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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.3
- 出版社: 新書館
- レーベル: WINGS COMICS(ウィングスコミックス)
- サイズ:19cm/171p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-403-61961-8
ひらひらひゅ〜ん 3 (WINGS COMICS)
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- 税込価格:2,422円(22pt)
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紙の本
「弓の物語」の型とその完成に向かって
2010/03/16 22:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
南九州鹿児島県内とおぼしき開開高校弓道部の物語もついに3冊目に突入。第1巻は男子部員の哀しきコンプレックスのありようを突き抜けた感じで描き、第2巻は男の子どうしの淡き友情と弓道の試合とを見事に描いた。そしてこの第3巻でも、また異なる味わいの弓道部の物語を見せてくれた。
弓を扱った物語は極めて珍しい。「登場人物が弓道をやっている」という設定なら映画版「時をかける少女」をはじめ少なくないが、弓を正面から扱ったものはなかなかない。小説では、以前に紹介した「卵をもつように」があるくらいか。ドラマでは「冬空に月は輝く」が貴重だ。ここで、綾瀬はるかが凛々しい袴姿を披露していることからもわかるように、女性の袴姿はなかなか絵になる(実際の人気も高いようだ)。それゆえか、弓道漫画は多少はある。古いところでは「NATURAL」。弓がストーリーの中心ではないものの、たいへん丁寧な絵が印象的である(なぜか「斜面」だ)。
袴姿というのは絵になるのだけれど、弓そのものはストーリーにはしにくいのだろう。柔道のような多様な技はないので「動き」が限られるし、野球やサッカーのように「攻め」と「守り」のはっきりした競技にくらべて、試合の「盛り上がり」にも欠ける。また、剣道などのような対人競技ではないので、対戦相手との技と心理の絶妙な駆け引きもない。陸上などと同じ個人競技なのだが、タイム等で「力の差」がわかりやすく出るわけでもない。実は見た目はとても単調なのである。相手は「的」でしかなく、詰まる所、向き合うのは自分自身という、実は孤独なスポーツともいえよう。そのため、物語にするためには、「部活」「恋愛」といった人間関係に頼ることになる。作者が弓道経験者と言う「プリキュウ」もほぼこれに従う。でなければ中島敦「名人伝」のように、「弓を使わず射る」などという禅問答のような話になってしまう。
さて本書でも、高校弓道部、合宿、他校とのあつれきと・・・、公式戦、という「部活もの」の常道をなぞる(なんだか80年代の青春ドラマのパロディを見るような・・・)。しかし、本作の中心は「勝ち負け」を意識するようになった男子部員たちである。他のスポーツであれば鍛える方法や目指す方向はいろいろあるだろう。弓は単純だ。それだけに部員個々の思いのささいなちがいが際立ってくる。共感する元弓道部員も
多いだろう。「向き合うのは自分自身」という、弓道競技の特異性をつかんだストーリーの構築に成功しているのだ。もちろんそれだけではない。試合に臨む生徒にむかって顧問の先生がかける台詞を見られたい(実は、どちらの学校の台詞かははっきりしないが、どちらの顧問も言いそうだ)。ありきたりだが、どのスポーツにあてはまることだろう。「ありきたりなことをきちんとする」のが、スポーツなのではなかったか。
と、見た目以上に大仰な論評になってしまったが、もちろん気楽に楽しめる物語なので、存分に楽しまれたい。