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感動した。涙が出そうだ。全ての日本人が読むべき本だと言いたい。
著者紹介
松本 大氏 :東大法→ソロモン→GS→数十億の報酬を捨て、起業→マネックス(講演で2回ほど話を聞いたことがある、とても聡明な方だと感じた。)
冨山 和彦氏 :東大法、司法試験合格、スタンフォードMBA→BCG→CDI設立→産業再生機構→経営共創基盤設立
と表面的なところだけ見ても、華々しい。といっても恐らくこれは当時のエリートコースではないはず。当時は、東大法なら官僚か司法に行く人間が多かったと思う。著者のアウトローな一面を感じる。
僕は、2つの点で感動した。1つ目はその内容のすばらしさ。2つ目はお二人のような、華々しい経歴で、もう守りに入ってもいいような方が、この国の既得権益層に対してものを申すという、恐らくは立場上言いにくいことを言う勇気に。若手の政治家や官僚だってきっとこう思っている人は多いはず。
全部を理解できたわけではないが、共感した箇所をいくつか引用しながら、感じたことを書いていきたい。(引用は斜体)
『構造改革で規制を緩和すれば、旧来の社会の仕組みの中で既得権を得ていた人たちは、その既得権を手放さなければなりません。彼らはそれが嫌なのです。せっかく手にした利益をにぎったままなんとか逃げ切りを図りたいという人たちが、自分たちの牙城に侵攻してくる可能性の出てきた新興勢力を牽制するために品格という言葉を使っている、それが、いまの品格ブームの正体だと私は見ています』
まったくその通りだと思う。新興勢力を叩き潰すのではなく、次の世代が進んでいけるように道を整備し、空けてあげるべきだろう。新興勢力が荒削りであるならそれを大人らしく諭してあげるべきだろう、それが品格ある大人の振る舞いではないだろうか。既得権益にしがみつく姿に品格なんて微塵も感じられない。
これは外資に対してもそう。外資はハゲタカ、買収されるのはイヤなんて議論が幼稚すぎる。そんなこと言うなら、日本のグローバルカンパニーはどうなるの?現地の企業を買収したりするじゃん。その土地で雇用を生み出し、利益を上げてくれるなら、社会貢献してくれるなら、誰がトップだって構わない。
『上が詰まっているので、日本の場合は準教授を探すと、意外に優秀な人に当たります。』
同感。といっても自分の研究科の狭い範囲だけだが。準教授や助教の方が、指導も熱心だし、新しい研究にトライしていると感じる。教授が名誉職みたいになっているのが問題なんだろうなと思う。教授も研究成果が出なかったら降格とかすればいいのに。優秀だから教授になれたと自負するのなら有期雇用でも良いと思う。なんで助教、準教授だけ任期制なの?
『団塊の世代の人には申し訳ないのですが、若者よりも団塊の世代のほうが、個としては絶対に脆弱です。彼らの成功体験というのは、いってみれば組織に埋没することでうまくいくモデルを通じてのものだったのです。逆に、自立力を鍛える機会というのはあまりなかったのでしょう。』
こんなこと、息子ほどの年齢の僕が言ったら烈火の如く怒り狂うだろうが、残念ながらそうだと思う。組織の中って従順であれば、結構何も考える必要ないと思う。当時はそれで上手くいっていたのだから、そうなるのは当たり前というば当たり前。
『日本の人口はインフラの整備された都市部に集中させ、地方は自然に戻せばいいのです。いまそこに住んでいる人の不便や不都合だけをセンチメンタルに取り上げて報道するだけでは、地方の問題は解決しません。』
同感、これは一つのタブーなのかも。僕の故郷も相当な田舎で人口もどんどん減っている。申し訳ないが、自分の生まれ育った土地に固執する少数の人のためにいろんな公共サービスを平等に提供するのは非効率だ。こんなこと政治家は口が裂けても言えないんだろうな。だって票が減るから。昔これを親に言ったら、めちゃくちゃ怒られた、人として間違っているみたいな感じで。じゃあ、この過疎ってる不便な土地に若者を縛り付けるのか?田舎は良いみたいな幻想があるけど、田舎って実は給料安いのに、食品とか東京より高いし、車とか必要だしと結構お金かかる。特に僕のところなんかは、ガソリンも高いし、そのせいで色々と輸送費分割高になっているし。そこで地域のために働けというの?
まだまだたくさんあるけど、というか全ページについて感想を書けるくらい、でもとりあえずこれぐらいで。とにかくこの本は、今の既得権益層が如何にこの国をダメにしているか、それを真正面から堂々と言っている。なんと希望に満ちた本だろうか。一人でも多くの人がこの本を手に取ることを願う。それにしても表紙の写真、松本氏、目が怖すぎる。逆に冨山氏は、なんかクリッとして可愛らしい。
駆け足で読んだので、また読み直そう。何度も読み直そう。
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今の日本の構造がいかに若者、もしくは生まれてくる子どもたちにとってマイナスな状態であり
その根源が団塊の世代を中心とする既得権益層の問題なのかが強く指摘されている。
そして、それが政治システムの問題であるとも。
ただ、どうしても場当たり的な話に終始している気がして「会社は頭から腐る」ほどの骨太さはないし、
一方で両者がそれぞれ1テーマを語っている形式のため、対談本に期待したい議論の止揚もなく
正直期待はずれに近い。
が、今どういう問題が日本で発生しているのか、この不景気はいったい何なのか、これから日本はどうなっているのか
漠然とした不安はあるものの何も考える幹がなかった人にとっては、いい導入本になるのではないか。
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元・産業再生機構の富山さんと、マネックスの松本さん、尊敬する二人の対論本です。
〜〜〜〜〜
経済大停滞、年金崩壊、格差の二極化、貧困化する地方…
問題の本質は「若者の所得を収奪する団塊世代」である。
〜〜〜〜〜
という内容(帯より)。
「明治維新以降の社会構造が現状にそぐわなくなり、インセンティブ・デザインの必要性が出てきたことを説いた本」と言ったら端折りすぎか。
常日頃思っていたことが代弁されていて、すっきりした。
「勝ち逃げ世代」と言われている団塊世代に、改めて失望するとともに、今の40代あたりに希望を持った。
【疑問】
「現在の公的年金制度を解散、保険料は全額返還」して賦課方式から積立方式にするのは大賛成。
ただし、120兆円の不足とのソースはどこから?
野口悠紀夫は、800兆円と述べているけど。
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(2009/1/29読了)団塊の世代を中心とする中高年層は、「世代間の利害の対立」という見たくない現実をちゃんと見据え、がっちり握っている既得権益を若者に開放せよ、という書。やっぱり問題は世代間闘争なんだな。
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内容としては帯に書かれている「問題の本質は『若者の所得を収奪する団塊世代』である。」という言葉に表されている。これは相当マクロの意識および制度に関する知識がないとそういう認識にはなりにくいため、(そういうものがあまりない)自分には目からうろこだった。最終章にある10の提言も内容は納得できるものばかりだった。これらを達成するにはどこから手をつければよいか?旧世代に有利な選挙制度の改革のためにまずは若者が選挙に立ち上がることか・・・[2009/2/19]
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松本さんらが考える政策の提言と、団塊世代への文句(笑)で構成されています。
多少非現実的な政策提言もありますが、日本の問題をクリティカルに指摘・批判し、日本を変えるという意識を持たせてくれる、良い本だと思います。
萬木
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冨山和彦氏、松本大氏のそれぞれをいつも尊敬の眼差しでみているものとして、店頭できになったので購入してみた。大前研一氏やWBSコメンテーター陣の何名かの方たちもおっしゃっている方向性と共通で、現在の不況やその他の社会的問題の本質は、団塊世代、高齢者が若年世代から収奪・滞留させている所得が社会に還流しない、ということであると述べている。事業会社にいた頃に痛切に感じていた、「自分たちががんばって成果を挙げ、儲かった分が、ろくな働きのない中間管理職以上の人たち(上位マネジメントは特に)に手厚く分配される構図にとても苛立ちを感じる」という気持ちが、社会全体に蔓延しているという困ったことなのだ。日本という国が戦後の復興の中で活用してきた様々な法・制度が疲労による適合不良に陥っていることが改めて指摘されるとともに、経済モデルや社会構造の変化を見ない振りしている間にどんどん乖離してきているということに目を向け、今後の日本がどんな理想像を見据えて再構築されるべきなのかについて語られた本書。納得感ももちろん必要だが、その前にまずたたき台でもいいから理想像について提示し議論するリーダーが不可欠だということを改めて痛感した。自分なりに地道に努力していてもなかなか変わっていかないことに焦れてしまう昨今、こういう影響力のある人たちの心強い発言を胸に、これからもできることを精一杯取り組んで生きたいと思った次第。
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日本の問題の根源のひとつは 団塊の世代以上が既得権に執着するあまり、富や権力を若い世代にゆずらないことにある!
こういう強いメッセージを紙に落として公開する勇気あるリーダーがいるということ、しかも既得権側にはいってもいいぐらい既得している人が声をあげてくれる、ということに
まだ日本は救いが有ると思います。
日本を戦後の廃墟から復興させた世代が成功にしがみつくのはしょうがないし、その功績は称賛と敬意に値すると思う。
でもその世代に今までの成功をかなぐり捨てて、もういちど日本を立て直すことを強いることも無理がある。
そう、著者の言う通り、世代交代が必要。
でもそれまでじっと待っていればいいのでしょうか? 30年後に50代になる今の20代が次世代を変えてくれると著者は書いています。
いま40になった私たちはどうする? バブルがはじけた直後に就職し、そのまま失われた10年を過ごし、人生後半は次世代の若者にゆだねていいのか?
少なくとも、40になっても45になっても50になっても、守りに入らない生き方をしたいもの。
今の40歳も30年後は70代。 まだまだ生きている人の方が多いはず。 国民年金はネットネットで受給額より支払い額が多くなる初の世代。
私たちも何かしなくちゃいけないよなあ。
誰もが感じているがメディアが活字にしにくいメッセージがずばずば書かれていて実に気持よい本。
惰性に流されず物事の本質を問う習慣と自分を主張する勇気をもった大人でいたい。
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著者お二人のこの国への危機感がひしひしと感じられる。年金は一度ご破算とし新たに積み立て方式とする、
深刻な世代間対立へのひとつの解世代別選挙制度、 センチメンタルさを一掃する地方のあり方等々、 とても刺激を受ける一冊。「今の時代の”最大多数”の幸福と未来世代の”最大幸福”の深刻な相克」に対する10の提言は納得。20代の人に手にしてほしい、そんなふうに思ったりした。
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2009フジロックの最中に読んだ。
「格差の根本的な原因は市場経済にあるのではなく、世代間格差にある」
「正規社員と非正規社員の区別撤廃」
「公的年金を一旦解散し、積立方式(世代内扶助方式)で再構築する」
「外資系製造業を積極誘致し、利益を日本で再配分してもらう」
「戸籍制度の全廃と婚外子の権利制限撤廃」
など。内容自体はそれほどでもなかったが、「どのように格差の構図をなくし、市場原理を取り入れるか」という点では参考になるのかもしれない。
それと、視座の高い本を読むことで、自分の将来設計への展望を考える上で良い刺激になった。
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10の提言のうち、半分くらいしか共感できず。。。
こういう本を読むと、自分は結構保守的な人間なんだなと考えさせられる。
というのと、これから先、日本という国がどうなるのが「いい」のかっていう絵がまだ自分の中に無いんだなと気づかされる。
それこそ、30年後、この国がどういう風になっていて欲しいのかをもう少し考えないといけない。
次の選挙が、「歴史的な」選挙になるかもといわれている今だからこそ。
もう少し身近なところで言えば、当たり前のことを疑うというか、固定されてしまっているものなんてなくて、変えようと思えば変えられるんだっていう視点は何に対しても持っているべきだなと思った。
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以下のような内容です。若干、議論が大雑把すぎる感あり。★3.5くらいかと。
1 品格ブームの胡散臭さ
2 パワーとマネーを若者に移譲せよ
3 インセンティブ・デザインを導入せよ
4 人間の意欲を摘み取る国
5 法学部支配社会でいいのか
6 「ダメな国」と認識したほうが未来を描ける
7 政府は「理想的家族像」を押しつけるな
8 人口構成デザインはもっとも重要な政治テーマだ
9 国民一人ひとりの国際競争力が問われる
10 自律反転の時はいつ来るか
11 日本を「知識集約立国」に転換せよ
◆日本を若返らせる10の提言
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社会保障制度の問題、中央と地方の問題、既得権益と格差の問題・・・
民主政の枠組みの中で「多数派」の中高年世代が、「少数派」の若者や子供たちの権益や利益を奪うという、「世代間の利害対立」がある。
そしてそれに付随して、国民が感じる不安には2種類あるという。
一つは、既得権益層を握っている人たちがそれを失うことに対する不安。構造改革に対する抵抗勢力というのは、これである。
もう一つは、既得権益とは無関係の人が感じる、将来に対する漠然とした不安。
この二つをごっちゃ混ぜにしてはいけない、というのである。
年金制度にしても、破綻させてしまったら現在年金を受け取る層はどうなってしまうのか?という議論しかされていないが、
仮にこのまま継続したとして、将来、その年金を支える層の負担はどうなるのか?という現在と未来の比較がなされてないように、
今の世代の「最大多数」の幸福と未来世代の「最大幸福」との深刻な相克という課題なのである、と。
確かに、「将来の幸福」と「現在の幸福」のどちらをとるかと言われれば、人は「現在の幸福」をとるであろう。
金融の世界でもディスカウントキャッシュフロー(DCF)、現在の価値と将来の価値は異なり、将来になればなるほど不確実性が増す分、その価値はディスカウントされるという考え方があるように、現在の価値のほうが高いのである。
一度手にした地位、資本、権力は放したくなく、未来永劫自分のもとに留めて置きたい。
これはもう、人間の本能といってもいいだろう。
個人レベルでは、自分の所に力、金、権力を溜めておくことが自らの「最大幸福」になるのだが、国単位で見れば、それは「日本全体の幸福の総和を最大化すること」には繋がらない。
地位、資本、権力を次の世代に委譲すること、それこそが日本全体の幸福の総和を最大化することに繋がるのであろう。
それができるかできないか、例えば自分が年老いたときに地位と権力を次の世代に委譲できるか、それはもう人の「器」によるところなのかもしれない。
何のために生き、何のために働き、後世に何を残すのか、確固たる哲学を持って日々生きているか、によるのかと。
だから、最後に一言。
個々人が哲学を学ぶ事は、日本全体の幸福の総和を最大化するかもしれない、と。
ちなみに、日本を再生させる10の提言とは
1.20代の政治家・官僚・民間人による「未来の内閣」設置
2.世代別選挙制度の実現
3.現在の公的年金制度を解散、保険料は全額返還。賦課方式から積立方式へ。
4.地方中核都市への人口一極集中を誘導
5.参議院を憲法審議機関とする。
6.正規社員と日正規社員の区別撤廃
7.外資系製造業を積極的に誘致し、日本国内にマザー工場設置を促す
8.上場企業には会社法で認めあれた範囲以上に厳格なルールを
9.経済犯の罰金を不正利益を10倍ルール��
10.戸籍制度の全廃と婚外子の権利制限撤廃
だそうです。
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1 品格ブームのうさんくささ
・頭の空っぽな人間ほど品格を叫ぶ
明治維新当時、旧江戸幕府の幕臣たちが、薩長の連中に「あいつらは田舎者で品がない」というのと似ている。既存のシステムで安定した地位にいる人が、新興勢力を攻撃するときに持ち出す典型が品格。最大の既得権益層が中高年。年金や健康保険制度、企業の年功序列。
・格差を市場経済のせいにするな
格差を市場経済における弱肉強食の結果という人がいる。しかし、日本の場合、反市場経済的な制度や規制によって発生する格差こそが問題(労働市場の正規社員と非正規社員)。「格差があるのは市場経済のせい」というすり替えを行って、搾取されている人たちの目を真の原因から巧妙にそらし、意図的に格差の温存を図っている。
・国内産業を強くするより外資を入れよ
<10の提言>
1 20代の政治家・官僚・民間人による「未来の内閣」設置
2 世代別選挙制度の実現
3 現在の公的年金制度を解散、保険料は全額返還
4 地方中核都市への人口一極集中化を誘導
5 参議院を憲法審議機関とする
6 正規社員と非正規社員の区別撤廃
7 外資系製造業を積極的に誘致し、日本国内にマザー工場設置を促す
8 上場企業には会社法で認められた範囲以上に厳格なルールを適用
9 経済犯の罰金を不正利益の10倍ルールに
10 戸籍制度の全廃と婚外子の権利制限撤廃 → スウェーデンやノルウェーなどでは半数以上が婚外子
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[ 内容 ]
経済大停滞、年金崩壊、格差の二極化、貧困化する地方…問題の本質は「若者の所得を収奪する団塊世代」である。
日本の指導層がひた隠す「不都合な真実」を40代経営者が抉る。
[ 目次 ]
品格ブームの胡散臭さ
パワーとマネーを若者に移譲せよ
インセンティブ・デザインを導入せよ
人間の意欲を摘み取る国
法学部支配社会でいいのか
「ダメな国」と認識したほうが未来を描ける
政府は「理想的家族像」を押しつけるな
人口構成デザインはもっとも重要な政治テーマだ
国民一人ひとりの国際競争力が問われる
自律反転の時はいつ来るか
日本を「知的集約立国」に転換せよ
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