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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2002.12
  • 出版社: 中央公論新社
  • サイズ:20cm/242p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-12-003341-4

紙の本

バースデイ・ストーリーズ

著者 村上 春樹 (編訳)

「誕生日」を題材にしたテーマ、収録作品の質、作家の顔ぶれ、いずれの点でも魅力的なアンソロジー。村上春樹が選んだ英米の短篇を集めた「誕生日」をめぐる11の物語。村上春樹書下...

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バースデイ・ストーリーズ

税込 1,760 16pt

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商品説明

「誕生日」を題材にしたテーマ、収録作品の質、作家の顔ぶれ、いずれの点でも魅力的なアンソロジー。村上春樹が選んだ英米の短篇を集めた「誕生日」をめぐる11の物語。村上春樹書下ろし最新作「バースデイ・ガール」も収録。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

ムーア人 ラッセル・バンクス 著 9-28
ダンダン デニス・ジョンソン 著 29-40
ティモシーの誕生日 ウィリアム・トレヴァー 著 41-74

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みんなのレビュー33件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

誕生日がテーマ

2023/06/29 19:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る

素敵なバースデイ・アンソロジーでした。素直にHappy birthdayしている物語がありません。 むしろ、なんて誕生日だ、という感じで素晴らしい。しばらく余韻に浸ろうと思います。

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紙の本

同時代に生きる11人の感性のごつごつとしたリアルな息遣いが「誕生日」という一本の糸に見事に紡ぎ合わされている。

2003/03/03 10:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ヨーダ - この投稿者のレビュー一覧を見る

氏がこの本を編むきっかけになったのは「ティモシーの誕生日」と「ムーア人」という誕生日をテーマにした二つの優れた作品を立て続けに読んだからだという。その後、残りの作品収集は難航するのだが、この無鉄砲な思いつきとも思える計画を、おそらく楽しみながらものにしてしまうところは、氏の持ち味である、讃岐うどんにも負けぬ腰の強さ、粘り強さが如何なく発揮されているのでは! と思ってしまう。

当たり前だが、「誕生日」というお題目で本を編もうというかけ声がはじめにあって、それぞれの作家がそれにまつわる話を書いたわけではない(例外は、唯一最後に「バースディ・ガール」を書き下ろした、この本の編者であり訳者である村上春樹氏だけ)。

氏が「この10年ぐらいのあいだに発表された、活きのいいコンテンポラリーなもの」を選ぼうとしたのは、どうしてだろう。こう考えることも、ファンにとっては次の作品を期待するうえで、なかなか楽しい材料となる。これらの作品を訳していく過程で氏がどんなインスピレーションを得たか、この仕事中に得たなにかが、次に発表する作品中に伏流水のようにひっそりと流れていくのではないか、ということまで想いを馳せられるからだ。そして、もしあなたが氏のヘビードランカー(?)となるならば、「東京するめクラブ」をはじめとした、あらゆる氏の発表する仕事から目を離せなくなり、チェックを怠れなくなっていく(笑)。

アンソロジーといっても、フリーソウルのコンピレーションアルバムを聴くようにすんなり前の曲から次の曲へとつながっていくという感じではないし、すらすら読みこなせたわけではない。というのは11人の語り口は11様であり、慣れないと非常に読み進めにくい文章があり(「永遠に頭上に」作品がつまらないということではない)、出口の見えない重たい結末(読後感)のため、すぐに次の作品へと読みつぐ気になれないもの(「ダンダン」)もあるからだ。

ただ、逆にそういったすらすらと読み進められない感じが、それだけ同時代に生きる11人の個性、感性のごつごつとしたリアルな息遣いなのだという気がしてくるから不思議だ。

だから本書を編むうえで、「誕生日」を軸としたアンソロジーだとは言っても、振幅の幅は広く、多様性を寛容できる度量ともいうべきものが編者には求められたのでは、という気がしてならない。そう考えると、考え方も感じ方も違う、氏を除くそれぞれ10人の違う方向にとんがっている同時代の個性が、「誕生日」という一本の糸でこの1冊の本の中に見事に収まっているというのはある意味奇跡に近い幸せだ、と言ったら大袈裟だろうか。(このアンソロジーに、今日のアメリカのイラクを巡る緊迫した情勢、9.11以降ますます強まるアメリカの排他的な姿勢に対する警鐘、「政治的な寓意」が込められていると読みとるのは無理があるだろうか)

※ちなみに昔「バイトの達人」(福武文庫)という原田宗典さんが編んだバイトアンソロジーがありましたが、そこには春樹さんの短編「午後の最後の芝生」(芝刈りのバイトをする主人公が登場)が収録されています。これもオススメです。

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紙の本

ささやかな、自分への時期外れの誕生日プレゼント

2003/01/08 15:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:クーパー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本が発売された十二月というと、街はクリスマスムード一色で、早い人はそろそろクリスマスプレゼントなどの準備を始める頃ではないかと思う。そんな時期に僕はたったひとり本屋に立ち寄り、この本をお手にとり、装丁に惹かれ、パラパラと捲っただけでも伝わってくる、なんというか奇妙な雰囲気が僕をレジへと急かした。ちょっと早い、ささやかな自分へのクリスマスプレゼントだ。
 「誕生日」と言っても、(少なくとも僕が)そこから連想するような心温まる話が詰まっている訳ではない。一言で言ってしまうと極端過ぎるし、いささかの語弊があるかもしれないが、やはりどれも「奇異」である。しかしそこにはリアリティーがあり、救いがある。救いがないものもある(かもしれない…)。
 読み進めていくうちに気付くのは、ひとつひとつの物語がうまくちりばめられていて、絶妙なバランスを保っているような、そんな印象を受けた。もちろん物語の順番などのせいもあるし、ひとつひとつ違う作家が書いたからかもしれないが、それにしてもそのバランスは見事なものだと感じられた。
 初めから「誕生日」の話だと分かるものがあり、読んでいくうちにさり気なく「誕生日」の話だと分かるものもある。壮絶な誕生日があり、悲哀に満ちた物静かな誕生日がある。中にはもちろん心温まる和やかな誕生日もある。そうやって様々な「誕生日」がこの本にひとつひとつ丁寧に詰め込まれている。
 そしてもちろん忘れてはならないのがこの本を締めくくる作品、村上春樹書き下ろし短編「バースデイガール」。僕はやっぱりこれが好きだ。すごく身近な話であるようで、途方もなく遠い世界を描いたような作品。何度も読み返すことが出来、その度に違った印象を受けるに違いない。これぞまさしく村上春樹の作品だ。
 更に最後には「訳者あとがき」あり、これを読み終えたところで全てが完結する。この本は、ささやかな、自分への時期外れの誕生日プレゼントとなった。

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紙の本

手紙、あるいはあの日の新聞記事

2003/01/01 09:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「ことづけ」伝えて。これは2002年1月14日の、朝日新聞の社説のタイトルです。君はこの日成人式を迎えたのですよね。社説は詩人の工藤直子さんの「あいたくて」を引用しながら、この日成人を迎えた若者たちに、そう君も含めて、こう書いていました。「大人と子どもの境が定かではなくなってきました。もはや20歳を強くは意識しない若者たちが大半でしょう。でもあなたたちにも、大人であることを嫌でも自覚せざるを得ない時が訪れます」。

 そして、工藤さんの詩が続きます。「それでも 手のなかに/みえないことづけを/にぎりしめているような気がするから/それを手わたさなくちゃ/だから/あいたくて」この詩の後に記者はこう締めくくっています。「ことづけを放っておいては生まれてきません。心豊かなことづけを、やがてだれかに手渡すことができると良いですね」

 この書評は僕にとって、誰かに伝えたい「ことづけ」みたいなものかもしれません。今年最後に読んだ本、つまり村上春樹さんが訳した10篇の短編小説と村上さんの書き下ろしの短編1篇が収められたこの「バースデイ・ストーリーズ」という本がとても素晴らしかったことで、なんだかこの一年をとても幸福な気分で終えることができました。君の成人式に始まって、病室で迎えた僕の誕生日や君の妹の初めての下宿生活や、結構大変な一年だったけれど、それでもこんな素敵な本に出会えるのだから、まずまずの年だったと思っています。

 村上春樹さんの書き下ろし小説「バースデイ・ガール」は20歳の誕生日を迎えた女の子の不思議な物語です。村上さんは「顔をしかめることなく、どちらかといえば肩の力を抜いて楽しんで書いたもの」と云っていますが、とてもいいお話です。ちょうど贈り物にかけられた赤いリボンがゆっくりとほどけていくような、そんな短編小説です。それ以外にもラッセル・バンクスという人の「ムーア人」もよかった。人それぞれに誕生日の思い出がちがうように11篇の小説は趣きが違います。君自身のお気に入りをぜひ見つけてください。

 「だれかに あいたくて/なにかに あいたくて生まれてきた−そんな気がするのだけれど」工藤直子さんの詩「あいたくて」の冒頭の一節です。これも、まるで誕生日の詩みたいではないですか。

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紙の本

とりあえず村上なら褒めておけばいい、とは思わない。エリンの短篇集とこのどちらを取る、といわれたら私は迷わずエリン

2005/05/25 21:16

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹が自分で選んで訳したバースデイにちなんだ海外の現代小説集。あとがきに、作品選びに難航して翻訳家として有名な柴田元之や、NYのエージェントのアマンダ、この本の担当編集者・横田朋音の三氏に一篇づつ推薦してもらったもの、そして自身が書きおろした作品を含め11の短編が収められている。
村上自身のあとがきも利用しながら紹介すると、最初はレストランで見かけた老女を囲んでの誕生パーティ、芝居を終えた俳優の記憶に、バンクス『ムーア人』。医療用の阿片を手に入れに言った僕に、ダンダンが言ったのはマッキネスを撃ったばかりだと、ジョンソン『ダンダン』。息子の誕生日を楽しみにする結婚42年の老夫婦、そのティモシーに代りに行ってくれと言われた男の、トレヴァー『ティモシーの誕生日』。老女が手にした最後のケーキ、そのケーキを娘の誕生日のために譲って欲しいという女性が現れて、ライオンズ『バースデイ・ケーキ』。
3人の老婦人が繰り広げる不気味な問答、セクソン『皮膚のない皇帝』。彼女を見た男がみんな夢中になる、そんな可愛い妻を持った男の、セロー『ダイス・ゲーム』。家族と一緒にプールに行った13歳の誕生日を迎えた少年が向ったのは、ウォレス『永遠に頭上に』。誕生日に老女の家に飛び込んだ鳥の大群、離れた所に住む息子に救いを求める彼女が、ケイニン『慈悲の天使、怒りの天使』。愛する夫に、若い妻が贈ったプレゼントはとびっきりのコール・ガール、リー『バースデイ・プレゼント』。8回目の誕生日に交通事故にあった少年の昏睡状態が続いて、カーヴァー『風呂』。20歳の誕生日に、普段と同じようにウェイトレスの仕事をした彼女が、店のオーナーに食事を届けて、村上『バースデイ・ガール』。
常識的には、明るい、幸福に満ちた物語が多くなるはずなのに、各作品で村上があえて断るように、暗い話ばかり。村上が集めたのは、この十年くらいに発表された現代文学(エンターテイメントは無視)から選び、例えば既に柴田が翻訳して紹介済みのものでも、あえて自分で翻訳し直している、という。ただし、村上が何と言おうと構わないが、エンターテイメントでもこのレベルの作品は、ざらにあるだろう。実例をあげることもしないで、何を!と怒る向きもあるだろうけれど、私はエンタメよりノヴェルのほうが上にあるような視点を持たない。所詮、人間を扱った小説なのだ、行き着くところのさほどの差があろうはずもない。
例えば、戦後すぐに発表された山田風太郎のミステリ、今、タイトルは思い出せないけれど、人間心理の奥深さという点では『ダイス・ゲーム』を凌ぐだろう。初めて風太郎のミステリに出会った私は、あまりの男女間の心理の複雑さに、不信と不快、嫌悪を覚えて十年近く本を手にすることができなかったほどだ。この小説集に、そこまで衝撃を与える作品があるか。
いやいや、エンタメ擁護を始めると、止まらなくなる。いずれにしても、私にとって小説は面白ければいいのだ。そして、この本に収められた作品は、それ以上とはいえないけれど十二分に楽しめる。例えば、村上も感心する?『バースデイ・ケーキ』。たしかに、この老女の徹底した拒絶は凄い。ただし、呆れるのは既に人に売ってしまった商品を、他人に譲れというケーキ店の主人だろう。そんなに言うなら、お前が焼け、とは思わないだろうか。
或いは『ダンダン』の無頼、まさにチンピラ。『永遠に頭上に』のラストに向かう、積み上げるような精密な描写。筒井康隆というより清水義範を思い出させる『皮膚のない皇帝』の無軌道、あるいは、いかにも村上らしいちょっと不思議な、思わず最後に考え込んでしまう『バースデイ・ガール』。
誕生日、などというシバリを無くして、村上が選んだこの10作、みたいな彼にとっての現代文学の精華を今度は読ませてほしい。

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紙の本

決して甘くは無いけれど、ポップなバースデイアンソロジー

2003/02/05 17:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:むつきジン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は村上春樹氏編、訳にの海外の現代作家によるアンソロジーである。誕生日にまつわる話が10編、そして村上氏地震の書き下ろし作品「バースデイ ガール」の合計11編が収録されている。どの作品もタイトルの通り、誕生日をテーマにしているがそこから連想される甘い雰囲気をもつ作品は無い。少し痛く、少し後味が苦い作品や現代作家らしい皮肉の効いた作品がほとんど。
 個人的には、孤独で偏屈な老女の誕生日を描いた「バースデイ プレゼント」が一押しである。読後、じんわりと心が温かくなる。

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紙の本

バースディは望んでいても望まなくても訪れるものである。

2003/01/17 14:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:スネーク - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹氏が外国人作家の中から誕生日にまつわる話を集めた本。村上春樹氏自らも書いており、かなりおもしろかった。誕生日とは世の中の人たちにとってはなんでもない日でもその人にとっては特別な日になる。そんな日にまつわる話を作家達は書き綴る。若い人からお年寄りまで、いい誕生日から悪い誕生日まで、様々な誕生日があるなとつくづく思わせてくれる本である。

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紙の本

ファンにとって一番面白いのは「あとがき」ではないか?

2003/01/13 11:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

アンソロジーというのは勝手なものだ。それぞれの作者がそれぞれの思い入れで書いたものに勝手に統一性を見つけてかき集めてきて1冊の本にしてしまうのである。思えば本やCDでアンソロジーを編む作業をしている人は何と楽しいだろうか。おまけにこの本では、村上春樹は編集だけでなく翻訳まで手がけている(さらに自分でもバースデイに関する短編を1つ書き下ろしている)のである。まるで小学生が工作にいそしむみたいに、嬉々として作業を進めている編者の姿が目に浮かんでくる。
もっとも、「訳者あとがき」にあるように、誕生日をテーマにした短編を集めるに当たってはなかなか苦労したようで、出版社の編集者やNYのエージェント、挙句の果てに柴田元幸氏の力まで借りて収集したのがこの10編である。苦労したと言ってもこれはこれでなかなか楽しい過程であったのではないか。村上の文章からそういう楽しさがにじみ出ている。
そういう意味で、僕にとってこの本の中で一番面白かったのは、この「訳者あとがき」である。

いや、別に掲載されている短編小説の出来が悪いという意味ではない。いずれもシャープで余韻が深い。ただ、あとがきにも書かれている通り、ここに収められた小説は割合暗い話が多い。15歳の少年の誕生日を描いた「永遠に頭上に」は別として、メインの登場人物に老人が設定されたものが多く、救いようもなく無残なものから仄かな救済を示唆するものまで、その濃淡には差があるが、いずれも人生の悲哀を描いたものである。

もし僕が自分のことを何か書くとすれば誕生日については書きたくないなあ、というのが、皮肉にも僕の抱いた感想である。

村上自身の筆による「バースデイ・ガール」は如何にも村上春樹らしい小品である。
選び方、訳文、書き下ろし小説、そして「あとがき」──村上ファンが村上春樹を満喫できる1冊である。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

誕生日の出てくる話なんですけど

2003/01/04 00:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹編・訳、さらに作をも、という短篇小説のアンソロジーです。タイトルのとおり誕生日をめぐるストーリーを集めてきて訳して、最後に自身の書き下ろしで締めくくっています。アメリカ短篇小説ファン向け、もしくは村上ファン向けの色合いの濃い作品集だと思います。

どちらかというと日本ではあまりなじみのない(と思うんですけど)作家がほとんどで、作風もまちまちで、出来もまちまちで、といった感じで、最後に村上氏の新作が置かれていてまあ納得といったところでしょうか。誕生日の出てくる話なんですけど、あまりハッピーじゃない話が大半で、読んでいてつらくなってくる話もあります。

村上氏自身の新作は二十歳の誕生日を迎える女の子の話で、肩の力の抜けたちょっとお洒落な話です。慎重に他の作品とのバランスが考慮されているようです。

二十歳の女の子にとって誕生日をどう過ごすかってことはやはり特別な意味合いのあることでしょう。そういう感性というか人生観のようなものも歳とともにだんだん薄れ、代わりに「またひとつ歳をとった」という感慨ばかりが増しますよね。そういう意味では「誕生日をテーマにした作品集」が総体的に今作のような佇いであるのは、結構リアリティのあることなのでしょう。

個人的には、誕生日のプレゼントにはあまり向かないと思います。

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紙の本

大人向けのアンソロジー

2003/01/14 01:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上春樹の手による誕生日をテーマにした短篇小説のアンソロジーである。「バースデイ・ガール」という村上春樹自身の書き下ろし短篇も収録されている。

あとがきにも書かれているように、誕生日をテーマにはしているが、明るい話はあまりない。むしろ全体的には暗いムードが漂っている(もちろん作品が面白くないというわけではない)。収録されている作家も、私には知らない人が多かった。しかし、逆に言えばこの機会に知らない作家の作品を読むことができる。これがアンソロジーのいいところだ。

印象に残ったのは2作品。最初は「バースデイ・ケーキ」というダニエル・ライオンズの作品。週に一度行きつけのケーキ屋で必ずケーキを買う老女がいる。ある日、閉店時間を過ぎて老女がケーキ屋に行くと洗濯屋のマリアがケーキ屋とともに老女を待っている。亭主のいないマリアは子供の誕生日なのに仕事から抜け出せず、パースデイ・ケーキを買うことができなかったのだ。そこで老女に是非ケーキを譲ってくださいと頼み込む。ケーキ屋も今回だけは譲ってあげてはどうですかと老女に頼む。しかし老女は頑として譲らなかった。なぜ老女はケーキを譲ってあげなかったのか。ラストは非常にもの悲しい。

もう1つは村上春樹の「バースデイ・ガール」。イタリア料理店でウェイトレスのアルバイトをしている女性がいる。二十歳の誕生日には仕事は休みのはずだったが、代わりの子が風邪をこじらせて寝込んでしまったために彼女が仕事に出る羽目になる。ひょんなことから、今までに一度も会ったことのないそのイタリア料理店のオーナーに会うことになり、そのオーナーの老人に「願い事があればひとつだけかなえてあげよう」と言われる。果たして彼女の願い事は何だったのか、そしてその願い事はかなったのだろうか? 不思議な読後感を残す好短篇である。

もしあなたが、二十歳の誕生日に願い事をひとつだけかなえてあげると言われたら、どんなことをお願いするだろうか?

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紙の本

出版社コメント

2002/12/10 12:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中央公論新社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 アメリカ文学の優れた読み手であり、愛好する作家の作品を手ずから訳し日本に紹介してきた村上春樹さんの最新刊『バースデイ・ストーリーズ』が刊行の運びとなりました。
収録されている作品はすべて「誕生日」が描かれたもの。村上さんが選び、ひとつひとつ訳しました。多くの翻訳書を手がけてきた村上さんですが、このようにテーマを決めてから作品を集めるという試みは初めてのことです(編者としての労苦については、本書「訳者あとがき」にユーモラスに記されています)。
 選ばれた十篇は「本棚の奥から引っぱり出されてきたような古典じゃなくて、この十年くらいのあいだに発表された、活きのいいコンテンポラリーなもの」(「訳者あとがき」より)。誕生日をテーマにしているといっても、そこは現代作家の作品、いずれ劣らぬ個性的なお話ばかりです。海外の作家の短篇は、実力派のものといえどもなかなか日本に紹介される機会の少ないもの。それをいろいろと味わえるという点でも楽しい選集となりました。 
そして、村上さん自身が本書のために書き下ろした「誕生日」をめぐる短篇『バースデイ・ガール』も収録されています。
 作家、翻訳家、編者。村上春樹のさまざまな魅力がこの一冊にぎゅっとつまっています。海外の作品を愛読し、手ずから訳し、自身も作品を書いてしまう、村上春樹でなければ作り得ないオリジナルなアンソロジーです。プレゼントにもお薦めです。

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2004/10/14 18:33

投稿元:ブクログ

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2005/01/19 02:44

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2006/01/08 19:59

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2006/09/30 13:59

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