紙の本
理屈ではない人間の行動。自分のことを考えれば、わかるよね。
2012/03/18 00:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「迷ったら現場へ行け」「行き詰ったらお客様に聞け」わりと耳にするフレーズである。企業が誰に対してモノやサービスを売っているのか、それに見合う対価をうけているのか、を考えたら、「次の手」を考える際に、一番しらなければならないのは、あきらかに「お客様」であるのだ。
だから、企業はアンケートを実施する。そのアンケート結果の分析、解析をして、お客様を「知る」という狙いで。けれど、自分お経験則からしても、これはなかなか困難である、といえる。アンケートに答えていただく環境、たとえばインセンティブの有無(回答者には○○をプレゼント!)とか、アンケート方法(記述式/自由回答など)とか、諸々の条件、フィルター、環境を考慮すると、出てきた「答え」の有用性に疑問がついたりして、「じゃあなんでアンケートやったん?」ってことにもなりかねない。そんなもやもやした経験をしたことがある人は少なくないんじゃないか。
本書で紹介されている「人間観察」はこのようなアンケートの類とは異なる。人の行動を人間工学、心理学、表情分析などの知見を通じて観察・分析することで、問題解決に役立てようとする手法であり、日本でのその分野の第一人者である著者が、事例をふんだんに使って紹介してくれる内容が本書である。
人間の行動を追っかける、しかもかなり深部にわたって。その一見不可解と思われる行動についても、著者の知見による心理学的なアプローチで、その因果関係を探る。そして行動の本質、本人も気づいていない行動の「理由」を導き出す。
行動観察はあくまでも「仮説」を生み出すためのフィールドワークであり、そこで得られた仮設を今度はアンケート等を利用して確認していくステージに入っていく。つまり我々が「お客さまを知る」ためにやろうとするアンケートは、実は第2ステージであり、前段階のステップを飛ばしてしまっているのかもしれない。前のステージによる仮説がないので、アタマの中だけで考えた仮説をもとに進めることになる。それが仮説として成り立っている場合もあれば、不完全な場合も当然にあるわけだ。
言われれば、「お客様の行動、考え、本音」といったところを探るマーケティングは当然の企業活動であるし、既にやっているという企業もあるだろう。けれど、本書に紹介されたような「人間工学、心理学」ベースに基づいた「行動観察」というアプローチは、結構斬新な切り口だと思う。そこまで考えて実行しているケースはそうそうないと思う。
本書は事例中心なので、読み物としても面白いし、著者のフィールドである「行動観察」については関心を持ったのも事実で、惹かれるものは多い。すぐに直接的に役立つかどうかは不明だが、その「考え方」=行動観察は科学である、という点は面白い。科学であるかどうかは、実はここ最近、考えていたこと。ヒントを得た思いだ。
【ことば】行動観察で様々な気付きを得るためには、自分の価値観をいったん横において、フィールドを観察することが求められる...行動観察においては、人間に関する知見が重要な意味を持つ。
どうやったら「行動観察」ができるようになるか、その条件を2つあげている。前者に関していえば、まだ完全ではないが、なんとなく「こういうことかな」って感じる瞬間がある。ただ、後者に関しては、今の自分では心もとない。もっと「勉強」せなば、なるまいね
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行動観察がどうといふよりは、著者が観察して得た知見がおもしろく、また勉強にもなつた。ワーキングマザーの現状には思はず涙しさうになつたし、営業マンの話には参考になるところ多数。
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とても読みやすくて具体的。特にワーキングマザーの事例には引き込まれてしまった。
行動観察のノウハウが主だけれど、観察した結果をどう浸透させるか?どう相手に受け入れてもらって実行できるか?ということにも重点を置いた内容だった。
ゼンメルワイスにならないようにという表現もわかりやすかった。
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じーーーーーーっと観察されるといつもの自分が出せなくなるよね。
でもこの著者:松波晴人さん(大阪ガス行動観察研究所所長)はそこんとこよくわかってらっしゃる。
あくまで自然体を観察するためにまず信頼関係を作ることが大事なんだって。
そうやって観察対象の心理的部分も踏まえてソリューション(問題解決策)を探していく。そしてただ無味乾燥なデータではなく、人間の本質をついた正確な解決策につなげていくと。
この著作は単に新しいビジネススキルの紹介にとどまらず、むやみやたらと唯物論的に発展してきた現代資本主義の考え方に新しい風を吹き込む者になると考えています。
なんか頭の固い文章になっちゃった。
ようは読めば多くの発見がある良書ですってこと。
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ちょっと前にガイアの夜明けで特集していた行動観察に関する本、実例と理論、観察者の心づもりがバランスよく記載されており、非常に素晴らしい内容です。
普段調査に関わっていない方々も読んでおいて損はありません。
営業活動に関する実例、これと似たような目的の調査と分析を去年しました、手法は異なりますが。
その案件ではレコメンは不要でしたが、彼らが提案したソリューションを読むと、一歩どころかニ歩も三歩も遅れてると実感。
何を目的にして、目の前で繰り広げられる行動であったりグルインでの発言を観るかってコトですね、勉強になりました。
内容とは関係ないですが、筆者は優しい方なんだろうなって思える文体でした。
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■行動観察
1.顧客自身も言語化できていない「潜在ニーズ」にいち早く気づき、顧客に価値のある「経験」を提供することが重要となってくる。
2.イノベーションを可能にするのには観察に触発された洞察である。
3.行動観察では、「目の前の人をいかにして幸せにするか」というマインドが非常に重要である。
4.優秀な営業マンは:お客さんとのファーストコンタクトを非常に大事にしている。自分よりお客さんの方が話す時間が長い。お客さんをよく観察して、個別のお客さんのニーズに合う提案をする。お客さんに何か必ず親切なことをする。
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正直なところ、期待外れ感の方が大きい。
事例紹介が中心の内容なんだが、かといって、何か示唆してくれることについては記述がないので、結局、詳しくは本人に実際に依頼してみてね。ってところ。
とはいえ、やはり 事件は現場で起こっている ということを再確認できる事例紹介が豊富。
課題解決には、現場で起きていることをじっくり観察しないことには始まらないと改めて実感。
ホワイトカラーの生産性向上についても一部記述あり。ホワイトカラーの現状(会議が多い、電話が多いから仕事が遮断される)分析、だから、仕事に集中できる時間帯を作ったら、多少改善されたって内容。いわゆる「がんばるタイム」。
とはいえ、さらなる現場(支店、営業所)は動き続けているわけで、それらからの問い合わせなどには応えなきゃいけないから、なかなか「がんばるタイム」ってうまくいかないんだろうなあ。
でも、一方で、集中してじっくり考える時間は、結局静まり返った夜遅くか、朝一番だったりするのも事実。
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紙のアンケートより行動そのものを観察したほうが深くニーズを探れるのだと感じた。自分に当てはめると…まずは相手の気持ちを感じようと思う心を持つ事☆かしら?また読み返したい本だった、特にワーキングマザーの回はとても勇気付られる。
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期待していた内容とは少し違ったが、面白かった。
「行動観察」によりさまざまな現場(ビジネスや家庭)にソリューション提供を行ってきた体験談が大部分を占める。
行動観察の手法は、じっくりと時間をかけて対象を観察することが基本なので、経理部の一社員である自分にとっては、仕事に取り入れることはなかなか難しそう。
ただ「理屈で正しいことを指示するのではなく、本人自身にこうしようも思ってもらうことが、その実行につながりやすい」、「気楽に話ができる関係づくり(オフのコミュニケーション)が、職場にとって大事」、「成果を出している人の行動をよく見て取り入れるのが、自分の成果アップの近道」あたりは普段から意識してるといいだろなと感じた。
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観察し、気づきを得ることで自分の糧となりやすい。結果、「人の役に立つこと」ができるようになる。
観察すれば、どういった手法が「効果」に繋がっているのか、「原因」に繋がっているのかが見えてくる。ただ見るだけではこのようにはいかない。
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もっとガッツリ行動観察について語るのかと思いきや本当に入門と自らの実践例
実践例は色々な用語やエピソードが出てきて「ヘェ〜」という感じ。
正直もっと具体的な方法論を期待していたので期待外れではあったが、日常に色々と気を配ってみれば気づくこともあることや習慣的な実践の言語化(技術の伝播)は難しいことはわかった。
自分の読みが足りなかった可能性はあるが不完全燃焼
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【リード】
アンケートやインタビューでわかるニーズは「顕在ニーズ」だけ。
実際に顧客の行動を観察して「潜在ニーズ」にいち早く気づこう。
【内容】
○行動観察とは何か
・行動観察をすることによって、アンケート結果には混入しがちな社会通念によるバイアスを排除できる
・『君は観察をしていない。ただ見ているだけだ。』(シャーロック・ホームズ)
・行動観察は「データ分析」のために実施するのではなく、「仮説を生み出す」ために実施する
○行動観察の具体例
・ワーキングマザーの行動観察
・イベントでの行動観察
・銭湯での行動観察
・営業マンの行動観察
・残業の多い職場での行動観察
・飲食業の行動観察
・ホテルマンの行動観察
・工場での行動観察
・書店での行動観察
【コメント】
行動観察の目的・方法を多数の事例をもとに解説している。
この本を読むことで他人の行動に興味を持つようになった。
今まで電車の中では本を読んでいたが、たまには人間観察もしてみよう。
またこの本のなにより良い点は、行動観察の事例として、過去に著者が行動観察の結果クライアントに提案したソリューションが惜しげもなく紹介されている点だ。
それだけでも十分読む価値がある。
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研究方法としては興味深い。文章が自画自賛的なので主旨が素直に受け取られない可能性がある。読み手を選ぶ本かも。
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読書家のK氏に推薦されて読みました。
現場力UP(生産性向上)のために「行動観察」によってカイゼンを進める実例が数多く載っていて参考になります。
現場の人達も気づいていない暗黙知を形式知にすることの重要性を示してくれているとも思いました。
「石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力」と合わせて読むといいですね。
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全体的に興味深い内容だった。できる営業マンの章は意外と自分でもやってることだなと思った(笑)どう共有していけば良いか、もう少し考察して欲しかった。
データ分析の為ではなく仮説を生み出すために実施する。 対象者が少なくても、それぞれの人々の行動や思いを深くする方がよい仮説が生まれる。先入観を持たずに、「自分の価値観から自由になって考える」