紙の本
『15歳、ぬけがら』
2017/11/27 20:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スカート丈が短いのは中1からずっと着ているから
おなかがすくと食品売り場の試食コーナーへ行き
水道が止まっているので公園の公衆トイレで顔を洗う
母子家庭で育つ中学3年生の麻美
診療内科に通う母は当てにならず、すさまじい生活の中で夜の仲間とのつきあいに危うく流されそうになりながら、同じ市営住宅に住む同級生とのかかわりを通じて出会う支援塾「まなび~」の大人たちによってすこしずつ心が開かれていく
「ぬけがら、最高。あたしは、強いぬけがらになるんだ」
第57回(2016年)講談社児童文学新人賞で佳作入選の問題作
ちなみにこのとき新人賞を受賞したのが『ラブリィ!』(吉田桃子)で、佳作のもう一編が『マイナス・ヒーロー』(落合由佳)
この3作、甲乙つけがたし
紙の本
面白かった
2017/09/11 17:02
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧困を描いた児童書。
離婚前と後で変わる母親。昔の母親に戻ってほしいと思いつつも、いろいろとあきらめた様子の主人公がかなしい。
ラストは前を向いた感じで良かった。
面白かった。
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子どもの貧困という言葉をニュースで見たことはありましたが、そこには私の想像以上の事があると思います。
フィクションですが、こうして小説で子どもたちの思いを疑似体験する事は、考えるきっかけの一つになりました。
作中にも出てきますが、まだまだ子どもの貧困って理解していない人が多いんだと思います。
私の職場にも、「一日中ご飯を食べない日がある」と言っている子が遊びに来ます。正直、体臭もキツイです。
その子が帰った後に、他の職員に、
「ご飯を食べてないって言ってたけど、貧困家庭なのかな?」と何気なく言ったら、笑いながら、
「貧困?今貧困って言った?wひどくないw?どんだけw」
と冗談のように受け止められてしまって、こういう人がまだまだ多いのかもしれない と思いました……。
なので、小説で現状を広めていくこともとても大事だと、改めて思います。
最初から貧困家庭の子ももちろん辛いでしょうけど、主人公のように最初は普通の家庭だったのに、急に貧困家庭になってしまうとさらに辛いでしょうね…一般的な幸せを知っているだけに…。
こういう子を増やさないためにも、妊娠、出産はもっときちんと考えて欲しい…。
こういう現状も小学校から子どもたちに教えていってほしいな…。
じゃないとこれからもっともっと不幸が世の中に蔓延しそうで。
お金があるから必ず幸せ、ではないけど、幸せになる為の勉強にもお金がいりますから、親になる人たちはもっと考えて欲しい…
って、小説のレビューではなくなってしまいました。
小説は、とても良いです。
ただ、場面の切り替わりの部分が、1、2行ぐらいの空行だけで次のシーンに行くので、最初戸惑いました。
あれ?今まで家にいたのにいきなり外?みたいな。
シーン切り替わりの空行に「1」とか「***」とかサブタイトルとかあったらもっと読みやすかったかなと
でも後半は慣れましたので、気にならない方は全く気にならないと思います。
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中学三年生の主人公・麻美。
両親は離婚し、母と二人暮らしで古くてみすぼらしい団地に住んでいる。
母は、うつ病(?)を患っていて無職。そのために満足に食事のとれない麻美の頼りの綱は学校の給食だ。しかし、夏休みがやってきて・・・。
そんな麻美に団地の仲間は、食事を出してくれる支援塾にいかないかと誘うが気乗りのしない麻美は毎日を鬱々と過ごし、不良たちの非行についていってしまう時も。
しかし、ふとしたことから支援塾に足を踏み入れた麻美はそこで活動する大人たちの力もあって、鬱々と自暴自棄になっていた自分から脱却しようとする。
この本に出てくる支援塾は、今、世間で増えている子ども食堂みたいな感じなのかな。
貧困問題も新聞などで見かけるし、タイムリーな本だが、そういった目を引く状況を切り貼りしたようで主人公・麻美や他キャラクターに人間としての魅力を感じず、不憫な環境にいるのに応援できなかったのが残念でした。
貧困ゆえに無気力で考える力がないということを書きたかったのかもしれませんが、物語、しかも児童文学というカテゴリーから出すのなら、ノンフィクションのルポルタージュなどとの違いを見せつけてほしかったです。
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湯浅誠さんがシェアしてたのでポチった。講談社児童文学新人賞佳作、今時の読書感想文とかの課題図書がどんなんか知らんけど、こういうヤングアダルト文学こそ。カフェに置いとく。
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うん、さわやかな読み終わり。
終始頑固というか素直になれない主人公なんだけど
だから物語がしみてくるのかも。
推進力をもらえるエネルギーのある本。
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貧困家庭で暮らす、グレてはいないが半ば自暴自棄の中学生が、ある事をきっかけに少しだけ立ち直る話。現代日本において、決してフィクションとは言えない内容で、読むのが辛い。政治家にこそ読んでほしい本。それで税金が兵器の購入ではなく、こういった子どもたちを助けるために、使われるような社会になって欲しいが・・・
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支援塾が押しつけがましく熱血系でないのが、他とは違う感じ。何も解決してないけど、なんだか希望が見えるようでよかった。
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海外の作品はかなり果敢に厳しい問題に挑戦するけど、日本のYAは学校で読まれることを配慮してか、厳しい問題もソフトに描く傾向がある気がしているが(『カーネーション』『小やぎのかんむり』など。岩瀬成子は例外)、これは、日本の貧困家庭をかなりリアルに描いている。(一般向けなら厳しい現実を描いた作品はいくらでもあるが、この本は児童文学、つまり子どもに読まれる前提で書いている。)
主人公は両親が離婚し、母と暮らすが、母の精神状態が悪く、家事も仕事もできない状態。狭い家に男を連れ込むこともある。
貧困とネグレクトが一体化すると、とたんに大人社会の闇が接近する。女子は売春し、男子はチンピラになり、児童は放浪し、万引きする。最近になって「子どもの貧困」なんて言われだしたけど、いつの時代にもこういうことはあった。多分ほかの国でも同じだろう。しかし、貧しい国ならいざしらず、国家としては豊かな日本が、こうした子どもたちの救済に乗り出さないのは異常だ。
この本でも食事を与え、勉強をサポートするのは民間のボランティアだ。こういう善意の人々に頼って良しとするのではなく、きちんと行政がサポートしなくては。
食欲に負けてサポート団体に行き、少し将来に光が差してきた主人公に比べ、18になったため何のサポートも受けられず、売春で身を立てなければならない優香のことを考えると胸が締め付けられる。(たった一人田舎の祖母に引き取られた和馬も、将来グレる予感大。)しかし、これが現実。すべての人が救われるわけではない。
著者は公立中学の教員だったとあるから、きっとこういう現実を目の当たりにしたのだろう。甘くない現実と同時に、夢物語ではない希望も描いた作者に拍手を送りたい。
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児童文学というカテゴリーだけど、大人にも読んでもらいたい一冊。
世の中、理不尽なことが多いけど
誰かのせいにして不貞腐れてないで
自分のできることからやってみよう!
そんな気持ちにさせられます。
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今の豊かな時代に、今日明日の食べ物に困っている子供たちがいると思うと、切なくなる。物語の中では、学習支援塾でご飯を出してくれたり、勉強を教えてもらったり、話を聞いてもらったりする場所があったから、少しは救われたと思うけど、ホントに切ない。
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経済的に困窮している家庭がいくつか出てくる。主人公の中学生の麻美の家庭もそんな家庭のひとつ。父と離婚した後、母親が精神的に病んでしまい、部屋が汚くて食べるものも着るものも欠いている。
フィクションだが、経済的にも精神的にも自立できていない家庭の子どもたちの現状がよくわかる。子どもを取り巻く先生や同級生や見ず知らずの大人たちは、貧困家庭に育つ子供たちの背景を理解しないで阻害したり批判的だ。
そんな中でも、無償の愛を注ぐ、学習支援塾のまなびーに出会うことで、麻美は変わっていく。
近年、子ども食堂が話題になっているが、この本を読んでその価値を改めて認識した。
私は大人として、自分の行動を振り返ったが、中学生はどう読み感じるのか、正直分からない。
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貧困家庭の女の子が、学習支援塾に出会い、希望を見出す。食事っていいなと思えた。
塾の人ができすぎな点、主人公が不思議にまっすぐな点をのぞけば、自分の世界とも地続きなリアルさを感じて共感できました。
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読んだのは去年。いまだに読み終わった瞬間の哀しさと遣る瀬無さを覚えている。つくづく思うのだけれど、これは物語のお話なんかじゃなくて、実在する人間の話だったのだ。きっとたびたび思い返す。わたしには何ができるのかと思いながら。
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生徒の家庭のことを何も知らない先生。
すごいな、今の時代にそんなこと可能なのかなと思うけれど、じゃあ逆にいったい何を知ってると言えるのだろうかと言えば、やっぱり何も知らないのかもしれないなとも思う。
支援を必要とする側が、支援する側になる。
未だ自らも支援を必要とするままなのに。
これが自助、共助の世界ですか。