紙の本
ありそうで無かった組織デザインの「使える」教科書
2004/08/06 01:24
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Taka−14 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年、戦略策定やマーケティングの分野では「使える」教科書がかなり出てきているように思う。
しかしながら組織に関する問題を解決しなければならないとき、組織デザインのセオリーが解説された頼りになる教科書が、今まではありそうで無かった。
波頭亮『組織設計概論』(産能大学出版部)などはその種の目的で書かれた数少ない本だが、おそらく国内では、今後しばらく本書が組織デザインの決定版的教科書になるであろう。
あらためて本書の帯を見直し、「経営改革の基本テキスト」と書いてあることに気づいた。そう、「基本」なのだ。
著者の沼上氏は組織デザインの論理、基本、原理原則に徹底的にこだわっている。
「原理原則を知らない事情通は、思わぬトラップ(罠)にはまり込み、抜け出すことができなくなる可能性がある」(P23−24)といきなり序章で警告を発する。
本書では組織デザインにおいてポイントとなる鍵概念を「分業」と「調整」とし、紙幅のほとんどは「分業」と「調整」についての解説に費やされている。また経営書としてはめずらしく、本書には企業の実例がほとんど登場しない。登場するのは単純化された「仮設例」である。にもかかわらず本書の記述はきわめて現実的で生々しい。
そう感じる理由を考えてみると、
ひとつは、ここで解説されている「論理、基本、原理原則」が膨大な先行研究に基づて抽出されたセオリーであり、時空を越えて共通する本質的な問題を扱っているためである。したがってその問題を高純度で抽出するために設定された仮設例は、時に実例以上に生々しいものとなる。
もうひとつは、「組織におけるフリーライダー問題」や「権力(Power)の源泉」と
いう世俗的な問題に注意をはらい、問題指摘にとどまらず正面から論理的にこれを扱っているためではないかと思う。
終章では組織デザインへの幻想、すなわち「あらゆる経営問題が組織デザインで解決できるという過剰な期待」について言及されている。横文字だらけの、雰囲気だけで成り立っているような「最新の組織論」に違和感を覚えた経験のある方は、この終章だけでも一読することをオススメする。
高校生の頃、ギターのやたら上手い先輩が「基本=簡単だと勘違いしているヤツが多いけど、基本の中にはとてつもなく難しいこともあって、それがマスターできなくて伸び悩むヤツがほとんどなんだよ」などとしたり顔で語っていたのを思い出した。
本書がとてつもなく難しいかどうかはさておき、やはり組織デザインにおいても基本無くして応用、実践は無いわけである。
実務で組織デザインに関わっている方、あなたの基本は大丈夫だろうか?
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大学で受けた「経営組織論」の先生が書いている本。論理的かつ明快に組織デザインについて書かれているので、すごく読みやすいです。お薦め。
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デザイン論の第一人者が書いた現存する和書の中では最高クラスの組織論の本。記述は厳密で読みこなすには体力がいるが、文の一つ一つに実感をもちながら読めば本当におもしろい。組織のデザインの出発点は実は忌み嫌われている「官僚制」であり、その仕組みを支える骨組みを、組織の基本形態に求め、その長所と短所を厳密に考察し、次に事前と事後の調整手段を考えて組織を構築する。それぞれの部分に対しての考察は教科書である手前網羅的にならざるを得ないはずが、網羅的であると同時に、非常に深い洞察とも両立しているところがこの本の面白さであり、すばらしいところである。
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色々な組織の構成と役割や長所短所がわかります。
何で会社の組織がこのような階層になっているかなど、理由がわかります。
勉強にはなりますが、すごく面白いというものではないです
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客先の偉い人に薦められて読んでみたが、現在の自分には少し難解であったが、今後参考になりそうだったので購入
あとでじっくり読みたい
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事業部制、機能別組織、クロスファンクション組織、それぞれ、細かいところまで書いてある。
ト、2008.12.22
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お勉強の補足として購入
苦手な組織論をここまで簡潔に分かりやすくまとまっているのは脱帽でした。
ただの教養だけでなく、実際自分が組織を作るときの参考材料にもなりました
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組織を
「分業」:タスク・組織の分割
「調整」:分業したタスク・組織を統合するための調整
の二要素に分類して、理論を展開している。
「分業」によって効率性などの経済的メリットを産む反面、
動機付けや組織統合に困難さをもたらすデメリットがある。
そのデメリットを上手くカバーするのが「調整」
調整には以下5つの活動があると分類している
標準化
ヒエラルキー
水平関係の調整
環境マネジメント
スラック資源の創設
きれいに整理されたフレームワークで「組織デザイン」を説明する良書です。
これにHRMのフレームワークをくっつけると、また発展性があってオモシロいかと思います。
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なるほど、この人は、全体としてよくオーガナイズされていて、論理(筋)と整合性を非常に大切にした記述をしています。おそらく著者も厳しいくらいに論理立てを意識しているのだと思います。読んでいて、とても好感を持つことができますし、分かりやすく、腹に落ちます。いいんじゃないでしょうか。
自分の会社もかなり頻繁に大掛かりな組織改正をする会社だと思いますが、この本を読んだ後では、振り返ってその(少なくとも表向きな)意図が何となくわかるような気がします。まあ、それは気のせいなのかもしれませんが、機能別組織、事業部制組織、プロジェクトチームなどの一般的なメリット・デメリットくらいは意識できてないといけないのかもしれないです。
『組織構造は戦略に従う』(チャンドラー)そうなので、少しはその辺りも考えて仕事ができるようにならんといかんのかな、と思わされました。
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会社の中で
自分はどこまでの範囲の仕事をするべきなのかなー?
とぼーっと考えながら歩いていたら
本屋で目についたのです。
とても参考になりました。
分業は一人が狭く深く仕事を探求出来るので
その個人的には効率が上がるが
それをまた統合するのに工夫がいるのですね。
しかしまあどれも一長一短。
あ、自分の会社の組織デザインもこれなのか。と改めて認識。
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組織の基本故に、既に知っている言葉を難しい専門用語で説明されている感じがしました。しかし、わかりにくいわけではないので、組織構造を考える上で自分の知識や経験をまとめて考えるにはいい本でした。
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よりよく考えるための良書。
日経文庫はときどき名著が現れる。
企業組織にはそれぞれの個性があるのだから、他社組織をそのまま模倣してもうまくいかない。自社には自社の組織デザインをカスタマイズしていくしかない。
そう、そして組織デザインというのは、複雑。
だから、著者の「煩雑で現実主義的な作業を行うには、基本原則の深い理解が是非とも必要」という言葉が実務家にとってこそ重要な意味をもつ。
これもまた監査部必読書のひとつだろう。
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組織論の論点を総花的に解説はしてくれていない。
事例がない、文献リストがない、歴史的背景も示されない。
人材育成にも、戦略やイノベーションとの関わりにも触れない。
そのかわり、組織の最も基本的な機能、つまり、”分業と統合”を徹底的に考察していく。
確かに、組織論はこの分業と統合が要諦であって、ここをどれだけ考え抜けるかが大切だと思う。
ここをおろそかにしては、他のどんな論点も意味を失ってしまう。
知識としての組織論ではなく、本当に組織を考えるための組織論を学ぶのには最適の一冊。
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会社の組織体制を間近に控え、自分なりに組織のあり方を考えてみたいと思い、Amazonのレビューで評価が高かった本書を購読。
大雑把に言ってしまうと、大学の教科書コンパクト版といった感じ。まず、組織の意義・必要性といった総論から入り、機能別組織・事業部制・マトリクスといった組織の基本形態の特徴を学ぶ。その上で、組織体制の中で行われる分業の種類とその特徴、更に分業によるアウトプットを会社全体のアウトプットにするために行われる調整・統合の枠組みとその特徴、といった各論に入っていき、更に分業や調整・統合の中で出てくるそれぞれのデメリットに対する打ち手の紹介という流れ。 著者も冒頭で言い切っているように「組織デザインの基本論理を解説したもの」なので、組織の概念を体系的に把握するための解説書としては、とても優れていると思う。
逆に言うと、概念を自分の中で具体的なイメージにしなくてはいけないので、それが難しいパート(特に分業のタイプに関する解説)は、よく寝落ちしました。。。「興味をわかせる意味で、具体的な実例を引合に出してもいいんじゃないかなー」とか思うのは、甘えかな^^;
とは言いつつ、自社の現状や問題点とリンクする部分は自社が抱える問題なのか、組織論における問題点なのかを考えたりできて、面白かった。
「組織は戦略に従う」というけど、まずは会社の戦略を理解した上で、どういった意図があって組織を変えようとしているのか、経営者の視点でものを考える癖はやっぱりつけるべきなんだろうなー、と今更ながら思いました^^;もう少し年を取ってからまた読んでみると、もう少し違った読み方ができるかも。
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教科書的ではあるし、概念的で事例がない分あれこれ想像して自分の会社と照らし合わせながら読んだけど、かなり深いところまで研究しているし、組織上の課題について知りたいことがほぼこの一冊で分かるのではないかと思います。基本をしっかりたたきこんで組織作りに生かしたいと思います。ちなみに本書はグロービスの先生から大絶賛されて買いました。