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「神はいるのか?」
この問いを目の前にしたときの日本人の反応はだいたいこんな感じでしょうか。「神?えっ、信じてるの?笑」はい、これで終わり。初詣や合格祈願には行くけれど、神に対してあんまり興味がない。でも、グローバルな場で生きていくには、この問いはけっこう大事だよ、というお話。
「世界は四大文明でできている」の四大文明は、キリスト教文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、中国・儒教文明の4つ。このうちキリスト教、イスラム教(あとユダヤ教も)は一神教です。神さまは一人。天照大神とか豊受大神とかいっぱいいない。神さまは神さまというわけです。
さて神さまが一人だとどうなるか。まず、神さまと人間の関係が全く異なります。「多神教では、たとえば神道では、神さまと人間は友だちのようなもの。一緒に食事をしたり、お酒を飲んだり、お祭りを楽しんだりします。それに対して、一神教では、神様が主人で、人間は僕(しもべ)。僕とは、家来を通り越して、奴隷のことです。」(p.41)一神教の場合、人間は全知全能の神が創造したもので、その人がいつ死ぬか、いつ病気になるか、選挙で当選するか、はたまたギャンブルで当たるかまで全て神の思うがままです。人間には価値がありません。でも、一神教を信じる人たちは、価値がないはずなのに自信たっぷりだったりする。これは、人間に価値があるかどうかは神が決めるので、神が自分を支えていると思っている人は自信たっぷりになる。少なくとも目の前にいる人間には左右されないよ、ということです。キリスト教圏、イスラム圏が個人主義なのは、こういう考え方に根ざしているわけですね。
日本は四大文明のどれにも根ざしていないわけで、どの文明の考え方もあんまりしっくりこない。でもグローバル社会においては、他の文明の人たちと交流があるわけで、その人たちがどういう考え方をしているか、その根本にあるものを理解しておくのは極めて重要だと思います。日本は宗教教育がほとんどされてないですが、こういうことを知らない人ばかりというのは、どうなんでしょうね。「神はいるのか?」という問いは、グローバル化した現代において笑ってスルーするような話ではない、いつまでもこういった話から避けていると世界から取り残されやしないか、ということです。
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またしても橋爪先生の1冊。今回は企業のトップに向けたリベラルアーツの講義として行われたものを1冊にまとめられた。世界を相手にビジネスをする人にとって、この四大文明―「キリスト教文明」「イスラム文明」「ヒンドゥー文明」「中国・儒教文明」-を知らないではすまされない。特に人口から考えて、中国・インドのことはよくよく知っておく必要がある。忠より孝とか、カースト制とか何となくわかったような気はする。ユダヤ教をはじめとする一神教は皆おなじ神を信じているということ。アッラーが最後の預言者であるということ。ユダヤ教やイスラム教には生活の中にいくつかの決まりがあること。キリスト教にはそれがないこと。などなど確認できたことも多い。そして、何とも分かりにくいのが日本のこと。もともと日本で信じられてきた神と新たに入ってきた仏教との間にどう折り合いをつけるのか。天皇との関係はどうするのか。などなど、どうもわかりにくいことが多い。橋爪先生の本などを通して、こうした知識を血肉にしていかなければならない。まあでも、本当いうと個人と個人の関係が一番大きいのだろうけれど。
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シンガポール髙島屋の紀伊国屋を徘徊中に手に取った一冊。
は~なるほど!と膝を打つ箇所多数。いやー、面白かったです。
以下、印象的だったところ。
・「マルクス主義は、神がいないだけで、キリスト教そっくり」(p.18)
・アッラーの自己紹介。「ムハンマドよ、よく聞け。わたしはこの世の造り主。アブラハムを選び、モーセに預言を与え、多くの預言者を遣わし、マリアの子イエスに預言を与え、いま、最後で最大の預言者、ムハンマドに啓示を与える。」(p.64)
・「イスラム教には、『宗教的寛容』が内蔵されている」(p.66)
・「ユダヤ教が土曜日、キリスト教が日曜日、イスラム教が金曜日。何曜日に休むかで、信仰がはっきりわかる。」(p.81)
・iPS細胞は体細胞。胚に由来しない。キリスト教的な生命倫理の制約から見たすばらしさ(p.124)
・「結婚できる奴隷を、古代ローマでは、プロレタリアといった。」(p.153)
・「こういう複雑なカースト事情を、インドの人びとは理解し、伝統と折り合いをつけながら生きている。」(p.170)
・禅譲は儒教の理想(p.178)
・日本人はリーダーや上司が有能であることを嫌う傾向がある(p.182)
・「中国共産党の権力の継承は、禅譲」(p.184)
・儒教の孝(家族道徳)は農民のモチベーションに繋がる(「自分の一生には意味があり、価値があったのだ」と思えることが、生きがい・やる気に繋がる)(p.197)
・「日本人が仏教だと思っているものの多く(たとえば、仏壇や位牌)は、道教や儒教がかたちを変えて日本に伝わったもの」(p.206)
・本居宣長のカミの用例。”カミってる”(p.222)
・古学・国学の延長にある、蘭学・洋学(p.238)
・ポリシーペーパー。「実現すべき価値。行動(ミッション)の目的。実現のための戦略。動員できる資源。採用できる方法。実行計画。数値目標。実現までのタイムテーブル。リスクの見積もり。成果の検証。行動達成後の処置」(p.242)
・日本人のつくる組織は、暗黙のうちに、日本人だけがいることを前提にする(p.243)
・アメリカ大権の庇護の下。「異様な他者との関係に、日本が直面しないでもすむように、はからっている」(p.246)
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インド本から派生して、「世界63億人の思考法を一気につかむ!」の帯に惹かれて読みました。
四大文明を、キリスト教文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、中国・儒教文明とし、それぞれに宗教に基づく思考法を解説しています。
以前読んだ同著者の『世界が分かる宗教社会学入門』があまり入ってこなかったので、こちらの方が個人的にはオススメです。
今の自分としてはやはりヒンドゥー教に興味が行くわけですが、カースト制にもメリットがあったという話などはなるほどです。インドでのビジネスの話をもっとしてほしい感はありました。
なお、シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツとのことで、読破しようかとも思いましたが(企業トップじゃないけど)この本が1冊目でまだあまり出ていない模様。
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帯文:”「キリスト教文明」「イスラム文明」「ヒンドゥー文明」「中国・儒教文明」世界63億人の思考法を一気につかむ!” ”中谷巌氏主宰の「不識塾」。有名企業の幹部に向けた白熱講義、新書化!”
目次:第1章 世界は四大文明でできている、第2章 一神教の世界、第3章 ヒンドゥー文明、第4章 中国・儒教文明、第5章 日本と四大文明
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文明の歴史というよりも宗教の歴史。日本人はあまり宗教に無頓着な人が多いので(自分も含め)、キリスト教徒やイスラム教徒がいかに宗教を中心に生きているかってことが分かりにくい。
この本を読んで、改めて、いかに世界が宗教を中心にして回っているかがよく理解できた。
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すっきりとわかりやすかった。儒教について客観的に整理できた感じ。忠と孝がぶつかる時はどちらを選ぶか。私はちゃんと選べた。いよいよ中国にはまってきたかな。
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動機が不純です。
まず、ビジネスエリートなら当然知っておくべき基本知識という内容だそうですが、こうした内容をありがたがって聞いてくれる相手が本当にいるのか、さらに基本知識と言うならなおさらこんな話を唐突にし始めたところで「何を今さら」と冷たい目で見られるか、単に知識をひけらかしているように見られるのが落ちです。
もちろん、知識として知っておくのはいいことですが、ビジネス上のタブーと言われる話題が、宗教や支持政党などだとわかっていれば、危ない話題の選択になりかねません。
執筆目的やタイトルはダザイですが、内容は充実していますので一読をお勧めします。
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小室直樹の弟子、橋爪大三郎による世界の4大宗教の紹介。
やはりキリスト教の考え方には俺は馴染めないと感じた。
要は違い(東洋の儒教、西洋のキリスト教、インドのヒンズー教、とイスラム教)を理解した上で付き合う必要があるということだろう。
孔子曰く「己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」
キリスト曰く「己の欲する所を人に施せ(Do as you would be done by.)」
この2つの考え方の距離は極めて遠いように感じる。
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タイトルだけを見たとき、古代の四大文明が、それぞれ現代にどのような影響を与えているのか、という教養の新書だと思っていましたが、いい意味で違っていました。宗教をベースに、文明を4つに分け、それぞれの成り立ちなどを振り返りつつ、日本はその文明には数えられない問題があること、それを克服する方法は存在することを、著者の独自の視点で解説しています。文明のベースを宗教ととらえている点は、日本人には理解しにくい点もあるわけですが、非常に分かりやすく述べています。それぞれの文明を理解して上で、日本の特殊性を考えなおすという、著者が冒頭に述べていますが、これまでとは違う見方で、非常に興味が湧く内容でした。
▼世界には4つの文明が存在する
-宗教がもとになって形成された
①ヨーロッパ・キリスト教文明
・ヨーロッパを中心に新大陸にも拡がる
・いちばん人数が多い。25億人
・ここ500年、人類をリードしている有力なグループ
・キリスト教をベース
②イスラム文明
・中東を中心。中央アジア、アフリカの北半分、インドの両脇、東南アジア(マレーシア、インドネシア)にも拡がる
・15億人
・イスラム教をベース
③インドのヒンドゥー文明
・10億人
・ヒンドゥー教をベース
④中国の儒教文明
・13億人
・儒教をベース
▼残りの10億人は、無視してもいい少数者。4つの次のグループは仏教かもしれないが、数億人。
▼文明とは、多様性を統合し、大きな人類共存のまとまりをつくり出すもの
-文明の特徴
・文字を持つこと
・法律や社会制度が整っていること
・帝国のような政治的まとまりや、教会のような宗教的まとまりをもっていること
・暦や生産技術や軍事力や経済活動や貨幣や交通などの社会インフラ等を備えていること
-共通点がある反面、内部に多様性を抱えている
-文化は、民族や言語など、自然にできた人びとの共通性に基づいている。それに対し、文明は、多くの文化を束ねる共通項を、人為的に設定すること
▼世界の四大文明は、どれも宗教をベースにしているのか
・宗教が、個別の言語や文化を超える、普遍的な内容のものだから
・『宗教とは、人びとが、同じように考え、同じように行動するための、装置である』
▼日本人は、トップリーダーや上司が、有能であることを嫌う傾向がある。なぜなら、自分の活動がそのぶん制限されるから。日本人は、この組織は自分のがんばりでもっている、と考えたがる傾向がある。これは、日本人が勤勉で、モラルが高いというメリットに通じると同時に、組織全体の意思決定が薄弱で、迷走しがちである、という欠点にも通じる
▼文人官僚も宦官もいない、日本が、世界的にみて例外だと思ったほうがいい
▼多様性を抱えているがゆえに、普遍性を強調する、これが文明
▼日本人は、目に見える多様性が、日本のなかにあるのを認めたいと思っていない。裏を返すと、日本が普遍的な価値を��なえていて、世界にそれを認めさせるべきであると、考えていない。文明として行動していない。日本はやはり、文明ではなく、文化である。そして、外の世界から、異聞たちに必要なものを取り入れることだけに、今も熱心である
▼キリスト教では、最後の審判のとき、人間は一人ひとりGodの前に立って、自分の罪について、説明しなければならない。こういう前提でものを考えるので、人間がなにか決めるときに、説明責任が果たせるように、文書を残しておく
▼日本人のつくる組織は、暗黙のうちに、日本人だけがいることを前提にしている。そして誰もが、だいたい同じように考え、行動することを前提としている。その期待が、空気をうみ出している。異質で予想のつかない他者を、受け入れる余地がない
▼最初から、多様で異質な人びとを排除することを習慣にしたわけではなく、共存する知恵と文化が、日本の伝統にもそなわっていた。
▼荘園制が崩れ、地頭を追い出し、ムラの結束が固まる室町時代から、農民の自治能力が高まった。勤勉に働き、助け合い、自分勝手な行動をとらない。同質な人びとが共同体をかたちづくる。近世から近代に続く、日本の組織の原型ができてきた。
▼対等で同質なメンバーが、コンセンサスを重視して社会を運営するのは、ムラのサイズならちょうどよいが、広い範囲の場合、武力(武士団→軍部→アメリカ)が必要になった
▼こう考えると、同質な人びとで組織や社会が成り立っていると考えるムラ社会の流儀は、ごく最近の習慣ではないか。そうであれば、グローバル世界に飛躍するため、日本の企業の仕組みと文化を、変化させることができる。それは日本の伝統にも反しないはずである。
<目次>
第1章 世界は四大文明でできている
第2章 一神教の世界―ヨーロッパ・キリスト教文明と、イスラム文明
第3章 ヒンドゥー文明
第4章 中国・儒教文明
第5章 日本と四大文明と
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世界の人口のほとんどは、グローバルスタンダードになりうるキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教の各社会でカバーされている。この4大宗教をベースにした価値観を持つ4つの文明を学ぶ事で、グローバルなコミュニケーションが外国人とできるという内容。
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グローバル化が当たり前の中、リベラルアーツは不変の共通語である。その中でも文明を築き、文化を培っていく基盤が宗教であり、思想である。また帝国が成り立つ基盤でもあろう。その思考のベースとして、簡潔かつ背景を含めた容易な内容であり、良書であった。
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「4行でわかる世界文明」よりこちらの方が読みやすかった。人に勧めるならこっちかな。
より宗教に重点をおいているので、歴史や正典などにも触れていて面白かった。
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めちゃくちゃ面白かったです。
日本人はよく、宗教のことに疎いと言われますが、グローバルな現代を生きていくためには、知らなければいけないことだと思いました。
日本という国は、めちゃくちゃ少数派なので、多数派の人の考え方を理解することって、大切なんですねー。めちゃくちゃ勉強になりました。
ぜひぜひ読んでみてください❕
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過日、橋爪先生のセミナーを受講、復習の意味でこの書を手に取った。これからグローバルで戦うビジネスマンに是非読んでおいてもらいたい一冊。
それにしても日本企業特有の①意思決定を行なう会議の場で、実質的な議論がない。②誰が意思決定したのか、不明である。③その意思決定した理由も不明である。っていうのも世界の標準からズレていて、宗教感の違いにルーツがあるという。足して2で割るような玉虫色の決定をしている私たちは大いに反省だ。