とでズレが生じる理由については、あまり詳しくなかった。
6は完全数だとか、12は色々な面で神秘的とか、そんな感覚的なことでなく、上記のようなことに紙面を割いて欲しかった。
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音楽と数学それぞれを専門とする2人で、数学の立場から見た時、音楽に潜む不思議な現象(?)を取り上げつつ、音楽と数学の関わりが解説されている。文字が大きめで絵も多く、1ページあたりの分量も少なめで、すぐ読める。高校生向けの本?のような感じ。
高校まで数学にせよ音楽にせよ、こういう観点では習ったことなかった、ということばっかりで、ド文系の自分でも興味を持って読めた。数学と音楽で共通するところがあり、本当に不思議だなあ、という感想。以下に勉強になった部分をメモしておく。まず初めに、1〜12と0が、どのような数なのか、そしてそれは音楽のどの場面に出てくるのか、「プレリュード」として紹介されていて面白い。「4は根源的な数」(p.18)のところで、「中世大学の数の四科(クワドリウィウム)」で、算術・音楽・幾何学・天文学、というのはどこかで聞いたことあったが、これはそれぞれ「静止している数」、「運動している数」、「静止している量」、「運動している量」を扱う、という、こんな捉え方ができるんだ、という感じ。数が数学で、その数が動き出すと音楽、というのは、全然こんな発想したことなかったから面白い。あと「ゼロは悪魔の数とみなされ、ローマ法王によって使用が禁止された時代もあった」(p.34)らしい。0の使用が禁止、ってどうやって色々表すんだろう、と思う。それから、リズムの話。本当に厳密に等間隔に拍があるのではなく、実はすごくわずかの差でずれていて、「このわずかな時間の差が、ノリをつくっている」(p.76)ということだそうだ。そのわずかな差、は有理数では表せない、つまり無理数ということで、「『リズムは感覚だ!』という場合の『感覚』には、じつは無理数が潜んでいたのだと考えてみたら、途方もなくおもしろそうではないか!」(p.79)、というのには共感。「整数の比は和音をきれいにし、無理数の比はメロディーを自然にする」(p.161)という表現も分かりやすい。メロディーの発達、のところで、はじめは高い音と低い音の2つ、だったのが3つになったことで組み合わせが一気に広がる、という話も興味深い。「長い人類史の中で、数が1と2しかなかったころから3までになるには、おそらくとてもとても長い時間がかかったと想像される。3をかぞえることは文化のはじまりだったのかもしれない。」(p.93)っていう、3は文化の始まり、と言う発想が面白い。次に「まだある7の不思議」というコラムでピアノのファから次のミまで、白鍵と黒鍵の並びが、大の月・小の月の並びと同じで、つまり音階の作り方とこの習慣になにか関連性があるのでは、というのは面白い。で、このような関連が、「ピタゴラス・コンマ」(p.154)(5度を12回重ねて最初の音に「近い音」に戻る、その差が約0.0136...)が、「1年が月の公転12回と一致しない」ことと似ている(p.108)とか、偶然にしてはやっぱり不思議だ。あとは倍音、も何となく知っていたが、「モンゴルの『ホーミー』という特殊な歌唱法も、声の倍音成分だけを取り出して高い音を出している」(p.160)という、倍音成分だけ取り出す、ってすごいな、そんなことできんのか、と思った。倍音は理論上無限にあって、「だから、22,000Hz以上をカットしている現在のCDでは、本当に生きた音を再生することはできない」(p.160)ということだが、じゃあYoutubeとかで質の悪い音源を聴き続けたらどうなるんだろうか、とか思った。でも正直、その聞こえない音がどう作用しているのか、なんか科学的に言われないと、別に聞こえないから良いんじゃないかな、とか思ったらダメなんだろうか。音階を作るための「音律」というのも勉強になったが、「バロック時代によく使われるようになった音律に中全音律(ミーントーン)」というのがあって、「ヘンデルはこの音律による調律をとても好んだ」(p.176)らしい。あまりに今の西洋音楽に馴染み過ぎて、平均律以外の楽器とか演奏とかについて理解できたらもっと音楽の世界が広がるなあと思った。
音楽と数学の不思議な世界への入門書としてちょうど良い本。(24/01/22)