紙の本
SFのようでSFではない
2017/04/29 21:01
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
「SFのようでSFではない」
批判しているのではなく、褒め言葉です。現実に存在しているのではないかと思えるような技術しか登場しないので、他のSF作品に比べてリアリティーがあります。
それでいて、スピーディーな展開が売りの冒険小説としての側面も魅力的なポイントであります。
(上巻とレビュー内容は同じ)
紙の本
SFエンタメの最高傑作
2016/05/22 23:28
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻を読んで「SFエンタメの傑作」と評しましたが訂正します。最高傑作でした。
上巻では和海と明利を軸として、CIA、NORAD、JAXAなどの役者が集まり始めて、スペース・テザー仮説を証明するために動き始めます。その時点では「アルマゲドンとサマーウォーズを足したような作品」という印象でしたが、下巻では話が各国で展開し、情報戦・銃撃戦に加えて、スペース・テザー撃墜の為に軌道上の戦いが展開されます。
軌道上の戦いは正直に言うとイメージがかなり難しいですが、「プロ集団が技術力を結集して軌道上の危機に立ち向かってる」という雰囲気と緊迫感だけで充分楽しめます。こうしてレビューを書くとただのハードSF作品みたいですが、物語全体の伏線回収や登場人物全員の熱さ(特に対立する白石蝶羽が良い)もこの作品の魅力を十二分に引き出しています。
圧倒的なスピード感とハッピーエンドっぷりは若干アメリカンですが、エンターテイメント作品として楽しめばめちゃくちゃ面白いです。ぜひぜひ一読を。
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時は2020年、フリーのWebデザイナー木村和海は、運営する流星観測サイト「メテオ・ニュース」の編集中に、イランが打ち上げ途中で切り離したロケットの一部<サフィール3>が落下せずに上昇し続けていることに気づく。仕事仲間のITエンジニア・沼田明利と共に<サフィール3>の謎を追う和海のところに、突然イランからTV会議の依頼が入った。<サフィール3>を面白半分で軌道兵器とみなして情報を拡散する男、彼を監視する訳知り顔の老美女、シアトルの倉庫街で密かに策を練る謎のエンジニア・・・複数のストーリーが交錯する中、遂に姿を現す前代未聞のスペース・テロ計画「軌道上の雲<オービタル・クラウド>」。世界各国の様々な思惑が渦巻く中、和海は持ち前のセンスを生かしてテロの阻止に駆け回る。一介の民間人に過ぎない和海のチャレンジは、果たして実を結ぶのか!?
いやー、面白かったです!これだけの大型エンターテインメントを描き切れる力量の高さに、まずは脱帽。
日本SF大賞をはじめとする国内のSF関連の賞を複数受賞していますし、SFの文脈に位置する作品ではありますが、描かれている「サイエンス」の部分は現在我々が目にするリアルな技術の延長線にあるものばかりで、むしろ現実の世界と地続きのサスペンス、と捉えた方がイメージを掴みやすいかもしれません。語弊を恐れずに言えば、21世紀のものすごく洗練されたアーサー・C・クラークです。登場人物達の並々ならぬプロフェッショナリズム、全身全霊を掛けて目の前の課題に取り組む姿勢、正に正統派ハードSFの面目躍如!
が、鴨的にはしっくりこないところも正直ありました。
何よりも、登場人物の全員が全員、ものすごく優秀でものすごくマネジメント力もあってユーモアのセンスもばっちりで、悪役の立ち位置にいるキャラも自分の信念に従って最良の仕事をしようとしているだけで根っからの悪人は登場せず、要するに「エリートばっかり」なところがちょっと鼻白む感じ。もちろん、小説とはフィクションであって然るべきですし、作品の完成度に何らの問題も無いんですけど、読了感がまるでハリウッド映画の良く出来たノベライゼーションのようで、「奇麗過ぎるなー・・・」と思ったのが正直なところ。
この辺の感想は本当に属人的なものですので、これから読む方はぜひ先入観なしで読んでいただければと思います。いやーでもこれ、映画にしたら面白いだろうなー。科学的な解説のところは工夫が必要だと思いますけどね。
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読んでて思ったのは,これはただの近未来SF小説だけでなく,現代の問題点を取り上げてること.
日本で自分の技術を認めてもらえず,且つ隅に追いやられ,日本を捨てて中国へ行った技術者白石.これは近年見られる韓国などからの日本技術者ヘッドハンティングを表しているのではないだろうか.
とにかく読んでて,面白いだけでなく,少し考えさせられた.
最後のジャムシェド博士の態度の変わり方だが,ここはもうちょっと心理描写が欲しかった.
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意外な人があっけなく退場したり、
意外な背景を持つ人だったり、
意外な変貌を遂げる人だったり。
何十年も先には、技術的に時代遅れになるかもしれない、
世界の情勢も変わっているだろう。しかし大国と
そうではない国、そうではなくなっていく国、
そこに生まれてしまった人、本当に輝ける場を
探す人、世界・宇宙の複数の舞台で、
それぞれに自分の持つ能力を存分に発揮しながら、
チームとして事態を解決していく爽快感。
SF、サスペンス、スパイアクション、
映画が似合うエンターテインメント!
みなが真剣ななかでも、わかりやすく前向きで明るく
ふるまうスマーク親子のやり取りや、オジーが
よいスパイス。一代で巨万の富を得て、
さらに夢を追い続けられる資本ドリームには
ちょっと嫉妬するけど。
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宇宙空間の危機をホテルの一室で解決する。ダイナミックな話です。
テクノロジーやストーリー上の伏線など沢山のアイデアをだした作者に嫉妬心すら覚えます。
日本人の作家が米国人を書くとどうしても「なだぎ武」感がにじんでしまうようで面白い。
一つだけ突っ込みを。絡まないのかな。
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面白かった!
特に下巻は一気に読んだ。
登場した主な国(日本、アメリカ、北朝鮮、イラン)はなんというか、ものすごくステレオタイプのような気はしたけど、だからこそ、一方の宇宙に関する技術的なことが複雑なだけに、単純化されてわかりやすくて良かったのかも。
あと、シアトルが舞台ってのが良かった。
海外でも行ったことのある場所だと、余計に入り込めてよかった。
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日本人作家で、ここまで描けますか。
物語上の時代設定は2020年ですが、実態的には2016年頃を目途としているようですので、内容に高い信頼度と高い蓋然性を感じます。この手の作品だと「いやいや、そんな事はないでしょう」と感じることはないですが、この作品の場合は「ありそうだよね」と思えます。
JAXA、NORAD、CIA、その他と様々な国家機関が出てきますが、物語の大きな破綻は見られません。終盤活躍するのは、NORADであり、CIAであったりするんですけどね。あ、「物語に大きな破綻はない」と記しましたが、一点、大きな破綻がありました。CIAって、アメリカ国内での活動を禁じられているんですけど?むしろここは、FBIで有るべきでしたね。
また、日本関係ではJAXA以外が出てこないのが何とも・・・と言う感じですが、そのJAXAすら、組織として出てくるという訳ではなく、JAXA職員が関係しているという程度。荒事に日本は似合わないということですかね。
いやぁ、面白かったです。
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面白かったーーー!
あまりに楽しいので、途中からハリウッド映画化かアニメ化を思い描いてしまった。できればアニメかな。
しかし関口さん、やはり…。いくらなんでも有能すぎだもんな。
蝶羽おじさんは、まあそうですよね…というところなんですが、ジャムシェド博士は……ううん、仕方ないのかもしれないけど、ほろ苦いぜ。
むう、これまで藤井さんの作品は主に短編SFばかり読んでたけども、こんなに大盛り上がりなエンターテイメントとは…予想外だった。他の作品も読みたい気持ちでいっぱいだ。
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上下巻一気読み
物語の「関係のないプロ達が集まって敵に立ち向かう」構図がたまらない。
世界各地の人々ごとに
うまく場面を切り替えていく感じが
映画を見ているようにスピーディで
話が大きくなるのも気にならず
これはすごい
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礎を築きながらも去ってしまった二人。他人にも自分にも期待し続けることは難しい…。チームの価値は絶望せず、最善を尽くせるかにあると感じた。
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おもしろかったんだけど、p302のシアトルが03:58で最後のプロジェクト・ワイバーンが04:30っておかしくないですか?
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上巻が良すぎて下巻で落胆しないかとビクビクしつつ読了。結果的には大満足。(難しい理系ゾーンの話はあまりこだわらずに…)最後までハイペースで読みきってしまったので、またゆっくり読み返したいなぁ。
イランが打ち上げたロケットの2段目が、大気圏に落下せず逆に高度を上げていることに気付いた主人公。そこからJAXAやらCIAやらアメリカの大富豪やらが絡んできて、テロ計画に立ち向かっていくという…言葉にしてしまうとなんじゃそりゃ!的な話なのですが、これがまぁフルコースのエンターテイメントで面白い。
強いて気になった点を挙げるとすると、解説でも「感情的に行動する人物や頭の悪い人物はほとんど出てこない」と書かれていますが、登場人物がみんな完璧超人で、頭の回転が速すぎ。シン・ゴジラよりも展開が速いのでは(笑
特にジャムジェドが決断するくだりは「え、それなに一瞬で判断したの?」という印象で現実離れしているような気も。
また、シライシの意思をカズミがどう昇華していったのか、ちょっと不明瞭なのが残念。
とは言え、スピード感は本著の良い面でもあって、息もつかせぬ展開にページをめくる手が止まらなくなる没入感は何とも言えず気持ちが良いもので。最高にデカい舞台装置を使いこなしたストーリー展開も快哉を叫びたい気分です。
文字を読んでいて情景が頭に浮かんでくるようなシーンも多く、ついつい映画化を期待したくなるのですが、宇宙のシーンを抜きにしても予算がかかりそうな要素しかない。。いや、コレでも絶対良い映画になるなぁ。
藤井さんの本、もうちょっと読んでみたいと思います。
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SF。サスペンス。
『年間日本SF傑作選』で「行き先は特異点」を読んだ時も思ったが、SF設定が非常にリアル。本当に現実に起こりそうに思える臨場感が特徴的。
そして、とにかくスリリング。解説にあるように、SF要素が理解できなくても十分に満足できる内容。それだけストーリーが面白いということでしょう。
上巻の序盤こそ、よく分からなくてなかなか読み進められなかったが、下巻はノンストップで読めた。
読後感も良くて、非常に楽しめました。
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スペース・テザー(承前)
オービタル・クラウド
著者:藤井太洋(1971-、鹿児島県、小説家)
解説:大森望(1961-、高知市、書評家)