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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2004/09/14
  • 出版社: 講談社
  • レーベル: 講談社文庫
  • サイズ:15cm/160p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-274870-3

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文庫

紙の本

風の歌を聴け (講談社文庫)

著者 村上 春樹 (著)

【群像新人文学賞(第22回)】【「TRC MARC」の商品解説】村上春樹のデビュー作1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻り...

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風の歌を聴け (講談社文庫)

税込 594 5pt

風の歌を聴け

税込 495 4pt

風の歌を聴け

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商品説明

【群像新人文学賞(第22回)】【「TRC MARC」の商品解説】

村上春樹のデビュー作
1970年夏、あの日の風は、ものうく、ほろ苦く通りすぎていった。僕たちの夢は、もう戻りはしない――。群像新人賞を受賞したデビュー作

1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>は、友人の<鼠>とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。2人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、<僕>の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。【商品解説】

目次

  • 風の歌を聴け
  • ハートフィールド、再び……(あとがきにかえて)

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みんなのレビュー1,044件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

優しさは、ときに人を傷つけてしまう。

2008/04/29 12:34

12人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ろでむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。


これほど引き込まれる出だしに出会ったことはない。
村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」の第一文だ。


あらすじは、ウィキペディア でも参照してもらえればよい。
僕が語ることでもない。


僕と、この小説の主人公「僕」は、似ている部分が多いなと感じた。
相手を否定しないという点だ。
ただ、この小説でも描かれているように、
相手を否定しない=相手を受け入れる
のとは意味合いが異なる。


優しさは、ときには武器になる。
相手を傷つけてしまう。
”優しさ”という道具は、扱うのが難しい。
道具とは得てしてそういうものだということが、わかる一冊だろう。




≪以下抜粋≫
・正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと
沈みこんでいく。

・もしあなたが芸術や文学を求めているのならギリシャ人の書いた
ものを読めばいい

・「何故そう思うの?」「うーん」
答えなどなかった。

・「ねぇ、私っていくつに見える?」
 「28。」
 「嘘つきねぇ。」
 「26。」
 女は笑った。

・優れた知性とは二つの対立する概念を同時に抱きながら、
 その機能を充分に発揮していくことができる。

・「・・・ねぇ、いろんな嫌な目にあったわ。」
 「わかるよ」

・「冷たいワインと暖かい心」

・「何故いつも訊ねられるまで何も言わないの?」

・彼女は彼女にとってふさわしいだけの美人ではなかった

・巨大さってのは時々ね、物事の本質を全く別のものに変えちまう。

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紙の本

遠い青春、青春の遠さ

2008/05/29 20:53

9人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

もはや村上春樹も、中年といってよい年になってしまったけれど、当たり前といえばそうなのだけれど、小説は年をとらない。だから、『風の歌を聴け』は、いつまでもあの時の「青春」をたたえて、そこに、ある。

とはいえ、書かれたその時から、『風の歌を聴け』に描かれた青春は、小説としては新しいものであったにせよ、そのモチーフは、節度ある感傷として遠いものであった。

だから、今や、『風の歌を聴け』がそのままあっても、われわれが時を経てきてしまった以上、それは遠い青春であるばかりでなく、青春の遠さをもあらわし、ますます魅力的な小説に洗練されてきたように思えてくる。

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電子書籍

爽やか

2017/01/07 05:14

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しん - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトル通りで、爽やかな一陣の風を連想させる一冊でした。パラパラと短いシーンが折り重なり、物語が進みます。「ネズミ」に対する突き放したような記述や、主人公の世界を風のように通り抜けて行った女性の記述が、なんとも爽やかな印象を醸し出しています。しかも、物語に穴や不自然な箇所がない。デビュー作でこの完成度はズルい。

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紙の本

村上春樹初期作品について

2017/05/01 13:23

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:にゃんこ鍋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

一時村上作品にハマっていたが、最近は読んでない。スミマセンッ(笑)特に初期頃の作品この「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」、「ノルウェイの森」、「ダンス・ダンス・ダンス」等が好きで、今でも時々つまみ読みをしても新鮮な気持ちで読むことができる。
冒頭の「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
この言葉がお気に入りですネ。カッコイイね~(^_-)-☆

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電子書籍

ずっと枕元にある本

2016/12/06 19:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけし君。はい。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昭和57年7月15日発行の文庫本第1刷を買いました。二十代から五十代の現在まで時々読んでいます。通しで何度か読んでいますが、それ以上に、枕元に置き、気が向いたときに開いたページをパラパラ読んでいます。レイ・ブラッドベリーの火星年代記と同様、短い話を繋いで流れていくので個々の物語を読んでも十分面白いです。ようやく電子書籍になったのでタブレットに入れて、枕元だけではなく、いろんな場所で読んでいきたいと思います。他の作品も好きで大体読んでいますが、読んでいて一番しっくりくるのが本作です。

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紙の本

友達と騒ぎながらも、心の中ではなんとなく窮屈でくよくよしていたあの頃を思い出す

2023/06/26 16:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る

グチグチと根暗なわたしの一面をそうだねとただ頷いてくれます。否定をしないで受け止めてくれます。青春と言われる時期は本当に風のように過ぎて行きます。

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紙の本

デビュー作品

2023/05/19 23:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹氏のデビュー作品。デビューした頃からふんわりとした文体で、以来ほとんど変わっていないのだなと思います。

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紙の本

無題

2023/02/04 02:23

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者: - この投稿者のレビュー一覧を見る

初めて読んだ村上春樹作品であり、私にとっての最高傑作。初読の際に感じた不思議な感覚に引き込まれ、今でもお気に入りの作家さんです。

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紙の本

ふしぎ

2022/01/14 19:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たかし - この投稿者のレビュー一覧を見る

歌が流れているような文章、友達も不思議な人。面白い書き方だった。ラジオの番組は、誰が聞いていたのか、知りたい。

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電子書籍

かっこいい

2022/01/03 19:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たかし - この投稿者のレビュー一覧を見る

BGMが流れてくるような書き方が印象的。ジャズ喫茶の仕事も、もとから小説家とは違ってセンスが光っている。

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紙の本

これがハマった

2019/06/19 20:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつもとちょっとちがう本を読んでみると、これが案外面白くて、そこから読書の幅が広がることって、ありますよね。
私の場合、むかし、村上春樹と出会ったときがそうでした。
甲子園あたりのちっちゃな本屋で、ふと手にした文庫本。
「風の歌を聴け」って、これだれの本?
村上春樹? 知らんなあ、と思いつつ、
まあ一回こういうのも読んでみようかな、と思って買って読んでみたら、
これがハマった。
著者とちょうど10歳違いで、同じような阪神間で青春時代を過ごした者にとっては、まさに宝石のきらめきのような描写がいくつもあります。
以来、村上作品はすべて読んでいます。

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紙の本

空気を感じた一冊だった

2019/01/07 15:23

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Takto - この投稿者のレビュー一覧を見る

僕としてはどの村上春樹の書いた小説よりもこの本が一番印象強く、好きなものである。
内容には大きな陰謀や、力、暗闇は存在しない。人間が感じるように感じられる寂しさが感じられた。
どこかへ誰かが去り、何かがなくなっていく。喪失感の小説のように思えた。

この本に解釈を考えるのは個人の自由だ。それを止めることは誰にだってできやしない。
だが、僕としてはただ文章から感じる光景、空気、表情を感じてほしい。それだけで十分とさえ思う。

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紙の本

村上春樹氏のデビュー作です!

2016/08/13 10:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、村上春樹氏のデビュー作で、群像新人賞を受賞した作品です。1970年の夏に、海辺の町に帰省した主人公は「鼠」とビールを飲みながら解放した女の子と親しくなって、退屈な時間を過ごしていまshた。二人のそれぞれの愛の屈託をさりげなく受け止めてやるうちに、主人公の夏はものうく、ほろ苦く過ぎ去っていくんのです。青春の一片を乾いた軽快なタッチでとらえた作品です。

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紙の本

文体の心地よさ+後段で明かされる事実で前段を読み解く面白さ

2016/05/14 04:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピザとビール - この投稿者のレビュー一覧を見る

この文章は一体何を意味するんだろう? と一読しただけでは疑問に思うが、再読してモチーフが見えてきた。九本指の女が子供を堕ろしたことが後のほうで明かされ、前段の行動の謎(一週間ほど「旅行」に行くというのは、堕胎手術を受けることを意味する)が解けるという構成になっている。彼女はその深い心の傷をかかえながら、「僕」の部屋に半ばアクシデント的に転がり込んでしまい、「僕」と淡いやり取りをする。「僕」への好意も多少なりとも芽生えるものの、それが深い傷の裏返しなのかどうか判然としない。堕胎という「死」と呼応するように、以前付き合った彼女の死などのエピソードが盛り込まれている。つまり堕胎というモチーフに沿って、以前付き合った三人の彼女の話や、産道の暗喩(火星)の話などが配置してある。

会話、音楽、ビールなどを組み合わせてスタイリッシュに書いている。文章はリーダブルで心地よい。でも心地よさの中に悲しみが隠されており、作品の奥は深い。村上春樹自身、「どれだけスタイリッシュに小説を書いていこうと前もって決心していても、書いているうちに内部から否応なく湧き出てくるものというのはやはりあるんですよね。それが設定されたスタイルを内側から突き崩していく。それこそが小説の与える基本的なスリルです」と『若い読者のための短編小説案内』で述べているが、このデビュー作で見事にそれを実現している。

また、エッセイ『職業としての小説家』で、このデビュー作『風の歌を聴け』は、当初書いたものに納得できず、冒頭一章分ほどを英語で書いてみてそれを再度日本語に翻訳した――「翻訳といっても、がちがちの直訳ではなく、どちらかといえば自由な「移植」に近いものです。するとそこに必然的に、新しい日本語の文体が浮かび上がってきます。それは僕自身の独自の文体でもあります。僕が自分の手で見つけた文体です。(中略)とにかく僕はそうやって新しく獲得した文体を使って、既に書き上げていた「あまり面白くない」小説を、頭から尻尾までそっくり書き直しました。小説の筋そのものはだいたい同じです。でも表現方法はまったく違います。それが今ある『風の歌を聴け』という作品です」(同書)と、この作品が生まれた経緯を紹介している。

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紙の本

あれからどれだけ風が吹いただろう

2015/12/19 08:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いまさら言うまでもないだろうが、村上春樹の記念すべきデビュー作だ。
 昭和54年(1979年)の第22回群像新人賞を受賞し、第81回芥川賞の候補作にはなったものの受賞には至らなかった作品である。
 当時の芥川賞選考委員は開高健や大江健三郎、吉行淳之介、遠藤周作、丸谷才一となんとも贅沢な10名だったが、多くの選考委員は無視か柔らかな評価となっている。
 丸谷才一の「作品の柄がわりあひ大きい」、遠藤周作の「憎いほど計算した小説」が目立つ程度である。
 その後の村上春樹の活躍から何故芥川賞をとれなかったということになるのだろうが、むしろこの作品が群像新人賞を受賞したことの方が驚きともいえる。もし、この作品が新人賞を受賞しなければ、村上春樹は作家となっていたかどうか。
 そういう点では文芸誌「群像」の果たした意味は大きい。

 この中編小説は1970年の8月の18日間の物語だ。
 海辺の街で「僕」が「鼠」と呼ばれる友人とビールを飲み、女の子のことについて話し、四本指の女の子と偶然知り合って、またビールを飲んだ、そんな18日間の話だ。
 「僕」が今までつきあった3人の女の子の思い出は思い出の領域でとどまり、深い物語にはならない。まるで風のような。
 それでも、文章が持っている気分が好きだったし、何十年ぶりかで読み返してみると、思った以上に時代めいて感じたけれど、初めて読んだ時の気分はそのままだった。
 それは、翻訳調の文体から醸し出されるものなのかもしれないが、きっと村上春樹が根っこで持っているセンスのようなものだと思う。
 どんなセンスって聞かれると答えようがないけれど。

 今読んでも新鮮な小説だが、初めて読んだ時はもっとちがっていたような気がする。
 これからこの物語を読もうとしている読者はどうなのだろう。当然有名になった村上春樹のデビュー作としてページを開くのだろうが、私はそうではなかった。
 だからといって若い読者の読み方がつまらないなんてことはない。ただ、初めてハンバーガーを食べた気分ってわからないような、そんなことだと思う。

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