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紙の本
闇の貴族 (講談社ノベルス)
著者 新堂 冬樹 (著)
闇の世界の支配者となるべく謀略を巡らせ、暴力とカネでのし上がっていく加賀。だが、大金と権力を手中にしたとき、悲劇と崩壊は始まり、真実の「闇の貴族」が姿を現した…。世紀末に...
闇の貴族 (講談社ノベルス)
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商品説明
闇の世界の支配者となるべく謀略を巡らせ、暴力とカネでのし上がっていく加賀。だが、大金と権力を手中にしたとき、悲劇と崩壊は始まり、真実の「闇の貴族」が姿を現した…。世紀末に贈るピカレスク・ロマン。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
新堂 冬樹
- 略歴
- 〈新堂冬樹〉1966年大阪府生まれ。工業高校中退後、金融会社勤務。現在は新宿でコンサルタント業を営む。メフィスト賞受賞作「血塗られた神話」でデビュー。
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紙の本
ピカレスクな暗黒小説
2000/07/11 08:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:愛・蔵太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんか、とんでもないものが人知れず出版されていたなぁ、という本。といっても、私の買ったのは1999年6月刊行の、2000年5月で3刷モノ。知っている人は知っている、ということですか。第7回メフィスト賞受賞者の、要するにメフィスト者ではありますが、本格系ミステリ読んで小説書き始めたんだろう、というようなメフィスト者に対する既成概念を持って読むと全然違うので驚きます。本格・新本格のコードではなくて、大藪春彦・馳星周、あるいは初期のウェストレイクを思わせる暴力小説。さらに言うと内容紹介には「悪漢小説(ピカレスク・ロマン)」と書いてありますが、ワタシ的には暗黒小説です。
経営がうまく行かなくなった安売り家電店のオーナー・倉持が、冒頭で人生の残りの全てを競馬に賭けてそれを失う。家に帰ると極悪なヤクザ系借金取りが待っていて、厳しい言で彼を責める、という、もうはじめの数ページを読んで、読書の姿勢を改めました。世間知らずの新本格とは、明らかに違う種類の小説(ミステリー)です。
この倉持をどういう人物がどういう目に会わして、どう喰い潰すか、が物語の始めの部分なんですが、その中心にいる主人公の「加賀篤」という人物がこれまたすごい。ヤクザのために父を失い、たかだか数千円の金で身を売る母に育てられる、という極貧の環境の中で、金だけを信じ、それ以外のすべてを金のために利用する、というスーパー・ピカレスクなキャラで、政界の大物、銀行の頭取、対立するヤクザ系のボス、子分のチンピラだが迫力あるワキ役の面々、いろいろな女性、殺し屋、などなど、どのキャラも青年劇画的にキャラは立ってはおりますが、この主人公にはかなわない。
話の基本部分は、主人公がどのように様々な人物を利用し、その策のために破滅するか、というものですが、主人公に対立する、というか、やおい的関係にある(私感)「柴崎」という若者が、実にもう、とてつもなくいい味を出している。加賀を信じ、柴崎が憎悪する相手を殺させた、その全てが…という、暗黒小説の基本キャラのような、暗い目をしたプロの殺し屋として、日本で殺戮の限りをつくすラスト部分のアクションは、この小説中の白眉で、文章のテンポ・アクション描写(ちょっと北方謙三ライク?)などなど、「どうしようオレ、こんな面白い小説途中でやめられないよ」と、困った状況に読者を追い込むこと必須です。個人的には、○○を○に○○させた○○の○○が、コンビニの弁当とゴムボールで○○○させられる、というシーンが、ちょっと残酷性とギャグの入り混じった部分としていい感じでした。
そして、デパートの屋上でむかえる、映画『マトリックス』を思わせるような、もう、ここで終わっていて欲しいと私が思った通りのラスト。余韻と感涙、驚喜絶賛。これを褒めずにいられましょうか。傑作。いやいや、大傑作。
ただ、話が日本を舞台に、それなりに実相が感じられるような部分(本当のヤクザがどうなのか、はともかくとして)はいいんですが、外国の「世界統一をたくらむ(悪の)組織」とか、そのための殺し屋養成所なんてところは、石ノ森章太郎の漫画かい、とツッコミを入れたくなるぐらいリアリティがありません。今後の物語作りに若干の不安を感じさせる要因ではありますが、今のところまだ大丈夫みたいです。
しかし、本格と泣かせのミステリーには、それぞれ毎年の「ベスト」本があるんですが、またネット内にも何人か、信用するに足りる本読みなかたはいらっしゃるんですが、結局自分にとって面白い本に出会うためには、市場に出ている本を手当たり次第読んでみることしかなさそうな気がするということが分かる(確認できる)ような経験ばかりをしています。私がどういった話を好きなのか、もう少しくわしく自己分析してみたくなりました。
紙の本
徹底しているからこそ新鮮
2001/10/10 08:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YASU - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう金銭欲が絡んだストーリーでは、どんな悪党でも主人公ならば何か一つ金の他に譲ることの出来ない大切なものがあるといったパターンがありがちだと思う。が、この『闇の貴族』の加賀は終始金だけに固執、徹底して金の匂いにしか反応を示さない男だ。どんなに自分を慕っている人間でも、使いものにならなければただの虫けら。今まで読んできたこの手のストーリーからすれば、いい意味での裏切りだ。むしろ余計なものが省かれていて迫力があったし、新鮮だった。
全く迷いを感じさせない主人公の生き方。それだけに、彼を慕う者たちがやけに悲しく印象に残った。
紙の本
ちょっとやり方がえげつない。
2001/05/25 12:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
とりあえず、悪どくのし上がっていく主人公、というのは結構好きなんです。誰のことも信用しないクールなヒーローというのもイイ。しかしこの主人公の加賀さんが、いまいちこう、熱烈に応援したい感じの人ではなく、苦手。彼のお金に対する執着がどうも成金くさいというか、とあるアパートの押入に隠してある札束の詰まった箱を眺めているときが一番幸せってあたりがちょっとイヤな感じなのですが…。
それからこの人の目的を達するための悪どいというよりえげつないやり口がまた、好きになれないです。因果応報で追い詰められた時の格好悪いうろたえ方も、自分だってそこまでのことをしてるんだから現状を把握して潔く敗けを認めるくらいはしたらどうかとまで思ってしまいました。彼は悪のヒーローというのともまたちょっと違うみたいだったなぁ…。暗殺者のチャンプとパンサーは良かったですけど。