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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2008/10/15
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/540p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-215073-6

紙の本

モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者 伊坂 幸太郎 (著)

漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品最長1200枚。【「BOOK」データベースの商品解説】「勇気はあるか?」 29歳の会社員となった私の前で、見知らぬ男がそう言っ...

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モダンタイムス (Morning NOVELS)

税込 1,870 17pt

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商品説明

漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品最長1200枚。【「BOOK」データベースの商品解説】

「勇気はあるか?」 29歳の会社員となった私の前で、見知らぬ男がそう言ってきた。「実家に」と言いかけたが、言葉を止めた…。『モーニング』連載の長編小説を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】

検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品 最長1200枚

岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」
五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」
渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました」
大石倉之助は訝る。「ちょっと異常な気がします」
井坂好太郎は嘯く。「人生は要約できねえんだよ」
渡辺佳代子は怒る。「善悪なんて、見る角度次第」
永嶋丈は語る。「本当の英雄になってみたかった」【商品解説】

著者紹介

伊坂 幸太郎

略歴
〈伊坂幸太郎〉1971年千葉県生まれ。「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞短編部門、「ゴールデンスランバー」で本屋大賞と山本周五郎賞を受賞。

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みんなのレビュー659件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

検索する勇気はあるか?

2008/11/17 17:32

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

『魔王』の続編で、数十年後の世界。
『魔王』は純文学っぽい雰囲気を醸し出していましたが
本書では文体を元に戻し、物語の作りも
伊坂幸太郎本来のスタイルになっています。

システムエンジニアの渡辺には、
浮気を疑い、夫に拷問を依頼する妻佳代子がいます。
物語はまさに、この拷問から始まります。

会社では、先輩の五反田正臣が逃げた仕事を
後輩の大石倉之助ととりかかりますが
こちらもトラブルの原因がわかりません。
ただそのプログラムはいたくSE魂を刺激し
渡辺は深く関わっていきます。

ある時点で、渡辺は気付きます。
「ある検索をかけると、怖い目にあう」
一種の不条理小説なのですが
それが人間の思考から発生している所に
この小説の不気味さがあります。

それを軽妙に描いていくので、
生徒が皆殺しにされた播磨崎中学事件の謎解きや
安藤商会の正体といったミステリーに気をそがれます。

この「気をそぐ」というのがまた心地いい。
それはきちんと元と繋がっていくからかもしれません。
例えば「安藤商会」は『魔王』収録の「呼吸」に繋がり
夫を拷問させる妻は「愛」に繋がります。

難を言えば、井坂好太郎(という女好きの小説家が出てくる)の
小説「苺畑さようなら」で語られる真相を見破ったのは
渡辺ではなく、佳代子。
井坂好太郎はたった一人の読者に届くと信じ
そのことに渡辺は背中を重くするのですが
それはどうなのか?
物語には無関係なので、読書の邪魔をしないでしょう。
ちょっと書いてみたくなりました。



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紙の本

わすれものはないですか?

2009/06/18 12:26

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ああ、すごいとやはり思う。繰り返されるフレーズ、どこかで見たような(読んだような)掛け合い、耳に(目に)したことのある言葉とシーン。「あれ?さっきも確かこんなシーンが・・・」と思うようなデジャヴをところどころに感じ、何度も何度も同じようなフレーズやシーンが繰り返される。そして気づくのだ。ああ、この既視感、等身大のタイムリーな感覚こそが伊坂作品に共通する引き込みの魔力、臨揚感なのだと。
「どこかで・・・したことある表現」は作品の中に登場したモノであるにもかかわらず、いつしかリアルな己の体験と錯覚し私たちはいつの間にか作中の世界の住人になっている。たしかに伊坂作品の多くは現実の世界観から大きく外れることはない。本作品も近未来が舞台ではあるが現状の世界の延長線上にあるていどだしSFほど劇的な変化は見られない。
けれど、やはりそれだけではないのだろう。超能力なんていう突拍子のないモノすらも登場しているのだから。
リアルに存在する音楽や映画(それこそ「モダンタイムス」も!)、リアルな歴史に伊坂作品での作中リアルがミックスされ、読者はなんなくその世界に引き込まれている。無理のないバーチャルへの没頭。これぞミステリーの醍醐味だ。

『ゴールデンスランバー』と平行して執筆していたということ、また『魔王』の続編にあたるためどうしても内容なり話の中核となる部分が被る。当たり前の日々に突如動き出す流れ、圧力権力、得体の知れない大きな力、それらが「必然」という断定的な存在として存在してしまっている目の前の世界に「?」マークを投げかける、ほんの一部のちいさな存在がこれらの物語の主人公たちだ。
彼らはいわゆる無法者、例外、システムに組み込みきれない規格外的な存在であり、ほんの小さな「?」がやがてその大きな絶対的流れの根本に居る存在までたどり着き、対決し、其々のラストを迎える。

『魔王』では本書にて既にそのカリスマ性を持って時代を制した歴史的人物・故犬養に対峙し果てた超能力者・安藤(兄)、『ゴールデンスランバー』では何か大きな流れによって国家的犯罪者に祭り上げられ、「逃亡者」よろしく逃げ切ることで勝利した一人の男、そして本書『モダンタイムス』では頼りない能力の片鱗と仲間と恐妻とに揉まれながら国家というシステムそのもの、いや、人間の歴史・進化のシステムの流れそのものに「見て見ぬ不利をしないで立ち向かう方法」を「考え」だした安藤の子孫・渡辺というサラリーマン(正確にはSE)のお話である。

なにかとてつもなく大きなモノに取り込まれた世界と、その世界でゆうゆうと何気なく暮らしている大多数の人間と、それに疑問を持って「考え」だした彼らと。 案外それはどこにでもある現象で、いつでもどこでも繰り返される歴史の片隅なのかもしれない。
スケールは大きいが彼らが望むのはいつだって身近な大切な人と己の幸せと、目の前の何かをどうにかする、それだけのことだ。小さな目標のために生きているのではなく、もっと小さな目標、身近なもののために生きている。
彼らは革命もしないし歴史に名を残すような大それたことはしない、けれど彼らにとって私たち小市民にとって最大の勝利はそんな身近な目標をこなすただそれだけのことにある。そんなことを、伊坂作品の中にいつも思い起こされる。

物語は浮気を知った妻の依頼で暴力屋?に監禁拷問を受けている夫(主人公)渡辺の情けなくも憐れな姿に始まる。
SEである彼はある事件に関連する、もしくは全く関係のないいくつかのキーワードを検索すると検索者に不幸が降りかかることを知る。やがて彼の周りの者にもその危害が及び、「いろいろな偶然と必然」とを経てその根本的なものへと挑むことになる。
さて、ここで「いろいろな」と片付けてしまったがそこには重症を負ったものもく死んだものも、それこそ様々な出会いと別れも含まれている。いろいろ、さまざま。多くをたった4文字で表せる便利かつ簡素な言葉だ。
けれど本作にて思い知るだろう。
作中の小説家「井坂幸太郎」が語るとおり 省略されてしまう末端の部分、小さな他愛もない出来事にこそ心理が有り、当人にとって最も重要なことであったりするということを。
だから、読んで欲しい。ここでは語りきれないさまざまなこと、いろいろなことを貴方自身の目で読み取って欲しいから。

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紙の本

システム

2015/08/31 21:38

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る

スケールの大きな作品。特にネット社会において、「システム」というものに思わずドキッとしてしまう恐怖感もあったりする。

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紙の本

大好きな伊坂作品です

2015/03/24 00:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る

本作はシステムエンジニアの主人公が失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するように指示されるところから始まります。そこから、同僚の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪など、不穏な出来事が次々に降りかかります。しかも、これらの出来事にはあるつながりがあります。帯文の「検索から、監視が始まる」という言葉が大きなヒントになっていますが、その辺は読んでみるとよく分かります。

「ゴールデンスランバー」と同じく、巨大な敵に立ち向かうちっぽけな主人公の姿が印象的な小説です。是非一読を。

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紙の本

『ゴールデンスランバー』には及ばなかったかなあ、っていうのが正直な感想で、なんていうかユーモアの点であと一歩。ま、伊坂の競争相手が伊坂だ、というあたりはさすがなんでよ、じっさい。でも、特別版のほうの価値は、装丁で損した感じ、意味不明かな・・・

2009/03/26 21:04

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私が読んだのは、モーニング連載中に掲載された花沢健吾の挿絵を全て収録という分厚い特別版ではなく、スリムな普及版のほうです。普通、特別版がハードカバーなら普及版はソフトカバーではないか、と思うのですが、今回はともにハードカバー。ただし、私にいわせるとブックデザインは普及版のほうがいい気がします。

そういう印象を抱かせるのが、畠山直哉「LIME WORKS」より LW39410 というカバー写真です。色合いもいいのですが、私はこれを見ながら、2006年にブレゲンツで開かれた音楽祭でのヴェルディの歌劇『イル・トロヴァトーレ』の舞台を思い出しました。湖上の闇に浮かび上がる石油プラントを思わせるメカニックな炎をあげる構築物は、衝撃的ともいえます。2007年にはその様子を収録したDVDも発売されていますから、是非見て確認してください。この写真と松田行正+相馬敬徳の装幀を前にすると、いくら特別版とはいえ、花沢健吾の挿絵では勝てないなあ、なんて思います。
 
初出は「モーニング」2007年18号~2008年26号、とあります。全56章ですから、連載回数の56回とピッタリ合っているので、連載されたものが、そのまま章になったと考えていいのでしょう(勿論、加筆修正はあるでしょうが)。

あとがきによれば、書き下ろし『ゴールデンスランバー』と並行して話を書いていたため、類似点が幾つもあるが、それは二つの作品が相互に刺激しあった結果で、二卵性双生児に似ています。「ゴールデンスランバー」にあったものが「モダンタイムス」にはなく、「ゴールデンスランバー」になかったものが「モダンタイムス」にはある、そう感じています。

とあります。私はこれを鵜呑みにしていたのですが、成績が悪くて気が回らないけれど、なぜか人が見逃すようなことにだけは気づく我が家の大学生長女が奥付で見つけた著者略歴には、

本書は同作(みーちゃん注「ゴールデンスランバー」)以来、約1年ぶりとなる長編作品で、2005年に発表した『魔王』の続編にあたる。

とあります。『魔王』の続きだってか?さらに重箱の隅に気がつく長女に言わせれば、過去の作品がいろいろ顔をみせ、「伊坂は、どうも舞城王太郎みたいになってきている」そうです。ふむ、そうか気づかなかったなあ、私はピースサインと犬養という名前で前作との繋がりをみつけただけだったのに。

でお話ですがネットが監視されると、今の世の中はどうなるか、をテーマにしています。そして暴力。読んだ印象ですが、伏線の張り方の上手さや、監視社会の怖さという意味では『ゴールデンスランバー』のほうが上でしょう。とくにエレベーターを上手に使った部分、おもわず微笑んでしまいます。それに比べると、構築性で赤らかに劣ります。ただし、佳代子の造形はこの小説のポイントかもしれません。理不尽と暴力を体現した彼女の存在感はなかなかのものです。

登場人物を少し詳しく紹介しておきます。

渡辺拓海 :29歳の恐妻家の会社員、システムエンジニアです。「実家に忘れてきました。何を? 勇気を。」と小学生三年のときに言って、今でもそう答えたくなる勇気のない男。大石に勧められて占いサイトに登録、その占いが非常に良くあたるので、それに従うようになるというところにも主体性のなさが伺えます。そういうところが好まれるのでしょう、案外、女性にもてます。

渡辺佳代子:拓海の妻で身長168cmだそうです。176cmくらいの設定のほうが面白かったかな、とは思います。一応29歳のようですが、実は年齢不詳の美女です。夫の浮気のことを気にかけ、そのあまり、時に恐ろしく暴力的な行為に走ることもあります。そういう時でも、冷静です。小説の中で一度として取り乱した姿をみせたかどうか。結婚は三回目で、元夫は二人とも亡くなっているというのが怖いです。

五反田正臣:拓海の会社の先輩で、入社した時の指導社員です。優秀なSE(システムエンジニア)として社内で一目、どころか二目も三目もおかれる31歳の独身男性です。極めてマイペース人間ですが、卓越した能力ゆえに許されという、伊坂の小説に時たま見かけるタイプ。芥川龍之介の言葉「危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である」を度々引用します。

大石倉之助:拓海の会社の後輩で、同じプロジェクトに携わるSEです。その名前ゆえに、子どもの頃からからかわれる、とありますが、果たして今時、その名前を聞いて赤穂浪士を連想できる若者がどれだけいるか、ちょっと考え甘いかも・・・。とはいえ、ご本尊とは異なり性格はきわめて素直、仕事態度も熱心で真面目、それでいて女性と付き合っている気配がありません。拓海とともに五反田の仕事を引き継がされます。

加藤課長 :拓海の上司。建設業界からソフトウエア業界に転職してきたせいか、仕事の実状を理解しないままに仕事を受注し、部署の社員達から怨嗟の目で見られていますが、本人はそれにも気付かない典型的な運クラ人間。五反田が投げ出したゴッシュの仕事を、拓海、大石の二人に押し付けます。

桜井ゆかり:拓海の会社の年下の女性社員で不倫相手です。拓海と運命の出会いを繰り返すうちに関係してしまいます。名前はたびたび出てきますが、リフレッシュ休暇をとって海外旅行をしていたせいか、本人が小説に登場することは殆どありません。美女なのか、可愛いのか、それすら不明です。

岡本猛:ガタイのしっかりした若者、とありますが読んでいると30代半ばの雰囲気があります。暴力のプロで決して泣き言をいいません。冷酷というよりビジネスライクというほうが合っているかも。時にユーモラス、でも、仕事は確実にこなす。佳代子の仕事を請負ったことで拓海と知り合いになります。

安藤潤也 :1/10の確率以下なら当てることのできる超能力者。その力を競輪、競馬に投入することで兆を越える資産を得たと噂される謎の人物で、安藤商会の経営者です。

安藤詩織 :潤也の妻で、夫とともに世界中を旅しましたが、今は岩手高原にのんびり暮らす70歳を越える老女です。年のわりにどこか愛らしく、拓海が思わずときめいてしまうところがいいです。性格は温順そのもの。

愛原きらり:現在は詩織とともに暮らす五十過ぎの元女優。30年前の水着のポスターは今の拓海すらドキドキさせるほどの美女でしたが、現在はその面影もなく、ウエストというものをどこかに置き忘れてきたような、豊満という肥満というか、ドーンとした女性。大らかに男を誘うところが、自然でいい。潤也とは血のつながりがあります。

永嶋丈:五年前の播磨崎中学事件の英雄で、現在、政治家。中学校の用務員だった丈は、学校に侵入し生徒を殺した9人の男女に、学校の天井のダクトを利用して接近、射殺、残りの児童を救出しました。その後、政治家に転身。「国家の目的は、国民の暮らしを守るわけでも、福祉や年金管理のためでもない。」「国家は自分が存在し続けるために動く。」と喝破します。

犬養舜二:大胆な発言と実行力で国民から圧倒的に支持された伝説の政治家。詳しくは伊坂の『ゴールデンスランバー』を読むこと。

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紙の本

スケール大きめ(な作品が続いていますね)

2008/12/10 23:17

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『魔王』の続編にあたる物語です。
もちろん、そちらを未読でも楽しめるようになっています。
ただ、いつもの伊坂作品の‘登場人物リンク’などというささやかなものではなく、
『魔王』の主役たちがキーパーソンにもなっているので、
両方を読むと腑に落ちることがたくさん出てくると思います。

あいかわらずのテンポよい会話。
やっかいな(でも憎めない)キャラクターたち。
緊張と脱力。
常に「暴力」が話の中心にあるので、心地よく笑えるというわけではないのですが、やはりどこかコミカルです。

ただ、彼の小説を読み進めるのに、こんなに手こずったのは初めてかもしれません。
おそらく『モーニング』に連載されていたという形態のせいではないかと思います。
テンポよく読んでいると、すぐに同じような状況説明が入ってくるので(おそらく前回の掲載分をなぞっている)、
なんだかとてもしつこく感じられるのです。

そこはそれ、伊坂幸太郎なので、不自然すぎたり、読むのを断念するほどではないのですが、
物語の掴み部分といい、追いかける謎といい、おもしろい要素がたっぷりなぶん、
なんだかとてももったいない気がしました。

妻から浮気を疑われた主人公は、妻の雇った男に拷問されるため縛られています。
ちなみに自宅。
そこから始まる物語ですから、ともかく目が離せません。

職場では、仕事を放って逃げ出した先輩の後を引き継ぎ、面倒なことになっています。
首を突っ込んでいくと、過去の凄惨な事件が浮かび上がると同時に、
周りには不可解な(そして残酷な)ことが起こり始めます。

すべてがひとつに繋がっても、何かが解決するわけではありません。
謎はとけても、世の中を変えることはむずかしい。
おそらく初期の頃からの伊坂幸太郎のテーマだと思いますが、
ここ最近の数作品では、声高に訴えられている気がします。

個人的には、ちょっとスケールの小さめな作品が懐かしくなりました。
なので、久しぶりに過去の作品も片っぱしから読んだのですが、やっぱりおもしろいですよね。

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紙の本

「実家に忘れてきました。何を?勇気を。」

2009/04/25 06:00

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トグサ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「実家に忘れてきました。何を?勇気を。」

システムエンジニアである渡辺拓海は、失踪した先輩・五反田の仕事を無理矢理、引き受けさせられることに。
それは、ごく簡単な案件のようだったが・・・・。

いきなり拷問シーンで始まるのだが、これが妻が夫である渡辺拓海の浮気を疑って、雇われたその道の人によるものというのは、意表を突いていて面白い!!
ある検索ワードで検索した人物が皆、危険な目に遭うのだが、mixiなど顔を合わしたこともない人たちが結構、密なネット上の付き合いをしているのだが、それらがなんだかとても恐ろしい事のように思えた。
作中に出てくる重要人物の一人、作家・井坂好太郎の言っていることは作者の本音であるのかどうか、とても気になった。
曰く、「自身の映画化作品は、大事なところをすっぽかしている。」「俺は、世界を変えようとし、小説を書いている。」
主人公・渡辺拓海の妻・佳代子のキャラクターは、なんだか強面の不二子ちゃんを連想させ、楽しかった。

物語にぐいぐい引っ張られ、途中で読むのを止められないくらい面白かったです。
『魔王』の50年後くらいの話ですが、『魔王』を読んでいなくても十分、楽しめます。

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紙の本

溢れんばかりの情報と実生活。

2010/12/25 01:52

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず『魔王』の続編と言われているけれども、『魔王』の登場人物のその後というわけではない。背景にちらつく程度で、本書は本書で十分1冊として成り立っていると思う。

最初はなかなか読み進められなかった。
情報に溢れた536ページだし、何より、拷問とかそういった物騒なストーリーは苦手です。

恐ろしい妻を持った一介のプログラマーが検索することから巨大な何かと対峙しなくてはならなくなる。
何度と無く問われること。「勇気はあるのか?」
伊坂さんの得意とするところでしょうか。
意味深な言葉が何度か繰り返し登場するので、リズムが良くなる。
そして、最初は何でもなさそうな出来事が、実は…と後になって真相が明かされる。読者は何度も肩透かしを食らうような感じでしょう。

『ゴールデンスランバー』のように、相手は国家のように巨大で、なお、実態が掴めない存在。そういうことになっている、という曖昧な一言が全てを語る結論。本書の終盤のページを捲るごとに、なんだか訳がわからなくなってきた。この際、真実などどう操作されているか分からないし、そういうことになっているの一言で片付いてしまうんだから、どうでもいいや、と投げ出したくもなる。

ただただ、読み応えがあった。
溢れんばかりの情報が錯綜し、凝縮されている1冊でした。
赤穂浪士の引用は巧妙だったし、恐妻の強さには面食らいました。
謎として残ったのは、愛人だった女性の真相。彼女は一体、何者だったのでしょうか。中盤からはサクサク読み進められるけれども、読み終えてすぐは頭がぼ~っとしたくらいでした。登場人物の心情が表現されていて、それがまたユニークなので飽きずに読める。伊坂さん特有の、序盤から散りばめられている細々とした出来事は、後々ぎゅっと紡ぎあげられる様子が癖になります。

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恐妻のおもしろさとミステリーのゆくえ

2009/01/27 21:12

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いけちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

魔王にでてくる詩織が登場するので、魔王の続編ともいえる。主役の拓海は、恐妻により浮気疑惑を掛けられ、嫁から刺客がおくられてくることになやむSE。そんな折、仕事でかかわった会社に疑問を持ち、探りをいれる。そうこうしているうちに、自分の身に危険が訪れていることをさとり、安藤潤也をさがして詩織を会う。なぞはとけなかったが、少しづつ糸口を見つけ、身に降りかかる災難を解決に向けて進んでゆく。そんなストーリーだが、なんと最後消化不良でおわる。面白いのは拓海の奥さんがすごくスーパーマンであるところ、追い詰められたときも、拓海をいたぶるのもすごみあり、おもしろみあり、すごくおもしろい。
まさに井坂ワールド全開の小説。それにしても約500ページは長い。

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紙の本

願わくは この書評が検索の上位にあらんことを

2010/11/28 23:53

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青木レフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジェットコースータームービーを思わせるような息もつかせぬ展開。「どうも今度の新しい仕事は何か変だ」という穏当な小説の始め方も出来たろうに、初めからトップギアだ。最初のテンションに乗ってしまえば、後は全自動で様々な扉が開いて、読者を思いもよらぬ場所へ運んでくれるだろう。

本書はSFである。ディストピアもの。それも珍しいことに、明るいディストピアもの。

ネット版「1984」。または本書を読んで星新一の「声の網」を思い浮かべる人もいるかもしれない。伊坂幸太郎と比肩されるべき現代作家は「ねじまき鳥クロニクル」を書いた村上春樹だと主張する人も多いだろう。彼らは暴力を描く。そして今1番読者に現代的なメッセージを伝えられる作家だ。伝えようとする意志と技量がある。

ただ伊坂幸太郎の小説は良い意味でも悪い意味でも軽い。チャップリンからの引用はわかりやすいのだけど、そのチョイスは やや通俗的。伊坂幸太郎の位置は村上春樹とライトノベルの間だろうか(春樹寄り)。

以下蛇足。

もし本書を映像化するとしたら、終盤の説明部分(435頁- 436頁-)の台詞が長すぎて処理が難しいだろうなと少し余計な心配をした。作中人物の作家に「小説を映画にして貰ったら、つまらなくなった」旨の発言をさせており、つまらなくなった理由は要は端折られたからだと断言してる。『"省略できるパート"こそ実は大事』という(原作からの)映画論なのだが、ちょうど逆の事を考えていた。映画こそ情報が大量に混じるメディアで、小説こそ読者はブリンカー(遮眼革)を付けられたかのように誘導され放題だな、と。

つまり小説なら

『彼は「~」と言った。』

で済むが、映画なら その声色・表情も標準で付いてくるわけで、観客は小説内では省略されていた情報を大量に受け取ることになる。それが作り手が企図した情報ではないかもしれないけど映画の情報量は膨大だ。

もし伊坂幸太郎原作の映画が つまらなかったとすれば情報が足りなかったからではなく情報が余計だったからではないか? と考えることもできる。小説内の登場人物はエピソードの不足により、その登場人物と違うモノになったわけではなく、"血肉を備えた役者"という過剰情報により、"小説の登場人物"と異なったのではないか。小説よりテーマがぼやけたなら、やはり小説より映画のほうが余分に情報を含んでいるからではないだろうか。まあ、伊坂幸太郎の言う『"省略できるパート"こそ実は大事』のロジックもよくわかるし、実際伊坂幸太郎原作の映画観た事ないので語る資格ないかもだが。
(投射by 懐柔する怪獣)

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紙の本

この作品の登場人物は伊坂幸太郎の世界観や構想の下に完璧にコントロールされてストーリーを転がす役目を果たしている。

2009/02/14 12:52

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 伊坂幸太郎の作品をあまり読みつけているわけでもないが、僕がいくつか読んだ伊坂作品の中ではあまり出来が良い作品だとは思えなかった。
 読んでいて、まあ面白い小説ではある。書き出しからして、主人公である29歳のSE渡辺が帰宅したら見知らぬ男がいていきなりリンチを受けるというような見事な引っ張り方。しかもそれが渡辺の浮気を疑う妻が差し向けた男だという「なんじゃそりゃ!?」の事情。──この辺が伊坂のいつもの設定の妙である。
 ただ、今まで僕が読んだ作品においては、現実の中での不思議な設定であったのが、今回は不思議が浮き立ち過ぎているように思う。それには100年後の未来が舞台になっているところにも多少の問題点はあるように思う。
 もちろんこの設定がストーリーの中で機能している部分も多いのではあるが、果たしてこれが絶対必要なものであったのかどうか。現代、もしくは20~30年後の近未来という設定にした方が絵空事ではない恐ろしさが醸し出せたのではないだろうか。そして100年以上未来にしてしまったために、読んでいて「渋谷は100年後も渋谷で、ずっと変わらずに東京の中心的な若者の街なのかい?」と、妙なところに引っ掛かりを覚えてしまったりもした。
 あとがきを読むとこれは元々漫画週刊誌に連載していた作品で、「細かいアイディアについては、毎回、担当編集者と打ち合わせをし、次号の内容をそのつど決めて書き進めるやり方を取」ったとある。なるほど、そんな書き方をした小説だと思う。如何にも頭で考えましたという体になってしまっているのである。知が勝ち過ぎているのである。
 個々の人間にではなくシステムに牛耳られてしまった社会という世界観自体に誤りはない。それは作者がタイトルに持ってきたチャップリンの映画を引き合いに出すまでもなく、すでに19世紀のうちにカール・マルクスが予言していた世界観である。近年にいたってますます説得力を増している世界の捉え方だと思う。
 しかし、それをそのまま登場人物に語らせるという形は如何なものか。そういう世界観は作品の背景に沈んでいてこそ作品の深みが増すというもの。登場人物の台詞に現れてしまうととても薄っぺらい印象を与えてしまう。
 この作品の登場人物は伊坂幸太郎の世界観や構想の下に完璧にコントロールされてストーリーを転がす役目を果たしている。それでは面白い小説になるはずがない。登場人物が作者の手を離れて勝手に動き出してこそ、小説の妙である。
 ──なんて、あんまり偉そうに書いているとあまたある伊坂ファンの怒りを買ってしまいますね。でも、どうなんだろう? 伊坂ファンの間でのこの小説の評価は?
 最後まで楽しんで読みはしたけれど、一方でその間中ずっと、僕はあざといなあと感じていた。ちょっと放ったらかしにされた細かい設定もいくつかあったし、おいおい渡辺の妻は結局嫉妬深い女だったというだけなのか?とか・・・。
 ところでこの魅力的な妻の記述を読みながら僕の脳裏にはずっと加藤貴子の姿が浮かんでいた。映画化するのであれば佳代子役は加藤貴子でお願いしたい。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

自分で本屋大賞を決めよう 第5弾

2009/02/24 02:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:redhelink - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本屋大賞ノミネート作品。昨年に続き二冠となるのかどうかは書店員さん

の空気の読みあい?という書き出しはいかがなものでしょうか?w

 内容は、プログラマーの主人公が“プロの恐妻家”の仕打ちを受けたり

(脚色した表現ですが、読めばわかります)、仕事でシステムの解読をして

いくうちに、伏線が浮上する。・・・あれ?『ゴールデン・スランバー』と

似てないか?あとがきに同時期の作品と書いてあったので納得。



 感想。これは『ゴールデン・スランバー』のほうが面白くないか?と率直

に思いました。伏線が張り切れていない。回収が中途半端。ん~何ともやり

きれない・・・。伏線の張り方がイマイチだと思ったのは、雑誌に一年以上

連載する形式だったから、ということを考慮しても残念です。



 読み進めていくうちに、妻の描写が、対外的には攻撃的に、対夫には優し

くなっていくあたりに違和感がありました。

 妻に対する夫の恐怖心の延長にこの話があると思っていたことがショック

を大きくしたのかもしれません。



 一つ考えさせられたのは“現代社会”に対する警告でした。分業の細分化

で、全体が見えなくなってきていることの動物化の指摘や、情報提供者バイ

アスなどです。

 資本主義を謳いながら“平等”や“非競争化”を行う教育、選挙が主義・

主張を以って行われていない世の中の有権者。
 
これらは考えさせられた具体的な内容です。



 私は思想における知識や情報が少ないので、今後の読書や雑談を通し

て“芯”を形成したいと思いました。



 総評は・・・まぁ面白いよね?えっ?大賞?ん~たぶんない。

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紙の本

一気読みせなかんな

2015/03/22 04:50

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

伊坂作品は一気読みしないとあまり意味が無い。最初の3分の1をたらたら読んだのがいかんかった。「魔王」とのつながりが全く分からなかった序盤に比べ後半はやっと動き出したなぐらいの印象。大きく話を広げた割には終わり方があれだったので「うーん」という感じです。でもいつも通り会話を楽しむことは出来ました。

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2008/09/05 04:20

投稿元:ブクログ

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2008/10/10 20:33

投稿元:ブクログ

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