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電子書籍
巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト
著者 武村政春
最近発見された「パンドラウイルス」という巨大ウイルスは、これまでのウイルスと姿が大きく異なっている。ひょっとしたら、これまでに全く知られていない新たな生命の形なのではない...
巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト
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巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト (ブルーバックス)
商品説明
最近発見された「パンドラウイルス」という巨大ウイルスは、これまでのウイルスと姿が大きく異なっている。ひょっとしたら、これまでに全く知られていない新たな生命の形なのではないか。現在、生物の世界は3つのグループ(ドメイン)に分けられることになっているが、ウイルスはそれにあてはまらない。しかし、今後、新たな「第4のドメイン」が付け加わることになるかもしれない。生物とは何かを問いなおすミステリー。(ブルーバックス・2015年2月刊)
目次
- はじめに
- 第1章 超巨大ウイルスの発見
- 1‐1 ミミウイルスの発見
- 1‐2 そもそもウイルスとは何か
- 1‐3 続々と発見される巨大ウイルス
- 1‐4 パンドラウイルスとは何か
- 1‐5 眠りから覚めた超巨大ウイルス
- 第2章 第4のドメインとは何か
- 2‐1 核細胞質性巨大DNAウイルス
- 2‐2 生物の分類とrRNA遺伝子
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紙の本
生物とは何かという基本的な問いを改めて問い直した書です!
2020/02/15 14:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、生物進化、生物とは何かという基本的な問いについて改めて考察した画期的な一冊です。というのも、近年、様々なウィルスが発見されるようになり、驚くべきことに、こうした新ウィルスは、サイズがこれまでとは比べものにならないくらい巨大で、かつ多彩な遺伝子をもっているからです。こうした状況から、これまで定説となっていた「ウィルスは生物ではない」というものが揺らぎ、「ウィルスは未知の生物グループに属するのではないか」という考えられています。同書は、生物とは何かということを改めて考えさせてくれる貴重な一冊です。
紙の本
「生き物とは」「生きているとは」。壮大な概念につながっていく、一寸くらくらする話。
2015/06/03 16:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校で習った記憶では、ウイルスは「とても小さく、始めは濾過性病原体とよばれた」「タバコモザイクウイルスは結晶化できる。生き物ではない。」だったと思う。巨大ウイルスはこのように習ってきた概念をどんどん壊してくれる。少し細かい部分は分子生物学を勉強していないと難しいかもしれないが、とりあえず「定義にあてはまらない」ということは理解できる。
ウイルスの特徴も持ち、細胞を持つ生き物の特徴も持つこれはなにか。アナロジーとしては進化のミッシングリンクを埋める化石のことを考えてしまう。人間が理解するために「定義」という線引きをしてきたけれど、中間的な存在がみつかることでどこかで連続している可能性が強くなってくる。
「生き物とは」「生きているとは」。壮大な概念につながる話に少しくらくらするところもあったが、生き物の進化についてはまだまだ面白いことがありそうだ、とわくわくしながら読んでしまった。
紙の本
巨大DNAウイルスが『生物』の定義を変えるかもしれない
2021/09/28 18:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:穴部 - この投稿者のレビュー一覧を見る
巨大DNAウイルスという存在が発見されたことによって、ウイルスと生物の境界線はかなりぼやかされた。これまでは『生物』という言葉の定義から外されてきたウイルスという存在が、生物との境界線がますます薄まることによって、生物という存在と、ウイルスという存在が融合した、新たな生命像が誕生する日がいずれ訪れるかもしれない。
電子書籍
考えさせられた!
2020/12/04 12:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を手に取ったきっかけは、新型コロナウイルスが流行したことで、ウイルスについて関心を持ったためであったが、結果としてウイルスについて学ぶだけでなく、生物について考える材料となった。
特に、「生きている」とは何かという点については私が生物を考える上で大前提としていた「生物の最小単位は細胞である」という根拠さえ必ずしも正解でないという点は衝撃であった。
確かに、地球誕生後、DNAレプリコンが誕生し、そこからウイルス巨大ウイルスが誕生し、さらに進化して細胞が生まれたという段階を経ているわけだから、どこからが生物で、どこからが無生物なのか一線を引くことは困難を極めるだろう。また、ウイルスも細胞に感染している状態を本来のものとするならば、細胞及び増殖能力を有していることになる。私はそうなると、ウイルスも生物に含まれてしまうことから、より区切りをつけるのが困難になるのではないかと思料した。
とはいえ、当分の間は「生物の最小単位は細胞である」という説自体は否定されそうにないが、自然界は我々が考える以上に例外がありふれているため、そのうち細胞やセントラルドグマの機構を備えたウイルスが発見されても何らおかしくはない。むしろ私はそのような発見こそ、ブレイクスルーとなるため歓迎すべきと考える。従って、ウイルス研究の更なる発見と発展を期待したいと思うし、私をそう思わせるようにした一冊であった。
結局生きているとは何か、という問いへの回答は研究者の方でも見つけられていないので、一素人の私が結論を出すことはできなかったが、今後も本を選ぶ上での一基軸となったことは間違いなく、その点において筆者と本書には感謝である。