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要は製造業なんだ
2010/04/11 01:19
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投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハイパーインフレが来る、財政破綻する、長期金利が上がる・・などという主張は何年も前から浅井隆や副島隆といった連中が主張し続けている。確かに08年の10年国債の返済については市場がどう反応するか恐ろしかったところもある。しかし、実際には長期金利は上昇なんてしなかったのである。むしろ全く平穏そのもので、ドル市場のほうがはるかに緊張感があったというのが現場の正直な感想であろう。
なんといっても、日本国債は日本人だけで保有しているに等しく、これからもしばらくはこの状態が続くだろう。まだまだ日本の金融資産は十分に存在する。
そもそも、藤巻氏は「緊急出版」などというが、言っていることはいつもとさして変わらない。円安論については私もかつて書評に何度も何度も書いたとおり、当分はあり得ない。というか、FXをやっているだけでもなんとなく雰囲気がわかろうものだ。
結局債務残高をいかに見るかとか、ネット・グロスの区別論など様々に財政を語る角度はあるが、要は国債の買い手があるかどうかという市場論に過ぎない。買い手がいる限り破綻なんかしない。現実に滞りなく市場は動いている。
そして、間違いないのは、日本は貿易だけでなく金融・文化など外貨を稼ぐ術を実にというか一番豊富に持っている。そういう国と、かつて何にも輸出するものを持たないロシアとかアルゼンチンなどと比較しても、比較の対象が異なるので意味がない。GDP比で債務残高をみた場合にわかるのは、企業でいえば総売上高とGDPを比較しているに等しい。日本は黒字を常に生み出す優良企業である。
結局、一番重要なのは金融政策もそうだが、なんといっても製造業であると私は思う。ハイパーインフレがどうとかいろいろ言っても、結局日本に製造業が残っていれば安心なのである。確かに日本の電機10社の利益は薄い。しかし、それは多くの巨大な日本人雇用を抱えており、ある面からいえば限界まで日本人に雇用という恩恵をもたらしているのである。円は強いから円でもらった給与は上手く使えば非常に上手く転がる。そう、外貨に投資するのも一つの手である。ここは本書と同意見である。そして、莫大な雇用を生む製造業さえ保存しておけば、結局はいずれ日本全体で黒字になるので、万一なにかが起こっても今度は通貨安ドライブが我々の恩恵になるだろう。
つまり、技術投資予算を削減するなど、喜ぶのは隣の反日韓国だけであり、最もやってはいけない最悪の最悪政策なのである。そういうのを「じり貧」という。政府系の開発予算をもっともっとつけて、何としてもデバイス事業での優位をもう一度取り戻すべきである。サムスン電子にいつまで好き勝手やらせておくつもりか。
なすべきは小手先の金融政策だけでなく、業界再編である。一方を松下・他方を東芝か日立を旗頭とした5社に統合し、巨大な日本企業連合を会社分割・合併で形成すべきである。サムスンはそれを済ませて誕生したのである。企業分割では、たとえば原子力発電などは分社化してもいいかもしれない。いろいろ反論はあろうが、これに近いことをしないと、これもじり貧であることは間違いない。「座して滅ぶを待つより、出でて活路を見出さん」小国が大国を攻め続けた諸葛孔明の言葉である。
とにかくハイパーインフレなどこのデフレ下で起こるわけない。そういうことを気にせず、日本の根幹を立て直す司令塔を政府に起き、思いっきりやってもらいたい。竹中平蔵など実績がある者を(口だけの識者は危険)起用し、やりたい放題やってもらうしかないだろう。残念ながら、本書を見る限り、藤巻氏を起用するポジションは見つかりそうにない。
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現下の日本人「必読の書」であると思う
2010/03/03 17:59
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投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤巻氏による2010年3月1日発行の最新版である。また例の円安論、日本財政破綻論か、と反発する向きもあろう。しかし、少なくとも私から見れば、現下の日本人「必読の書」であると思う。
日本の財政破綻は、その発生蓋然性をますます高めているように私には思える。民主党政権による予算案を受けて、新聞雑誌でも日本財政に対する懸念記事が最近は特に増えてきたように思う。記事ではないが、本日(3月3日)の日経・経済教室でも「ソブリンリスクと財政再建」について「日本も外国人の目意識を」という論が掲載されている。
「外国人の目」と言えば、2月26日・日経夕刊には「日本財政の将来、欧米が懸念」「危機のギリシアより深刻」という記事が掲載されている。ギリシャについては、本日(3月3日)夕刊が「ギリシャ、追加財政再建策 付加価値税・たばこ増税検討」と報じている。首相は「国家破綻という悪夢を回避するため」に、「2009年に国内総生産(GDP)比で12%超だった財政赤字を今年中に4ポイント削減することを目指す」という。
これに対して、財政赤字がGDP比で200%を超えるのも間近であると予測される我が国では、本日(3月3日)夕刊によると、法人税率について古川元久内閣府副大臣は「できるだけ税率を下げられる方向をめざしていきたい」と引き下げを検討する意向を示し、仙谷由人国家戦略相も「法人税は課税ベースを広げて税率を下げる方向が望ましい」と同調した、という。法人税率下げについてはやむを得ないとしても、財務相が「消費税を4年間は上げない」とする首相の意向に同調する立場を表明、というのは、少し楽観的に過ぎるのではないか。
「わが国の国債の保有者別内訳」については、『週刊エコノミスト』2月23日号p.34、日本総研作成データによれば、09年3月末現在で、預金取扱機関(除ゆうちょ銀行)13.4%、ゆうちょ銀行22.8%、かんぽ生命 10.2%、保険・年金基金(除かんぽ生命)13.5%、その他金融機関5.2%、公的年金 11.7%、家計 5.3%、海外6.4%、日本銀行 8.2% となっている。
たしかに、海外保有分は6.4%とかなり低いが、この点のデメリットについては上記の日経・経済教室も触れているし、藤巻氏も本書54頁以下で(アルゼンチンのように)「国が吹っ飛ぶほどひどかったのに比べれば、まだマシだ」くらいの話だと述べている。同感である。
また、国の債務はグロスではなくネットで見るべきだという論もよく見られるが、こうした論がナンセンスであることは、本書46頁以下で述べられている。
「純債務で見た日本の財政」については3月1日発行の「学士会会報」52頁に菊池英博氏作成のデータ(2008年末)が掲載されている。これによると、粗債務が847兆円、金融資産が534兆円で純債務は313兆円となっている。仮に、一部の論者が言うように純債務で見るべきだとしても、今のペースで財政が悪化していくならばネットでも債務は急増していくであろう。
この点については財務省による「国の債務管理の在り方に関する懇談会」(平成21年12月16日 http://www.mof.go.jp/singikai/kokusai/top3.htm)でも、財務省側から、以下のような意見が出ている。
・ 債務残高対GDP比ではネットとグロスがあるが、ネットとグロスをどのように区別するのかということをきちんと整理したほうがよいのではないか。
・ 債務残高をどのように認識するかというのは、大事な問題だと思う。そういう意味では、公的年金に資産があるとしても、別に年金債務があるという考え方もできるので、債務残高はネットで見るのではなく、グロスで見るべきであろう。
私は、「我が国の政府債務残高は、ネットの残高というよりグロスの残高に限りなく近い水準として把握するのが、政策スタンスと整合的である点で、妥当なもの」
(http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j032.pdf)という考え方に同感するし、本書46頁以下で述べられる著者の「“日本財政楽観論”に対する反論」に同意したい。
郵政民営化論のように必ずしも同意できない部分もあるが(藤巻氏が賛美する米国でも郵政事業は民営化されていない)、全体として極めてエキサイティングな叙述がなされており、従来からの藤巻本にさらに加えて読むに十分に価する新著書であると考える。
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日本には資本主義革命が必要である
2010/04/02 01:18
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投稿者:ふるふる - この投稿者のレビュー一覧を見る
うちの近所のおばあさんから相談を受けた。日本がハイパーインフレになった時にどうすればいいかと。地方の田舎のお年寄りまで日本経済の今後を心配してると思うと、来るところまで来ているなと感じた。そのおばあさんはいろいろな本を読んでいて特別に関心が高いようだが、年寄り仲間でもその問題についていろいろと話し合ったりしているそうだ。
本書は、財政赤字から来るハイパーインフレの恐れを警告し、そうならないためにはどのようにすればよいかを述べている。
著者の主張はこうだ。まず、外貨預金を無税にするなどして(ほかにもいろいろ書いてある)円安にする。それによって輸出産業を中心として景気が回復してくる。そうすると税収なども増えてきて財政破綻が少しは先延ばしになる。その間に、日本経済を社会主義的な状況から真の資本主義へと変えて行く。それで経済を成長させ、より豊かな日本にする。
私の考えも著者とほぼ同じだ。社会主義経済がうまくいかないのは、歴史がちゃんと証明しているのに、なぜいまだに社会主義経済的な政策を採りたがるのか理解に苦しむ。
しかし、現在の政治状況を見ていると、とても財政破綻に間に合いそうにない。ちょうどこの書評を書いている頃、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額でもめていたが、鳩山総理のリーダーシップで2000万円に引き上げることが閣僚間で決まった。私は本当に情けない気がした。
やはり経済の大変革は、ハイパーインフレによる非常に痛みを伴う大経済混乱を経験しなければ、今の日本人にはできないように思う。大混乱の後で初めて、国民的なコンセンサスができるだろう。小泉・竹中構造改革を進めていればよかったと。もっと古い人なら、橋本行革の時に、ちょっと不景気になったくらいで行財政改革をやめなければよかったと思い出すだろう。
ちなみに最初の相談だが、私が薦めたのは豪ドルの「外貨MMF」だ。
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失敗した相場師が垂れ流す本
2010/03/04 18:05
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投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
3月3日付の日本経済新聞「経済教室」を読んでみたまえ。そこには「日本が消費税を10%あげて15%にすれば、膨れ上がった国債発行残高も縮小に向かう」とはっきり書いてある。諸君、あんまり「失敗した株屋」が垂れ流す妄言を真に受けてはいない。株屋というものが放つ妄言には、常に何らかの裏があると見ていい。彼らの最大の目的は「ボラティリティを高めること」平たく言えば「人々を不安にさせること」にある。人々が浮き足立って軽挙に走れば、彼らに利ざやを抜くチャンスが出てくる。こうして騙された人は多いし、これからも多いだろう。しかし、これだけは言っておく。ソロスが藤巻を1年でくびにしたのは根拠があるのだ。理由があるのだ。日本の財政は、まだまだそう簡単には破綻しない。消費税を15%にすれば財政再建は十分可能だ。日本にはそれだけの余力がある。ポンドを暴落させて金融立国から降りざるをえない英国とは、ここが違う。
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著者は昨今騒がれている日本の財政破綻のリスクについて明快に説明し、対応策を提言している。非常に優れた本であると思う。
現鳩山政権は格差問題解消のために子供手当をはじめとする社会主義的な所得の再分配を政策課題としてあげている。しかし、不景気で税収が減りつつある現在、その財源は赤字国債の発行以外にはなく、子や孫に借金を背負わせることになる。即ち、現在の日本と将来の日本の格差を拡大するとも言える。そんなことはあってはならない。 今の大きな政府は社会主義的政策で市場の機能を歪めており、国債発行が多量になるときには金利が上がるという市場のアラームが機能していない。だから、金利上昇による景気抑制という痛みを感じることなく、官僚と政治家が雪だるま式に国の借金を増やしてゆくのである。 この悪循環を変えないと、株、債権、円のトリプル安という市場の反乱を被ることになり日本は財政破綻する。 これを避けるには、実態経済に見合った円安誘導で、時間を稼ぎ、大きな市場を構築し市場主義を徹底させることである。
本書には日本の財政破綻を論じる書にありがちな情緒的な記述はなく、非常に説得力がある。著者に財務大臣の参謀にになってもらいたい。
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凄い額の借金があるという認識はあっても、日本国民にはその実感と危機感はあまり無いように思える。それは何も金融への知識が無いだけではない。資本主義にとけ込めていないという原因の方が大きい。
本書、日本破綻では大きく分けて前半の破綻へのステップと、後半のどうすれば生き残れるかに別れている。マーケットに身を置いていた著者の見方はそれは資本主義らしい。それに基づく破綻への信憑性はあながち間違ってはいないはずである。いつか来るという破綻の感覚は南海地震のそれとよく似ている。起こるのはわかっていてもそれがいつかとはいいにくい。なにげにその点が同じように危機感を欠落させているのかもしれない。
内容は金融のことがメインなのは想像に難しくなかったが、"重要なのはマーケットの大きさ"と言うことにスポットが当てられていたように思う。つまり、資本主義ではマーケットが適正な評価をするということである。そのためには大きなマーケットで多くの参加者がいる状況が不可欠であると。
少し話が違うかもしれないけれど、物理の世界でも大きさが無いと正しい結果が出ないと言う事態は存在する。スケーリングと言う理論があって、その目的は大きさが無限大の時の現象を複数の有限サイズから導き出すというもの。この複数の有限サイズをとる時に余りに小さいサイズをとると、正確な結果が出ないばかりかそもそものスケーリング理論を破綻させてしまう時がある。そのために最低限このくらいの大きさが無いといけないというサイズを決める必要がある。決め方は相関長とか自己相似とかがあるけど長くなるのでここでは省く。
つまり、マーケットと言えど、心理や物理の混ざったステージなので同じようなことが言えるわけである。
為替一つとっても島国日本では隣国と通貨のやり取りなんてのはまだ最近のような話であり、今でも外貨で運用してると言う人はそう多くは聞かない。それどころか未だに貯金が安全な運用だと思い込んでる人が多い。本書にも記述があったけど、日本はサラリーマンに例えればいくらの収入でいくらの支出でいくらの借金でいくらの貯金があるというよく言われるフレーズ、ここにも言及している。大丈夫と言われているその貯金は国民の貯金であり、国の破綻を助けるための(国の)金じゃないと言うこと。この金で返してしまうと、『花見酒』的な展開を招くとある。
それが誰にとってもいやなことであるとわかっている人は意外に少ない。でなきゃ一つ覚えのように貯金なんてしてない。まして投資なんて。
ただこの国と自分と世界の将来を考慮して今あるマネーをどう使うことが最良かを考えてみるためにも是非一読を。
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日本の財政赤字に漠然と危機感を感じている人も多いだろうが、この漠然とした危機感をしっかり文字に書き表してくれたのが本書。
これまでの日本の計画経済、膨大な大借金により、ハイパーインフレ、超円安になる可能性がある。
円安政策で時間を稼ぐ間に、市場原理による景気回復が必要。
円は実力に比べ高い。
このままでは国債、株、円のトリプル安となる。
日本低迷は市場原理の不徹底が原因。中でも為替市場は機能不全。海外への投資があまりに少ない。
本来なら国債増発による長期金利上昇が起こるはずだが上昇しないため、国債が多発された。本当なら為替市場等に行く国内資金がいかなかったため国債に流れた。
日本景気よくなって金利上昇したら、利払いだけでも大変だ。
近い将来、長期金利上昇に伴うトリプル安となり、大失業率、年金資金枯渇し、電器水道もしばしばとなることとなる。
トリプル安となれば、日銀が国債を引き受けるのでハイパーインフレとなる。
ハイパーインフレになるので資金借り入れは固定金利がよい。
欧米社会は競争が厳しい。
日本企業の発展=日本人の幸せではない。外国企業が日本人を雇用してくれる方が、日本人にとって幸せではないか。
最低賃金あげると企業が外国へ逃げていく。
格差是正が最大の目標ではない。国として富を如何に増やすかが大事だ。
日本は英国を見習え。英国病を脱した市場導入に見習え。
内需拡大ではなく、外需手動の政策を行え。
国に金がないことをみんな意識しなさ過ぎ。
リスケジュール考えられる。これは返済猶予祭柵。
金貸しが悪だ、返済できない人が弱者善人にように扱われる風潮は国を危うくする。
円約政策が特効薬だ。しかし、トリプル安となるのでハイパーインフレとなり、戦後混乱期のように社会となる。
円を実態レベルに落とせばよい。そのためには為替相場が市場原理で動くようにしないとだめ。
円高だからデフレになる。国威発揚のために円高とすべきではない。
欧米株に投資せよ。
国民は円安の必要性を理解せよ。
マイナス金利導入すれば円安になる。
株価、地価の上昇が景気回復の道だ。
円安で景気回復させ、税収上げ、国債額減らさないとだめ。
市場原理を生かすことが必要。
小さな政府、規制緩和、機会平等税制とするべき。
新興国への投資は流動リスクあり。流動リスクとは、売りたいときに入れず、買いたたかれると言うこと。
デリバティブ商品の開発を強化せよ。
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相変わらず論理がブレないから、出るたびに読んでしまう。
今回はさらに過激な内容だったと思うが、日本の将来よりも自分の票のことしか考えられないバラマキ大好きな政治家にぜひ読ませたい一冊。
無策だったり、失言しかできない大臣よりも、藤巻さんみたいな本当のプロに上に立ってほしい。
日本の将来が不安だから、いろいろ備えておかなければ。
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藤巻さんの最新刊。ついにこの人まで日本の国家破産本を出してしまいました。この人は、あまのじゃくで人の逆を行くと本人もよく書いておられますが、その運用成果でディーラーとして不動の地位を築いた方です。背景には経済に対する緻密な分析があります。日本破産論の本はずっと以前から出版されてきましたが、民主党政権になってからの財政規律の緩み方は尋常ではありません。自分の身は自分でしか守れない。今から備えが必要です。藤巻さんは経済の解説本なども多く書かれています。アクは強いですが、非常にわかりやすい解説を書く方です。
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日本財政については既に色々と聞いてたので、典型的な財政危機のお話が載っています。ちょっと煽りすぎな感もありますが、無視は出来ない内容になっています。
国の破綻と国民の破綻が一蓮托生となるか? と言われるとならないですよね。国の借金は我々の資産を奪うことで返済可能となる点、留意しておくべきと思いました。
日本は社会主義化している点は同意です。
藤巻氏は今の日本を正しく再評価すべき(要は今は過大評価されすぎている)とのこと、その結果円安になり、その評価から随時適切な評価を受けるべきとのことでした。
市場が大きくなれば、正しい評価がなされるようになるとのこと。自分もその通りだと思います。非合理的な考えがあったりしても、市場が大きければ修正されると思います。そういった意味で市場の暴力は無いのだと思っています(原油などで暴騰したこともありましたが、それが怖いならコストを払ってヘッジしておくべきと思いました)
「マーケットが正しい」の元に、日本を再評価、そしてやり直すことが必要なのだと思いました。
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民主党政権はばらまき政策を重視し、産業競争力強化を顧みない結果、日本の財政は世界的に見て非常な危機レベルにある。その結果近い将来世界は日本売りを始めるだろう。
サブプライムショック後に語られ始めたこのテーマにをわかりやすく何度も説明を試みてくれている。いま国民は政府への根拠のない信頼から目を醒まし、自らを守るため厳しい努力を始めなければならない。
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単純明快!
ザックリと言えば、一貫して「日本が終わっちまう前にとりあえず円安だ」と主張している一冊。
くり返しくり返しこの主張なので、「ハードカバーにする必要があったのか?」と思うところはありますが、主張自体はしっくり来る。そして、現状を見渡していると、余計に「その通りよなあ」と思えてきます。
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強烈なタイトルに目を奪われがちであるが、日本の現状を過去のバブル時代から分析して、また世界各国との対比もあわせて、分かりやすく説明している。現在マネジメント系の本を読むことも多いが、やはり現在の日本の社会情勢をどう、一個人として考えるか?といったテーマは、お付き合いする人のレベルが上がるにつれ、基礎的な知識は必須と思うので、是非若手担当者にも読んでいただきたい本である。特にバブルを知らない世代とバブルを経験している世代とのギャップを埋める図書だと思う。
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日本は国富が多いから国債発行額が多くても大丈夫!という意見がある中で、今度はその反対の立場である「日本はこのままでは破綻する本」も読んでみました。是非、藤巻氏(破綻派)とその反対を唱えている三橋氏がどこかで議論していただけたらなと思っています。
藤巻氏が解説されているポイントは、税収が減ってきている中で、国債発行を増加させていると近い将来に原資がなくなって発行不能になるというものです。
個人の感覚では、税収(収入)以上の暮らし(支出)をするために借金をするのは良くないとは思うのですが、国と個人とは違うとも言われますし、この本の解釈が難しいです。
円安にすることで日本が活性化するかについても、よく理解出来ませんでしたが、低所得者層に対する税金が少ないというポイントは多くの人が気づいていながら行っていない重要なポイントだと思いました。また、昔からどうしてやらないのだろうと思っていた「マイナス金利」は、すでにスイス等で実施されている(p178)という指摘は興味深かったです。
今後も両方の考え方に基づいた本を読んで、さらにあと数年で破綻すると言われているので、その状況も体験しながら生活していこうと思います。
以下は気になったポイントです。
・バブル崩壊以降、「円が実体経済に対してあまりにも高すぎた」ために、日本経済が低迷し続けることになった(p19)
・2009年度の補正後には、税収が37兆円しかない中で、53.5兆円もの国債が発行される(p34)
・1980年の政策金利は今の0.1%に対して12.75%であった、当時言われていた「未曽有の低金利」というのは、4.25%であった(p41)
・米国の税収は、2008年で220兆円、日本の44兆円の5倍もある、GDPが日本の3倍(13.9兆ドル対4.8兆ドル)よりも大きい、法人税率や所得税率が日本よりも低いのがポイント、日本では低所得者層から税金をとっていない(p44)
・外資導入の初期段階には固定相場制が必要だが、長い間には、経済実態と為替レベルには大きな齟齬が生じるので、それに為替相場が耐えられなくなる(p74)
・1987年12月に2.5%をつけた利回りが、同年10月には6.24%まで上昇したこともある、タテホ化学が債券投資に失敗したことがキッカケ(p76)
・消費税引き上げは貧者ほど影響が大きい逆進性が問題となるが、ハイパーインフレはそれとは比べようもない逆進性がある(p82)
・国債の徳政令があまりにも過激だとすれば、リスケジュールという政策がある(p137)
・円安は、日本売りが始まる前の「緊急処置室での応急処置」であって、日本が根本的治療を行うための体力養成に過ぎない(p144)
・ 日経平均が史上最高値をつけた1989年の12月末で1ドル=143円なので、その時に比べて日本経済は弱くなっているので円や弱くなってしかるべき(p149)
・マクドナルド平価論に対して、「日本でマクドナルドが1ドル100円なのは、円高のためにレタス等の材料が安く輸入できるから」ということにあり、原材料が安く輸入できるので、マクドナルドが安く売れるということである(p151)
・1925年にイギリスは旧平価で金本位制に復帰した、これは戦後の復興期に「ポンド高は国威の高揚」としたチャーチルの誤りと言われていることを円高論者は理解すべき(p158)
・アメリカが1929年の大恐慌から回復できたのは、ニューディール政策と、金本位制からの離脱である、金本位のために高く定められていたドルの大胆な切り下げを意味する(p160)
・米国株は、日本の証券会社で取り扱っている(p166)
・スイスの中央銀行は1982年には、マイナス金利政策を採用している、スイスの民間銀行が中央銀行に資金を預けるとペナルティ=マイナス金利を払わされた(p178)
・通商白書によれば、世帯の可処分所得が500ドル(約45万円)あれば、中間層と見られている、300万円の世帯収入は、あわや高額所得層になりかねない(p206)
・サブプライムローン金利は、市場が小さいがゆえに適切な価格がつかず、価格が高ぶれしてしまった(p214)
・日経225の特徴は、225社の単純平均だが、すべての株を50円株に換算しているのがポイント(p219)
・アメリカには金融機関が6000以上もある、なので米国の地方銀行が100単位で潰れていれも驚かれない、日本の基準とは異なる(p234)
・日米のGDPは、1995年には7.4兆ドル対5.3兆ドルであったが、いまでは、13.75対4.3兆ドルにまで広がってしまった、これが問題である(p243)
2011/1/9作成
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話は分かりやすかった。日本が非常に危機的な状況であることが、よく分かった。ただその処方箋がマーケット至上主義という主張には、少し疑問点が残った。