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紙の本
人間として音楽家としての孤絶の世界
2001/08/27 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:水原紫苑 - この投稿者のレビュー一覧を見る
モーツァルトといえば、人類に与えられた最高の贈り物であり、地上に降り立った天使である、というようなイメージがある。モーツァルトの音楽(それはきわめて限定された範囲内でしか私は知らないのだが)にふれる幸福が、モーツァルトの像をそうした、イメージの雲で厚く覆ってしまう。あるいはまた、悲劇的な夭折の生涯や、音楽の天才である面以外の愚かしさが、必要以上にクローズアップされてしまう。
しかし、モーツァルトは十八世紀を生きた現実の人間であり、彼によって十八世紀は大きな刻印を受けたのだ。『変貌するモーツァルト』の著者は、きびしくあたたかい眼で、さまざまなイメージの雲を払ってモーツァルトの人間と作品の素顔を私たちに伝えようとしている。モーツァルトの時代のフォルテピアノによる演奏が『変ロ長調ソナタ』に、現代の演奏とは異なる、人間として音楽家としての孤絶の世界を表わすのは感動的である。(水原紫苑/歌人 2001.2.13)