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商品説明
代表作「第七官界彷徨」を含む一連の作品を発表後、彗星のように消え去った作家・尾崎翠。作品世界に注がれたさまざまな水脈を精緻に読み解き、斬新かつ厚みのある作家像を呈示する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
川崎 賢子
- 略歴
- 〈川崎賢子〉1956年生まれ。東京女子大学大学院文学研究科修了。文芸評論家、早稲田大学20世紀メディア研究所客員研究員。著書に「彼等の昭和」「岡田桑三映像の世紀」「読む女書く女」など。
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紙の本
尾崎翠研究事始
2010/09/24 20:02
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:琉璃と瑠璃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この年に巡り会えたこと、この本に巡り会えたことを幸運に思う。
無視もされ、愛されもし、時に評価が迷走した尾崎翠作品を、精緻にかつ巨視的に文学の豊かな系譜の中に位置づけようという野心的な試みが結実した。
印象批評の時代から、校訂、仮説、論証の時代へ。しかも、尾崎翠の繊細さ、柔らかさ、壊れやすさについて細心の注意を払って、研究対象とされる時代がここに始まる。
孤立していたかに見えた尾崎翠の文業が、幾多の豊かな思想的文学的水脈の中で育まれ、息づいていたこと。
それとともに、女性の書き手読み手としてカノンとの格闘を余儀なくされたこと。
その栄光と悲哀が、次の世代に大きな宿題として手渡されている。
尾崎翠読者としては、謹んでこの一冊の贈り物を受け取り、少しずつ先駆者の問いに答えていきたいものだ。
紙の本
うるおいのある本
2010/07/25 09:45
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぼたもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
尾崎翠という作家は、一部にカルト的な人気を持っている。
映画、テレビ、演劇にもなった。
苔が恋愛したり、肥料の研究をする兄と、心理学を研究する兄と、音楽学校受験生と、詩人志望の少女が同居してコミカルな生活を送ったりするという、不思議な小説を20世紀のはじめごろに書いて、姿を消した。
本書は尾崎翠の世界を、研究対象として正面から扱った中身の濃い本だ。
鳥取県に生まれて、東京で文学者として活動し、やがて砂丘の彼方のふるさとに帰った尾崎翠。尾崎翠の文学世界を分析し、その魅力と挫折を考察している。
生きている間には文学で食べていけず、心を病んで帰郷した尾崎翠だが、本書の最終章は「柔かい海」と名付けられていて、著者は尾崎翠の可能性を柔かく(軟らかくじゃない!)精緻に解き明かしている。