投稿元:
レビューを見る
鰻屋「まつむら」には、売れない俳優と所帯をもつ女実業家、大学教授と見合いする立ち食い蕎麦屋のおばちゃん、文学賞を受賞しベストセラーを夢見る小説家などが、悩みを抱えのれんをくぐる。ひとりの男をめぐる五人の女たちの辛苦。まずはうなぎを食べよう!
投稿元:
レビューを見る
カトゲンさんの小説は、新刊を読むたびに「この小説が今までの中で一番好きだ」って思うのだが、今度は本当に心から強くそう思った。大好きだ。
ダメなオトコと、ダメなオトコに振り回されつつも離れられないオンナを描かせたら天下一品のカトゲンさんだが、今回はダメなオトコと見せかけてピカイチのオトコだったね、ゆうちゃん。
一章ずつ、人がつながって行ってどんどんゆうちゃんの人となりが見えていく構成もとてもよかったけど、最後の最後に「そうきたかっ!!!」と。もう、泣きましたよ、いや、ほんとにぐずぐずで鼻水が止まらずに。そして最後につながった人たちの縁をもう一度最初からたどっていくと、たくさんの伏線がちりばめられていたことに気付くという。
なるほど。これは一読目は人の繋がりを楽しみ、二読目は隠れていた人物の影を楽しみ、三読目はゆうちゃんを真ん中に広がる縁の円を楽しむ、という、まるでひつまぶしのような小説なわけですな。おいしい涙が隠し味のうなぎ小説。カトゲンさん最高!
投稿元:
レビューを見る
うなぎ食べた~~い。ず~~っとお腹空かせて読んでました。
うなぎ屋さんに来た何組かのお客さんの話なんだけど、
どこにもごんちゃんが絡んでて・・・
なんだよ~いい人じゃん。
続きが知りたいけど、きっとうなぎ屋さんがまた2人を元通りにしてくれると信じて。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
笑子は、20年前に知り合い、家族の反対をおして同棲するが、何度も浮気される。加寿枝は、高校時代に振られるが、職場で再会し、密かに慕いながら別の男と見合いする。史子は、バイト先で知り合い、家出後、彼の家に転がり込んでルームメイトとなる。佑菜は、入院中に声をかけられ、退院後に旨いうなぎ屋に連れて行ってもらう。ともえは、妹として育つが、実は兄ではなかった事実を中学の時に知らされる。「権藤佑市」をめぐる女たち。鰻屋「まつむら」を舞台に、ひとりの男がつなぐ五人の女たち。甘辛連作短編集。
投稿元:
レビューを見る
家族の反対をおして同棲するが、何度も浮気される
笑子。妹として育つが、実は兄ではなかった
事実を中学の時に知らされたともえ…。
鰻屋「まつむら」を舞台に、ひとりの男がつなぐ
5人の女たちを描いた連作短篇集。
投稿元:
レビューを見る
祐市って、最初むっちゃだめ男やけど
実は単に不器用なだけ?
いや、全般は最初から最後までだめ男なんですが
完全に女の敵という訳ではなさそうだ。
う巻き(鰻のオムレツ)だけ、ちょっと脱線してる感じですが
最後だけほっこりします。けど先生みたいな旦那さんはやだな。
鰻はお腹だけでなくて気持ちの隙間も満たしてくれる。
そう頻繁には食べられないけどね
投稿元:
レビューを見る
タイトルと装丁のふざけた感じに
なんじゃこりゃ、と手に取ったのだけど
想像してたようなものと違いめっちゃよかった
40代のおばさんのハート鷲づかみされてしまった。
なにか重要な決断をする時、
いいことが起きた記念に、
若いころの切ない恋に、
家族との思い出をかみしめ
うなぎを食べる。
すてき。
登場人物のそれぞれの人生思わず応援したくなる。
投稿元:
レビューを見る
ウナギ好きです!それだけ^^
想像していた内容とは違うものでした。
うなぎ屋が五編共に同じ店として登場し、また登場人物がこの店ですれ違ってみたりと、面白い構成でしたが、
私としてはあまり読み込むことのない恋愛ものでもありました。
第五章は、それまでの章に登場していたうなぎ屋さんの女性店員さんへの話と通じたり、お土産を買っていた人の素性が分かったりとちょっとすっきり。
ともあれ、おじさんはたいていうなぎと寿司が好きらしく、私もまた、おじさん?なのかもしれません。^^
投稿元:
レビューを見る
何かいいことがあると鰻を食べたくなる。幸せを噛みしめつつ、熱々のうなぎにわんぐりとかぶりつく。幸福と鰻のシンクロ。そりゃ美味いに決まっている。「うなぎさえ食べていれば、不可能はない」これって心理だな。いい本読めたからうなぎ食いに行こう。
投稿元:
レビューを見る
浅田次郎の「うなぎ 人情小説集」とセット借り。
先に向こうを読んでおいてよかった(「人情小説集」に載ってる話が出てくるため)
いやあ、大好きなタイプの本でした。
人物描写もさることながら、物語の展開が巧みで美しい。
このうなぎ屋さん行きたいなあ。
投稿元:
レビューを見る
友だちに薦められた際、鰻を食べたくなるよ…と言われ、確かに食べたくなりました。
たまーにで良いから、どうせなら美味しい鰻を食べたいなぁ。
話の内容は、続編も気になります。
投稿元:
レビューを見る
大好きな本です。鰻屋を舞台とした短編小説ですが、どの小説にも同一人物の男が登場します。特別な日に食べる鰻。うなぎが食べたくなります笑。最後読み終わってからはもう一度初めに戻って読み返したくなる話でした。再読したい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
まずは目に焼き付けられる、この表紙に圧倒される。香ばしいタレの匂いが今にもこぼれ落ちてきそう。ううう…もう降参です。
うなぎって日常的に食べるものではなくて、どちらかと言えば非日常的な食べ物の印象がある。
”たまのごちそう”…特別感が半端ない。
うなぎ屋『まつむら』を舞台に、うなぎを食べる男女の機微を描いた連作短編集。
「大人は隙間だらけだ。いやなこと、知りたくないこと、受け入れたくないことばかりで、心が冷えて縮んでしまう。泣きわめいても、現実はおろか、気持ちさえ変えられない。だから、ときどき必要なんだよ。心をいっぱいにしてくれるごちそうが」
お腹さえ満たされればいい、なんてそんな単純にはいかないのが大人の面倒くさいところ。
ただ美味しいだけでもだめ。隙間風の吹く虚しい心をいっぱいに満たしてくれる”ごちそう”が時には必要だ。
それにしても、女性陣の食べっぷりが実に気持ちいい。塞いだ気持ちも一気に吹き飛ばす底知れぬパワーをもらった。
私にとって、うなぎ料理は蒲焼きくらいしか思いつかないけれど、こんなにも種類があるとは。
白焼きに肝焼き、う巻き、うざく、刺身…。
中でもうざくは是非とも食してみたい。
それにしても、全ての短編に登場していたゆうちゃん。
最初はなんて情けない男なんだろう、と呆れて見くびっていたけれど、視点が変わると…なかなかいい奴じゃん。見直したよ。
この作家さん、女性だったのね〜びっくり。
投稿元:
レビューを見る
「うなぎ女子」という本のタイトルから
ダメな男「権藤佑市」に振り回される
女子達の話かと思いながら読み進めていると
笑子が思っている女子たちと権藤佑市の
関係が話が進むにつれて明らかになり、
権藤佑市の意外な一面がいっぱい出てきて
終盤に進んでいくにつれてガラッと印象が
かわって面白かった。なんでうなぎ屋なん?
って思いながら読んでいたけど途中で出てくる
「心の隙間を満たすために」うなぎを食べる
ってのがグッときたな。大人というか歳を
とるとどうしても埋めることができない
心の隙間があってその隙間をほんの
ひと時でも埋めるために食べる美味しいもの
それが今作ではうなぎだったんですね。
わたしも美味しいものを食べたときは
ほんのひと時でも嫌なことが忘れられるもん。
まぁそもそも「権藤佑市」の人生を大きく
変えたものがうな重でしたもんね。
表紙のうなぎも作中に出てくる
うなぎ料理の数々も読んでいると
当たり前だけど食べたくなるもんですね。
しばらくしたらわたしも心の隙間を
埋めに行きたいとおもいます。
投稿元:
レビューを見る
舞台は鰻屋「まつむら」。お不動さんの参道にある古い佇まいの店だ。注文した鰻が焼き上がるまでのひとときで展開する、5人の女たちの人間模様を描いたヒューマンドラマ。
◇
笑子は鰻屋まつむらの4人掛けのテーブル席についている。連れの男は店に入るなり手洗いに行ってしまった。
笑子には20年に渡り同棲している男がいる。権藤佑市という売れない俳優で、当然のことながら稼ぎはない。生活は笑子が営むヴィンテージ物の和服を扱う商売で支えているが、それはかまわない。
だが、どうしても許せない不実を佑市が働いていることに、笑子は気づいてしまったのだった。
今夕はその佑市と、久しぶりにまつむらを訪れている。笑子はある決心をしていたし、佑市もそれに気づいているようだ。
やがて佑市が手洗いから帰ってきた。
(第1章「肝焼き」) 全5章。
* * * * *
各章で主人公を務める5人の女性と、ジョーカー的役割の権藤佑市の身に展開されるドラマは、決して珍しいものではないでしょう。
そして、その6人のような不器用な生き方をしてしまう人が少なくないのも想像に難くありません。
要するに「不幸な身の上」としてよく見聞きする人生が描かれるので、リアリティは十分にあります。
でもこの作品のいいところは、何より主人公の不運な境遇や不器用な生き方を描くだけでなく、最後には各女性たちが自分なりの踏ん切りをつけて生き直す決心をする場面で終わっている点だと思います。 ( 佑市は変わらずですが、あの調子で生きていくものと思われます。)
何か、時代小説によくある、しっとりした人情話のような風情を感じました。
設定のうまさも光ります。
まず、舞台が鰻屋であるということ。
きちんとした鰻屋は注文してから料理が出てくるまで時間を要します。その待ち時間で女性たちの心情を描いていくなんて、なかなか洒落ているなと感心しました。
次に、その女性たちが同日の似たような時間帯にまつむらで鰻が焼けるのを待ちながら、気持ちに踏ん切りをつけていくということ。
決して広くはない店内。そこで ( 多少の時間差はあるものの ) 女性たちのいろいろなドラマが展開していくさまは、想像するだけでワクワクします。
最後に、各章で女性たち1人ひとりを詳細に描きつつ、その女性たち全員と因縁を持つ佑市の側面が少しずつ明らかになっていくということ。これが実によかった。
最初はいい加減で口先だけのクズ男にしか見えなかった佑市像が、章を重ねるにつれ厚みを増していくところは見事でした。
派手さはありませんが、つい読まされる巧みな加藤さんの作品。特に本作は、映像化してほしいと思った物語でした。